【人力検索かきつばた杯】

テーマ:方程式 スイーツ

創作文章(ショート・ストーリー)を募集します。
ルールははてなキーワード【人力検索かきつばた杯】を参照のこと。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CD%CE%CF%B8%A1%BA%F7%A4%AB%A4%AD%A4%C4%A4%D0%A4%BF%C7%D5

締切は 5/15(火)の夜を21~22時くらい

回答の条件
  • 1人2回まで
  • 13歳以上
  • 登録:2012/05/09 23:18:07
  • 終了:2012/05/15 22:05:29

ベストアンサー

id:sokyo No.8

sokyo回答回数1372ベストアンサー獲得回数952012/05/15 01:10:15

ポイント32pt

『ケーキを代入!』

私が彼に初めて会ったのは、遠田先生の応用言語学の中間テストのときだった。南講義室の最後列で、私の隣に座っていたのが彼だった。
彼は異様だった。そもそも大学生じゃなくて、中学生ぐらいに見えて、紺色のぶかぶかパーカーのフードをかぶってて。
でも合図がして、テストが始まると、彼は迷いのない速度でシャーペンを走らせ始めた。その隣で私はグリムの法則につまづいて、「Kuchen」というドイツ語に該当するギリシア語が何なのか考えあぐねている。私と違って彼はきっと、応用言語学をきちんと自分の血や肉にして夏学期を終えるんだろうなあ。エラいなあ。
こんなことを考えている私にとって、彼はまだ完全に他人だった。
テスト開始からしばらくして、先生と助手さんは学生に学生証の提示を求めて回り始めた。私たちの列には助手さんが順にチェックしていく。助手さんが来て、私は学生証を提示して、助手さんはリストに書き写す。そして折り返して、向こうの列の彼に当たる。すべての所作を、助手さんは手際よくこなした。でも彼のところで、その手際よさは、止まった。彼は本当に学生証を持っていなかったみたいで。
彼と助手さんは小声で話し込んでいた。私は聞き耳を立てた。中学生とか学務課とかって単語が聞こえた。しばらく問答があったあとで、テストは途中だったはずなのに、彼は助手さんといっしょに講義室をあとにした。助手さんは前を向き、彼は後ろを見ていた。視線の先には、彼が座っていた席があった。
だれもそれを気に留めなかった。扉が閉まる音がした。ほどなくチャイムが鳴った。
結局テストにはぜんぜん集中できずじまいだった。ふと彼が座っていた席を見ると、そこには小さなノートが落ちていた。私はそれを拾って、そっと開いた。板書のメモが鎮座し、周りに数式が熱っぽく踊っていた。筆記量は私の倍はあった。私はそれを、かばんにしまった。 遠田先生が助手さんと話をしていた。
私はそのまま学務課へ行ってみた。彼の姿は見当たらない。でも私は、その隣の応接室のすりガラスの向こうに、紺色の人影を見つけた。彼のパーカーの色だ。
私はふせんを取り出して短くメモを書いた。そしてそれを、応接室の前すぐの床に貼った。気付いてくれると思う。たぶん。きっと。
先に買い物をして、すぐに戻ってこよう。

  *  *  

3限の南講義室は空き教室で、見事にだれもいなかった。私はさっきの席で、彼が来るのを待っていた。やがてやってきた彼も、やはりさっきと同じ席に座った。
「辛いかい?甘いかい?」
私の声で、彼はこっちを向いた。ひどい顔をしていた。
「君は心にフォークを刺して歩いているようだ。」
「なに。」
彼は私から視線を外して、言った。
「私が好きな小説に出てくるセリフ。いますごく流行ってるんだよ、私の中でだけど。」
「持ってんの? 俺のノート。」
「あるけど、その顔じゃあげられない。」
「……。」
「代わりにこれあげる。」
私は買ったばかりの冷たい箱を机に上げて、彼のほうへ寄せた。彼は動かない。
「さっき、応接室にいたでしょ。なんて言われたの。」
「…れぎぬ。」
「え?」
「ぬ・れ・ぎ・ぬ。」
「あ、代返とかと疑われたのね。」
「吐けとか言われた。」
「代返とかじゃないんでしょう?」
「あいつの方程式がぜんぜん解けなかった。」
「ほうていしき?」
彼は急にまくしたてた。
「人の気持ちは関数で、その日の天気とか好みとか相手への興味とかが変数で、各々に重み係数が付いて、その総和が一つの関数を成してんじゃん。故に誰かを或る気持ちに導きたければ、その関数を近似して、それに応じて適切な値を変数に代入して行けば良いだろ。例えばゼロを導きたければイコールゼロにしてそれを解けば良いじゃん。けど、あの学務課長とやらの関数は、保身だの上層部の意向だのにハンパないでかい係数が付いてた。マジ意味分かんねえし。見方に依っちゃ、奇特な若人が勉学に励んでんじゃん。それで良いじゃん。だのに何なの。大人って全員ああなの。」
彼の声はだんだん嗚咽で歪んでいった。 私は尋ねた。
「学務課の人、それでなんて言ってた? もう来ちゃだめだって?」
「俺の潔白が分かって『以後気を付けろ』だと。胸糞悪い。」
「じゃあまた来てもいいってことじゃない。」
「……。」
「立場上またおいでとは言えないから。」
「……。」
「だれも悪くないのに、そうなってしまうことってあるんだよ。」
「……。」
「次からはテストはやめといたほうがいいよ。その箱を開けてごらん。それあげるから。」
彼はそこで初めて箱に手をかけた。3つの命が宿ってる。
「…夏蜜柑のケーキ…? 何で。」
私はふざけてみた。
「新作だったから。」
「そういう意味じゃねえし。」
そのとき、彼は初めて笑った。笑うとまるで子どもだった。
私は彼にノートを放った。彼は片手で器用にそれを受け取った。
「みんな、勉学に励む若人の味方だよ。遠田先生のゼミ、入りたい?」
私は聞いた。彼は首を傾げて、頷いた。
「ケーキがなんで3個なのか、分かる?」
「……、?」
「1個はあげる。1個は私の。最後の1個は…あっれぇーなんだったかなぁ、遠田先生の好きな食べ物。」
彼は一瞬間を置いて、
「解けた! ケーキを代入!」
って叫んで立ち上がった。
「ちょっと! 今日から私が先パイだからね!」
すぐに教室を飛び出した彼を、私はあわてて追いかけた。

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id:minoru-0413

あまりの衝撃に眼球が飛び出そうなくらい熱くなりました…!!

2012/05/15 17:08:45
id:grankoyama

アレだな~。
腕が生えていると思った。ペンだこまみれの指先でもなく、芸術家が削り上げたような
美しい彫刻でもなく。
RB-79の不細工なマニュピレータなのかも知れない。
でも、その腕が、心を、つかみ、揺さぶる。
揺さぶられた心は、静かに『ベストアンサーにして終了』をクリックする。

もう一度言う。腕が生えていたんだと思う。

2012/05/16 22:22:49

その他の回答(10件)

id:garyo No.1

garyo回答回数1782ベストアンサー獲得回数962012/05/10 01:17:04

ポイント23pt

『スイーツの方程式』

「ビーッ、ビーッ、ビーッ、……」
頭が割れんばかりに船内に響き渡る警告音が操縦席でうたた寝をしていた俺を叩き起こした。
操縦席のメインパネル全体で赤く点滅するアラートの文字。
画面にタッチし、詳細情報を確認する。
「マジかよ。お約束だな」
そう。古来一人乗り宇宙貨物船に必ず現れるというアレである。
操縦席から立ち上がり、中央制御室から船倉へ向かい第三コンテナのドアを開けた時に目的のものを発見した。『密航者』である。

宇宙服の外からでは人物は把握できないが、かなり小柄に見える。
「手を上げろ」
保安用の銃口を目の前に突きつけた。
宇宙服の手が上がった。
「ゆっくりとヘルメットを取れ。不振な動きをすれば射殺する」
ヘルメットを外すと中から豊かなブロンズの髪があふれる。
軽く頭を振った15・6歳の少女は利発そうな目に強い意志を浮かべ震えながらもはっきりした声で言った。
「私はティセレニ連合王国の正統皇女です」
目的地の星の皇女様かよ。自称だが。
「ご存知の通り、わが王国はクーデターにより厳しい入出国審査が行われています。通常の方法では王族の身である私は入国できないため、密航させて頂きました。ご迷惑をおかけしてすみません」
彼女は頭を下げた。
「どんな謝礼でも差し上げます。ティセレニ連合王国まで連れて行ってください。お願いします」涙のあふれそうな目で彼女は訴えかけた。
「駄目だ」
「お願いです。星間ニュースでも流れましたが、亡命できなかった妹がクーデター派によって処刑されます。反クーデター派をまとめて妹を助けるに私が行くしかないのです」
「残念だが『物理的』にできない。船の燃料は航行に必要な量しか積んでいない。君を乗せて航行すれば燃料不足により船は惑星に墜落する」
「そんな」
彼女は口元を手でおおい息をのむ。
「悪いが、君は即時に船外に破棄される。王族も例外ではない」
「冗談はやめて下さい。死んでしまいます」
俺は大きく首を振った。
「したくはないが、このままでは俺も死んでしまう」
彼女は泣きだした。
「なんとかする方法は無いのですか?……死にたくないです」
「ただ一つだけ方法がある」
「本当ですか?」彼女の顔に笑みが戻る。
「船の積荷を知っているか?世界初の電子転送装置だ」
彼女の後ろの暗がりにある2つのワイヤーで固定された機械を指差した。
「それは……どんなものですか?」
「送信元の全原子情報を読み取り、送信先に送り原子を再構築することで、離れた場所に人間を転送する機械だ」
「それで王国まで転送して頂けるのですね?」
「いや、世界初といっただろ。送信機も受信機も世界でここにしかない。惑星に受信機がないので送ることはできない」
「それではどうやって?」
「送信機の電源だけを入れ、君を転送する。受信機の電源が入っていないので送信機はひたすら送信を繰り返す。惑星に着いた後、受信機側の電源を入れ、君を受信する。君は惑星に無事たどり着け、船内の質量問題も解決する」
「本当に可能なのでしょうか?」
「大丈夫だ」
「分かりました」彼女は観念したように頷いた。
俺は送信機側の電源を入れセットアップを始めた。電送機の内部に灯りが点り、透明なドアの内部の複雑なメカが暗闇の中に浮かび上がる。
「これで準備オッケーだ。中に入ってくれ」転送装置のドアを開け彼女を中に押し込もうとした。
「本当に大丈夫ですか」彼女は両腕で体を中に入れないように抵抗しながら振り返った。
「大丈夫だ。今も燃料は消費されているんだぞ。早くしないとこの方法でも無理になる」
「でも……」そういいながらも彼女は腕の力を抜き、俺は彼女を転送機に押し込んでドアを閉めた。
「行くぞ」転送機の制御版に近づき転送開始ボタンに指を伸ばした。
「まって、転送されると私はどうなるの?」
「情報を読み取った後、原子に分解される」
「それって死ぬことじゃないの?」
ドアの向こうに恐怖で引きつった顔が見える。
「大丈夫。全く同じ情報で再生されるから、それは君だ」
「でも、でも……」
俺はスイッチを押した。低いモーター音が響き機械が作動を始めた。
「出して!やっぱり変。いくら同じでもそれは私じゃない!」
ドアの中から両手で必死に叩く様子が見える。
「絶対!その理屈はおかし……」
最後の絶叫と共に彼女は原子へと分解された。
「……おかし……」彼女の最後の声が船内にこだまする。


