以前のいわしで、都会で最も大切な雨水の利用は地下に浸透させることである、貯めて利用するのもいいが、そりよりアスファルトの下で死んでしまった土を蘇らせることが大切だ、水が通っていくことで土に酸素が呼び込まれる、ぜひ雨水浸透桝などの導入を考えてみようという趣旨の書き込みを読みました。
http://q.hatena.ne.jp/1212554541/167728/#i167979
また天からの授かり物である雨水は正当な行き先である土にお返しするのが理想であり、使った後が下水行きになる使い方では本当に雨水を生かし切っているとは言えない、という趣旨の書き込みにも大変共感を覚えました。
http://q.hatena.ne.jp/1240376182/215346/#i215346
そこで、雨水利用の形態の一つであり、雨水を溜めて利用する設備と同様に自治体の補助の対象にもなる「雨水浸透升」を実験してみることにしました。ただし今回は簡易な実験ですから、自治体から補助金がもらえる設備にはなれません(笑)。
なお、雨水浸透升は地盤に影響を与えないか、地中に水が染み込んだら地盤が弱くならないかという心配をする人がいるかと思いますが、浸透升に集められる水量はその土地に建物がなければ自然に土に染み込んでいた量を限度としますから、一般的には問題にはならないと思われます。
ただし、
・急傾斜地崩壊危険区域(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律)
・地すべり防止区域(地すべり等防止法)
・その他条例などで禁止されている区域
等には法令上設置できません。
設置位置は、
・浸透機能が効果的に発揮できる場所
・建物や地下埋設物に影響がない場所
・地下水位より高い場所
であることが必要です。実際には庭の隅などに敷設し、パイプやU字側溝などを通じて雨樋からの水を導いてやるのが良さそうです。
それでは今回の試験施工の概要を書いていきます。構造はこんな感じです。
浸透升の代用品には、欠けてしまった廃物のポリバケツ(プラスチックのペール缶)に穴を開けて使いました。ただしこれはそのうち確実に風化と土の圧力で崩壊します。あくまで実験用の一時的代用品ですから、そのうちしっかりとしたコンクリート製などに取り替えます。
透水シートは、土砂が砂利層に侵入して目詰まりを起こすことを防止する物です。透水シートには織布製と不織布製がありますが、浸透升の用途には不織布製が向いています。織布は織りに方向性があるので、特定の方向に弱く、砕石投入時に編み目が切れたりしがちです。不織布は繊維配列に方向性が無いので全方向に均一な強度があり、また目詰まりにも強いように思われます。厚さは5mmくらいのしっかりした物が使えれば理想的ですが、価格が高いので、今回はポリエステル不織布製の厚さ2mmの物を使ってみました。幅1m強の製品で、単価は1mあたり400円くらいでした。
砂利は砕石4号と書かれて売られていた20mm~30mmくらいの粒の砕石を使いました。
砂は細かい粒子のない粗い物を使いました。砂場の砂に比べると、砂というより小砂利と言った感じです。たとえて言うなら水槽の底に敷く小砂利くらいの粒の物です。
浸透升のフタは、超間に合わせの庭用シンクです。たまたま使っていないのがあったので、それを乗せてフタにしました。さらにこの上に水瓶を乗せると、水瓶に貯まった水は植木の水やりに、瓶からオーバーフローした分が浸透升を通じて地下にという二段構えの雨水利用も可能になります。
施工は、まず穴掘りから始めます。浸透升より半径10cm以上、深さ15cm以上大きな穴を掘ります。穴はまだ底を圧し固めたりせず、掘ったままにしておきます。
穴が掘れたら内側を透水シートで覆います。シートの継ぎ目には十分な重なりを取ります。20cmくらいは重ねることが大切です。でないとあとで継ぎ目から土が侵入してしまいます。ずれて張りにくかったらクギなどで仮止めしながら張っていって構わないようです。そのくらいの穴は大丈夫なようで、プロの人もそうやって施工していました。シート上部、つまり土の上に出る部分には十分な余裕を持たせておく必要があります。なぜなら最後に穴の上部を完全に覆う必要があるからです。
