韓国での話ですが
保守系メディア広告主不買運動は違法=弁護士協会
http://www.chosunonline.com/article/20080703000056
ネットで新聞広告主に広告掲載中止を訴える運動が法律に違反しているという提言が弁護士協会によりなされたそうです。
まあ新聞社と消費者の力関係からでた結論のような気もしますが、お聞きしたいのは以下のようなことです。
* 日本の弁護士協会では電凸に関してこのような検討、提言を行うような動きはありますか?
* 過去の判例でこれに関連するものはありますか?
* 弁護士協会に限らず、電凸行為の違法性を協調して非難している団体はありますか?
行為自体に関する個人の意見は別にお聞きしたいと思うので、今回の回答範囲には含みません。よろしくお願いします。
個別の法律相談については有資格者である弁護士にご相談ください。以下の回答の情報は自己責任で使ってください。
1 日本の弁護士協会動きはあるか?
現時点では、少なくとも公的情報源では確認できません。
ただし、民事介入暴力の対策に取り組んでいる弁護士の集まりでは、組織暴力団の活動であることを隠すためにいわゆる「電凸」という手法が使われている実態があるとの事実に注目している人もいて、そうした対策が必要と考える人もいるようです。
なお、韓国の弁護士会は日本の弁護士会と完全に同じ立場だというわけではありませんので、単純な比較はできません。
2 過去の判例
韓国の判例についてはよくわかりません。
日本の場合、「電凸」している指定暴力団員から「暴力的要求行為」を受けた場合は、警察当局は中止命令を発することができます。たとえば、指定暴力団員が電凸で商品の欠陥などをネタに損害賠償を要求したり購入した有価証券に因縁をつけて損失補填を要求する行為は、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律により「民事介入暴力行為」(民暴)として規制対象となります。
また、いわゆるネットの告発サイトの中には「電凸」は組織暴力団関係者の依頼を受けて電凸サイトを開設している例もありますが、そうした電凸行為も、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律により「準暴力的要求行為の要求」として規制対象となります。
(暴力的要求行為の禁止)
第九条 指定暴力団等の暴力団員(以下「指定暴力団員」という。)は、その者の所属する指定暴力団等又はその系列上位指定暴力団等(当該指定暴力団等と上方連結(指定暴力団等が他の指定暴力団等の構成団体となり、又は指定暴力団等の代表者等が他の指定暴力団等の暴力団員となっている関係をいう。)をすることにより順次関連している各指定暴力団等をいう。第十二条の三及び第十二条の五において同じ。)の威力を示して次に掲げる行為をしてはならない。
六の二 人(行為者と密接な関係を有する者として国家公安委員会規則で定める者を除く。)から依頼を受け、報酬を得て又は報酬を得る約束をして、金品等を目的とする債務について、債務者に対し、粗野若しくは乱暴な言動を交えて、又は迷惑を覚えさせるような方法で訪問し若しくは電話をかけて、その履行を要求すること(前号に該当するものを除く。)。
十四 人に対し、購入した商品、購入した有価証券に表示される権利若しくは提供を受けた役務に瑕疵がないにもかかわらず瑕疵があるとし、若しくは交通事故その他の事故による損害がないにもかかわらず損害があるとして、若しくはこれらの瑕疵若しくは損害の程度を誇張して、損害賠償その他これに類する名目で金品等の供与を要求し、又は勧誘を受けてした商品若しくは有価証券に係る売買その他の取引において、その価格若しくは商品指数(商品取引所法 (昭和二十五年法律第二百三十九号)第二条第五項 の商品指数をいう。)若しくは金融商品取引法第二条第二十五項 に規定する金融指標(同項第一号 に規定する金融商品の価格を除く。)の上昇若しくは下落により損失を被ったとして、損害賠償その他これに類する名目でみだりに金品等の供与を要求すること。
(暴力的要求行為等に対する措置)
第十一条 公安委員会は、指定暴力団員が暴力的要求行為をしており、その相手方の生活の平穏又は業務の遂行の平穏が害されていると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該暴力的要求行為を中止することを命じ、又は当該暴力的要求行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
2 公安委員会は、指定暴力団員が暴力的要求行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して当該暴力的要求行為と類似の暴力的要求行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、暴力的要求行為が行われることを防止するために必要な事項を命ずることができる。
