大学でジェンダーＣＭについて研究しようと考えているのですが、

ハウス食品企業ＣＭ

　申し訳ないのですが、いつのＣＭか分からないのです…。全部で1分あり、何か特殊な時に使われたＣＭかとも思うのですが、内容はほとんど注文通りかと思います。とりあえず一つだけ。

最近のＣＭは、多分そういった視点にものすごく配慮しているので、なかなか探すのは大変ですね。

たとえば、関西電力・電化ライフのＣＭシリーズなどは、「昔ながらの家庭・性役割イメージ」を追求しつつ、「それを画として登場させない」ことに無茶苦茶気を遣っています。家庭を描きながら、その家庭内の「男性」を一切画面に出さない……。シリーズで出てくる家族は皆女性ばかりです。唯一夫の存在（らしきもの）が伺われるのは、炊事をする小林聡美が画面外に向かって「お買い物行ってきてー」と叫ぶ……それだけにとどめるなど。そのあと画面はガランとした風の吹き抜ける無人のリビングにうつって「幸福な家庭」を暗示しはするのですが…。（毎日のこと：快適性篇）

その他シリーズからいくつか。

毎日のこと：安全性篇

毎日のこと：エコキュート篇

個人的にはそういう「配慮」に逆に焦点をあてるというやり方も有りかなと思います。

少し古めなのと、できれば1分ＣＭではなく、15秒or30秒がいいです＞＜

ですね……

もう少し探してみました。

２５年後のサザエさん

画面の奥の台所で立ち働くのはおそらく舟さん。お茶を運んでくるワカメちゃん。タラちゃんイクラちゃんは座敷に座って、カツオくんは草野球帰りか何か。「家事と仕事か」と言われるとちょっと微妙ですが、男女が出てきて、親族の集まりにおける男女の役割分担が比較的ハッキリ見て取れる最近のＣＭ。

ＮＴＴDoCoMoケータイ家族物語

シリーズ自体は、むしろ定型化しないある家族の物語なのですが、そのうち姉の家庭を描いた３話目は子育てする母親と仕事にふける父親…というイメージで描かれています。

いかがでしょうか。

ゴルファーの丸山さんのは私も見つけられないのですが、下のコメント欄でjo_30さんが紹介されているブログにあるCMの、「あなた、いってらっしゃい」的シチュエーションのですよね。「アリナミンV」の。

この商品のCMは、見つかったのが1分CMで、さほど明示的に役割の固定が出てくるわけではないのですが（働いている男女がたくさん出てくるもので、なおかつ「働く」は「会社勤め」に限らない、という感じです）、「おつかれさまです、アリナミン」のシリーズ：

http://jp.youtube.com/watch?v=WHk0KzKxvCw

http://jp.youtube.com/watch?v=R4GHZQ8vrPg

同じブランドの同時期のCMと思いますが、

男性は仕事中に外回り、ドリンク剤　http://jp.youtube.com/watch?v=FlxedDKHF0k

女性は家で食器洗い、錠剤　http://jp.youtube.com/watch?v=Lo1iNpHjfg8

ただこの例を「役割の固定」の例とするのは、論理の飛躍になりますね。ふたりの関係がわからないので。（夫婦かもしれないし、まったくの他人かもしれない。それを「夫婦」と解釈するのは見ている側の判断でしかありません。）

いずれにせよ、全般的に、「男性がバリバリ働くために女性が支えるような設定」のCMは、今はかなり珍しいと思います。発泡酒（か第三のビール）のCMで、「家庭的な女性」のアイコンをいくつも身につけた若い女性が「待ってるからー！」と画面に向かって呼びかける、というものはありますが、画面の中で男女の役割分担が固定されているわけではないですね。（上に投稿した洗剤のCMでも、画面の中には「いつも僕の為に洗濯をしてくれる妻」は出てこなかったと思うのですが、記憶違いでほんとは出てきているかも。）

個人的には、最近印象に残っているのは、むしろ、「出張だと嘘をついて、東京で働いている子供の様子を見に来た父」の物語のCMで、父親と夜飲みに出かけて「仕事？順調順調」と言うのは息子ではなく娘である、というストーリーのものなど、「男女の枠組が壊れたこと」または「（CMの作り手が）枠組を壊していること」を示すものです。そういった「変化」に注目すると、とてもおもしろい研究になりそうですね。