俺は誰も居なくなった転送機の中をのぞきこんで、船外に破棄するため、ドアの中の「元」彼女を取り出した。

          ...

「ふうっ」
惑星の宇宙港へ無事着艦した俺は燃料計を見て冷や汗をかいた。管制官の上空待機指示が後5秒長かったら生きて着陸できなかっただろう。
急いで第三コンテナに向かった。送信機は無事動いているようだった。
受信機の電源を入れ、モニタのメニューから受信開始を選び押す。
受信機は小刻みに振動を始め、ドアの中が白いもやに包まれる。
モニタの受信終了のメッセージを確認し、ドアの前まで行きロックを解除する。
ドアは内側から勢いよく開かれ中から白いもやに包まれながら何か飛び出してきた。

「おかし!あれっ?」
俺の胸の中に飛び込んできた彼女は涙で濡れた目で不思議そうに見上げていた。
「お菓子?。スイーツならおごるってやるから、もう泣くな」
彼女の目の涙を人差し指で拭って頭を軽くなでた。肩を抱くと小刻みに震えているのがわかる。よっぽど怖かったらしい。
「私生きてるの?スイーツって?」気持ちがまだ混乱しているようだ。
「無事着きましたよ、お姫様」
そういえば、宇宙港ランドマークの最上階ラウンジで昼間はケーキバイキングやってるから行ってみるか。
「スイーツは好き?」っと聞いてみた。
「はい」、と泣きながらも笑顔を浮かべて元気良く彼女は答えた。
古来一人乗り宇宙貨物船に必ず現れるという密航者問題を「○○の方程式」と呼ぶのだが、スイーツと聞いて喜ぶ笑顔を見て俺の解法は「スイーツの方程式」と呼ぶことに決めた。なんとなくだが。
まあ、この後色々トラブルに巻き込まれて、帰りはなぜか密航者が2人に増えるんだが、それはまた別のお話。

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id:garyo

ありがとうございます。
>文章巧いですね。もっとかきつばたに参加したらいいのにと思いました。
あれ?と思って見てみたら私はまだ2回しか回答していないんですね(^^;)
昔の「創作はてな」の方には何回か参加してたのですが。
http://q.hatena.ne.jp/1266686926#a996558
>残念なのはお題のさばきかたですね。わたしが不勉強なだけかも知れませんが
>なにがなんやらわかりませんでした。
最初は「その理屈はおかし」「いえスイーツです」お後が宜しいようで。
みたいな落語落ちを考えていたのですが、うまくまとめ切れませんでした。
少し結末を変えてみましたm(__)m

2012/05/12 08:08:00
id:grankoyama

結末変わったの読みました。
1.25倍くらいに良くなった感じです。思想としては無理やりこちらに寄って
いただいたのかも知れませんが。

2012/05/12 12:35:17
id:minoru-0413 No.2

minoru-0413回答回数179ベストアンサー獲得回数232012/05/10 17:52:11

ポイント21pt

移項、両辺に夏蜜柑。

「御疲れ様です、御先失礼します。」
新入りが居残り練習を終えて帰って行った。
深夜の店内は、相変わらずガラスの色が騒がしく、暗闇に声をかけるように八方美人だった。
銀色のボウルの中に作りかけのピスタチオクリームを置き去りにして、厨房を出る。
新作のケーキがなかなかうまく作れない。
上手くも美味くもならない糖分の塊はただ鬱陶しく過ぎていった日々を追いかけて、季節が変わるというのに苺がのったケーキに敵わなかった。
アイディアは出し尽くした。
初夏の甘酸っぱさがどうしても自分の指先からは流れてこないのだ。
季節ごとに新作のケーキを出したり、イベントに向けてアレンジを加えたり、当たり前のことが何故かできない。
何が足りないのだ。
主役の居ないガラスの奥には、ガラス玉や花びらで静かに賑わっていた。

突然の音に驚いて振り向くと、扉の手前に人が立っていた。
「もうとっくに終わっちゃいましたよ?」
人影はゆっくりと近づくと、明りでも顔が見えない位置で足をとめた。
細くて白い指が顔を撫でながら浮き上った。
掌が隠れるくらい長い袖はゆったりと視線を惑わせた。
「ちょっとだけ。何も悪い事はしませんから。」
少し高い、柔らかい声が震えた。
若い男のようだ。
男のくせにだいぶ女らしい仕草で彼は店内を歩き始めた。
「あの、できれば早く終わらして下さいね。本当は駄目なんですから。」
細い体は頼りなさそうに椅子の傍らに立ち止まる。
分かってますよとでも言うように、微笑んだ口が見えた。
靴音の名残りが耳元でクツクツと笑いだす。
「懐かしいですね。覚えてますか?僕がこの店に来たの。」
楽しそうに語る男性は明りの届く場所までくると、瞳で問いかけた。
綺麗に整った顔は見覚えがあり、記憶のほつれたところに引っかかる。
彼は嬉しそうに私を眺めていた。
その眼の使い方、表情の奥に蠢く別の感情が滲みでた薬指の先が、あと少しというところまで思い出した記憶を更に引っ掻きまわす。
「私が入りたての頃ですよね。あの頃はまだ試食用の皿ばかり持たされていて。」
「そうそう。僕がケーキ食べるの必死に見てらして。ふふ、それから毎月此処に通いましたね。」
何度も顔を合わせ、少しずつ会話も増えて、仲良くなったのが5年前。
何故来なくなってしまったんだっけと考える暇を与えずに彼は話を続ける。
「此処のケーキ、凄く好きです。与え過ぎず、求め過ぎず。」
初恋を語るような恥じらいを見せながら、視線を下げる彼に見惚れていた。
5年前もこうして恋心に発展しそうな気持ちを抑えていたのだ。
「そろそろ新作、出ますよね?楽しみです。久しぶりに沢山買いたいなぁ。」
「それなんですが、実はうまくいかなくて。どうしたら美味しくできるのかなぁ…」
「そっか、もう5年も経ってるんですよね。貴方のケーキ、食べてみたいです。」
「…あんまり期待しないで下さいね。」
彼は微笑むと、夜道に消えるまで私の帰りを見送ってくれた。

「これ4つ!」
御遣いで来ましたと言わなくても分かる女の子が、大きな声で注文をしている。
のを奥から見ている私。
の掌に包まれた赤いケータイ。
「何呆けてるんですか~?ひょっとして彼氏からメールでも来たのか!」
同僚が引っ手繰ったケータイの画面には、メール画面が開かれているというわけでもなく、ただ待ち受けにしている猫の画像が映っている。
別に何か事件があったわけでもない。
「あたしに彼氏なんて一生できないだろうねぇ…」
視線を下げると、自分の掌が映えた。
夏蜜柑をつまんだ指。
泡だて器を握った掌。
この手で、握りたかった掌が思い出せない。
居残りで作業をして、気付いたら家で寝ていた。
夢で、何か大切なものを見つけた気がした。
それは新作のケーキのアイディアとかじゃなかったはずなのに。
何か凄く、欲しかった物が壊れた気分だ。
「さ、仕事仕事!」
新作の夏蜜柑のケーキは、午前中で売り切れてしまった。

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id:grankoyama

いや、こういう作品こそ、(時間があれば……ですが)推敲して、より高みを目指すべきだとも思うのですよ。
 おそらく、短時間でそれなりの作品が書ける人なので、それを時間をかけて
よりよくする努力をやってこなかったんじゃないかなと。
 推敲は大事ですよ。わたしもさぼりがちですが。作品によっては推敲次第で大化けしますからね。

特に注文をつけるなら、最後の台詞で、人を幸せにする方程式とはこういうことだ!
みたいなのが、バーンと突きつけられたりしたら、素晴らしいと思うんですがね。
と、個人的な願望です。

