【謎解き・ミューザック小説・Nの暴走】


F吉がプリントアウトを手にやってきた。

F吉「僕もミューザック小説を書いたんだ。どう?」
B美「楽しみね」
B美はプリントアウトを受け取ると読み始めた。

(※注 小説本体は下のコメント欄。ミューザック小説のルール説明はhttp://q.hatena.ne.jp/1178303651)

F吉「いつもどおり、この話の元ネタを推定して、続きを書いてくれないか?」

(締切は10月29日の夜。回答はブックマークやコメント欄ではなく回答欄にお願いします)

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  • 登録:2009/11/23 16:03:15
  • 終了:2009/11/29 17:39:56

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id:sheile No.3

Sheile回答回数45ベストアンサー獲得回数162009/11/25 00:36:32

ポイント300pt

俺はNと握手をして別れた。


それから7日後、国会をある法案が通過したとの報道を耳にした。

それは「児童ポルノ禁止法」


当初から適用範囲が不明確であると論議を呼んできた法案ではあったが、衆議院を通過した後の流れは早かった。

2月17日に法案が可決された後、わずか40日で適用範囲は文章や絵にまで広がり、

キャラクターの出てこない電子工作や鉄道模型の同人誌すらも「この曲線が少女に見える」という理不尽な批判に晒された。

これをうけて、同人サークルという同人サークルは、軒並み新刊・既刊の頒布を中止。

法案可決から150日後の7月17日には、市場や個人宅にあった同人誌もすべて焚書となり、消えうせた。


問題提起がぽつぽつと出始め、多少は落ち着いた頃、11月の中旬ぐらいだっただろうか。

どこからともなく一冊の同人誌が出現した。

この同人誌は様々なうわさとともにファンの間を転々としたが、結局自分の手元においておく勇気のあるものはおらず、

海外へと消えていった。うわさではX国から航空便で届いたとのことだった。


その7日後、前回と同じ同人誌がまた出現した。

俺は興味をそそられ、古いアメコミなら大丈夫だろうと、ポパイとオリーブ、ほうれん草の絵を添えて送り返してみた。


そのまた7日後、同じことが起こった。

しかし、この数週間の間に問題提起が広がり、法律の見直しが行われるという報道があった為か、

今回はX国へ送り返されること無く、国内の誰かが同人誌を受け入れたようだった。


問題提起はさらに広がり、それに応じて言論弾圧とも評された法の運用は安定を取り戻し、同人誌の焚書の流れもようやく落ち着いた。


年が明けた2月17日。例の法案が可決されてからちょうど一年後に、コミックマーケット「We Love 虹元」が開催された。

これは政治家も参加し、「今後は言論弾圧を行わない。どんどん同人誌を作ってくれ」と明言するイベントとなった。


俺はその会場でNと1年ぶりに再会した。

俺「久しぶりだな!この1年、ひどい目にあったよ。君は同人誌を集めていたが、この展開がわかっていたのかい?」

N「言わずにすまなかったな。政治家と懇意になっていた為に事前に教えてもらったんだ。

  彼らも全ての文化をなくすのは問題と思ったらしく、同人誌の避難を要求されたというわけさ」

俺「なんともはや、まるでノアの方舟のような話だな」


・・・というわけで、旧約聖書『創世記』の「ノアの方舟」が元ネタですね。

聖書等はまったく読んだことが無かったので、以下のサイトなどを参考に。

創世記(口語訳) - Wikisource


# コミケには自主制作ゲームでサークル参加しているので、漫画・アニメ系以外の分野が多々あることは知っていますが、

# 時事ネタに組み合わせたので、ちょっと偏った内容になりました。


以下、(こじつけも含む)関連性など。

・友人N → 「ノア」の頭文字

・多種多様な同人誌 → 多種多様な動物

・2冊ずつ → 動物の雄と雌 [創世記 6:19], [創世記 6:20], [創世記 7:2]

・一部は7冊ずつ → 清い獣、空の鳥は七匹ずつ [創世記 7:2], [創世記 7:3]

