そりゃ、そうでしょ。アメリカに勝ったのは北ベトナムです。アメリカに逃げて来ているのは、北ベトナム軍に追い出された南ベトナム側の旧体制の人です。
日本にもロシア革命のときに白系ロシア人(つまり皇帝派)が逃げてきてましたが、その人たちに日本の左翼がもし、やっぱりロシア赤軍は強いねぇ、とか言ったら、湯気を立てて怒ったでしょう。
こんにちは
とても興味ある話題なのでずっと気にしていたのですが、私自身はこのエピソードを知らないので、参加しないでおりました。
hamster009さんの珍妙な(というか意味不明の)回答以降、回答が寄せられないので、ちょっと我慢できなくなってコメントさせていただきます。
ベトナムはアメリカに戦争で勝った国です。しかし勝ったといっても、国際法廷でアメリカが裁かれたわけでもなく、賠償金が得られたわけでもなく、アメリカが謝罪したわけでもありません。やっとの思いでアメリカを国土から追い出したというつらい過去でしかないのです。
ロックコンサートに集まる聴衆とはどういう人たちでしょうか。ロックというものはアメリカ文明のひとつの象徴であると思います。
言うまでもなく文明というものは文化とは異なり、人種、民族、国境を越えて広がっていくものです。その意味では、韓国の聴衆もインドの聴衆もベトナムの聴衆も同じようにアメリカ文明に憧憬し、その文明の光を浴びたいと思って集まってくるのです。
演奏しているのが日本人でも同じことです。日本はアジアでもっともアメリカに近い国と認識されているはずですからなおさらです。
ベトナムの現在の状況は日本の高度成長期の初期に似ており権利意識の高まり、労働争議の頻発、などのなかで民主主義というものが強く希求されている状況です。それだけにアメリカ文明に対する憧れが強いともいえましょうか。
それと同時にベトナム人であれば当然戦争の実体験を持っているか、戦後生まれでも、戦争でのアメリカ軍等の悪逆非道ぶりは教育されているはずです。
つまり二律背反的な心情を持ったベトナム聴衆が、反アメリカ感情を忘れ(つまりつらい過去を忘れ)、親アメリカ的な感情を(つまり明るい未来を)十分に満喫するために、コンサートで盛り上がっていたと想像できるのです。
そこへ「さすがアメリカに勝った国」という間抜けなコメントをされれば、それは聴衆を困惑させるのに十分すぎるということでしょう。壷にはまってます。メイド・イン・アメリカの模造品である日本のロックバンドが言うことじゃぁありませんよ。
確かにロックは反体制的な要素を持つ音楽ですが、この発言は政治認識が稚拙すぎます。
日本は憲法の拘束があり、ベトナム戦争には参戦しませんでしたが、明らかにアメリカ側の一員としてベトナム戦争を後方支援し、米軍は沖縄、横田、横須賀、厚木などからバンバン出撃し、また軍需で高度成長の端緒を作りました。日本の繁栄はある意味ではベトナム戦争のおかげです。かろうじて、軍隊を送らなかったから、聴衆は困惑ししらける程度ですんだのですよ。
たとえば韓国はベトナム戦争に参戦し、アメリカ軍以上に残忍であったといわれています。韓国バンドが同じこと言ったら暴動かな。いやいや韓国人は日本人ほど国際感覚が鈍くはないか・・・・
政治的に不適切な発言だったとかそういうことはとりあえず脇においておくとして、ロックというものはある意味で聴衆とプレイヤーの間にある共通意識を仮想コミューンのような一体感を形成するものです。そこに爽快感があります。この発言をしたミュージシャンはどのようなコミュニケーションを意図していたのでしょうか。ロックミュージシャンとしての基本的な資質に欠けるように思います。
コメント(1件)
一般市民がそんなむづかしいことを考えながら生きているのかなあ。どうだろう。今度ベトナム人にあったら聞いてみよう。
いちおう社会主義国家だから、公の場での政治的発言に関わりたくないという生理が働いたのかもしれない(十年前の中国で同じことが起きていたらこれで説明がつく)。
数年前の話だから、アメリカと国交を回復する直前か直後のむづかしい、ピリピリしていた時期だったのかもしれない。
いちばん好きな軍人は『赤いナポレオン』ヴォー・グエン・ザップだけど、ヴェトナム人の前で熱く語るのはよしておこう。