小学生の時、とても仲が良かった友達。転校でお別れになって、必ず手紙を書くよと約束を交わしておきながら、結局そのままになってしまっていた友達がいました。仮にその子をAちゃんと呼びます。
Aちゃん、どうしているかなぁ、まだ同じ場所に住んでいるかしらとダメモトで手紙を出してみたら、返事が返ってきました。それからは手紙やメールでやり取りを続け、去年、やっと会えることになりました。Aちゃんが私の家に来てくれることになったのです。
さぁどんなふうにお迎えしましょうか。色々考えているうちに、一つの思い出が浮かんできました。それは遠足が雨で中止になってしまった時のことでした。
遠足が中止になると普通の授業です。でも給食はないのでお弁当になります。そこで先生方が素敵なアイデアを考えてくれました。それは体育館に移動して、遠足気分でお弁当を食べようというものでした。それがとても楽しかったのです。その日の帰り道、私とAちゃんは、お弁当っていいね、またあんな風にお弁当食べたいねと、そんな話ばかりをしていました。でも遠足は来週です。そんなに待っていられません。そこで、土曜日にお弁当を持って公園に行って二人で食べようとことになりました。家に帰って早速母にお弁当箱を返しながら、土曜日のお弁当をねだりました。そうして作ってもらったお弁当。土曜日はとてもいいお天気で、私達は素敵な遠足気分を満喫できたのです。
そうだ、あの時のお弁当を再現して一緒に食べよう。二人でおかずを交換し合いながら食べたお弁当。卵焼きやウインナー、共通のおかずもそれぞれ味が違っていて、とても新鮮に感じられました。そういうところが再現できたら素敵です。一生懸命当時を思い出しながら作りました。記憶が曖昧なので完璧とは言えませんが、なんとか出来ました。
Aちゃんがやってきました。駅まで迎えに行こうかと言いましたが、住んでた町だもん平気だよとのことでイエで待っていると、呼び鈴が鳴りました。玄関を開けると、Aちゃんが両手一杯の花を抱えて立っていました。「駅前の花屋さん、まだあったんだね、嬉しくなってこんなに買っちゃった」。そうでした。Aちゃんはお花が大好きな女の子だったのです。駅前の花屋さんは、二人で何度も足を運んだお店でした。もちろん買うのではなく、見るだけでしたが。
お花を花瓶に生けてテーブルに飾り、Aちゃんが大好きだったシュークリームでお茶です。「あ、この味!」。「憶えてる?Aちゃんのお誕生会で出してもらったシュークリームだよ」。「うん、すぐ分かった」。味の記憶って、何年たっても鮮明です。色々思い出話に花が咲きました。
いよいよ思い出のお弁当です。ちょっと待っててねと席を外し、用意しておいたお弁当と、水筒をそれぞれ二つずつ。Aちゃんは、もうそれですぐに分かってくれました。「お弁当、公園で食べたよね!」。「うん。それを思い出して作ってみた」。「蓋取っていい?」。「うまく作れてるか分からないけど」。Aちゃんは、そうそうウチのお母さんてこういう味、そっちもちょうだい、わーこの味も憶えてるよと、とても喜んでくれました。
水筒は麦茶です。Aちゃんのイエはちょっとお砂糖入り。わがやはお砂糖なしです。「あの時も二人で交換しながら飲んだね」。「水筒の蓋ごと交換したから間接キスだったよね」。私達は本当に仲良しでした。その仲良しが、お弁当とともに復活しました。「はい麦茶、蓋ごと」。「はい、私も蓋ごと」。本当に楽しい時間が過ごせました。今度は私の方から、Aちゃんの住むマチに遊びに行く予定です。Aちゃんも、とっておきの何かを考えてくれているようです。
小学生の時、とても仲が良かった友達。転校でお別れになって、必ず手紙を書くよと約束を交わしておきながら、結局そのままになってしまっていた友達がいました。仮にその子をAちゃんと呼びます。
Aちゃん、どうしているかなぁ、まだ同じ場所に住んでいるかしらとダメモトで手紙を出してみたら、返事が返ってきました。それからは手紙やメールでやり取りを続け、去年、やっと会えることになりました。Aちゃんが私の家に来てくれることになったのです。
さぁどんなふうにお迎えしましょうか。色々考えているうちに、一つの思い出が浮かんできました。それは遠足が雨で中止になってしまった時のことでした。
遠足が中止になると普通の授業です。でも給食はないのでお弁当になります。そこで先生方が素敵なアイデアを考えてくれました。それは体育館に移動して、遠足気分でお弁当を食べようというものでした。それがとても楽しかったのです。その日の帰り道、私とAちゃんは、お弁当っていいね、またあんな風にお弁当食べたいねと、そんな話ばかりをしていました。でも遠足は来週です。そんなに待っていられません。そこで、土曜日にお弁当を持って公園に行って二人で食べようとことになりました。家に帰って早速母にお弁当箱を返しながら、土曜日のお弁当をねだりました。そうして作ってもらったお弁当。土曜日はとてもいいお天気で、私達は素敵な遠足気分を満喫できたのです。
そうだ、あの時のお弁当を再現して一緒に食べよう。二人でおかずを交換し合いながら食べたお弁当。卵焼きやウインナー、共通のおかずもそれぞれ味が違っていて、とても新鮮に感じられました。そういうところが再現できたら素敵です。一生懸命当時を思い出しながら作りました。記憶が曖昧なので完璧とは言えませんが、なんとか出来ました。
Aちゃんがやってきました。駅まで迎えに行こうかと言いましたが、住んでた町だもん平気だよとのことでイエで待っていると、呼び鈴が鳴りました。玄関を開けると、Aちゃんが両手一杯の花を抱えて立っていました。「駅前の花屋さん、まだあったんだね、嬉しくなってこんなに買っちゃった」。そうでした。Aちゃんはお花が大好きな女の子だったのです。駅前の花屋さんは、二人で何度も足を運んだお店でした。もちろん買うのではなく、見るだけでしたが。
お花を花瓶に生けてテーブルに飾り、Aちゃんが大好きだったシュークリームでお茶です。「あ、この味!」。「憶えてる?Aちゃんのお誕生会で出してもらったシュークリームだよ」。「うん、すぐ分かった」。味の記憶って、何年たっても鮮明です。色々思い出話に花が咲きました。
いよいよ思い出のお弁当です。ちょっと待っててねと席を外し、用意しておいたお弁当と、水筒をそれぞれ二つずつ。Aちゃんは、もうそれですぐに分かってくれました。「お弁当、公園で食べたよね!」。「うん。それを思い出して作ってみた」。「蓋取っていい?」。「うまく作れてるか分からないけど」。Aちゃんは、そうそうウチのお母さんてこういう味、そっちもちょうだい、わーこの味も憶えてるよと、とても喜んでくれました。
水筒は麦茶です。Aちゃんのイエはちょっとお砂糖入り。わがやはお砂糖なしです。「あの時も二人で交換しながら飲んだね」。「水筒の蓋ごと交換したから間接キスだったよね」。私達は本当に仲良しでした。その仲良しが、お弁当とともに復活しました。「はい麦茶、蓋ごと」。「はい、私も蓋ごと」。本当に楽しい時間が過ごせました。今度は私の方から、Aちゃんの住むマチに遊びに行く予定です。Aちゃんも、とっておきの何かを考えてくれているようです。