・1冊は分解してスキャン → 複製 → 繁殖

・船で輸送

・人間は家族だけが移住



Nが俺をX国に誘う所で閃き。「聖☆おにいさん」のおかげだろうか。

内容が面白かったので、WikiSourceとにらめっこしつつ長文をこじつけて書いてみましたー。

id:lionfan

sheile様、ありがとうございます。

解答編でさえ拾っていない、オリーブの鳩の話などまで拾っていただき恐縮です。

また原典との関連も、これで完全です。「清い獣、空の鳥は七匹ずつ」などおみごとでした。

いるかはsheile様に差し上げたいと思います。

2009/11/29 17:39:02

その他の回答(2件)

id:SALINGER No.1

SALINGER回答回数3454ベストアンサー獲得回数9692009/11/23 21:42:34

ポイント200pt

時は遡る。Nの友人で弁護士仲間でもある男からある情報を知らされる。

男は外国人の人権問題などに取り組んでる弁護士だった。

男の話では、在日朝鮮人の間で彼らの祖国が日本に対して宣戦布告するというとんでもない噂が流れているというのだ。

Nはそんな馬鹿なと一笑にふした。

それでも時間が経つにつれNはそのことが気になり、もしも日本が焼け野原になったらどうしようと考えた。

周りの人にそんな噂を言って回っても誰も信じてくれないだろう、それでも最低家族の安全は守らなくてはならない。

そしてある思いが浮かんだ「日本の最高の文化、同人誌を守らねば!」

高校以来その世界とは縁を切っていたが、Nの中には同人誌愛の思いは消えてなかったのだ。

焼け野原になる前に、同人誌を海外に持ち出せば同人誌は守れる。

その為に現役オタクである友人に協力してもらおう。


その後の俺の話。

俺は最後にNが言った言葉を思い起こしていた。「X国に来なくても、できれば日本を離れたほうがいい」

その言葉に従ったわけではなかったが、まもなく海外勤務の辞令があり日本を離れることとなった。

そしてあの日、突然日本は北朝鮮の核ミサイルによって滅んだ。

たまたま海外にいた自分はその難を逃れて生きることができ、久しぶりにNと再開することができた。

俺「君のおかげで日本の文化である同人誌は生き残ったよ。それ以外の物は全て失ったが・・・」


ノアの箱舟です。

Nはノアでしょうか。同人誌は動物であり、2冊はつがい。

ミューザック小説3回連続一番乗りですが、今回はあんまり自信ないかな。

id:lionfan

SALINGER様、いつもありがとうございます。

元ネタはばっちり合ってます!! 短時間であっさり正解。すごいですね。

2009/11/29 17:32:42
id:chaxkin No.2

眼鏡回答回数37ベストアンサー獲得回数42009/11/24 14:56:07

ポイント200pt

「ったくNのやつ、いったい何を考えてるんだか。

ま、あいつのことだからきっと信念があってやっていることなんだろうな。

そんなことより冬コミに向けて準備準備!

今回はNのバイトで手に入れた潤沢な資金があるから、片っ端から買いあされますぞーwww」

 

 

M-1グランプリも終わり、クリスマスも過ぎ去って街が新年に向けての準備に動き始めたころ、俺は信じられないようなものをYahoo!ニュースで目にした。

 

『コミケ終了のお知らせ』

 

「「「な、なんだってー!!!1」」」

 

日本、いや、世界のオタクたちが叫んだ。

 

続きを読むと、詳細はこうだった。

 

「アニメの殿堂建設や、ローゼン麻生の名で親しまれ、オタクに理解のあった麻生元首相の自眠党が総選挙で大敗し、代わって政権を握った民酒党が、アニメやコミックに傾倒する若者を諸悪の根源とし、いわゆる『オタク狩り』を断行。

コミケ終了やテレビアニメの放送中止、さらには若者の住居に一軒ずつ周りすべての同人誌を焼却処分、などが年内をめどに急ピッチで進められている」

 

「コ・・・コミケがあぼーんした・・・。もうだめぽ」

 

 

一方そのころX国のNは、一人ほくそえんでいた。

「やはり動き出したな民酒党!俺の読みは間違っていなかった。大枚はたいて準備しといて本当によかったぜ。

あいつが選んでくれた優良同人誌を、一冊は無料で貸出可能な図書館用に、もう一冊はスキャンしネットで世界のオタクたちに無料で解放するという、この『超新アニメの殿堂』計画、すべてうまくいきそうだ。

ここX国で、俺はオタクたちの新世界のネ申になる!」

 

 

以上です。

 

