マクロ経済学の所得決定モデルの初等的な質問です。


輸入・輸出を考慮しない所得決定モデルによれば、均衡状態においては所得恒等式が成り立ち、
Y = C + I + G ... (1)
ここで、Y:所得(Yield)、C:消費(Consume)、I:民間投資(Investment)、G:政府支出(Goverment)です。

このとき、T:租税(Tax)を考慮すると、S:貯蓄(Saving)は、所得から消費および租税を除いたものだから、
S = Y - C - T ... (2)
(1),(2)より、
S = Y - C - T = I + G - T ... (3)
(3)より、
S + T = I + G ... (4)

となり、投資-貯蓄恒等式が成立する(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E6%89%80%E5%BE%97) とのことですが、この論理展開に納得ができないのです。

具体的には、(2)の『貯蓄は、所得から消費および租税を除いたもの』というところです。

私の直感的感覚からすると、貯蓄は『すべての収入からすべての支出(消費,民間投資,政府支出,租税)』を除いたときの余りに思えます。

すると、
S = Y - C - T - I - Gになるのではないでしょうか。

私の考えは初学者にありがちな明らかな間違いだと思うのですが、どなたか説明していただけませんでしょうか。

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  • 終了:2009/05/16 05:38:52
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ベストアンサー

id:mare_caldo No.2

回答回数205ベストアンサー獲得回数53

ポイント100pt

うまく説明できる自信がないので、本来はコメントに書きたかったのですが、閉じられているのでこちらで。なので、ポイントは結構です。


一つ目の説明は、先の回答の繰り返しになってしまいますが、すべての支出と言ったときに、租税と政府支出の両方を入れてしまうと同じお金の流れを2回数えてしまうということです。この場合、政府という存在はそれ自体は所得を生まない一時的にお金をプールする仮のものと考えていることになります。宴会のときに参加者から会費を徴収し、お店に支出する幹事のような存在ですね。この例で、参加者の貯蓄を考えたとき、所得から会費を引きさらに幹事がお店に払った支出も引くと同じお金を2回引いてしまうことになります。なので、会費の方だけ引く、というのが、(2)式でGは引かない理由だと思います。


もう一つは、貯蓄と言ったときに、貯蓄を行う主体は、政府以外の経済主体だけで、政府は貯蓄を行わない、ということです。政府以外の経済主体(民間)が生産した付加価値の総額が所得であり、彼らの視点から見たときの支出とは消費と租税しかない、ということだと思います。


仮に、政府も貯蓄の主体と考えるのであれば、(2)式に政府の行った貯蓄を加えてやる必要があります。政府が税を徴収するものの支出をゼロにしたならば、お金が国や銀行の金庫に眠ることになりますから、政府の行った貯蓄とは T - G になり、これを(2)式に加えると、結局(2)式は、

S = ( Y - C - T ) + ( T - G ) = Y - C - G

となります。これをもとに、(3)式を導くと結局 S = I となり、民間貯蓄と政府貯蓄の合計は投資に等しいということを表しています。


これは、結局政府は貯蓄を行わないと考えたときの(4)式と同じことを言っています。すなわち、

S + T = I + G で、I を左辺に移項すれば

S + ( T - G ) = I

この式の意味するところは、民間貯蓄と政府の余剰金の合計は投資に等しいということに他なりません。つまり、「貯蓄」という言葉の定義として、政府の余剰金は貯蓄とは呼ばないことにしたので、政府の支出は支出とは考えないということだと思います。

id:nao_38

これは貯蓄という語の定義を明示した上で、貯蓄の視点から(4)式を捉えた見事な説明ですね。

疑問がすっきり解消しました。

2009/05/16 05:37:27

その他の回答1件)

id:mare_caldo No.1

回答回数205ベストアンサー獲得回数53

政府の役割について考えると、国民から租税を徴収し公共サービスを提供することにあります。政府の財政が均衡している、つまり、支出額だけ租税を徴収している単純なケースを想定すると分かりやすいと思います。その場合には、T=Gが成り立ちます。そして、TとGは、同じコインの裏表です。政府から見れば、Tはプラスの収入でGはマイナスの支出です。ですから、S = Y - C - T - I - Gでは、同一のフローを2回カウントしてしまうことになります。


次に、現在の日本や他の多くの国のように、T<Gであるケースを考えると、資金の裏付けのないGの超過分を支えているのは、国債に他なりません。一国の閉じた経済を考えているわけですから、その国債を買っているのは国民であり、国民が買った国債はすなわち貯蓄ということになります。S + T = I + G の式で、Tが少なくなれば、Sがその分増えるというわけです。</p>

ダミーurl http://q.hatena.ne.jp/1242292957

id:nao_38

なるほど、政府収支の立場に立って、租税(T)の政府支出(G)への充当に立脚した説明は、(4)式の意味をよく説明できていますね。

この説明だけでも(4)式は理解できるのですが、貯蓄(S)の視点から(4)式を説明するやり方があれば、それもお聞かせ願いたいです。

また、

>私の直感的感覚からすると、貯蓄は『すべての収入からすべての支出(消費,民間投資,政府支出,租税)』を除いたときの余りに思えます。

この直感が誤りであることを、"直感的に"説明していただければ、より助かります。

2009/05/14 21:54:18
id:mare_caldo No.2

回答回数205ベストアンサー獲得回数53ここでベストアンサー

ポイント100pt

うまく説明できる自信がないので、本来はコメントに書きたかったのですが、閉じられているのでこちらで。なので、ポイントは結構です。


一つ目の説明は、先の回答の繰り返しになってしまいますが、すべての支出と言ったときに、租税と政府支出の両方を入れてしまうと同じお金の流れを2回数えてしまうということです。この場合、政府という存在はそれ自体は所得を生まない一時的にお金をプールする仮のものと考えていることになります。宴会のときに参加者から会費を徴収し、お店に支出する幹事のような存在ですね。この例で、参加者の貯蓄を考えたとき、所得から会費を引きさらに幹事がお店に払った支出も引くと同じお金を2回引いてしまうことになります。なので、会費の方だけ引く、というのが、(2)式でGは引かない理由だと思います。


もう一つは、貯蓄と言ったときに、貯蓄を行う主体は、政府以外の経済主体だけで、政府は貯蓄を行わない、ということです。政府以外の経済主体(民間)が生産した付加価値の総額が所得であり、彼らの視点から見たときの支出とは消費と租税しかない、ということだと思います。


仮に、政府も貯蓄の主体と考えるのであれば、(2)式に政府の行った貯蓄を加えてやる必要があります。政府が税を徴収するものの支出をゼロにしたならば、お金が国や銀行の金庫に眠ることになりますから、政府の行った貯蓄とは T - G になり、これを(2)式に加えると、結局(2)式は、

S = ( Y - C - T ) + ( T - G ) = Y - C - G

となります。これをもとに、(3)式を導くと結局 S = I となり、民間貯蓄と政府貯蓄の合計は投資に等しいということを表しています。


これは、結局政府は貯蓄を行わないと考えたときの(4)式と同じことを言っています。すなわち、

S + T = I + G で、I を左辺に移項すれば

S + ( T - G ) = I

この式の意味するところは、民間貯蓄と政府の余剰金の合計は投資に等しいということに他なりません。つまり、「貯蓄」という言葉の定義として、政府の余剰金は貯蓄とは呼ばないことにしたので、政府の支出は支出とは考えないということだと思います。

id:nao_38

これは貯蓄という語の定義を明示した上で、貯蓄の視点から(4)式を捉えた見事な説明ですね。

疑問がすっきり解消しました。

2009/05/16 05:37:27

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