2012/05/13 23:31:17
id:minoru-0413

じゃあ頑張って書き直してみます!
書き直したらたぶん内容ガラリと変わっちゃいますけど…

2012/05/14 15:22:33
id:maya70828 No.3

楽1978回答回数1364ベストアンサー獲得回数1392012/05/11 23:46:09

ポイント9pt

題「テイスティング」

ここは、とある研究所の研究室。
白衣を身に纏い、事務用回転椅子を並べて横になっているおじさんが、大学生風の青年に体を揺さぶられている。
「博士、はてな博士。起きてください」
博士はうっすらと目を開けながら言った。
「うーん・・・なんだね。助手のひんと君」
助手は嬉しそうに言った。
「ついに自分も発見しました!」
博士は、冷静に聞き返した。
「ほぉー、ではその発見を発表したまえ」
助手は明るい声で言った。
「はいっ、バナナとマヨネーズで、メロン味になります」
博士は、ムクリと起き上がり、冷蔵庫からバナナとマヨネーズを取り出した。そして、バナナとマヨネーズを交互に口にして助手に近づきこう言った。
「ひんと君、これは・・・」
その瞬間、博士は助手の後ろに回り込み、鋭い速さで膝カックンを喰らわした。
「ぐはっ!」
助手は思わず声をあげて地面にうずくまった。
実は博士、全国膝カックン選手権で優勝したほどの実力の持ち主で、その破壊力は普通の人の想像しているものとは比べものにならないくらい凄まじい。
「博士・・・なんで・・・」
助手はジーンとくる痛みを堪えながら言った。
「ばかやろー!!!ひんとよ、これ、実際に食べてみたのか?」
博士は大声をあげて言った。
「いいえ」
助手はうつむいたまま、返事した。
「よしっ、じゃぁ今から、食べてみろ」
博士は、こう言って手にしたバナナとマヨネーズを助手へ交互に一口食べさせた。
「うわっ、何じゃこりゃ」
助手は、声をあげた。
「ひんとよ!なぜテイスティング(試食)しなかった!」
博士は眉をつり上げ、助手に今にも襲いかからんばかりの勢いで言った。
「すっ、すいません、味覚の才能がないぼくにはもう限界で・・・つい誘惑に負けてネットの情報から拾ってきました」
助手が申し訳ない顔をしながら言った。
「いいか、例え理論的にこの味とこの味が合うと分かっていても、実際の実験を怠ってはいかん」
博士は助手に忠告し、続け様に言った。
「まず、普段から食品に対して味を記憶するくらい慣れ親しむこと。そして、味と食品の成分からこれとこれが合うんじゃないかと想像する。味覚の能力がなければ、とにかくひたすら実験してみる」
博士は、さらに続けた。
「これは、まだ私が助手だった頃の話だ・・・」

私が所属する学会での出来事だ。
「では、次、助手のはてな君、発表したまえ」
と、とんでも博士が言った。ちなみにとんでも博士とは、私が助手時代の教授だ。
「はい、カレーライスとオレンジジュースでマロン味です」
と私が答えると、とんでも博士は、カレーライスとオレンジジュースを取り出し、交互に一口食べて言った。
「はてな君、これは、本当にマロン味かね?」
私は、疑問に思いながら言った。
「えっ?マロン味と思いますけど・・・」
とんでも博士は、少し考えて言った。
「これは、どう考えてもハゲたオヤジの頭を舐めった味だよ」
そう、その時、私は、まだ味音痴だった。
「はいっ、分かりました」
私は、疑問に思いつつ納得した。
「また次がある。頑張りたまえ」
とんでも博士は、私を励ましてくれた。
私は、その言葉に後押しされ精進することにした。
そして、何ケ月か経ってまた学会で発表する機会が来た。
私は、その時学会で、オレオとオレンジジュースでメロンソーダ味になると発表した。
またしても的外れな成果だった。
そうやって、的外れな成果ばかり出しているうちに、「学会一の落ちこぼれ」と呼ばれるようになった。
ただ、ただ、悔しかった。泣いた。苦しかった。苦汁をなめるとは、こういうことだと体感した。
私は、次第に研究所に行かなくなった。
ある日、とんでも博士が私の家を訪ねてきた。
「はてな君、いるかね」
私は、急な訪問に驚いて出た。
「はい、何ですか?」
とんでも博士は、ある本を渡してこう言った。
「今は、一ヶ月ぐらい休むといい。その間に、君に課題がある。食事の時は必ずこれを使用すること」
渡されたのは、「減塩食事レシピ」というものだった
「はぁー」
私は、疑問に思いながら言った。
「じゃあね」
と言って、とんでも博士は去っていった。
――なんでこんな本を渡したんだろう。
と思いつつ、とんでも博士の言う通りにやってみた。
そして、一ヶ月して渋々研究所に行ってみた。
そこで、私は自分の味覚に驚いた。
どんな些細な味でも感じ取れるようになっていた。
そのおかげで、はちみつときゅうりでメロン味、ヨーグルトとマヨネーズでクリームチーズ味など数々の実績を得ることができた。
あとになってわかった事だが、味音痴とは、味の濃い物ばかり取っているとなるらしい。とんでも博士は、減塩生活することで味覚を取り戻してくれたのだ。

博士は、助手を励ますように言った。
「だから、お前も諦めるな!例え辛いことがあっても何度でもぶつかっていけ!」
博士は助手の拳をぎゅっと握って言った。

「最後にこれだけは言っておく。努力しない奴に価値は無い」

助手はくしゃくしゃの顔で
「博士ー」
と言って博士の方に抱きついた。
「よし、よし、今は泣くだけ、泣け。悔しさを噛締め、乗り越えろ」
博士は助手の頭を撫でながら言った。
 
 薄々感じている方もいると思いますが、この研究所は、ある食品とある食品を混ぜることでスイーツの味を導き出す計算式を研究している。
 研究者の間では、その計算式を「スイーツ方程式」と呼ばれている。

つづく・・・

他1件のコメントを見る
id:grankoyama

>さらに詳しい指摘
けちょんけちょんに指摘(しかもなんの根拠も無く上から目線)されても
大丈夫であれば、わたしのブログ(はてなダイアリー)でも覗いてみてください。

2012/05/12 13:33:36
id:grankoyama

アレですね。
ざっくりと、ですが、作品に込められたテーマというか情熱みたいなもんが、
あんまり伝わって来ません。
何故、このストーリを選んだのか、どうしてそんなにこのストーリを書きたかったのか
何を伝えたい? どう思って欲しい? どんな感想を引き出したい?
みたいな感じのところが、伝わらない分、迷走している感があります。

2012/05/13 23:27:36
id:minoru-0413 No.4

minoru-0413回答回数179ベストアンサー獲得回数232012/05/12 15:15:09

ポイント21pt

甘いみづ

街灯の下には蛍が沢山集まっていた。
キラキラと眩しいくらい光りながら蛍たちは僕にこう言ったんだ。
こう言ったん、だ、あああ あ ……

「辛いかい?甘いかい?」
羊が喋った。
なかなか寝付けなくて、羊を数えていた筈だ。
夢か…?
「君は心にフォークを刺して歩いているようだ。」
羊は1匹だけだった。
草原に、白い羊と黒い僕、白木で出来た柵と、小さな家が一つ。
数えていた筈の羊は居ない。
1匹しか居ないじゃないか。
「君の頭にストローが付いているようだ。」
頭に手をやっても何も無い。
この羊、何を言っているんだ…?
疑問は沢山ある。
「此処は何処だ?君の知らない場所さ。」
こいつ、いったい何なんだ!?
口を開こうとすれば先に答えられてしまう。
「如何やって此処に来たのか?君は寝惚けているんだろう。」
「私が誰かって?見りゃ分かるだろう、羊さ。」
「何を話しているかって?君のことを教えてあげているのさ。」
羊の口は止まらない。
横に睨んだような眼が、まっすぐ僕を見ている。
とくとくと、心の音と一緒に胸が痛む。
息が細くなって、その場に座り込むと、羊は喋るのをやっと止めた。
喉の奥から小さな木枯らしが滑り出るように、必死に息をした。
下の瞼から景色が歪んでいく。
胸を掻き毟るに、苦しさにもがく。
羊が増えている。
「食べてやろうか。喰べてやろうか。減らしてやろうか。そいつをさ。」
羊は氷の砕けるような声で言った。
羊が手を伸ばすと、胸から伸びたフォークが見えた。
「頭が痛い、胸が痛い、息が出来ない。」
必死にあげた声が、空にぶつかった。
木霊して、地を揺らす。
「ふふ、よく言うじゃないか君たちも。私もこれが好きなのさ。」
羊はフォークを掴むと、僕の心を粉々になるまで割って口に運んだ。
手を休めては頭に刺さったストローを口に入れ、またフォークを胸に刺す。
羊が食事を終えて走り去ると、痛みも苦しいのも溶けて無くなった。
フォークは刺さったままだった。
真っ暗な空から星が降ってきて、仰向けに倒れていた僕に、僕の心に降り注ぐ。
「右の世界は窮屈だ。左の君に譲ってやろう。」
去り際に羊が言った。

「お前は弱い。けれど、彼らもまた弱いのだ。」
ティーカップは写真を見て溜息を吐くと、僕に向き直った。
これも夢か。
「蛍か。お前にはあの美しい蛍に見えたのか。」
安心と哀れみの混じった顔をして、ティーカップはコーヒーシュガーを皿にのせた。
そして動かなくなった。
コーヒーシュガーの粒は「お前は甘い奴だ。」と並んでいた。

蛍は居なくなった。
変わりに人が沢山集まって、街灯の下に立っていた。
「本当に許してくれるのかい?」
人が言った。
人の目は皆濡れていた。
僕のフォークが抜けた。

id:grankoyama

これは、アレですね。
いい雰囲気なんですけど、もう一声って感じです。
『胸から伸びたフォーク』とかの場面が見えてこなかったり(表現が中途半端)、
ティーカップ以降のくだりとかラストの展開が、意味不明だったりします。
雰囲気は好きです。
ただ、村上春樹とかと比べると雲泥の差です。

