母がお嫁入りの時に実家から持ってきたという、真っ黒な鉄製のフライパン。
これがわが家の料理には欠かせません。
母の母、つまり私のおばあちゃんも愛用していたフライパンですから、これで作る料理が「わが家の味」の一つなんですよね。
フライパン一つで味が変わるの?と思われる方もいると思いますが、鉄でなければ出せない味っていうのもあるんです。
ハイカロリーバーナーと組み合わせると、その差が歴然となります。
特に炒め物。
油から煙が立つくらいまで熱したところで材料を入れて短時間でサッと仕上げると、お野菜から出る水分で水っぽくなったりすることが防げます。
お野菜から水分が出にくいということは、素材のうまみを逃がしにくいということ。
これでもう、ぜんぜんお味が違ってきます。
短時間で仕上げるので、素材の色の鮮やかさも違います。
こんな強火は、テフロンじゃちょっと無理ですよね。
温度についてはかなりの高温に耐えられる物もありますが、強火料理は手際もかんじんです。
強火料理は瞬間勝負。
一瞬で素材全体に熱い油を回して均一に仕上げていくためには、動きの素早さ、ダイナミックさが求められます。
うちの母はすごいですよー。
フライパンを振りながら、中華おたまでガンガンガン!!
こういう使い方は、やっぱり鉄でないと無理だろうなぁと思います。
もちろん普通の火加減で、菜箸かヘラで軽くかき回して炒める程度なら、仕上がりはどんなフライパンを使っても変わりません。
だから私は最初、鉄のフライパンなんて重いし手入れは大変だし、なんにもいいところなんてないと思っていました。
鉄しかなかった古い時代の遺物。
現代の発達したフライパンの前では全く用無しの道具だと思っていたんです。
そんなことをぽろっと言ったら、母がにやりと
「試してみる?」。
キッチンに立った母は、適当なお野菜をトトトンと切って、鉄のフライパンにゴマ油だけをひき、ゴー、ガンガンガン、と炒め始めました。
調味料も何も入れません。
もうできあがり。
「はい、味見してみて」
うわ、使っているのはお野菜とゴマ油だけなのに、おいしいっ!味が濃い!
「じゃ今度はあなたの好きなフライパンでやってごらん」
ううー、同じ素材なのに、味が全く違います。もちろん仕上がりも。
「テフロンのフライパンはね、蒸し煮にする料理とか、ソースを絡めながら炒めていくような料理には最適なの。お鍋に色んな種類があって料理によって使い分けるように、フライパンにも色んな種類があるってことなのよ」
あー、そうだったんだ!!
鉄のフライパンが過去の遺物だなんて、とんだ思い違いでした。
フライパンも、料理によって使い分けが必要だったんです。
それからは私も、この鉄のフライパンが大好きになりました。
父もこのフライパンが大好きです。
いいお肉が手に入ると、このフライパンで父がステーキを焼いてくれます。
この味はこのフライパンでなければ出せないんだよなぁと言っています。
うちの母は結婚する時、だいぶ親に反対されたそうです。
詳しいことはよくわかりませんが、親としては、別の嫁ぎ先を考えていたらしくて…。
でも、この人でなければだめなんです、この人と一緒にならせてくださいと食い下がり続けたら、ある日いくつかの料理道具を渡してくれて、
「親の助けはいらない、手鍋だけ下げて行くっていうのなら好きにしなさい」
って。
そうして持ってきた物の中の一つが、このフライパンだったんだそうです。
そんな思い出も染み込んだ鉄のフライパン。
私もいつかお嫁に行く時が来たら、これを持たせてくれると言ってくれています。
料理にも、家族の絆にも、欠かすことのできないフライパンです。
母がお嫁入りの時に実家から持ってきたという、真っ黒な鉄製のフライパン。
これがわが家の料理には欠かせません。
母の母、つまり私のおばあちゃんも愛用していたフライパンですから、これで作る料理が「わが家の味」の一つなんですよね。
フライパン一つで味が変わるの?と思われる方もいると思いますが、鉄でなければ出せない味っていうのもあるんです。
ハイカロリーバーナーと組み合わせると、その差が歴然となります。
特に炒め物。
油から煙が立つくらいまで熱したところで材料を入れて短時間でサッと仕上げると、お野菜から出る水分で水っぽくなったりすることが防げます。
お野菜から水分が出にくいということは、素材のうまみを逃がしにくいということ。
これでもう、ぜんぜんお味が違ってきます。
短時間で仕上げるので、素材の色の鮮やかさも違います。
こんな強火は、テフロンじゃちょっと無理ですよね。
温度についてはかなりの高温に耐えられる物もありますが、強火料理は手際もかんじんです。
強火料理は瞬間勝負。
一瞬で素材全体に熱い油を回して均一に仕上げていくためには、動きの素早さ、ダイナミックさが求められます。
うちの母はすごいですよー。
フライパンを振りながら、中華おたまでガンガンガン!!
こういう使い方は、やっぱり鉄でないと無理だろうなぁと思います。
もちろん普通の火加減で、菜箸かヘラで軽くかき回して炒める程度なら、仕上がりはどんなフライパンを使っても変わりません。
だから私は最初、鉄のフライパンなんて重いし手入れは大変だし、なんにもいいところなんてないと思っていました。
鉄しかなかった古い時代の遺物。
現代の発達したフライパンの前では全く用無しの道具だと思っていたんです。
そんなことをぽろっと言ったら、母がにやりと
「試してみる?」。
キッチンに立った母は、適当なお野菜をトトトンと切って、鉄のフライパンにゴマ油だけをひき、ゴー、ガンガンガン、と炒め始めました。
調味料も何も入れません。
もうできあがり。
「はい、味見してみて」
うわ、使っているのはお野菜とゴマ油だけなのに、おいしいっ!味が濃い!
「じゃ今度はあなたの好きなフライパンでやってごらん」
ううー、同じ素材なのに、味が全く違います。もちろん仕上がりも。
「テフロンのフライパンはね、蒸し煮にする料理とか、ソースを絡めながら炒めていくような料理には最適なの。お鍋に色んな種類があって料理によって使い分けるように、フライパンにも色んな種類があるってことなのよ」
あー、そうだったんだ!!
鉄のフライパンが過去の遺物だなんて、とんだ思い違いでした。
フライパンも、料理によって使い分けが必要だったんです。
それからは私も、この鉄のフライパンが大好きになりました。
父もこのフライパンが大好きです。
いいお肉が手に入ると、このフライパンで父がステーキを焼いてくれます。
この味はこのフライパンでなければ出せないんだよなぁと言っています。
うちの母は結婚する時、だいぶ親に反対されたそうです。
詳しいことはよくわかりませんが、親としては、別の嫁ぎ先を考えていたらしくて…。
でも、この人でなければだめなんです、この人と一緒にならせてくださいと食い下がり続けたら、ある日いくつかの料理道具を渡してくれて、
「親の助けはいらない、手鍋だけ下げて行くっていうのなら好きにしなさい」
って。
そうして持ってきた物の中の一つが、このフライパンだったんだそうです。
そんな思い出も染み込んだ鉄のフライパン。
私もいつかお嫁に行く時が来たら、これを持たせてくれると言ってくれています。
料理にも、家族の絆にも、欠かすことのできないフライパンです。