作戦・戦略・戦術の緻密な分析・描写に引き込まれました。
いろいろな作戦家・指揮官の考えや行動、精神力の強さ、弱さによって左右される
勝利や悲劇のドラマに、いろいろ考えさせられます。
このように単なる戦闘ではなくて、作戦・戦略・戦術の巧みさを交えた人間ドラマを
描いた小説が他にあったら紹介してください。
舞台は古今東西を問いませんが、フィクションではなく史実に基づいたものに限ります。
よろしくお願いします。
史実をできるかぎりなぞった歴史小説でかつ読んで面白いというと、まず思い浮かんだのが塩野七生の地中海戦記三部作。『ローマ人の物語』が未読ならばまずはこちらから1冊ずつ入っても良いかと。
いずれも中世に行われたキリスト教世界とイスラム世界の戦いを元にしています。もっともそれぞれの世界も一枚岩となって戦いに取り組んだわけではなく、キリスト教世界ではカトリックと正教の違い、経済的な摩擦など各国の思惑が書かれ、イスラム側でも権力が集中している中での主導権争いなど、単純な宗教戦争だけでなく周辺国の動きも細かく書かれて実にダイナミックです。それでいて戦闘は片方に偏ることなく公平に書かれていると思いますね。
こちらにも紹介がありますのでご参考までに。
http://merinopanda.blog34.fc2.com/blog-entry-19.html
もう一つヨーロッパものでは佐藤賢一の『英仏百年戦争』。小説ではなく解説書と銘打ってありますが、歴史小説のノリで読みやすくかつ英仏関係の歴史が理解できるので紹介します。
かつて百年戦争と言えば、英仏がだらだらと戦争と講和を繰り返していたというイメージを持っていましたが、見事にぶち壊してくれました。
私のレビューがありますので良かったらそちらも合わせてご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20080418/1208524764
その後にフランスの将軍ベルトラン・デュ・ゲクランを主人公にエドワード黒太子らとの熾烈な英仏間の戦争(シャルル5世の戦略も含めて)を描く『双頭の鷲』を読んでみるのもいいでしょうね。
戦乱時代の各国の戦略や人間ドラマを読むならば中国の春秋戦国時代も見所ありますね。ということで宮城谷昌光。
名著はいくつもありますが、もし初挑戦であれば、私の読んだ中では『青雲はるかに』あたりが長さとしてもちょうどいいしお薦めですね。主人公は范雎(はんしょ)。のちに戦国を統一する秦に仕え宰相となって「遠交近攻の策」を授ける人です。そこにいくまで紆余曲折があるわけですが。
紹介ページ↓
http://www1.ocn.ne.jp/~matsuo3/books/seiun.htm
もう少し時代を遡って、北の晋と南の楚の大国の争い、それに振り回される小国などを描いた春秋後期であれば『沙中の回廊』や『子産』、『晏子』あたりですね。
司馬遼太郎さんの文体が好きなのであれば、戦国物で、「関ヶ原」(石田三成・徳川家康)、「国盗り物語」(斉藤道三・織田信長)なんてどうでしょう。
特に関ヶ原は細かく戦況を描写しているので面白かったです。国取り物語は戦略より政略ですかね。
明治以後の作品だと坂の上の雲以外に目立ったものは無かったような・・・。司馬遼太郎さんの作品は戦国〜幕末が多いですからね。
ただ、司馬遼太郎さんの作品は史実に基づいてはいるものの、多分に「小説」ですので注意して下さい。創作が非常に多いので。
ありがとうございます。
司馬遼太郎は大好きなのですが、幕末から明治にかけての作品しか読んだことありませんでした。
「関ヶ原」と「国盗り物語」、読んでみます。
> ただ、司馬遼太郎さんの作品は史実に基づいてはいるものの、
> 多分に「小説」ですので注意して下さい。創作が非常に多いので。
ですね。
うっかりすると、安易に史実と思いこんでしまいそうになります。。。
今更感はあるかもしれませんが、塩野七生さんの「ローマ人の物語」は史実に基づいたものですが、作戦・戦術・人生と様々なことに感動して読み進めることができます。(といっても、長いものなので、私はまだユリウス・カエサルの巻ですが)
司馬さんの文体もいいと思いますが、塩野さんの緻密でかつ冷静な筆致もなかなかいいと思います。
あまり学校で世界史をちゃんと勉強しなかったせいかもしれませんが、2000年以上前の人間のドラマがこんなに面白いと思うのは意外でした。(今読んでいるカエサルの苦悩など現代に通じるものがあるのですが、これと同時期の日本人については、何一つ記録がのこっていないことを考えると長いと言われる日本の歴史の短さを痛感させられます)
いわゆる戦争の描写も、地図や戦闘時の両軍の配置図などを使ってとてもエキサイティングだと思います。
ありがとうございます。
「ローマ人の物語」はノーマークでした。
ググってみたら、34巻もあるんですね。
手を出すのは勇気がいりますが、興味をそそられたので、いつか読んでみたいと思います。
項羽と劉邦 司馬遼太郎
はどうでしょうか?