2012/05/13 22:54:43
id:minoru-0413

これは、アレなんです。
意味不明が褒め言葉なんですっ!
精神病んだ人っていう、あの、
「信頼できない語り手」を目指して外した感が自分では気に入ってるんです←
すいません、これは完全に趣味の領域です。

2012/05/14 15:21:54
id:gm91 No.5

GM91回答回数1024ベストアンサー獲得回数912012/05/13 21:44:46

ポイント29pt

『宇宙の掃除士』 #01 take2 


「こちらウィロー、前方に目標を捕捉。編隊の規模L、接触は15分後の見込み。
至急、増援の派遣を要請します」

 俺は1200宇宙キロ向こうの司令部へ打電をした後、愛機のコクピットで息を殺したまま返事を待ち続ける。
 もちろん、宇宙空間で喚いたって誰にも聞こえやしないが、これは物の例えだ。
 外部へ俺の存在を知らせないように、座標を絞った指向性通信以外は一切の通信/索敵レーダの類を殺しておく。
 司令部へ打電が到達するのが約10分。応答が来るまで更に約10分少々といった所か。
 ベッドで二度寝するんなら一瞬だが、じっと孤独と不安に怯えて待ち続けるには永遠にも等しい時間だ。

 俺は時間を持て余して、正面のディスプレイから目を逸らす。
 ディスプレイの脇の銘板に刻まれた「オウガヘッダーβ」の文字。これがこの機体の名前だ。
 戦術行動用機動掃宙艇、通称モビルスイーツ。正しくは何ちゃらTacticalShipとかの略称だが、昔風にいえば宇宙戦闘機とか戦闘艇とでもいったところか。

 この仕事を始めてもう5年になる。気がつけばベテランの仲間入り。  
 やってることと言えば、専ら宇宙の掃除。
 とは言ってもデブリの回収みたいな立派な仕事じゃない。むしろゴミを生産し続けるのが俺らの仕事か。
 ゴミの原料になる連中の名はAIMS。まあ奴らには話が全く通じないから、コチラが勝手に呼んでいるだけだが。コレも何とかって略称なんだが何度聞いても覚えられないので、もう気にしないことにしている。略称ってのはなかなか便利だ。

 重要なのは、以下の2点、
 一つ、奴等が俺たちに危害を与えるということ。
 二つ、奴等が自己増殖する機械だってことだ。

 特に二つ目が重要なポイントで、生命の定義をちょっと見直すならば、機械生命体とでも呼ぶのが良いのかもしれない。新天地を求めて宇宙の海をさまよう俺達の船に、群れを成して襲いかかってきた連中は、群れの親玉を始末しないと何度でも復活してしまう。
 反応兵器でも使って雑魚もろともまとめてドカン、とできりゃあ楽なんだが、群れの雑魚共をチマチマ始末しないと親玉は姿を現さない。
 雑魚共も、一匹ずつの動きはトロいものの、数が多いとなかなか厄介な相手だ。 
 
 小さい群れなら単機でも対応できなくはない……が、今日の群れはなかなかデカい。
 正直、コチラも徒党を組んで出直したいところだ。
 
 しかし、残念な事に、うかうかしてると群れ毎トンズラされちまう。
 見つけ次第、誰かが張り付いておくのが鉄則だ。そうして寄ってたかって袋叩きにする。
 それが俺達の勝利の方程式。

 ――打電してから既に15分が経過している、そろそろ奴らにもコチラの存在がバレる頃だ。
 
 (しゃあねえ、いっちょやってやるか。)

  そう腹を括った瞬間、受信機が希望のファンファーレをかき鳴らした。

『ウィロー、こちらササダンゴ。要請を了解した。増援は手配済みだ。
 それまで持ちこたえろ。健闘を祈る』
「了解!」

 律儀に応答しておくや否や、俺はスロットルペダルを思いっきり踏み込んだ。

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

 俺にケツを引っぱたかれた愛機は、流星の様に奴らの群れへ突っ込んで行く。
 重力制御装置で吸収できない加速Gが俺を襲うが、どうってことはない。
 
 キッチリ16匹が横一列に並んだのが6行分、整然と、しかし左右へ蛇行しながらという奇妙な動きでこちらに迫ってくる。
 これが連中のお決まりフォーメーション。何の意味があるのかはわからない。
 わかってるのは、この形のときに懐へ飛び込むと連中は一切手出しができないって事だ。
 見つけた奴にちなんで、「ナゴヤ撃ち」と呼ばれている。

 わかっていてもなかなか度胸が要るが、ほぼゼロ距離から最前列を横から片っ端に落としていく。
 弱いものイジメをしてるみたいで気が引けるのも事実だが、こうやってマメに「駆除」をしないと死ぬのは俺達だ。
 と、敵の陣形が崩れ、そのうち乱戦になる。

 もちろん奴らも飛び道具を使ってくるが妙に弾速が遅いし、1~2発当たったところでこっちにはシールドがあるから、ボンヤリしてなけりゃ早々やられることもない。
 しかし、大勢に無勢とはこのことだ。あたり一面全て敵。笑うしかない。

 シールドのお陰で致命的なダメージは無いものの、シールドは回復するのに大分エネルギーを消耗する。このままではジリ貧だ。

「近接目標多数。ファイヤーバーストの使用を提案します」
 オウガヘッダーの戦闘支援システムが、ヨシコ・サカキバラの声で無様な俺に催促する。
 要は、防御シールドをわざと暴発させ、周囲の連中を吹き飛ばすって魂胆だ。
 しかし、その後シールドの回復には数十秒かかる。その間、俺と愛機は丸裸。

「こんな状態で使えるか!それこそ袋叩きだ!」
「ファイヤーバーストは、このような状況下で使う為の装備です。」
「わかったよ!」

 腐肉に群がる蝿の群れ(って言うのは俺も映像アーカイブでしか見たことが無いが)のド真ん中で炸裂したファイヤーバーストは、俺の心配をよそに周囲の蝿共を綺麗さっぱり吹き飛ばしてくれた。
 残された腐肉としては、ここで勝利の凱歌でも歌って昼寝でもしたいところだが、そうは問屋が卸さない。

 難を逃れた蝿共が、俺に向かって殺到するのにさほど時間はかからなかった。
 丸裸でひたすら逃げ回る哀れな俺。

「被弾、索敵システムにダメージ」
「あ、もうダメかも」
「まだ大丈夫です。」
 有難い事に、いつでもどんなとこでもヨシコの声は冷静だ。

「システム稼働率85%、致命的ダメージ無し。エネルギー残量が警告レベル。」
(それって、あんまり大丈夫じゃねえな。……帰れねえ)
 ぼちぼち年貢の納め時か……と思った時だった、

『こちらマルボーロ、ウィロー調子はどうだ?』
 ワープアウトして来たマルボーロことワカエから入電。

「こちらウィロー、見てのとおりでござんすよ。」
『減らず口叩けるなら心配ないな、援護する!』
 続けざまにワープアウトしてくる僚機達。

『こちら、パンナコッタ。生きてるかセガワ!』
『こちら、ガトーショコラ。待たせたな』
『こちら、ドンドルマ。戦闘宙域に到着。これより戦闘に入る』

『こちらマルボーロ、おせぇよお前ら!』
「お前が言うな!」

 瞬く間に蹴散らされる蝿共。
 いや、さっきまで俺が同じ数を一人で片付けたって事を忘れるな。

「そう言えば、スガセはどうしたんだ?」
『モギビワゼリーは、GBDの換装に時間がかかるそうだ。直に到着するだろう』
「え?アレもう使っちまうのか?」

『そろそろお出ましだぞ』

 ようやく姿を現した、コードネーム:“ボスギャラガ”
 青く光るでっかいカブトムシにも見える。
 コードネームの由来は太古に流行したTVゲームらしい。そんなどうでも良いことはよく覚えている。

『こちら、モギビワゼリー。目標を確認した。GBD、エネルギーチャージ。各機、散開せよ』

 GBDは重力場制御による攻撃、早い話が極小のブラックホールをぶつけて相手を空間丸ごと殲滅するってトンでもない兵器だ。
 とにかく巻き込まれたら堪らない、俺はスロットルを蹴っ飛ばし、全力で目標から離脱する。

『エネルギー充填120%、発射!』
 “ボスギャラガ”へ伸びる一筋の閃光。
 一瞬の後、敵を飲み込んだ巨大な光球が黒く変色しながら1点へ圧縮されていく。
 ――そして宇宙は再び静寂を取り戻した。

『『『『『「よっしゃあ!」』』』』』

「……こちらウィロー、スイーツ隊任務完了。これより全機帰還する」
『『『『『了解!』』』』』

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

「……あいつら一体何がしたいんだろう?」
『奴らのテリトリーを犯しているのは俺達の方だからな』
 俺の独り言に、ワカエが律儀に応えた。

『かもしれん。しかし何か?じゃあ引き返すのか?生き残る為には前に進むしかない』
 熱血漢のエゾエらしい意見だ。

「まあそうだけどよ」
『考えても仕方のないことは考えるな』
 エトーはいつも冷静だ。いや、一番冷静なのは無駄口を叩かないトキスか。

『そろそろだ……よしよし感度良好』
 ガス欠の俺の機体を曳航するスガセは、ラジオを弄っているようだ。
 生命維持モードになっている俺の機体ではわからないが、どうやら母船の船内放送が受信できる距離まで近づいたらしい。
 俺もつられてラジオのスイッチに手を伸ばす。
  
『今夜はクラシック・ナイト!最後のナンバーは、ダイスケ・イノーエ「めぐりあい」』

 勝利の方程式、今のところなんとか健在。
 俺にはまだ還れるところがある、こんなに嬉しい事はない……。
 
 :
 :
 :
 :

 ☆ ☆ ☆ C A S T ☆ ☆ ☆

SWEETS-01 “ウィロー”瀬川  cv: 山寺宏一
SWEETS-02 “マルボーロ”若江  cv: 大塚芳忠
SWEETS-03 “パンナコッタ”江副  cv: 堀内賢雄
SWEETS-04 “ガトーショコラ”衛藤  cv: 井上和彦
SWEETS-05 “ドンドルマ”時須  cv: 井上真樹夫
SWEETS-06 “モギビワゼリー”菅瀬  cv: 森功至

スイーツ隊司令 “ササダンゴ” cv: 古川登志夫



……誰も、一人では生きられない。


END

他5件のコメントを見る
id:gm91

いただきました!
ついでに悪ノリしておきました!