うまく穴の内部にシートが張れたら、底に5cmの厚さに砂(小砂利)を入れます。細かい粒子が混じっていると目詰まりを起こしますので、念のためフルイを使いながら水洗いした物を使ってみました。床付け(穴の底を平らに固めること)はここで始めて行いますが、極端に圧力をかけすぎないよう適度に行います。
続いて同じく念のため水洗いして細かい粒子を取り除いた砕石4号を10cmの厚さに敷き、同じく適度に転圧して底を整え、浸透升を乗せます。本物の浸透升の場合は、まず底板のような物を置き、その上に枡本体を乗せる構造のようです。
浸透升をしっかり置いたら、周りに砕石を詰めます。太さのある棒などで表面を突いて、後で沈下や不陸を起こさないようにします。
砕石を入れ終わったら上部を透水シートでしっかり覆い、枡に沿って巾着の口のようにキュッと閉じて、埋め戻す土砂が流入しないようにします。その上を土で埋め戻し、フタ代わりの石材調シンクを乗せて、これで実験用簡易浸透升が出来上がりました。
実験的に水を流してみましたが、なかなかよく吸い込みます。うちの庭は水はけが悪くちょっと困っていたのですが、こんなふうに水はけを考えてきちんと施工すればちゃんと吸い込むんですね。普通の雨くらいならオーバーフローすることはありません。浸透升は小さな物を複数設置することで、簡単にたくさんの雨水を処理することができます。最近は家の周りに付く雨樋全てに標準で浸透升が付いている家もあるようです。
今回は実験的に自作してみましたが、雨水浸透升の設置にあたっては、多くの自治体で補助金を出してくれるようです。補助金によって設置する場合は指定業者が施工することになると思いますので、設置位置の選定から施工の全てに渡って、全てプロにお任せできます。皆さんもぜひ雨水浸透升を計画してみてください。
自分の敷地に降った雨が大地を潤し、いつかどこかで湧水となるかもしれないと考えると、とても夢がありますね。雨水を返して土を生き返らせるイエ。隠れた自然保護に貢献するイエ。これでまたひとつ、イエが大好きになりました。
以前のいわしで、都会で最も大切な雨水の利用は地下に浸透させることである、貯めて利用するのもいいが、そりよりアスファルトの下で死んでしまった土を蘇らせることが大切だ、水が通っていくことで土に酸素が呼び込まれる、ぜひ雨水浸透桝などの導入を考えてみようという趣旨の書き込みを読みました。
http://q.hatena.ne.jp/1212554541/167728/#i167979
また天からの授かり物である雨水は正当な行き先である土にお返しするのが理想であり、使った後が下水行きになる使い方では本当に雨水を生かし切っているとは言えない、という趣旨の書き込みにも大変共感を覚えました。
http://q.hatena.ne.jp/1240376182/215346/#i215346
そこで、雨水利用の形態の一つであり、雨水を溜めて利用する設備と同様に自治体の補助の対象にもなる「雨水浸透升」を実験してみることにしました。ただし今回は簡易な実験ですから、自治体から補助金がもらえる設備にはなれません(笑)。
なお、雨水浸透升は地盤に影響を与えないか、地中に水が染み込んだら地盤が弱くならないかという心配をする人がいるかと思いますが、浸透升に集められる水量はその土地に建物がなければ自然に土に染み込んでいた量を限度としますから、一般的には問題にはならないと思われます。
ただし、
・急傾斜地崩壊危険区域(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律)
・地すべり防止区域(地すべり等防止法)
・その他条例などで禁止されている区域
等には法令上設置できません。
設置位置は、
・浸透機能が効果的に発揮できる場所
・建物や地下埋設物に影響がない場所
・地下水位より高い場所
であることが必要です。実際には庭の隅などに敷設し、パイプやU字側溝などを通じて雨樋からの水を導いてやるのが良さそうです。
それでは今回の試験施工の概要を書いていきます。構造はこんな感じです。
