結婚記念日に、妻に本を贈ろうと考えています。

体裁は児童文学ながら、中身は、子供の心を失ってしまった大人に向けての示唆に富んでいる。« l'essentiel est invisible pour les yeux » 「大切なものは、目に見えない」（内藤濯の訳。直訳は「本質は眼では見えない」）を始めとした本作の言葉は、生命とは、愛とはといった人生の重要な問題に答える指針として広く知られている。

童話「星の王子様」を推薦致します。

人生における愛や命などへ重要な指針が描かれているとは、実に秀逸な童話です。

本書は、ストーリーの展開を楽しむ意味においては子ども向けだが、むしろ大人向けのメッセージに満ちていて、本来人間には「心の目」が備わっているということを呼び起こされる。その、真実を見ることのできる「心の目」をもって、大切にしていかなければならないモノを感じ取り、それを生かしていくことで人は豊かになれるはずなのだが、さまざまなことに心を奪われ見えなくなっていき、やがて見ようともしなくなる（王子が訪れた星に住む大人たちは点灯夫以外その象徴のようでもある）。

キツネの言葉「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目には見えないんだよ」は著者からの、大人、そしてこれから大人になる子どもたちへの警鐘なのかもしれない。

キツネさんの名言です。ブルースリーの"Don't think, fee-------l"(考えるな、感じろ～～～～[理屈じゃない気持ちだ])などにも通じる心理の真理ですね。

人間の思考能力の基礎ともいうべき「心の目」は、人間関係の基礎である家族関係にもおおいに役立つ深いものだと思います。

他にも深遠な言葉がありますので、どうぞご覧下さいね。

ちょっと前まで童話は子供のもの、という方が多くて、私の様に「童話を大きくなってから読み返すと、色々違った視点で読めて面白い」という人間は変わり者と思われていました。

近頃は大人でも女性、特に若い方を中心に童話を愛好される方が増えています。

こちらは絵本、というよりも、童話、というカテゴリーで理解される方が多いのです。素直に作者の素朴な挿絵や登場人物の愛らしさを楽しむのも良いですね。人は気分によって余り深く考えるのが面倒な時がありますから。

奥様だけでなく、お子様や旦那様の皆様が読んでも良い感じなので、今回贈られなかったとしても機会を見つけてプレゼントされると良いものです。