三国志よりは、史実に基づいてると感じましたが。
何しろ歴史小説ですので、記録のない期間の描写やある程度推察による進められ方はどの小説でもしていると思います。
ありがとうございます。
項羽と劉邦は遠い遠い昔に読んだことがあるのですが、戦略的なおもしろさは感じなかったような気がします。
むしろ読んだことのない三国志の方に期待していたところがあるのですが。。。
ありがとうございます。
これはおもしろそうですね。
すごく興味がひかれます。
史実をできるかぎりなぞった歴史小説でかつ読んで面白いというと、まず思い浮かんだのが塩野七生の地中海戦記三部作。『ローマ人の物語』が未読ならばまずはこちらから1冊ずつ入っても良いかと。
いずれも中世に行われたキリスト教世界とイスラム世界の戦いを元にしています。もっともそれぞれの世界も一枚岩となって戦いに取り組んだわけではなく、キリスト教世界ではカトリックと正教の違い、経済的な摩擦など各国の思惑が書かれ、イスラム側でも権力が集中している中での主導権争いなど、単純な宗教戦争だけでなく周辺国の動きも細かく書かれて実にダイナミックです。それでいて戦闘は片方に偏ることなく公平に書かれていると思いますね。
こちらにも紹介がありますのでご参考までに。
http://merinopanda.blog34.fc2.com/blog-entry-19.html
もう一つヨーロッパものでは佐藤賢一の『英仏百年戦争』。小説ではなく解説書と銘打ってありますが、歴史小説のノリで読みやすくかつ英仏関係の歴史が理解できるので紹介します。
かつて百年戦争と言えば、英仏がだらだらと戦争と講和を繰り返していたというイメージを持っていましたが、見事にぶち壊してくれました。
私のレビューがありますので良かったらそちらも合わせてご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20080418/1208524764
その後にフランスの将軍ベルトラン・デュ・ゲクランを主人公にエドワード黒太子らとの熾烈な英仏間の戦争(シャルル5世の戦略も含めて)を描く『双頭の鷲』を読んでみるのもいいでしょうね。
戦乱時代の各国の戦略や人間ドラマを読むならば中国の春秋戦国時代も見所ありますね。ということで宮城谷昌光。
名著はいくつもありますが、もし初挑戦であれば、私の読んだ中では『青雲はるかに』あたりが長さとしてもちょうどいいしお薦めですね。主人公は范雎(はんしょ)。のちに戦国を統一する秦に仕え宰相となって「遠交近攻の策」を授ける人です。そこにいくまで紆余曲折があるわけですが。
紹介ページ↓
http://www1.ocn.ne.jp/~matsuo3/books/seiun.htm
もう少し時代を遡って、北の晋と南の楚の大国の争い、それに振り回される小国などを描いた春秋後期であれば『沙中の回廊』や『子産』、『晏子』あたりですね。
いろいろ紹介ありがとうございます。
他の人にも紹介してもらった、塩野七生さんはやっぱりお勧めなんですね。
地中海戦記三部作は、テーマ的に非常に興味深いです。
史実だったら『隋唐演義』
悲劇だったら『岳飛伝』
物語性だったら『奔流』
短編だったら『黒龍譚異聞』の中の『黒道凶日の女』
全部田中芳樹さんです。
銀河英雄伝説だけではありません。特に『隋唐演義』は訳書ですから史実に近いと思います。
田中芳樹さんがそんな作品を書いておられたとは知りませんでした。
友だちが昔銀河英雄伝説にむちゃくちゃはまってたので興味はあったのですが、
今まで読む機会がありませんでした。
歴史ものから入るのもいいかもしれませんね。
ありがとうございます。
タイトルだけではどんな物語かわからないなーと思いましたが、
アマゾンのレビューを見るとかなり評価の高い作品なのですね。
吉村昭先生の著作はいかがでしょう?
『海の史劇』(日露戦争・日本海海戦)を特にお勧めしたいと思います。『空白の戦記』や『殉国』も面白いのですが、戦術等はこれが一番出てるかなぁ、と。
小説でなくても言いという事であれば、『失敗の本質』などが面白い本ではあるのですが……。
ありがとうございます。
坂の上の雲で、日露戦争の日本海海戦に魅了されているので、
別の作家による名作があればぜひ読んでみたいと思っていました。
空白の戦記、殉国も読んでみたいと思います。
いろいろ紹介ありがとうございます。
他の人にも紹介してもらった、塩野七生さんはやっぱりお勧めなんですね。
地中海戦記三部作は、テーマ的に非常に興味深いです。