2012/05/15 00:58:37
id:grankoyama

※いぇすまいうぃー
うぇーすまぃぶうぃーえー
あがなえぶぁねーびーえ~え~~

愛しい人よ~も~いちど~~~

※繰り返し
誰も~ひとりでは~生きられない~

声優事情には疎いですが、ガンダムのベストアルバム持ってて良かったです。

2012/05/16 22:19:33
id:garyo No.6

garyo回答回数1782ベストアンサー獲得回数962012/05/14 00:53:07

ポイント18pt

『方程式とスイートちゃん』


「いらっしゃい方程式さん、何にする?」
坊主頭で丸顔のマスターはカウンターに座った私の前にコルクのコースターを置いて言った。
カウンター奥のステンドグラスのようにライトアップされた酒瓶を眺める。
「ウォッカベースで甘くないのを」
「分かりました」
マスターは後ろの棚から何本か取り出すと、シェーカーに入れふり始めた。
ワイシャツに黒のベストのマスターは一見怖そうだが、話すととても人懐っこいおっちゃんである。
シェイカーからグラスに注いだ後、レモンを入れたものが目の前に置かれる。
「どうぞ」
一口飲んで店内を見回す。店の奥にはダーツのマシンが3台、反対側には熱帯魚の水槽がある。最近マスターが凝ってるやつだ。5つあるテーブルには誰もいない。客は私とカウンターの中ほどに座ってる女性だけのようだ。
「見かけない人だね」、彼女をちらっと横目で見て言った。
「スイートさんは、最近ちょくちょく来られるんですがね。方程式さんとは初めてですね」
彼女が手を上げたのを見てマスターはそちらに行き何か話している。
2・3人いるバイトもまだ来ていないようだし、お客2人の相手は大変そうだな。今日は一人でゆっくり飲むか。
「方程式さん、すみません」、とマスター。
「彼女がダーツやりたいって言うんですが、いっしょにどうですか?」
客も居ないしマスターも2人まとめて相手した方が楽だろう。
「いいですよ」
ケースからマイダーツを取り出して、ダーツマシンの前に行って軽く素振りをする。
「練習あり?」、とマスターに聞いてみる。
「いいですよ」
何回か投げてみる。あんまりうまい方でも無いんだが、やっぱり結構ばらけてる。
カウンターでマスターが彼女にハウスダーツを渡しているのが見える。
「始めまして。よろしくお願いします」、と彼女が会釈した。
「こ、こちらこそ、よろしく」
近くで見る彼女は可愛かった。小さくて、純白のワンピースに真っ赤なペンダント。やわらかそうなほっぺに少し甘い香りがした。
「初めてなので教えてもらえますか?」
「だ、大丈夫じゃないかな。マスター凄くうまいし」、余裕で20トリ3本やハットトリック決めれるし。
「何やりましょうか。カウントアップ?」とダーツマシンのボタンを押しながらマスターが言った。初心者向けなら妥当なとこだろう。この前初心者の後輩にぼろ負けしたトラウマが蘇った。
「それでいいと思うよ」、とマスターに彼女と私の分の硬貨を渡しながら言った。
「順番どうします、投げますか?」
「彼女、自分、マスターでいいでしょ」ダーツは基本、先行有利。カウントアップは関係ないけど。正式には1本づつ投げてセンターに近い人から始める。
マスターは彼女を開始線に連れて行って投げ方を教えてる。
「それじゃあ始めますか」

                ・・・

「楽しかったですね」、と少し上気した顔で彼女は微笑む。
「そ、そうですね」初心者相手にぼろ負けして、少しこわばった笑顔で答える。
3ゲームやって2回彼女の勝ち。勝てたのは1回だけ。マスターはさすがに手加減してくれてたみたいだ。もうちょっと家で練習しなくては。
カウンターに戻ると、グラスが彼女の横に移動していた。マスターを見ると目配せしている。心の中でため息をついてあきらめて座った。
「いいですか」
「かまいませんよ」と彼女は、店内を見回して、「方程式さんは良くこの店に来られるんですか?」と言った。
良く来るといえば、店の社員旅行に誘われたり、マスターが別な店の周年に行くとき一緒についていくくらいの常連だけど。スタッフTシャツも持ってるし。
「ええ、良く来ますよ」
「何かお勧めのお酒ありますか?」
「そうですね……」バイトに教えてもらったお勧め酒をチェックする。紅茶のカクテルもいいけど……
「オリジナルカクテルがお勧めですよ。マスター、お店のオリジナルカクテルね」
「わかりました、方程式さんもグラス空いてますが」
「マッカランの水割りで」
マスターはうなずいて、シェーカーをふりはじめる。私と彼女の前に2つのグラスが置かれる。
一つはワイングラスの中が、青、透明、赤の三色に分かれたカクテルだ。この店オリジナル。
もう一つはウイスキーグラスに、マスターがアイスピックで丸く割った氷とお酒が入っている。
「綺麗」とワイングラスを見て彼女は言った。
「乾杯しましょう」とグラスを持ち上げて彼女の前に差し出した。
「乾杯」涼やかな音が店内に響く。
一口飲んで笑みになる。同じシングルモルツでもグレンフィディックみたいなスモーキーな香りでなくシェリー樽の甘い香り。マスターが手間隙かけたカクテルより、水で割っただけのウイスキーがなぜ美味しいのか不思議だが、そこがマスターの腕なのだろう。
「美味しい」と一口飲んで彼女は言った。
「でしょう」マスターは満面の笑みで答えた。このカクテルができたら、一人前って以前言ってたっけ。バイト君にはまだできない。
「方程式さんはどんな仕事しているんですか?」と彼女。
仕事って、リアル(現実)の話だよな。
「数学嫌いの女子高生に呪われたり、超弦理論で実験できないものは科学では無いと貶されたり散々ですよ。スイートさんはどうですか?」
「パティシエの父と一緒に暮らしています。女子高生はお得意様ですよ。いつも私を見ると笑顔になります」と微笑んだ。
人は0.3秒で恋におちるという。自分に無いものを持つ相手に引かれるのは遺伝子がそうさせるそうだ。
抽象概念が集うこのショットバー「イデア」でもそれは同じこと。
味覚、実体などスイートちゃんは自分が持っていないものをたくさん持っていることに気づいた。
特にその胸のボリューム感は……くらくらするのはお酒のせいばかりでは無さそうだ。
好きな歌手、最近見た映画やドラマなど他愛ない話を続けた後、思い切って言ってみた。「メアド教え下さい。今度デートしませんか?」
彼女は笑いながら
「メアドはいいけど、初めて会った人にデートに誘われてOKするほど、安っぽい女じゃないわよ」といった。
「ですよね」しょんぼりしながら、彼女とメアドを交換し。マスターに彼女のもつけといてねといって勘定を払ったあと店をでた。食事に誘うくらいにしとけば良かったかな。
その後も彼女とはお店で何回か会い、一緒にダーツしたり、お店のたこ焼きパーティを楽しんだり店が終わった後スタッフと一緒に食事したりした。会うたびに愛しい気持ちは募るばかりだった。
再度彼女に付き合ってと頼んだとき、家族に紹介して了承をもらえたらいいと言ってくれた。

            ・・・

待ち合わせの駅には少し早くついた。改札口からあふれる人ごみをみて、彼女を見つけられるか少し心配になった。
メールを打ってみる「スイーツさん、今どこ?」
「西側の改札口のとこにいますよ」
こっちは東側だ。
「わかりました、そっちに向かうので待っててくださいね」
急いで西側に向かう。柱にもたれかかるようにスイーツさんが立っているのが見える。彼女もこちらに気がついて笑顔で手を振っている。
「行きましょうか」今日は彼女の家に言ってパティシエのお父さんに会う日だ。何となくかたくるしいとも思うけど、彼女の希望だから仕方が無い。
駅からしばらく歩いた交差点の角に小さなお菓子屋が見えた。おしゃれな感じで確かに女子高生が良く行きそうな店だ。
「ただいま」彼女に腕を引かれてお店に入る。
中に入ると、カウンターの中のかなりごつい体型の店主が睨んで来た。いかにも職人気質で頑固そうである。
(がんばってね)耳元でささやくいた彼女にエィっと背中を押された。
「おっと」
ショーケースにぶつかりそうになってあわてて体を支える。
店主は無言でこちらを睨んでいる。
「す、すみません。方程式といいます」
やばい。だんだん緊張してきた。
「彼女、スイートちゃんを僕にください」
なに言ってるんだ、それは違うだろ。

「はい。500円になります」店主は笑顔で言った。
えっ?
「つつみますか?」
どう答えればいいんだろ「いえ。いいです」

            ・・・

「ありがとうございました」頭を下げる店主を後に店を出る。
腕を組んでくるスイートちゃんに、
「安い女じゃないとか言ってなかったっけ?」と聞いた。
「あの店では一番高いのよ」そういって彼女は笑った。
「これからよろしくね」
何かどっと疲れのでる一日だったが、無事スイートちゃんと付き合えるようになったみたいだ。
「こちらこそよろしく。これからどこ行こうか?」
「見たい映画があるの」
「いいね。賛成だよ」
方程式とスイートちゃんのお話はこれから始まる……