元の物語は「ノアの箱舟」ではないかと。

id:lionfan

chaxkin様、ありがとうございます。もちろんこれで正解です。

時事ネタを取り入れてくれたのがうれしいです。

2009/11/29 17:34:40
id:sheile No.3

Sheile回答回数45ベストアンサー獲得回数162009/11/25 00:36:32ここでベストアンサー

ポイント300pt

俺はNと握手をして別れた。


それから7日後、国会をある法案が通過したとの報道を耳にした。

それは「児童ポルノ禁止法」


当初から適用範囲が不明確であると論議を呼んできた法案ではあったが、衆議院を通過した後の流れは早かった。

2月17日に法案が可決された後、わずか40日で適用範囲は文章や絵にまで広がり、

キャラクターの出てこない電子工作や鉄道模型の同人誌すらも「この曲線が少女に見える」という理不尽な批判に晒された。

これをうけて、同人サークルという同人サークルは、軒並み新刊・既刊の頒布を中止。

法案可決から150日後の7月17日には、市場や個人宅にあった同人誌もすべて焚書となり、消えうせた。


問題提起がぽつぽつと出始め、多少は落ち着いた頃、11月の中旬ぐらいだっただろうか。

どこからともなく一冊の同人誌が出現した。

この同人誌は様々なうわさとともにファンの間を転々としたが、結局自分の手元においておく勇気のあるものはおらず、

海外へと消えていった。うわさではX国から航空便で届いたとのことだった。


その7日後、前回と同じ同人誌がまた出現した。

俺は興味をそそられ、古いアメコミなら大丈夫だろうと、ポパイとオリーブ、ほうれん草の絵を添えて送り返してみた。


そのまた7日後、同じことが起こった。

しかし、この数週間の間に問題提起が広がり、法律の見直しが行われるという報道があった為か、

今回はX国へ送り返されること無く、国内の誰かが同人誌を受け入れたようだった。


問題提起はさらに広がり、それに応じて言論弾圧とも評された法の運用は安定を取り戻し、同人誌の焚書の流れもようやく落ち着いた。


年が明けた2月17日。例の法案が可決されてからちょうど一年後に、コミックマーケット「We Love 虹元」が開催された。

これは政治家も参加し、「今後は言論弾圧を行わない。どんどん同人誌を作ってくれ」と明言するイベントとなった。


俺はその会場でNと1年ぶりに再会した。

俺「久しぶりだな!この1年、ひどい目にあったよ。君は同人誌を集めていたが、この展開がわかっていたのかい?」

N「言わずにすまなかったな。政治家と懇意になっていた為に事前に教えてもらったんだ。

  彼らも全ての文化をなくすのは問題と思ったらしく、同人誌の避難を要求されたというわけさ」

俺「なんともはや、まるでノアの方舟のような話だな」


・・・というわけで、旧約聖書『創世記』の「ノアの方舟」が元ネタですね。

聖書等はまったく読んだことが無かったので、以下のサイトなどを参考に。

創世記(口語訳) - Wikisource


# コミケには自主制作ゲームでサークル参加しているので、漫画・アニメ系以外の分野が多々あることは知っていますが、

# 時事ネタに組み合わせたので、ちょっと偏った内容になりました。


以下、(こじつけも含む)関連性など。

・友人N → 「ノア」の頭文字

・多種多様な同人誌 → 多種多様な動物

・2冊ずつ → 動物の雄と雌 [創世記 6:19], [創世記 6:20], [創世記 7:2]

・一部は7冊ずつ → 清い獣、空の鳥は七匹ずつ [創世記 7:2], [創世記 7:3]

・1冊は分解してスキャン → 複製 → 繁殖

・船で輸送

・人間は家族だけが移住



Nが俺をX国に誘う所で閃き。「聖☆おにいさん」のおかげだろうか。

内容が面白かったので、WikiSourceとにらめっこしつつ長文をこじつけて書いてみましたー。

id:lionfan

sheile様、ありがとうございます。

解答編でさえ拾っていない、オリーブの鳩の話などまで拾っていただき恐縮です。

また原典との関連も、これで完全です。「清い獣、空の鳥は七匹ずつ」などおみごとでした。

いるかはsheile様に差し上げたいと思います。

2009/11/29 17:39:02
  • id:lionfan
    【謎解き・ミューザック小説本体・Nの暴走】

    Nは中学校からの親友だった。

    二人とも同人マンガが大好きで、高校の頃まではいっしょにコミケで同人誌を買いあさっては、オタクなマンガを貸し合っているような仲だった。

    だがNは大学受験が近づくと、あれほど好きだった同人誌をあっさり捨て、勉強に専念し、T大学の法学部に合格した。

    その後もNはまじめに勉強を続け、在学中に司法試験に合格し、弁護士としてがっぽりかせぎ、20台半ばに美人で資産家のお嬢様と結婚した。奥さんはNにぞっこんで、幸せに満ち溢れ、子供もいっぱいいるという、絵に描いたようなリア充だった。

