天国と地獄のスプーンという話がありますが、これのもともとの出典は何なのでしょうか?


原文(外国語であればその日本語訳)へのリンクがあればたすかります。

回答の条件
  • 1人3回まで
  • 登録:
  • 終了:2007/10/23 23:42:39
※ 有料アンケート・ポイント付き質問機能は2023年2月28日に終了しました。

ベストアンサー

id:kanan5100 No.5

回答回数1469ベストアンサー獲得回数275

ポイント50pt

さらにいろいろ調べました。

まず、ダンテ説というのがありますが、これは出典が示されていないので無視していいでしょう。だいたい、ダンテの地獄がこんなにほのぼのしているとは思えません。

http://72.14.235.104/search?q=cache:8JvQsbjcjkQJ:danecervine.typ...

I remember Dante's story,

the simple difference between heaven & hell.

In two rooms, the same large soup bowls,

the same impossibly long-necked spoons--

but in hell, the endless failure of feeding alone;

and in heaven, the ease of dipping each long spoon,

lifting it to your neighbor's lips, the joy

of being fed in return.

  • Dane Cervine

 

続いて、鎌田茂雄『華厳の思想』(講談社学術文庫, 1988)にもこの話が書かれているそうです。

http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~aruka/Experiments/avatamsakajp.ht...

ただし、仏典『華厳経』にこのような記述があるのかは不明です。鎌田茂雄がどこかで聞いた話を紹介しているだけかもしれません。

 

1985年に書かれた"Psychotherapy and the Religiously Committed Patient"という本の中には、Yalom(1975)からの引用としてこの話が紹介されています。

http://books.google.co.jp/books?id=QNeWcTvYJpkC&pg=PA61&...

引用文の著者であるYalomとはアーヴィン・ヤーロムのことで、集団精神療法の第一人者として知られる精神科医です。確かに「天国も地獄も考え方次第」「孤立より協力」というメッセージのこめられたこのエピソードは、集団精神療法にはぴったりかもしれません。

 

ヤーロムの文章は"In this Hassidic story..."(ユダヤ教敬虔主義の物語)と始まっており、ユダヤ教のラビと神との対話として書かれています。ヤーロムはユダヤ人ですから、ユダヤ教についてそういい加減なことを書くとは思えません。

というわけで、おそらくこの物語のルーツはユダヤ教の説話にあるのではないかと思われますが、この先は調べがつきませんでした。

id:kudoutakahiro

とても納得のゆく回答ありがとうございます。

ダンテやトルストイの作だなどと根拠のない権威付けをされるあたりに、この話しの語られ方が見え隠れしていて、すこし愉快に感じてしまいました。

>確かに「天国も地獄も考え方次第」「孤立より協力」というメッセージのこめられたこのエピソードは、集団精神療法にはぴったりかもしれません。

語弊がある表現かもしれませんが、この話しを聞いて感じた「セミナー臭さ」の理由が見えてきた気がします。

ユダヤ教の説話だとすると、なんとなく(調べていただいたのになんとなくとは恐縮ですが)合点がゆきます。

今後ヤーロムの著作を調べてみます。

大変参考になりました。

ありがとうございました。

2007/10/23 23:36:14

その他の回答4件)

id:kappagold No.1

回答回数2710ベストアンサー獲得回数249

ポイント10pt

リンクは見つかりませんでしたが、書籍を紹介します。

『世界を見る目が変わる50の事実』 ジェシカ・ウィリアムズ著

http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%82%92%E8%A6%8B%E3%...


http://blog.ishonan.com/corazon?blog_post_id=1969&lang=e

id:kudoutakahiro

ありがとうございます。

残念ながらこの本がもともとの出典だという確証は得られませんでした。

2007/10/23 15:31:35
id:sinsuke3 No.2

回答回数482ベストアンサー獲得回数25

ポイント10pt

http://www.pst.ne.jp/~noriko/doutoku.htm

トルストイ「天国と地獄」

id:kudoutakahiro

ありがとうございます。

以前にトルストイ全集を調べたことがあるのですが、それらしい内容の作品は収録されておりませんでした。

2007/10/23 15:34:20
id:arainswk No.3

回答回数93ベストアンサー獲得回数3

id:kudoutakahiro

ありがとうございます。

こちらを原典とするのにも客観的な根拠が少ないように思います。

2007/10/23 15:38:53
id:kanan5100 No.4

回答回数1469ベストアンサー獲得回数275

ポイント50pt

これはかなりの難問です。

多くのサイトで「トルストイの話」として紹介されていますが、原典を見つけた人はいないので、少なくともトルストイでないことは確かです。

http://oshiete1.goo.ne.jp/qa452565.html

4年前に別の人力検索サイトでも同じ質問が出ていますが、「山田無文老師の法話集ではないか」という推測はあるものの、はっきりとした結論は出ていません。

ただ、"long spoon" "heaven"などで検索してみると、海外のサイトでも同じ話がヒットするので、日本発祥とは考えにくいところがあります。

http://www.diamond.co.jp/books/chickensoup/osusume.html

アン・ランダース『こころのチキンスープ2』にも同じ話が紹介されていますが、出版年度の新しさからして、これが原典とは思えません。

http://www.csec.org/csec/sermon/larsen_3609.htm

検索で出てくる中でもっとも古い例としては、アーニー・ラーセンという説教師が1992年に放送した講演の中でこのエピソードが出てきています(このサイトの記述が正しければ、ですが)。

http://www.garygreen.org/Depression.htm

また、エメット・ミラーという医師/カウンセラーの本にもこのエピソードが出てくるようです。

 

