現在放映中のドラマ「神はサイコロを振らない」や、

筒井康隆さんの『時をかける少女』です。

ふとしたきっかけで時間を移動する能力を手に入れた高校生の女の子の切ないおはなしです。

幾度も映像化されている名作です。是非読んで見てください。

時をかける少女（筒井 康隆）

古いですが。

こちらのあらすじが良く出来ているので、こちらを読まれた方が判りやすいかと。

タイムトリップの能力を突然手に入れた和子が、色々な経験をしていく。その力の理由を突き止めるも、悲しい恋の結末を迎えてしまう。

そして新しいパラレルワールドで2人は出会うも…。

と言った感じです。

「漂流教室」はオススメです。

出演者：常盤貴子、窪塚洋介、山下智久、山田孝之、妻夫木聡

学校が地球の未来に行き、そこに残っていた生徒達が過去の人たちに助けを求めるが…

笹本祐一さんの「エリアル」はお笑いスチャラカ巨大ロボットＳＦ小説ですが、中に３分の１ほどタイムマシーン物を含みます。そのテーマ単体での物より設定が凝っている分、面白かった。

>鹿島翔香。高校2年生の平凡な少女。

>ある日、彼女は昨日の記憶を喪失している事

>に気づく。そして、彼女の日記には、自分の

>筆跡で書かれた見覚えの無い文章があった。

>”あなたは今、混乱している。若松くんに相談

>なさい…”

>若松和彦。校内でもトップクラスの秀才。

>半信半疑ながらも、彼は翔香に何が起こって

>いるのか調べ始める。

一風変わったタイムトラベル物です。

THE WINDS OF GODはいかがですか？

売れないお笑いコンビ二人組みが交通事故にあった拍子に、第二次世界大戦中の日本に迷い込む話です。

舞台化されていて、私は舞台の方を先に見てこの小説の存在を知りました。

だいぶ前に読んだのですが、マーク・トウェインの「アーサー王宮廷のヤンキー」は、現代人が過去にタイムスリップする話です。

主人公が技師なので、いろんな物を作ります。拳銃から自転車、はては電線を引いて電信網をつくったりもします。

荒唐無稽でありながら、アーサー王伝説の大筋はおさえてあります。

眉村卓の「とらえられたスクールバス」もタイムスリップ物です。

スクールバスに乗り込んできたあやしい少年により、過去へと飛ばされます。昭和初期や戦国時代が舞台です。

スタンダードですが、ハインラインの「夏への扉」です。

50年ほど前に書かれた作品ですが、今読んでもとても魅力的です。

妻に裏切られて30年間のコールドスリープで未来へと送られた主人公が、

未来の世界で新しい人生を生きるなかで、

自分の人生と恋と猫を再び手に入れる。

そんなさわやかな物語です。

ライトノベルですが、「涼宮ハルヒ」シリーズがサクサク読むことができて、楽しいです。

世界の枠組みを変えてしまうほどの力をもっていながら、それを全く自覚していない転校生の涼宮ハルヒと、ハルヒが作ったSOS団の活動に巻き込まれた主人公のキョンを軸に展開していきます。

ハルヒは、普通の生活を忌み嫌って、「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」などといっていますが、実はハルヒの周りにいるSOS団の活動に巻き込まれたメンバーが、宇宙人、未来人、超能力者で、それを知っているのはハルヒ以外（宇宙人、未来人、超能力者、キョン）となっています。

物語は、未来人、宇宙人、超能力者などにまつわる奇怪な出来事にSOS団がまきこまれていくというパターンがほとんどで、単行本１冊以内で完結しています。

未来人絡みのストーリーでは、「時」をテーマとしているといってよいと思います。タイムとラベルとか、タイムパラドクスについてもそれなりに書いてあるので。

マイナス・ゼロ（広瀬正 著)

　１９６０年頃（だったと思います）の東京が舞台で、その時代から戦前の東京へタイムスリップ

した男のお話です。そしてそのまま戦前の東京で生活を始め、元々居た時代へ年をとりながら帰っ

て？行きます。その結果どうなるのかはネタバレになるので書きませんが、この本のおもしろさは

戦前の東京の町並みを事細かく書き、ノスタルジックな雰囲気を作り出していることです。

　よかったら読んでみてください。

ミヒャエル　エンデの著作です。

人々から奪われる「時間」に対してモモという少女が挑みます。

銀行員の格好をした灰色の男たちが「豊かな時間」を奪っていったのです。

児童文学書ですが、

いかがでしょうか。

「ニューオーリンズの賑わい」筒井康隆

ショートショートです。

時間旅行が出来る時代にジャズが好きな夫婦が1916年のニューオーリンズに旅に出て、若かりし頃の自分を発見してしまう、ちょっとハラハラするお話です。

「ジャズ小説」という筒井康隆の短編集に入ってます。

ここにたくさん紹介されてます。

私はこのなかでは「タイムライン」を読んだ事があります。

極秘裏に開発したタイムマシンで帰ってこれなくなった教授を14世紀のフランスに救出しに行く話です。

ジャック・フィニーの時間を越える理屈は全く独特です。その時へのノスタルジアを強く感じ、現在（相対的に未来）のものを排除すれば、次の一歩はその時代へ通じているとでもいうような、そういう特徴的な時間の越え方が書かれた叙情的な作品を多くものしています。

