あなたの思い出の合唱曲は？

学年やクラスで合唱する機会は小学四年生から高校三年生の時分まで毎年必ずありましたので、親しんできた合唱曲は数知れず、当方もとより歌唱は人より優れ、少なくとも中学三年生時の頭まではカナリヤのボーイソプラノを維持していたのですが、時の移ろいはいずれの時代も苛烈にして、その光陰のごとき羽々矢をして我が喉笛を切り裂かしむ…と、合唱コンクールに関しては私、ことさらの思い入れがあるのですが、私が最も印象に残っている合唱曲は、小学校を卒業する時に歌った『旅立ちの日に』でも、中学二年生時に合唱コンクールでクラス優勝を収めた際の自由曲『青葉の歌』でも、あるいは今でも不当な判定をされたと思っている『聞こえる』や、はたまたクラス会長の強い支持で歌う事になったデジモンアドベンチャーの主題歌『Butterfly』でもなく、どういうわけか、中学二年生の時の合唱コンクールにて、ある弱小クラスの歌っていた『心の瞳』なのです。そのクラス、二年一組は、強面の担任のもと、問題児が集められたようなクラスで、審査員ももとより期待していなかったであろうと思われるのですが、一つ後の順番につき舞台下で待機していた私には、その懸命に歌う姿とメロディが、殊に胸を打つように思われたのです。今なお曲を聴いたのみでは泣いたことがない私ですが、その時ばかりはどうにも涙ぐみそうになったものです。

たとえ過去を　懐かしみ　振り向いても

それは　歩いてた　人生があるだけさ

いつか若さを　なくしても

心だけは　決して変わらない

絆で　結ばれてる

…何とも感慨深い歌詞です。

愚かにも私は、未だにあの時の美しい声を取り戻そうともがいているのです。