昔々ある所に、若い夫婦が二人きりで住んでいた。 そこは大変田舎で、食料品を得るために列車で何時間も離れた都会へ出なければならなかった。ある日、買出しに出かけるために、都会へ向かう列車に乗った夫は、そこで疲れてしばらく眠ってしまった。起きたときに彼は愕然とした、買出しに使うためにポーチに入れておいたはずの百ドル札がなかったからだ!紙幣は盗まれたのかもしれない。ふとまわりに目をやると、みすぼらしい姿の老婆がうとうとしていた。その老婆のかばんの口が開いており、なんとそのかばんの中に百ドル札が!ああ、この老婆は貧乏に耐えかねて私の百ドル札をつい盗んでしまっただけなのだ。そう考えた彼は、老婆を起こして咎めることはせず、老婆のかばんからそっと百ドル札を抜き取り、自分のポーチに入れた。ところが、その後その紙幣を使って無事に買出しを済ませて家に帰った夫に、妻はこう言った「そんなにたくさんの食べ物をどうやって買ってきたのよ?あなたはテーブルの上に、紙幣を置き忘れて出かけて行ったのよ!」
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