この説の問題点等ありましたら、指摘もしてください。
よろしくお願いいたします。
http://www.kyoto-su.ac.jp/~nakazono/comparative_cost.htm
自由貿易の思想はアダム・スミス等によって主張された経済思想ですが、それを体系的に整理して自由貿易のよさを証明したのが、ダヴィッド・リカードの比較生産費説です。リカードの説明を右の数字例によって、簡単に説明しておきましょう。
ブドウ酒1単位の生産費 布1単位の生産費 国内の交換比率
イギリス 120名 100名 ブドウ酒1:1.2布
ポルトガル 80名 90名 ブドウ酒1:約0.9布
上の数字例で、たとえば、イギリスでは、ブドウ酒1単位を生産するのに120名の労働を必要とし、布1単位を生産するのに100名の労働を必要とするとします。したがって、ブドウ酒と布ではブドウ酒の方が1.2倍だけ価値が高いことを意味していますので、イギリスではブドウ酒1単位と布1.2単位が交換されることになります。
同じように、ポルトガルでは、ブドウ酒1単位を生産するのに80名の労働を必要とし、布1単位を生産するのに90名の労働を必要とするとします。したがって、ブドウ酒と布では布の方が約1.1倍だけ価値が高いことを意味していますので、ポルトガルではブドウ酒1単位と布約0.9単位が交換されることになります。
こうして両国のブドウ酒と布の生産費を比較してみますと、ブドウ酒も布も、ともにイギリスよりポルトガルの方が安いことがわかります。もし、この状態でイギリスとポルトガルが貿易をすると、ブドウ酒と布はそれぞれどちらの国が輸出することになるでしょうか?
このことに関して、リカードは、「貿易の流れは絶対生産費によって決まるのではなく、比較生産費によって決まる」と述べています。比較生産費というからには、何かと比較して(相対的に)ということになりますが、それはどのようにして示されるのでしょうか?
たとえば、ポルトガルからみて、ブドウ酒の比較生産費は・・・ポルトガルのブドウ酒の生産費(80名)/イギリスのブドウ酒の生産費(120名)=0.75・・・で示されます。また、布の比較生産費は・・・ポルトガルの布の生産費(90名)/イギリスの布の生産費(100名)=0.9・・・で示されます。この比較生産費が安い方の製品が輸出されるわけで、この場合、ポルトガルはイギリスにブドウ酒を輸出することになります。同じ要領で計算してみるとわかることですが、イギリスでは布が輸出されることになります。このように、比較生産費が安い方の輸出製品を比較優位製品と呼び、比較生産費が高い方の輸入製品を比較劣位製品と呼んでいます。上の例の場合、ポルトガルはブドウ酒において比較優位があり、イギリスは布において比較優位があるということになります。そして比較生産費に差のある限り、貿易が行われます。
少し数字例を変えてみましょう。たとえば、ポルトガルのブドウ酒1単位の生産費を108名、布1単位の生産費を90名としてみましょう。この場合、ブドウ酒の価値は布の1.2倍あることになりますから、ポルトガルではブドウ酒と布の交換比率は・・・ブドウ酒1:1.2布・・・になるはずです。そうなると、国内の交換比率は両国ともに同じになります。比較生産費はどうでしょうか?
ポルトガルからみて、ブドウ酒の比較生産費は108名/120名=0.9、布の比較生産費は90名/100名=0.9となって、比較生産費に差がなくなります。この場合、貿易は行われません。比較生産費が同じということは、両国で国内の交換比率が同じということを意味しています。ブドウ酒と布の国内の交換比率が同じであれば、貿易をしてもしなくても、損も得もありません。
もし、一番上の数字例のように、国内の交換比率が両国で異なっていれば、ポルトガルは自国のブドウ酒をイギリスで布と交換すれば、国内で布と交換するよりも多くの布を手に入れることができますし、イギリスも自国の布をブドウ酒と交換するには、ポルトガルで交換した方が、より少ない布で1単位のブドウ酒を手に入れることができます。すなわち、国内の交換比率(比較生産費)に差のある限り、貿易が行われることになります。そして、貿易を行うことで、両国はそれぞれ貿易前よりは実質的に利益を得ることになります。
こうして貿易が行われるようになりますと、イギリスではブドウ酒はポルトガルから輸入するようになり、ブドウ酒の生産はなくなっていきます。当然の結果として、ブドウ酒の120名の労働は布の生産に振り向けられますので、生産費を一定と仮定すれば、220名の労働で2.2単位の布が生産されるようになります。
同じように、ポルトガルでは布の生産はなくなり、布の90名の労働はブドウ酒の生産に振り向けられます。生産費を一定と仮定すれば、170名の労働で2.125単位のブドウ酒が生産されることになります。
上の数字例をそのまま単純に受け止めるなら、貿易前にはイギリスもポルトガルも、ともにブドウ酒1単位と布1単位を生産していたのですから、両国合計のブドウ酒の生産は2単位、布の生産も2単位ということになります。しかし、貿易後の両国合計の生産はブドウ酒が2.125単位、布2.2単位というように、ブドウ酒において0.125単位、布において0.2単位増えています。この生産の増加は単に貿易をしたということだけで生じた増加ですので、この増加分を「貿易の利益」と呼んでいます。または、「国際分業の利益」ともいいます。生産が増加したということは、世界の消費可能量が増えたということを意味します。そのこと自体を単純に捉えれば、貿易をすることによって、人々の生活がそれだけ豊かになるということを意味します。
ここでは説明を省略しますが、この「貿易の利益」が両国に公平に半分づつ配分されるかどうかは、両国の2製品がどのような比率で交換されるかによって決まってきます。専門的な表現をすれば、交易条件(2国間の2製品の交換比率:terms of trade)がどこに決まるかによってかわってきます。
回答どうもありがとうございます。
これより、質問内容は、
「比較生産費説の問題点を指摘してください」
に変更します。
回答ありがとうございます。
わかりやすいURLありがとうございました。
早速の回答ありがとうございます。
難しいですが、理解できるよう頑張ります。
比較優位の品物に特化すると、
両国にとって得な取引ができるということですね。