    それにひきかえ俺は、いまだに中小企業の平社員で、30半ばになってもコミケに通っているようなダメなオタクだった。Nとは大違いだ。Nはいったん目的を定めると、どんなに時間がかかろうと、それに向かってまっすぐ努力することが可能な、とんでもなく固い意志の持ち主だったのだ。

    そんなNから、急に「力を貸して欲しい。会ってくれないか」と電話がかかってきたので俺は首をひねった。

    喫茶店に入ると、Nが切り出した。

    N「君は最近の同人誌事情に詳しいよな?」

    俺は頷いた。今度の冬コミにも、もちろん行くつもりだった。

    Nは一気にまくしたてた。
    N「お願いなんだが、同人誌のいろんなジャンルについて、できるだけ細かく分類した表を作ってくれないか。

      それから、各年代におけるそれぞれのジャンルの隆盛の歴史をまとめた資料や、有名サークルとその代表作品、話題になった同人誌なんかもリストアップして欲しい。

      できれば女性のディープなオタク・・・腐女子って言うんだっけ・・・も紹介してくれないか。同じことを頼みたいから」

    俺は目を丸くした。

    俺「そりゃいいけど・・・」
    N「お金は払う。その作業に専念して欲しいから、君も有給をとってくれないか。有給の3倍分を、こちらから追加で払おう」

    俺はびっくりした。
    俺「はああ?」

    N「同人誌のリストアップが済んだら、次は買いまくるんだ。状態の良いものを2冊ずつ」
    俺「なぜ?」
    N「バックアップのためでもあるし、将来、1冊は分解してスキャンする可能性もあるからさ。書店でもネットでもコミケでも友達からでもいい。できるだけ買い揃えて欲しい。君の権限でバイトも雇って手伝わせて欲しい。もちろん購入に必要なお金は別に用意する。ごく一部の、ものすごく有名な同人誌なら、7冊くらい買ってもいいけど」

    俺はあきれた。
    俺「なあN、すこし落ち着け。コミケには30年以上の歴史があるし、夏冬あるし、最近のコミケは参加サークル数が1万を超すんだぜ! いくら代表的なものに絞るっていったって、各コミケで1000冊として、夏冬で年間2000冊、1冊が500円として100万円だ。しかも2冊ずつ買うって言ったな、そしたら1年分で200万円だぜ! しかも昔のプレミアがついてる同人誌はとんでもなく高い。それを30年分も買うの?」
    Nは平然と頷いた。
    N「一億円程度だろ。なんとかなるよ。今までの貯金もあるし、妻は資産家だしさ」
    俺「奥さんの金に手を付けるつもりか?」
    N「最初は反対してたけど、最後には『あなたを信じてる。好きにして』だって」

    俺はがっくりして、深いため息をついた。
    ・・・そうだった。Nの奥さんは、Nを崇拝しており、溺愛しており、ほとんど妄信しているのだった。

    俺は別方向から説得しようとした。
    俺「そんなたくさん買い込んだって、置いておく場所がないぜ」
    Nはあっさり言った。
    N「大丈夫。もう外国に土地を買った」

    NはX国という、ある中進国の名前を挙げた。
    N「そこなら土地はタダみたいに安いし、巨大な倉庫も安く手に入れた。湾岸地域だから船で輸送したあとの配送も簡単なんだ」
    俺「船?」
    N「ここだけの話、同人誌は船長にたっぷり裏金をつかませて、密輸する予定なんだ」

    俺はあきれ果てた。
    俺「お前は子供もいる父親だろ?」
    N「もちろん家族は愛しているさ。だからその船にみんなで乗って、X国に移住する。弁護士はしばらく休業だ。まあ物価の安い国だから、贅沢しなければ一家でなんとか暮らせるよ」

