THEME:「あのやさしい味をもう一度!手作りおやつの思い出&レシピ」を教えて下さい
「街を見渡せば、100通りの家族に100通りの家。家をのぞいてみれば、それぞれの暮らし振りが面白い!」と展開してきた“イエ・ルポ”の続編コーナーです。“イエ・ルポ 2”では、特にマチとイエ、人と家族のドラマやものがたりを語らっていきませんか?毎回のテーマに沿って、あなたのルポをご投稿下さいね!
豊かな暮らしを創っていく〈イエはてな〉のマインドで、みなさまのご参加をお待ちしています!
*回答条件* 下記のページをご覧になってご投稿下さいね!
「Welcome to イエはてな」
http://d.hatena.ne.jp/ie-ha-te-na/20080731
テーマ詳細とルポ例
http://d.hatena.ne.jp/ie-ha-te-na/20090319
プレゼント変更ご案内
http://d.hatena.ne.jp/ie-ha-te-na/20080729
※〈イエはてな〉では、はてなスターを「おすすめメッセージ」として活用しています。ご回答頂く時にもご参考下さい。また投稿期間中はできるだけはてなスターのご利用を控えて頂けますようお願いいたします。
※質問は3月26日(木)正午で終了させて頂きます。
パンは作り方が難しいですね。
ちょっとした工夫やアイデアで色んな形になるからね。
焼き方も色んなものがあるね。
レインボーあんパンとは、弟さん、すごいことを考えましたね。これは本当に買い物の手間も作る手間も大変だと思いますが、それでも子供のアイデアを大切にしてくれるお母様の優しさにほのぼのです。
以前何かで、幸せになりたかったらパンを焼け、自分だけでなくみんなが幸せになれるから、みたいな話を読んだことがありました。まさにMINTさんの家のパン焼きの思い出もそれではないかと思います。
親子でパンを焼く幸せ。親子でできあがったパンを食べる幸せ。そしてお母様直伝のパン焼きを伝授される楽しみ。何もかもがすばらしく、そしてその記憶は子供のころの思い出にとどまらず、今も暮らしの幸せの土台としていきいきと生きているのではないかと思います。
MINTさんのエピソードは、家の幸せの土台を作るおやつ作りと言えますね。こういう考え方がイエはてなから広がっていったら、大げさでなく日本が変わると思います。すばらしいルポを読ませていただきありがとうございました。
母が楽しそうにパン生地を仕込みます。私もそれを見てわくわく。この後は、粘土細工のような楽しいパンの形作りと、そして焼き上がったパンで迎えるおいしいおやつの時間が待っているからです。発酵には時間がかかりますが、その間、私と弟は、いつもの五倍くらいニコニコして過ごしました。もちろん発酵を待っている間は姉弟げんかなんかしません。これから迎える楽しい時間を想像したら、けんかなんかする気が起きるわけありません。
今思うと、母は中種法でパンを作っていましたので、本当は前日からのていねいな準備があったわけですが、子供の私にはそれは知るよしもありませんでした。
私はそわそわしながら、もういいかなぁ、ふくらんだかなぁと聞きます。仕込んで10分くらいから聞き始めますから、いつも答えは、まぁだだよ。かくれんぼみたいです。
やっと一次発酵が終わりそうになると、指に粉を付けてフィンガーテスト。最初のころは母がするのを見ているだけでしたが、そのうち私にもやらせてくれるようになりました。生地の中心をそっと押して、穴の様子で発酵の進み具合を確かめます。「酵母の声を聞くのよ」と母が言います。時にはわざと最適な状態を通り過ぎさせて、これが過発酵よと教えてくれることもありました。
最適な発酵具合になったら、生地を分割して休ませます。その間に、どんなパンを作るか相談です。私はロールパンのようなパンらしいパンが好きなのですが、弟はあんパンを欲しがります。それも、粒あん、こしあん、白あん、うぐいすあん、色んなあんこをレインボー状に仕込んだ特別製です。弟は最初、お絵かきでこのアイデアを考え出しました。それを私が母に見せたら、これはすてきと採用になって、本当にレインボーあんパンが実現したのです。それ以来、弟はこの材料を揃えるだけでも大変な特別あんパンを、いつも欲しがりました。
ベンチタイムが終わったら、私と弟も参加しての形作りです。この時が一番楽しい時間。弟はいつもこの時に凝りすぎます。ガンダムみたいな精密なロボットの顔を作ったりしますが、二次発酵で膨らんで、せっかくの造形は見る影もありません。
弟のガンダムがアンパンマンに変わるころ(笑)、オーブンがいい感じに予熱されています。さぁ焼くわよ。うわぁい!つや出しの卵水を塗ってオーブンへ。しばらくするといい香りが漂ってきて、それは家中に広がります。温かな、幸せの香り。家中がパンの香りに包み込まれると、まるで母に抱かれているような気持ちになってきます。私は椅子に反対向きに座って、背もたれに頬を当てて、うっとりとその幸せを味わいました。弟はパンだパンだとはしゃぎながら踊っていました。
母は今も現役でパンを焼いてくれます。私もパン作りが好きでよく焼きますが、やはり母のパンはどこかが違います。同じ酵母を使っても、食感が違うんです。種の仕込み方、発酵の見極め方、酵母との語らい方が違うのかなぁと思います。今も母のパンは私のパン作りの目標です。