Fin

id:grankoyama

アレです。ずるいなぁ。お題が何でも大丈夫じゃないですか。
でも抽象概念ストーリは多分初出なので、アイデアに脱帽です。
カクテルのくだりとか、ダーツのくだりとかは、いらないっちゃいらないんでしょうけど
文章力のおかげで、めんどくさくなく読めました。

スイートちゃんなのか、スイーツさんなのかが気になります。

2012/05/14 21:59:24
id:garyo

ありがとうございます。
>アレです。ずるいなぁ。お題が何でも大丈夫じゃないですか。
サブマシンガンが女子高生をやってるうぽって見て、思いつきました。
>カクテルのくだりとか、ダーツのくだりとかは、いらないっちゃいらないんでしょうけど
冗長でしたね。書いてみたかったんです^^;
>スイートちゃんなのか、スイーツさんなのかが気になります。
確かにゆれていますね。

2012/05/15 21:08:20
id:gm91 No.7

GM91回答回数1024ベストアンサー獲得回数912012/05/14 01:17:15

ポイント20pt

SWEETS 16 #01 
 ”日曜日は少しだけ涙をこらえて”


「こちらサザンクロス、本部応答願います。」
『こちら本部、状況を報告せよ』
「敵拠点を発見」
『目標に間違いないか?』
「連中、ラーメン屋に偽装していますが、おでんが置いてあります。間違いありません。」
『応援を寄越す、それまで待機だ。いいな?』
「了解」

 敵、と言うのは、悪の秘密結社”ナガサキンフーケモン”。
――ナガサキベン原理主義者による日本支配を目論む連中だ。
 連中の主な活動は……
 ラーメン屋におでんを置いたり、
 料理にやたら砂糖を入れたり、
 うどんに薩摩揚げ(連中曰く「丸天」)を入れたり、
 干芋をかんころ餅にしたり、
 稲庭うどんに五島うどんを混ぜたり、
 ハナマルキ味噌をチョーコー味噌にすり替えたり、
 コンビニのスイーツコーナーに、たらみのみかんゼリーをばら撒いたり……。
 と、意外と地道な努力を続けている。

 その涙ぐましい努力を打ち砕くのが、我々の使命。
 ちょっとかわいそうな気もするが、ナガサキベンが標準語になるのは耐えられない。

「そこで何ばしよっと?」
「!」
 不意に声をかけられ、狼狽するサザンクロスこと俺。

「ナ、ナガサキベン!ナガサキンフーケモンだな!覚悟しろ!」
「な、何故そいば?オイの標準語は完璧かはず!」
(いや、わかるだろ普通)

 早速、囲まれる俺。いきなりピーンチ!どうする俺?

「セカラシカ!」
「トットット!」
「ヤグラシカ!」

「うわぁ~やめろ!俺を洗脳するなー!」

「ふっふっふ、君もはよナガサキベンば覚えなさい」
「いやだ!」
「強情かねえ~。じゃあしょんなか、こん人ばお店に連れて行かんね!」
「イエッサー!」

 + + + + + + + 

 アジトの奥に監禁された俺は、敵幹部らしき男の尋問を受けていた。

「何で標準語ばナガサキベンにしたらいけんとね?」
「人は皆どっか違うのが当たり前だろ?言葉だってそうさ」
「そげん理屈はいらんとよ、ナガサキベンこそ美しか」

 パンッ!
 その時、部屋に鳴り響く銃声!

 ルールルルルルルルールルルー♪
 荒野の用心棒のテーマをバックに、ドアを蹴破って飛び込んで来た男は無言のまま、両手拳銃を腰ダメで撃ちまくった!
 「おい!やめろっ!!ウエスタン!!わっ、危ねえ!」
 狭い部屋を逃げ惑う敵幹部と俺。

 カウボーイハットに薄汚れたマントを羽織ったその男は……ウチの工作員、コードネーム”ウエスタン”だ。
 ウエスタンは、部屋を蜂の巣にした後、リボルバーの弾倉を開け手早く弾を装填する。その間1.5秒。
 指でクルクルと拳銃を回して、腰のホルスターへ収めようとした時、パンッと音を立ててウエスタンの足元スレスレを掠め、ブーツのカカトの拍車を撃ち抜いた。

「あ、いけね、ダブルアクションだった」
 しゃべれるんかコイツ。

「サザン、そのざまは何だ?とっとと帰るぞ」
「な、ちょアンタら人の話ば聞かんね!」

 喚く敵幹部を無視して立ち去ろうとした時、また新たな訪問者が現れた。

 チャララ~チャラララ~♪
 第三の男のテーマをバックに登場したその男のいでたちは、ダブダブの服に頭巾。
 右手に釣竿と左脇にでかい鯛を抱えたその男は……間違えようもない、もちろんウチの工作員だ。

「えべっさん!」
「あ、もう終わり?せっかく応援呼んどいたのに。じゃ、一仕事して帰るか」
 えべっさんは、そそくさと取り出した袋に金目の物を放り込み始めた。
「さっすが布袋さんの袋は何でも入って便利だねぇ。役得役得」

(……コイツ、人ん家のモノ売り飛ばす気だ……)

「てやんでえ!」
 呆気にとられる暇も無く、次の訪問者が。
「こちとら江戸っ子でぇ!風呂入ってたら出遅れちまった!てやんでえ」
 ……もはや何も言うまい。
  
(これで終いかな?)

 と、思った時、
「5、4、3、2、1、Thunderbirds are Go!」
「えっ!?」

 頭上からロケットが降って来た!
 チャッチャララ~チャッチャラチャッチャッチャー♪
 勇ましいテーマ曲と共に現れた、コードネーム”Thunderbird1号”
 ……ちなみに1号しかいない。念のため。

「国際救助隊です!大丈夫ですか?」
「いつからウチは国際救助隊になったんだよ!」
「細かいことはキニシナイ!……あれっ?リーダーはまだ来ていないのですか?」
「えっ、リーダーって?」
「そうか、サザンはまだ会った事無いんですね」

(いやな予感がする……。)

「ハッハッハッハッ!」
 高笑いが辺りに響く。

「待たせたな諸君!
 そーです私がリーダー、コードネーム:”サンフラワー”ただいま参上!」

 サンフラワーを名乗るその男、全身タイツに薄っぺらい赤いマント、顔にはヒマワリの花の着ぐるみにサングラスのオマケ付き。
 ……どう見ても「ひまわり怪人」だ。

「遅いよリーダー!」
「リーダーは最後に登場するものだ!」
 ……いや、それも悪玉っぽい。 

「よーし全員揃ったところで、いつものアレやりますか?」

「アレとは?」
「そうさ、アレこそ俺らの勝利の方程式!いくぞ!」
「ラジャー!」
 俺を除いた全員の心が一つになる。
 ……あ、もう一人いた。

「アンタら人ん家で何ばしよっか!」
「まあまあ落ち着いて……」
 激昂する敵幹部に、何故かなだめ役に回っている俺。

「出でよ!トビウオ怪人、アゴバスター!!」
 奥から出てきた怪人……というか半魚人。とれとれピチピチだ。

「アゴバスターはトビウオの筋肉ば培養し、驚異的な力ば持っとっと!きっと空も飛べるはず!」
 アゴバスターのフライングクロスチョップに吹き飛ばされるひまわり怪人、じゃなくてサンフラワー。

「く、くそッ」
「リーダー!」「えーっと俺どうしたら?」

「絶望ォーに、身ばよじれェ虫けらどもォォーッ!!」

「♪ニチヨウビハスコシダケナミダヲコラエテ……」
「?」
「リーダー?」
「イキタイバショニシルシヲツケタラースーグニデカケルゼー♪ 」
「リ、リーダ、それ以上はJASRACが!」

※大人の事情により一部割愛しております。申し訳ありません。

「震えろッ!俺たちのハート!
 刻めッ!魂のビート!
 荒ぶるモトハルの魂よ今ここに! スイッチオン!!
 くらえッ、スーパーウルトラグレートデリシャスワンダフルアターーック!!」

 なんだかよくわからないがとにかく爆発、爆発、大爆発!
 焼き飛魚と化したアゴバスターと、腰が抜けた敵幹部。そして木っ端微塵の敵アジトと周辺地域。

「我らSWEETS16!この町の治安は俺達が護る!!」

「え、俺も入ってるの?残りの10人は!?」


(つづく!……かもしれない。)

id:grankoyama

頭文字とってSWEETSなのなら16と矛盾してアレだ……。

とまあ、細かいところはさておき、意外や意外、私以外にもかきつばたで、ノリ一辺倒の
しかも戦隊モンライクなテイストが醸しだす作品が読めるとは。
原曲が佐野さんなんですね。もはや作品の中核でもなんでもないですけど。
楽しく読ませていただきました。

2012/05/14 22:05:26
id:gm91

細かいことはキニシナイ!