    俺は唖然とした。怒った。宥めた。嘲笑した。なんとか説得しようとした。
    だがNの決意は断固として揺るがなかった。

    数時間後、ついに俺はあきらめた。

    俺「ああ、わかった。こうなりゃNの気の済むようにしてやるよ」
    N「ありがとう。ぜひ頼む」

    俺はその場で上司に電話をかけ、しばらく有給を取ると伝えた。
    許可はあっさり下りた。これが期待されてないダメ社員のいいところだ。

    俺「よーし。こうなったら、徹底的にいくぞ!」

    それからは怒涛の日々だった。リストの作成・人の手配・買い込み・梱包・積み込み・・・。すべての作業が終わったのは、数ヶ月後だった。

    俺はNの家族を見送りに波止場に来ていた。
    Nが静かに言った。
    N「今まで本当にありがとう。君のおかげで助かったよ」

    俺は大量の同人誌を積んだ船を見ながら尋ねた。
    俺「なあN、これで本当に良かったのか?」

    Nは満足そうに頷くと俺に言った。
    N「何度も言うけど、君は本当にX国に来るつもりはないのか? タダで乗せてあげるよ。しばらくX国でのんびりしたっていいんじゃないか?」

    俺は首を振った。
    俺「そろそろ自分の会社に戻るよ」
    Nは仕方がないな、というように笑った。向こうで奥さんと子供たちがNを呼ぶ声がする。

    N「じゃあな」
    俺「ああ、元気で」

    俺はNと握手をして別れた。
  • id:lionfan
    【謎解き・ミューザック小説・Nの暴走・解答編】

    B美は「ノアの方舟ね」とつぶやくと、シャーペンを走らせた。

    ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■

    NはX国に旅立ち、俺は会社に戻った。有給を使い切り、休職までしていたから、戻った当時は上司にたっぷり嫌味を言われた。

    だが俺の仕事は、以前よりもずっと要領がよくなっていた。というのも「同人誌買い込みプロジェクト」において、俺は人生ではじめて、大人数のバイトを統率し効率的に働かせるという体験をしたからだ。Nのさりげないアドバイスもあり、俺の会社人としてのスキルが上がったのだろう。上司はすぐに俺を見直すようになった。

    そんなわけで、俺の会社生活は好調だったが、趣味の世界では逆風が吹き荒れた。

      法律の改正により、多くの同人誌の単純所持が、犯罪になってしまったのだ。

    法律に詳しいNが予見していたとおりだった。オタクたちにとって、まるで日本が、大洪水に飲み込まれたみたいだった。

    多くの同人誌マニアが同人誌を捨てた。コミケも年を追うごとに、どんどん衰退していった。やがて同人誌という存在自体が、覚せい剤並みのタブーとなってしまった。


    そんな時代が何十年も続いた。


    そして・・・俺が会社を退職するころ、ようやく同人誌が再評価される時代がやってきた。最初にX国から、日本の同人誌文化が再評価され、X国の文化圏で再評価が進み、ついに日本にも、同人誌再評価の波が押し寄せてきたのだ。

    その理由は、Nとその子供たちが、同人誌をきちんと保管し、デジタルデータや資料をつくり、こつこつと翻訳し、ねばり強くPRに努めたからだ。当時の同人誌を持っている人は、日本にはほとんどいなかった。いまやNの図書館は、世界一の同人誌図書館となり、Nとその子供たちは同人誌の歴史に関する権威となっていた。

    X国は、Nが移住したころからどんどん経済成長し、今では日本のGNPをとっくに抜いていた。そんなことも再評価の助けになったようだ。

    テレビで誇らしげに同人誌文化を語るNを見たとき、俺はようやく悟った。

      Nは高校生のとき、同人誌文化を守るために生きると決めたのだ。

    弁護士になったのは、同人誌を買うお金をかせぐためと、同人誌関連の立法状況に詳しくなるためだった。資産家の妻と結婚したのも、資金のためだった。子供をX国に移住させ、同人誌の研究者として育て上げたのも、すべてNの計画通りだった。

    Nはたった一人で、日本の同人誌文化を守り抜いたのだ。なんという意志の強さだろう!

    ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■  ■

    -------------謎解き・ミューザック小説・Nの暴走・解答編・終わり-------------

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