　時間を越えることが目的でも主題でもないと申しますか、強烈なノスタルジアに自然に巻き込まれて、違和感無く不思議な彼の世界に惹きこまれると思います。

短編集『ゲイルズバーグの春を愛す』では半分がこの手の時間を越える主題です。本当にどれもお勧めですが、一番はやはり「愛の手紙」でしょうか。

　ブルックリンに住む若者が、中古品のライティング・ビューローを買い、その隠し引き出しで80年前の若い女性の（出されなかった一通の）手紙を見つけます。なんとなくその手紙に返事を書き、古い切手で古い郵便局に投函します。そして、まったく何の気なしに次の隠し抽斗を開けてみると、その手紙を受け取った過去の彼女からの手紙を見つけるのです…。

残された隠し抽斗はあと一つ。彼はそれをあける前に、最後に彼女に思いを伝える手紙を書き、そしてまた前と同じ方法で投函します。最後に彼女が彼に思いを伝えた方法とは何だったのか？

本当に短い一編ですし、感情移入できなければそれまでというものかもしれませんが、私には忘れられない小品です。

　永遠の思い出のために

ある時期のアメリカへの強烈なノスタルジーが感じられる長編のものです。見事にSFにもなっています。

フィニーの作品では、過去へ戻るものの他に異世界へ移行するもの、現代に泣ける奇跡が起きるものなどさまざまな「現実からの離脱」が描かれます。気に入ったら絶対離せぬなにかがありますので、よろしかったらぜひ…

北村薫さんの小説がお気に召すなら、ある時間の枠を繰り返すことを運命付けられた男の物語『リプレイ』もきっと面白いと思います。蛇足ですがご紹介まで。

二重投稿になりますがお許しください。

大切な作品を一個、忘れてました。

ロバート・ネイサンの「ジェニーの肖像」です。

広い意味ではファンタジーになりますが、いわゆる魔法系ではないのと、小説としてとても魅力的なので紹介させて下さい。

貧乏な画家がある夜セントラルパークで一人の小さな女の子「ジェニー」と出会います。

彼女の不思議な美しさに心ひかれて彼が描いた彼女のスケッチを買い取った画商は、

「このなかには過去がある」と告げます。

画家は何度か街角で少女に出会います。なぜだか彼女は、現実の時間の流れよりも少早く歳をとっていきます。

ある日、画家は彼女に絵のモデルを頼みます。彼女は時折画家のアパートを訪れ、画のモデルとなります。

やがて二人は愛し合うようになります。そして彼女に流れる不思議な時間が現実の時間に追い付いたその時……、悲しい結末が訪れます。

とても不思議な印象の、けれどとても美しい、そんな作品です。

で、「ジェニーの肖像」とは全く逆なのがこの話です。

ある理由で一晩病院の個室に二人きりになる男と女。

男は四十代。女はつい立てのかげで姿は見えずただ、声だけが男の耳に届きます。

二人とも骨折で身動きができないままで会話をつづけます。

翌朝、つい立ての陰に男が見た女の姿は、白髪の老婆の姿でした。

ところが、会うたびに女は若返っていきます。四十代、二十代、十代そして少女へと。

最後に四・五歳の少女になったか女は、街の雑踏の中に消えていきます。

ストーリーはすごく切なくて好きなんだけど、書き方があんまり好きじゃないです。

登場人物がやたら詩とかを引用したがって、ここぞというところで自分の言葉で語ってくれないので、ちょっと興醒め。

ラストで男が自分の見に起こったできごとを「ジェニーの肖像」の物語と引きくらべるところがあるんだけど、ここはなかなかいい感じです。

物語全てが幻想的な雰囲気の中で語られている「ジェニー」と、現代の日本を舞台に、さえない中年の男が主人公のリアルな描写が行われているこの本。

その違いに思いを馳せることによって、現実というものの切なさみたいなものが感じられます。

ここだけにしとけばよかったのにな、他の作品からの言葉の引用って。

ちなみにこの本のタイトルもぼくがすきな吉原幸子という詩人の詩の中の言葉から取られています。

その詩自体は小説の中には出てきませんが。

重松清さんの「流星ワゴン」です。

ストーリーは、３８歳の主人公が、

５年前に交通事故死した父子の乗る

ワゴン車にひょんなきっかけから拾われて、

自分と同い年の父親と再会を果たす。

人生うまく行かない状況の中で、

親子の関係とかを考えさせられて、

とても涙が止まらなかったです。

東野圭吾の「トキオ」です。

ベッドに横たわる病気で余命わずかな意識の無い息子。

実は昔、父親と息子は出会っていたという話です。

荒れた生活を送っていた若き日の父を懸命にフォローしたのは

実の息子だった…そんな時空を超えたお話です。

死にゆく息子という悲しい運命でありながらも

ここまで読後感の爽やかな作品はないと思います。

東野氏の作品の中でも異色の爽やかさです。

ラストの一行が全てを物語る作品です。

文庫本では、表記が「トキオ」から「時生」と変更になっています。