2012/05/14 22:57:25
id:sokyo No.8

sokyo回答回数1372ベストアンサー獲得回数952012/05/15 01:10:15ここでベストアンサー

ポイント32pt

『ケーキを代入!』

私が彼に初めて会ったのは、遠田先生の応用言語学の中間テストのときだった。南講義室の最後列で、私の隣に座っていたのが彼だった。
彼は異様だった。そもそも大学生じゃなくて、中学生ぐらいに見えて、紺色のぶかぶかパーカーのフードをかぶってて。
でも合図がして、テストが始まると、彼は迷いのない速度でシャーペンを走らせ始めた。その隣で私はグリムの法則につまづいて、「Kuchen」というドイツ語に該当するギリシア語が何なのか考えあぐねている。私と違って彼はきっと、応用言語学をきちんと自分の血や肉にして夏学期を終えるんだろうなあ。エラいなあ。
こんなことを考えている私にとって、彼はまだ完全に他人だった。
テスト開始からしばらくして、先生と助手さんは学生に学生証の提示を求めて回り始めた。私たちの列には助手さんが順にチェックしていく。助手さんが来て、私は学生証を提示して、助手さんはリストに書き写す。そして折り返して、向こうの列の彼に当たる。すべての所作を、助手さんは手際よくこなした。でも彼のところで、その手際よさは、止まった。彼は本当に学生証を持っていなかったみたいで。
彼と助手さんは小声で話し込んでいた。私は聞き耳を立てた。中学生とか学務課とかって単語が聞こえた。しばらく問答があったあとで、テストは途中だったはずなのに、彼は助手さんといっしょに講義室をあとにした。助手さんは前を向き、彼は後ろを見ていた。視線の先には、彼が座っていた席があった。
だれもそれを気に留めなかった。扉が閉まる音がした。ほどなくチャイムが鳴った。
結局テストにはぜんぜん集中できずじまいだった。ふと彼が座っていた席を見ると、そこには小さなノートが落ちていた。私はそれを拾って、そっと開いた。板書のメモが鎮座し、周りに数式が熱っぽく踊っていた。筆記量は私の倍はあった。私はそれを、かばんにしまった。 遠田先生が助手さんと話をしていた。
私はそのまま学務課へ行ってみた。彼の姿は見当たらない。でも私は、その隣の応接室のすりガラスの向こうに、紺色の人影を見つけた。彼のパーカーの色だ。
私はふせんを取り出して短くメモを書いた。そしてそれを、応接室の前すぐの床に貼った。気付いてくれると思う。たぶん。きっと。
先に買い物をして、すぐに戻ってこよう。

  *  *  

3限の南講義室は空き教室で、見事にだれもいなかった。私はさっきの席で、彼が来るのを待っていた。やがてやってきた彼も、やはりさっきと同じ席に座った。
「辛いかい?甘いかい?」
私の声で、彼はこっちを向いた。ひどい顔をしていた。
「君は心にフォークを刺して歩いているようだ。」
「なに。」
彼は私から視線を外して、言った。
「私が好きな小説に出てくるセリフ。いますごく流行ってるんだよ、私の中でだけど。」
「持ってんの? 俺のノート。」
「あるけど、その顔じゃあげられない。」
「……。」
「代わりにこれあげる。」
私は買ったばかりの冷たい箱を机に上げて、彼のほうへ寄せた。彼は動かない。
「さっき、応接室にいたでしょ。なんて言われたの。」
「…れぎぬ。」
「え?」
「ぬ・れ・ぎ・ぬ。」
「あ、代返とかと疑われたのね。」
「吐けとか言われた。」
「代返とかじゃないんでしょう?」
「あいつの方程式がぜんぜん解けなかった。」
「ほうていしき?」
彼は急にまくしたてた。
「人の気持ちは関数で、その日の天気とか好みとか相手への興味とかが変数で、各々に重み係数が付いて、その総和が一つの関数を成してんじゃん。故に誰かを或る気持ちに導きたければ、その関数を近似して、それに応じて適切な値を変数に代入して行けば良いだろ。例えばゼロを導きたければイコールゼロにしてそれを解けば良いじゃん。けど、あの学務課長とやらの関数は、保身だの上層部の意向だのにハンパないでかい係数が付いてた。マジ意味分かんねえし。見方に依っちゃ、奇特な若人が勉学に励んでんじゃん。それで良いじゃん。だのに何なの。大人って全員ああなの。」
彼の声はだんだん嗚咽で歪んでいった。 私は尋ねた。
「学務課の人、それでなんて言ってた? もう来ちゃだめだって?」
「俺の潔白が分かって『以後気を付けろ』だと。胸糞悪い。」
「じゃあまた来てもいいってことじゃない。」
「……。」
「立場上またおいでとは言えないから。」
「……。」
「だれも悪くないのに、そうなってしまうことってあるんだよ。」
「……。」
「次からはテストはやめといたほうがいいよ。その箱を開けてごらん。それあげるから。」
彼はそこで初めて箱に手をかけた。3つの命が宿ってる。
「…夏蜜柑のケーキ…? 何で。」
私はふざけてみた。
「新作だったから。」
「そういう意味じゃねえし。」
そのとき、彼は初めて笑った。笑うとまるで子どもだった。
私は彼にノートを放った。彼は片手で器用にそれを受け取った。
「みんな、勉学に励む若人の味方だよ。遠田先生のゼミ、入りたい?」
私は聞いた。彼は首を傾げて、頷いた。
「ケーキがなんで3個なのか、分かる?」
「……、?」
「1個はあげる。1個は私の。最後の1個は…あっれぇーなんだったかなぁ、遠田先生の好きな食べ物。」
彼は一瞬間を置いて、
「解けた! ケーキを代入!」
って叫んで立ち上がった。
「ちょっと! 今日から私が先パイだからね!」
すぐに教室を飛び出した彼を、私はあわてて追いかけた。

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id:minoru-0413

あまりの衝撃に眼球が飛び出そうなくらい熱くなりました…!!

2012/05/15 17:08:45
id:grankoyama

アレだな~。
腕が生えていると思った。ペンだこまみれの指先でもなく、芸術家が削り上げたような
美しい彫刻でもなく。
RB-79の不細工なマニュピレータなのかも知れない。
でも、その腕が、心を、つかみ、揺さぶる。
揺さぶられた心は、静かに『ベストアンサーにして終了』をクリックする。

もう一度言う。腕が生えていたんだと思う。

2012/05/16 22:22:49
id:sasuke8 No.9

sasuke8回答回数12ベストアンサー獲得回数22012/05/15 07:57:29

ポイント23pt

『恋の方程式の超越的解法』


恋の方程式というものを教えてくれたのは6つ年上のお姉ちゃんで、中学生のわたしに宿題を教えながら、突然そんな話を始めたのだった。

公式は、

a0+a1x1+a2x2+…+anxn= 0

で、最後の0をラブと読む洒落なのだが、なんとなく今日まで覚えているし、今でも、ふとしたときにこの式を頭に浮かべてしまう。
姉曰く、この方程式は誰もがもっていて、方程式の解は、方程式を持っている人の理想の恋人を現している。つまり、変数xには異性のパラメータが入り、各パラメータに対する好悪が定数aとして与えられるというわけだ。
この式は左辺と右辺がイコールで結ばれているのが重要だと姉は言った。

「左辺は愛情の相対的な大きさを表しているの。それがマイナスになるなら恋人未満、これはダメ。でも、プラスになるのも恋情以上の感情を抱くということで、これもよくない」
「恋以上なら愛ってこと? いいじゃん」
「ダメ。全然ダメ。あんたはだから子供なのよ。子供、ダメ子供。ダメなのよあんたは」
このころのお姉ちゃんは容赦がなかった。
「で、愛情以上っていうのはね、もう家族なのよ」
「家族?」
「あんた、お父さん好きだけど、性的に愛せる?」
「せ、性的にっ」
「違うよね。そういうことじゃないもの。でも家族は、恋人と同じくらい大切。まぁね。みんながみんな家族に真っ当に愛されて、そういう感情を持っているわけじゃないよ。でも、人間には『家族に対する愛情』という感情がプログラムされている。そこに入っちゃったら、恋人というか、下手したら『お母さん』になっちゃうのよ」

それから、なんとなく好きな男の子ができるたびに方程式を思い浮かべて遊んでいたわたしは、やがて中学三年生のときにわたしが本当に好きな子がわかる。わかったのだ突然。それは進路指導の後に真剣にリアルな未来を想像した結果、わたしがどうなるか全然わからないのだけど、とりあえずわたしはわたしの家の隣に住むわたしより4つ年上の龍之介くんと一緒に居たいと思ったのだった。それは遅すぎる気づきで、それまでに既にまかれていた恋がいつの間にか芽吹いていたことに今更気づいたということだった。そのまかれた恋の種のいくつかにもわたしは気付いたけれど、それについてはここでは割愛する。
龍之介くんは幼馴染で背はわりと高くて色が白くてひょろっとしているけれど目がくりっと大きくて笑うと人懐っこくダッサイ眼鏡を差し引けばそれなりに整った顔をしているオタクで、頭はいいのに実家から通える国公立の大学に進学してそのガツガツしない感じがまた好きだったりする。というか今はほとんどが好きになってしまっているのでこんな記述に意味はない。

それからわたしは龍之介くんに宿題を教えてもらうことを口実によく部屋を訪れたりするようになるけれど、龍之介くんは紳士的というかクールというか奥手というかもしかして単純に女の子に興味がないというか、うう嫌だけどわたしに興味が全然ないのかもしれないとマジ凹むくらい全く進展はなかった。それでもわたしは龍之介くんの方程式を解くためにあらゆる方策を試していった。結局のところ、あの公式を解くにはあーでもないこーでもないと自分のパラメータをアピールしたりすることで方程式に代入していって結果を確認していくしかない。元カノの情報があれば連立方程式(不等式)のようにして見当をつけることもできそうだけど、龍之介くんに彼女の影がぜんぜん見当たらないのでしょうがない。わたしは髪を短くしたり伸ばしたり眼鏡をやめたりやっぱり眼鏡にもどしたり流行りの服から昔の服までお小遣いの範囲で変えてみたり小説にはまったりゲームにはまったり図鑑を熟読したりとにかく関係ありそうなことをやりまくったけれど、龍之介くんの反応は冷たいものだった。龍之介くんは優しいので本当に冷たくはしないけれど時々「アヤメちゃん、本当は宿題でわからないとこないでしょ」とズバリ心を見透かすような発言をしてくるので油断がならない。それでも何とか通い詰めて3年が経過してわたしが17歳になったときにやっと少しだけ事態が進展する。