天国や地獄の描写の生ぬるさからの推測ですが、これは正統的なキリスト教や仏教の逸話ではなく、1960~70年代以降のニューエイジ思想の影響の中から出てきたストーリーであるように思われます。

もうちょっと手がかりがないか調べてみます。

id:kudoutakahiro

ありがとうございます。

大変参考になります。

教育現場ではトルストイ説がまかり通っているようですが、マニュアルに書いてあることを疑おうとしない先生方にはもうちょっとがんばってもらいたいところです。

確かに海外でも同じ内容の話しが語られているようですね。

キリスト教の布教雑誌にも記述があるようです。

http://blogs.yahoo.co.jp/fim_inoue/32762800.html

>天国や地獄の描写の生ぬるさからの推測ですが、

>これは正統的なキリスト教や仏教の逸話ではなく、

>1960~70年代以降のニューエイジ思想の影響の中

>から出てきたストーリーであるように思われます。

なるほど。

おっしゃるとおり、特に地獄の描写はぬるいですね。

私も、あまりに俗物的でどうも胡散臭いというか、いかにも「いいお話」なことに違和感を感じ調べはじめた次第です。

またなにかおわかりになりましたらよろしくお願い致します。

2007/10/23 16:36:53
id:kanan5100 No.5

回答回数1469ベストアンサー獲得回数275ここでベストアンサー

ポイント50pt

さらにいろいろ調べました。

まず、ダンテ説というのがありますが、これは出典が示されていないので無視していいでしょう。だいたい、ダンテの地獄がこんなにほのぼのしているとは思えません。

http://72.14.235.104/search?q=cache:8JvQsbjcjkQJ:danecervine.typ...

I remember Dante's story,

the simple difference between heaven & hell.

In two rooms, the same large soup bowls,

the same impossibly long-necked spoons--

but in hell, the endless failure of feeding alone;

and in heaven, the ease of dipping each long spoon,

lifting it to your neighbor's lips, the joy

of being fed in return.

  • Dane Cervine

 

続いて、鎌田茂雄『華厳の思想』(講談社学術文庫, 1988)にもこの話が書かれているそうです。

http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~aruka/Experiments/avatamsakajp.ht...

ただし、仏典『華厳経』にこのような記述があるのかは不明です。鎌田茂雄がどこかで聞いた話を紹介しているだけかもしれません。

 

1985年に書かれた"Psychotherapy and the Religiously Committed Patient"という本の中には、Yalom(1975)からの引用としてこの話が紹介されています。

http://books.google.co.jp/books?id=QNeWcTvYJpkC&pg=PA61&...

引用文の著者であるYalomとはアーヴィン・ヤーロムのことで、集団精神療法の第一人者として知られる精神科医です。確かに「天国も地獄も考え方次第」「孤立より協力」というメッセージのこめられたこのエピソードは、集団精神療法にはぴったりかもしれません。

 

ヤーロムの文章は"In this Hassidic story..."(ユダヤ教敬虔主義の物語)と始まっており、ユダヤ教のラビと神との対話として書かれています。ヤーロムはユダヤ人ですから、ユダヤ教についてそういい加減なことを書くとは思えません。

というわけで、おそらくこの物語のルーツはユダヤ教の説話にあるのではないかと思われますが、この先は調べがつきませんでした。

id:kudoutakahiro

とても納得のゆく回答ありがとうございます。

ダンテやトルストイの作だなどと根拠のない権威付けをされるあたりに、この話しの語られ方が見え隠れしていて、すこし愉快に感じてしまいました。

>確かに「天国も地獄も考え方次第」「孤立より協力」というメッセージのこめられたこのエピソードは、集団精神療法にはぴったりかもしれません。

語弊がある表現かもしれませんが、この話しを聞いて感じた「セミナー臭さ」の理由が見えてきた気がします。

ユダヤ教の説話だとすると、なんとなく(調べていただいたのになんとなくとは恐縮ですが)合点がゆきます。

今後ヤーロムの著作を調べてみます。

大変参考になりました。

ありがとうございました。

2007/10/23 23:36:14
  • id:kanan5100
    追伸です。
    http://allbluescounseling.com/group_practice.htm
    このエピソードが書かれたヤーロムの著作は、"The Theory and Practice of Group Psychotherapy"(集団精神療法の理論と実践)という本です。この本は集団精神療法のバイブルとされている名著で、集団精神療法を志すセラピストなら必ずひもとく本です。ですからこの本が、この話が広まるきっかけになった可能性は高いと思われます。
    この本を読んだセラピストが、グループセミナーなどで天国と地獄のスプーンの話をして、それが世界中に広まっていったのではないか……と思います。
    ちなみに、『集団精神療法の理論と実践』は未訳ですが、近々訳が出るという話です。

この質問への反応(ブックマークコメント)

「あの人に答えてほしい」「この質問はあの人が答えられそう」というときに、回答リクエストを送ってみてましょう。

これ以上回答リクエストを送信することはできません。制限について

回答リクエストを送信したユーザーはいません