第十二条 公安委員会は、第十条第一項の規定に違反する行為が行われた場合において、当該行為をした者が更に反復して同項の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、当該行為に係る指定暴力団員又は当該指定暴力団員の所属する指定暴力団等の他の指定暴力団員に対して暴力的要求行為をすることを要求し、依頼し、又は唆すことを防止するために必要な事項を命ずることができる。
2 公安委員会は、第十条第二項の規定に違反する行為が行われており、当該違反する行為に係る暴力的要求行為の相手方の生活の平穏又は業務の遂行の平穏が害されていると認める場合には、当該違反する行為をしている者に対し、当該違反する行為を中止することを命じ、又は当該違反する行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
(準暴力的要求行為の要求等の禁止)
第十二条の三 指定暴力団員は、人に対し、当該指定暴力団員が所属する指定暴力団等又はその系列上位指定暴力団等に係る準暴力的要求行為をすることを要求し、依頼し、又は唆してはならない。
(準暴力的要求行為の要求等に対する措置)
第十二条の四 公安委員会は、指定暴力団員が前条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、同条の規定に違反する行為が行われることを防止するために必要な事項を命ずることができる。
2 公安委員会は、前項の規定による命令をする場合において、前条の要求、依頼又は唆しに係る準暴力的要求行為が行われるおそれがあると認めるときは、当該命令に係る同条の規定に違反する行為の相手方に対し、当該準暴力的要求行為をしてはならない旨の指示をするものとする。
(準暴力的要求行為の禁止)
第十二条の五 次の各号のいずれかに該当する者は、当該各号に定める指定暴力団等又はその系列上位指定暴力団等に係る準暴力的要求行為をしてはならない。
一 第十二条第一項の規定による命令を受けた者であって、当該命令を受けた日から起算して三年を経過しないもの 当該命令において防止しようとした暴力的要求行為の要求、依頼又は唆しの相手方である指定暴力団員の所属する指定暴力団等
二 第十二条第二項の規定による命令を受けた者であって、当該命令を受けた日から起算して三年を経過しないもの 当該命令に係る暴力的要求行為をした指定暴力団員の所属する指定暴力団等
三 次条の規定による命令を受けた者であって、当該命令を受けた日から起算して三年を経過しないもの 当該命令の原因となった準暴力的要求行為においてその者が威力を示した指定暴力団等
四 前条第二項の規定による指示を受けた者であって、当該指示がされた日から起算して三年を経過しないもの 当該指示に係る第十二条の三の規定に違反する行為をした指定暴力団員の所属する指定暴力団等
五 指定暴力団員との間で、その所属する指定暴力団等の威力を示すことが容認されることの対償として金品等を支払うことを合意している者 当該指定暴力団等
2 一の指定暴力団等の威力を示すことを常習とする者で次の各号のいずれかに該当するものは、当該指定暴力団等又はその系列上位指定暴力団等に係る準暴力的要求行為をしてはならない。
一 当該指定暴力団等の指定暴力団員が行った暴力的不法行為等若しくは第八章に規定する罪に当たる違法な行為に共犯として加功し、又は暴力的不法行為等に係る罪のうち譲渡し若しくは譲受け若しくはこれらに類する形態の罪として国家公安委員会規則で定めるものに当たる違法な行為で当該指定暴力団等の指定暴力団員を相手方とするものを行い刑に処せられた者であって、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しないもの
二 当該指定暴力団等の指定暴力団員がその代表者であり若しくはその運営を支配する法人その他の団体の役員若しくは使用人その他の従業者若しくは幹部その他の構成員又は当該指定暴力団等の指定暴力団員の使用人その他の従業者
(準暴力的要求行為に対する措置)
第十二条の六 公安委員会は、前条の規定に違反する準暴力的要求行為が行われており、その相手方の生活の平穏又は業務の遂行の平穏が害されていると認める場合には、当該準暴力的要求行為をしている者に対し、当該準暴力的要求行為を中止することを命じ、又は当該準暴力的要求行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
2 公安委員会は、前条の規定に違反する準暴力的要求行為が行われた場合において、当該準暴力的要求行為をした者が更に反復して当該準暴力的要求行為と類似の準暴力的要求行為をするおそれがあると認めるときは、その者に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、準暴力的要求行為が行われることを防止するために必要な事項を命ずることができる。
3 電凸行為の違法性を協調して非難している団体
電凸行為に限っているわけではありませんが、暴力団による暴力的要求行為や暴力団関係者による準暴力的要求行為に対しては、各地に「暴力追放対策協議会」などの組織が対策と被害保護に努めています。
ありがとうございます。暴力団が関わるケースもあるのですね。
日本の弁護士協会には現在のところ特に動きはなさそうだということですね