「寸法には、特別なもの(参考寸法、理論的に正確な寸法など)を除いて、直接又は一括して寸法の許容限界を指示する。」ということが決められています。
理論的に正確な寸法は、寸法に公差を表示する必要の無い寸法ですが、他の方法で公差の指示はします。
参考までに。
http://www.necel.com/pkg/ja/jissou/2/2_3/2_3_1/index_link1.html
http://www.nc-net.or.jp/morilog/m24857.html
http://www16.tok2.com/home/katayama/jis/jis_b_0001_1985.html
●「理論的に正確な寸法」という言い方はしたことがありませんが、ニュアンスとしては
「数値としては正しいが、現実的ではない」という意味で使っているのでしょう。
●設計の現場では、さまざまな要因が組み合わさって想定していたことが少しずつ
狂ってきます。それは加工精度の問題であったり熱収縮が原因だったり、重力の
影響だったりします。
●そこで、設計段階には「理論的に正確な寸法」ではなく、前述の条件をふまえた
「問題なく完成できる、マージンを取った寸法(設計手法)」を作る必要があります。
例1) http://info-japan.net/samp/right_scale1.gif
・金属加工やプラスチック加工で、2つの部品をかみ合わせるときに、オス側とメス側を
まるで同じ寸法にしています。
これはもう、加工内容も要求品質も「神」のレベルです。
一般の工業製品でこのような品質を求めてはいけません。これは「数値としては正しいが、
(まるで)現実的ではない」寸法です。
例2) http://info-japan.net/samp/right_scale2.gif
・住宅の寸法図だと考えて下さい。
数字上は正しいですが、現実には「10,000」が正しいという保証はありません。
もしこれが「10,050」だったら、その差の「50」はどこで吸収すればいいのでしょうか。
住宅など「すでに存在するもの(この場合なら土地)」に対して何らかの加工を施す
ときには、採寸(測量)が必要になります。
特に土地の場合などは、測量結果が(1mmのレベルで)正確であるはずはありません。
これもまた、「数値としては正しいが、現実的ではない」寸法です。
回答ありがとうございました。
問題なく完成できる、マージン(=この場合交差でしょうか?)をとった寸法(設計手法)を作る必要があるということは、基本的にはこの理論的に正確な寸法というものは存在せず、設計においても必要のない寸法なんですよね?
どういったときにこれを使うのかアドバスいただけると幸いです。
>基本的にはこの理論的に正確な寸法というものは存在せず、設計においても必要のない寸法なんですよね?
●誤解をまねく回答をしてしまったようで申し訳ないです。
●まず、理論的に正確な寸法が「存在しない」わけではなく、「あてにしてはいけない寸法」とお考え下さい。そして、その「あてにできない」というのも「あてにできなさ」のレベルがあり、その値が「公差」だと考えることができます。
●1番のkappagold さんの回答に対するコメントに、「交差を表示する必要のない寸法であれば、普通に交差なしで寸法指示しておけばよいと思うのですが。」と書かれていますが、それは確かにその通りです。
●それは例えば「部品として使われるかどうか」という視点でみてみるとよくわかるでしょう。
●ビスやフランジなどの「部品」では、寸法の許容誤差は、その部品を使用する段階でどの程度の寸法誤差(公差)があるのかが、非常に重要になってきます。
●マウスなどの「製品」では、外形に0.2mmや0.5mmの誤差があっても、特に困りません。(例:http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2967)
親切・丁寧なご説明ありがとうございました。
だいぶ分かってきました。参考寸法に近い使われ方がされているようですね。
ただ、図面表記上では、理論的に正確な寸法:□内に寸法と、参考寸法:( )内に寸法と異なりますが、この両者に違いはあるのでしょうか。
「理論的に正確な寸法」というのは、「理論的に考えて正確だと考えられる寸法」とは異なります。
最初の回答にJIS規格の用語だと、説明しておけばよかったのですが、3つめのリンクがJIS規格の製図用語の説明でしたので省略してしまいました。
説明足らずでした、済みません。
「理論的に正確な寸法」は、この単語の並びで一つの定義された意味を示す用語です。そのため、日本語として同じと考えられる、「理論的正確寸法」や「理論上、正確な寸法」とは異なります。
「理論的に正確な寸法」は、JIS規格のJIS Z 8114(製図用語)に番号3519の用語として、規定されています。その定義は、「形体の位置又は方向性を幾何公差(輪郭度、位置度、輪郭度及び傾斜度の公差)を用いて指示するときに、その理論的輪郭、位置又は方向を決めるための規準とする正確な寸法。」と決められています。
そのため、最初の回答の2番目のリンクのように基準寸法と呼ぶ場合もあるようです。
使用する場面は、JIS規格に則った書類や図面を作成する際です。
JIS規格では、「寸法には、特別なもの(参考寸法、理論的に正確な寸法など)を除いて、直接又は一括して寸法の許容限界を指示する。」ということが決められていますので、公差表示をしないで作成するときには、理論的に正確な寸法を使うことが多いのではないかと思います。普通の寸法で許容限度を表示しない図面では、JIS規格の文書として不備になってしまいます。
定義にもいろいろと難しい言葉が並んでいますが、JIS規格の製図用語の説明に定義が載っています。
JIS規格に関する文書はネット上でも見ることは出来ますが、URLをリンクで引くことができないので、JIS(日本工業標準調査会)のデータベース検索から見る方法を記載しておきます。
http://www.jisc.go.jp/app/JPS/JPSO0010.html
からJIS検索を選んで。
http://www.jisc.go.jp/app/JPS/JPSO0020.html
JIS規格に使用されている単語からJISを検索の欄に、
理論的に正確な寸法、を打ち込んで、一覧表示をクリックすると、リストの一番下に
JISZ8114 製図-製図用語 が出てきますので、クリックして、次のページのpdfをクリックすると見ることが出来ます。「理論的に正確な寸法」は26ページに出ています。
回答ありがとうございます。
紹介いただいたサイトでもう少し勉強してみます。
回答ありがとうございました。
交差を表示する必要のない寸法であれば、普通に交差なしで寸法指示しておけばよいと思うのですが。