浸透升の代用品には、欠けてしまった廃物のポリバケツ(プラスチックのペール缶)に穴を開けて使いました。ただしこれはそのうち確実に風化と土の圧力で崩壊します。あくまで実験用の一時的代用品ですから、そのうちしっかりとしたコンクリート製などに取り替えます。
透水シートは、土砂が砂利層に侵入して目詰まりを起こすことを防止する物です。透水シートには織布製と不織布製がありますが、浸透升の用途には不織布製が向いています。織布は織りに方向性があるので、特定の方向に弱く、砕石投入時に編み目が切れたりしがちです。不織布は繊維配列に方向性が無いので全方向に均一な強度があり、また目詰まりにも強いように思われます。厚さは5mmくらいのしっかりした物が使えれば理想的ですが、価格が高いので、今回はポリエステル不織布製の厚さ2mmの物を使ってみました。幅1m強の製品で、単価は1mあたり400円くらいでした。
砂利は砕石4号と書かれて売られていた20mm~30mmくらいの粒の砕石を使いました。
砂は細かい粒子のない粗い物を使いました。砂場の砂に比べると、砂というより小砂利と言った感じです。たとえて言うなら水槽の底に敷く小砂利くらいの粒の物です。
浸透升のフタは、超間に合わせの庭用シンクです。たまたま使っていないのがあったので、それを乗せてフタにしました。さらにこの上に水瓶を乗せると、水瓶に貯まった水は植木の水やりに、瓶からオーバーフローした分が浸透升を通じて地下にという二段構えの雨水利用も可能になります。
施工は、まず穴掘りから始めます。浸透升より半径10cm以上、深さ15cm以上大きな穴を掘ります。穴はまだ底を圧し固めたりせず、掘ったままにしておきます。
穴が掘れたら内側を透水シートで覆います。シートの継ぎ目には十分な重なりを取ります。20cmくらいは重ねることが大切です。でないとあとで継ぎ目から土が侵入してしまいます。ずれて張りにくかったらクギなどで仮止めしながら張っていって構わないようです。そのくらいの穴は大丈夫なようで、プロの人もそうやって施工していました。シート上部、つまり土の上に出る部分には十分な余裕を持たせておく必要があります。なぜなら最後に穴の上部を完全に覆う必要があるからです。
うまく穴の内部にシートが張れたら、底に5cmの厚さに砂(小砂利)を入れます。細かい粒子が混じっていると目詰まりを起こしますので、念のためフルイを使いながら水洗いした物を使ってみました。床付け(穴の底を平らに固めること)はここで始めて行いますが、極端に圧力をかけすぎないよう適度に行います。
続いて同じく念のため水洗いして細かい粒子を取り除いた砕石4号を10cmの厚さに敷き、同じく適度に転圧して底を整え、浸透升を乗せます。本物の浸透升の場合は、まず底板のような物を置き、その上に枡本体を乗せる構造のようです。
浸透升をしっかり置いたら、周りに砕石を詰めます。太さのある棒などで表面を突いて、後で沈下や不陸を起こさないようにします。
砕石を入れ終わったら上部を透水シートでしっかり覆い、枡に沿って巾着の口のようにキュッと閉じて、埋め戻す土砂が流入しないようにします。その上を土で埋め戻し、フタ代わりの石材調シンクを乗せて、これで実験用簡易浸透升が出来上がりました。
実験的に水を流してみましたが、なかなかよく吸い込みます。うちの庭は水はけが悪くちょっと困っていたのですが、こんなふうに水はけを考えてきちんと施工すればちゃんと吸い込むんですね。普通の雨くらいならオーバーフローすることはありません。浸透升は小さな物を複数設置することで、簡単にたくさんの雨水を処理することができます。最近は家の周りに付く雨樋全てに標準で浸透升が付いている家もあるようです。
今回は実験的に自作してみましたが、雨水浸透升の設置にあたっては、多くの自治体で補助金を出してくれるようです。補助金によって設置する場合は指定業者が施工することになると思いますので、設置位置の選定から施工の全てに渡って、全てプロにお任せできます。皆さんもぜひ雨水浸透升を計画してみてください。
自分の敷地に降った雨が大地を潤し、いつかどこかで湧水となるかもしれないと考えると、とても夢がありますね。雨水を返して土を生き返らせるイエ。隠れた自然保護に貢献するイエ。これでまたひとつ、イエが大好きになりました。