せめて勝ち逃げとはいわずに、バブルの最中や崩壊直前にバブルであることを認識できますか?最低でも崩壊直後に頭を切り替えることはできませんか?
現在の経営者で40代後半以降の方は、いわゆるバブル経済を経験しています。少なくとも他国のバブルも知識としては持っているはずです。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」といいます。とすると、経験も知識も生かせずバブル崩壊に対応できなかった経営者はただの馬鹿ということになります。
そこで実際のところ、
・2007年をピークにしたバブルで勝ち逃げできた経営者
・バブルを認識していた経営者
・無自覚で対応が遅れた経営者
それぞれ何が違いを生んだのでしょう。バブルの最中にバブルを認識することはできるのでしょうか?タラレバではなく実例をご存知でしたらどうぞご教示ください。
■バブルを崩壊を認識できるか
各種経済指標をみてバブル(金余り)であることを認識することはできるでしょうが、バブル崩壊を正確に予測することは難しいでしょう。
また、「崩壊直後である」と認識することも難しいと思います。
一時的に落ちているのか(すぐ持ち直すのか)、崩壊しているのか、軟着陸するのかの区別がつきにくいでしょう。
みんなが「崩壊している」と気づいた時は、手遅れになっているでしょう。
私の感覚では、自分の周りで以下のようなことが増えると要注意であると考えてます。(経験則で不確実ですが)
・物価や収入が上がる。
・ハイリスクな金融商品が新たに出回る。
・財テクに無関心だった人がリスク商品を買い始める。
バブル後半のNTT株やリーマンショック前のサブプライムローンなど、リスクに対して麻痺している事例が出てくるととそろそろか
なと思います。(チューリップ恐慌以来の教訓でしょう。)
■対策はあるか
バブル崩壊自体の予測はわかりませんが、対策自体はあると思います。
それは、常に崩壊が間近ではないかと心がけておくことです。
ただそれで、臆病になるのではなく、リスクを認識して投資することも大事だと思います。
1.リスクを認識していない企業は、
バブル時の利益多でも、バブル後の損失多となるでしょう。
2.リスクを認識していてもリスクを冒せない企業は、
バブル後の損失は少でもバブル時の利益も少でしょう。
(一昔前の東京三菱銀行は財務健全性は良いが収益率が低い例でした。)
3.己の許容可能なリスクを把握して、回避やヘッジの対策を打てる企業は、
バブル後にある程度の損失は出ても、それなりの利益をあげやすいでしょう。
バブルを乗り切ったといわれる企業には上記の2、3の例がありますが、3がより健全な企業といえるでしょう。
バブル崩壊前から、損失自体を恐れず、いくつものシナリオを用意して機動的に対応できる体制を構築しておくことが大事だと思います。
この質問は「トレーダーは常に最も株価の高い時点で売り抜けることは可能か」という問いがヒントになるのではないでしょうか?
株の取引という単純化された商取引を専門に行うトレーダーでさえ、最高値を察知し売り抜けることは非常に難しいことです。
今まで多数の取引を行ってきて、経験も知識もあるはずにもかかわらずです。
そして、企業の経営においては更に多様な要因が絡みあってきます。
すべての情報を把握することは経営者にとって不可能であり、すべての裁量を自らで行うことは大企業になればなるほど難しくなります。
というわけで、前提として経営者は情報量や裁量に制約を受けることを考慮するべきでしょう。
その上で、以下の違いについてですが
・2007年をピークにしたバブルで勝ち逃げできた経営者
・バブルを認識していた経営者
・無自覚で対応が遅れた経営者
バブルはババ抜きに近い現象と捉えることが出来ます。
最後に資産を持っていた人がすべての損をかぶるという点が共通点です。
バブルが認識されうるとき、それはバブルが崩壊を始めているときでしょう。
それまで、誰も「バブルだと認識していなかったもの」が、誰かがまず一抜けし、また誰かが抜けて、最後まで残っていた人たちが犠牲になる。
勝ち逃げできた経営者、つまりバブルを認識することができ、更にバブル崩壊の前に対応することができた経営者というのは、運が良かった程度のことではないでしょうか。
こう書いてみると、認識から行動までの時間が早い(柔軟に変化することができる)体質の企業は生き残りやすいかもしれません。
むしろ、本当に問題なのは「無自覚で対応が遅れた経営者」と書かれているとおり、バブル崩壊後に適切な対応ができない経営者ではないかと思います。
大企業の中身を知っている人なら、無理だとお分かりになるでしょう。
・下っ端はどんなに優れた識見を持っていても、何にも役に立たない。
・企業の大方針は、幹部社員以上の政治抗争で決定される。
・したがって「バブルが崩壊する」と理解できたとしても、対策方針を立てようにも「弱気」「社に損害を与える」といった批判を受けるため対策できない。
・そもそも先のことを考えているかどうかすら疑わしい。目の前の抗争に生き残るだけで大変な努力が必要だから。
中小企業なら、トップが優れていれば対策可能かもしれません。しかしそんな人はまず居ないでしょう。強引なまでの積極性がないと企業のトップなどとても勤まらないので。
バブル発生の仕組みを解明するには、まずこの2点を理解することが必須です。
①予備準備金制度・信用創造(FRACTIONAL RESERVE LENDING)
②強制貨幣・不換紙幣(FIAT MONEY)
これらが経済成長システムの駆動力となって、投機資金(HOT MONEY)を産み、
結局は崩壊します(自然と)。 逆に言えば、これらが存在しなければ、
インフレもデフレもありません。 ここが全ての始まりです。
上記単語をネット検索すると、残念ながら日本語できちんと説明をできている
サイト・本・ブログはありません。 日本銀行HPやWIKIPEDIAではある程度説明
はしていますが、「定義」と「事の発生順序」が誤解を招きやすい説明となっ
ています。
現在までに遭遇できた、参考となった本・サイトは以下のみです(まだ少しは
あるかもしれませんが)。
①「マネー敗戦」(吉川元忠)
②「新・マネー敗戦」(岩本沙弓) http://pub.ne.jp/negiyaki/
③「マネーを生みだす怪物」(エドワード・グリフィン)
調べていくと、「陰謀説論」を強調する情報がいやというほど出てきますので
ご注意ください。 ただ、上記本の①②はほとんどありません。 ③につい
ては・・・・・、とりあえず読むしかありません。 全てアマゾンで販売して
おり、③は「中身」を拝見できますのでお試しください。
日本・欧米の大学や大学院で勉強をしたり、金融会社の最前線で仕事をするよ
りか、おすすめです。