「これ、調理実習で作ったんだけど……」
「こ、これはッ!」
それは単なるプリンだったけれど、龍之介くんの驚きようは半端ではなかった。プリンを凝視したかと思うと、ハッと正気に戻って言い訳めいた早口でしゃべるが感動が抑えきれていない。
「い、いや頭ではわかってるんだ。プリンというのは別に難しくないし家庭でもできる。でも、それが本当にこうやって存在して、さらにこんなにたくさん……トレイ一杯にあるなんてことが夢のようで……ああ」
わたしも本当に夢のようだった。こんな龍之介くん初めて見たから。
それからわたしは様々なスイーツを作っては龍之介くんの家に持ち込み、それを龍之介くんが神のように崇めるという日々が続いた。龍之介くんの両親は甘いものが嫌いであまりスイーツを買ってくることはなく優しい良い子である龍之介くんは両親の意向を無意識に汲んであまり甘いものを食べないようにしていたらしい。龍之介くんの両親も優しい人で龍之介くんが好きならば喜んで買ってきたろうが、龍之介くんの優等生ぶりに見事に騙されてしまって龍之介くんも甘いものが好きではないと誤解していたようだ。それを解くわけでもなく20年が経ち、ようやっとわたしがそれを解いた、と。ありがとう龍之介くんのお父さんお母さん、おかげで、わたしは一歩龍之介くんに近づいた……はずだったのだが……。

二人きりの部屋、龍之介くんは真剣な目でわたしを見つめている。その目にはこれまで見たことのないような情熱の炎が静かに燃えている。
「あやめちゃん……」
「何?」
「君は神だ」
龍之介くんのスイーツ定数の値が思ったよりも高すぎた。抑圧されていた扉を開いてしまったというか変なスイッチが入ってしまったというか、わたしは恋人や家族の位置を飛び越えたスイーツ神に位置づけされてしまっているようだ。それも龍之介くんの反応が嬉しくてわたし自身がお菓子作りに熱中してプロ並みとはいかなくても高校生にしてはかなりマニアックな領域に達してしまったこともある。詳しくはCookPadのわたしのアカウントでも見てください。

わたしは片手をあげて厳かに告げる。
「崇めよ」
ノリで言ったのに龍之介くんは平伏する。へへーとか言って。何これ怖い。

……とまあ二人の関係はよくわからないものになってしまったけれど、実はわたしは概ね満足している。空白だったわたしの将来にパティシエというものがちょんと納まったからだ。龍之介くんまではいかなくても、わたしのお菓子を食べて喜んでくれる人がたくさんいて、それがわたしのトビラを開いた。もっともっと喜ばせたい。嬉しそうな顔を見たい。
あと、依然として将来のわたしの横には龍之介くんがいる。家族は性的に愛せないけれど、神様なら何とかなるんじゃない?

id:grankoyama

アレですね~。
ストーリはいいです。特にラストの締めかた。
ただ、文章がつまっていて読みにくかったのが残念といえば残念。

2012/05/15 21:52:42
id:sasuke8

講評ありがとうございます。
文章はつめて疾走感をみたいな目論見は、外れてましたね。確かに今読み返すとなんかベタベタしてよみづらい。精進します。

2012/05/15 22:43:39
id:takejin No.10

たけじん回答回数1486ベストアンサー獲得回数1922012/05/15 15:10:38

ポイント17pt

『a piece of cake』

「先生、お土産をいただきました。」
大学院生の矢野が、教授室に飛び込んできた。
「なんだね、たかがお土産で。だれからいただいたんだね。」
「隣の佐藤助教授です。ベルギーの学会に行ったんだそうで」
教授は、フンっと鼻を鳴らすと、冷蔵庫を顎で指した。
「そこへ置いておきたまえ、あの佐藤の選んだものでは、まずいに決まっておる。」
矢野は惜しそうに、土産を冷蔵庫の上に置いた。
「きっと、ベルギーチョコのザッハトルテなんだろうなぁ。ほんのり甘くて、それでいて程よい苦みもあって、口どけもとろけるようで、いい香りがするんだろうなぁ。コーヒーも談話室に並べてたのになぁ。ゼミの前のちょうど良い息抜きのタイミングで、佐藤助教授持ってきてくれたのになぁ。」
鳥居教授はイライラしながら、全然出ていかない矢野に言った。
「もっていけ、もっていけ。」
矢野は、冷蔵庫の上からチョコレートケーキの箱を取り、飛び出して行った。教授のやっぱり欲しかったなぁという顔を残して。

談話室では、研究室の学生と助手が集まっていた。
「あれ?教授は?」
助手の目黒が聞く。矢野は首を振る。
「まあいいや、みんなで分けよう。」
目黒の言葉を待っていた矢野は、要領よくザッハトルテを切り分け始めた。院生の前に置かれたケーキの形を見て、学部生の山田が声を上げた。
「あれ?」
山田の目の前には、かなり鋭角なケーキが乗っていた。
気配を察した矢野は、院生に配りながら、こう言った。
「スイーツを分けるには、方程式を解かないとダメなんだ。」
矢野はホワイトボードに近づいていく。院生は3人とも、ニヤニヤと笑っている。
マーカーを持った矢野は、ボードに丸を書き始めた。
「えーと。このお土産のザッハトルテは円形。2πだな。」
丸を黒く塗りつぶす。
「内部は均質だから、平面投影で十分っと。研究室には、学部生3人、院生が1年2人、2年2人。」
ボードには、大きい黒い丸と、青い楕円が3個、オレンジの楕円が4個並んだ。
矢野は赤いマーカーを持つと、さらに楕円を書き足していく。
「教授と目黒助手と坂井研究員で、10人となる。」
矢野は山田を見て、ケーキの箱を指差した。
「10人だから、十等分で配ればいいじゃん、って考えてるだろ。それじゃあ、情報学の研究室にいる必要はないな。」
戸惑っている学部生の松岡に、矢野は問いかける。
「学部生と、院生と、教授と、研究室に貢献する度合いは同じか?」
「い、いいえ。違います。」
「そうだよな。そこで、お土産をもらうことに対しても、貢献度を計算に入れる。貢献度による重みづけ算出法だ」
目黒助手が手を上げる。
「矢野先生。どのように貢献度を計算するんですか?」
「いい質問ですねぇ。目黒君。」
ホワイトボードに向かう矢野。ボードを手で軽くたたき、
「この場合は、単純に論文数でいいでしょう。学部生はまだ書いてないから最下層で、院生はまだ卒論だけだからその上で、あとは順に研究員、助手、教授でしょう?」
ボードには、青い楕円の上にオレンジの楕円が乗り、その上に赤い楕円が乗っている絵が描かれている。そこを手でたたきながら、
「単純に、学部の切断角をx度とする。これは固定値で、最少の角度を示している。院生の切断角は2x。最上位の層の人たちは貢献度に応じて、3x5x6x、xの合計は?」
さされた山田は答える。
「えーと、学部が3xで院生が8xで教授たちが14xだから、25xです」
矢野は、黒い丸を目分量で25等分する。
「これを分けるわけだ。だから学部生は、25分の2πだな。」
山田と松岡は目の前のチョコレートケーキの角度が15度くらいに切られているのを見比べた。
「教授には6xですか」
研究員の坂井が矢野に聞いた。
「そうです、建前からははかなり多くするべきですが、当研究室での貢献度は、目黒さんとくらべてどうなの?という点を考慮すると、こんな感じでは ないでしょうか。」
ケーキを平らげてしまった山田が、切り分けた残り入りの箱を持って言った。
「じゃあ、最下層の私が、これを教授に届けますね。」
「ああ、頼む。もうじきゼミが始まるって、ついでに言っておいて。」

ゼミの終了後、山田は矢野に声をかけた。
「矢野先輩、スイーツを分ける方程式を教えてください。」
「なんだよそれ。」
「さっきの解説、わかりやすかったんで。」
「なんだよそれ」
「いいから教えてくださいよ」
矢野は、山田に向いて言った。
「何くれる?」
山田は矢野を見返して言った。
「キルフェボンのタルト。ホールで。」
「よし、手を打った。」

数日して、松岡は、山田が難しい数学書を読んでいるのを見かけた。
「山田、おまえ線形代数学なんて取ってたっけ?」
「いや。」
「微分方程式の特殊解法とか、トポロジーとか、なんだこれ波動関数?お前、量子力学なんて必要なの?」
「必要なの。」
見たこともない複雑な行列式を真剣な表情でいじっている山田を見て、松岡は首をかしげた。
「お前、何やってんの」
「分配法則の方程式を、一般化してるんだよ。そのアルゴリズムを考えてるんだ」
「へええ」
変な研究を始めたな、と松岡は思った。

トントン。
「は」
ノックの答えを待たずに、矢野が鳥居教授の部屋に入ってきた。
「何かね。」
矢野の手の上には、お皿が乗っている。
「教授、画期的です。ケーキの分け方に、こんなやり方があるとは考えもしなかった。」
白いケーキのようなものが乗っている。どうやらイチゴのショートケーキのようだ。
「また、佐藤助教授にケーキをいただいたんですが、学部の山田のプログラムの指示通りに分けたら、こうなったんですよ。」
矢野は鳥居教授の机にお皿を置いた。三角形の普通のショートケーキにしか見えない。
「これは、普通に丸いのを10個に切り分けたのではないのかね。」
「いえ、1個しかいただいてません。今回は、佐藤助教授の何かのお祝いで余ったのを、山田がもらってきたんですよ。それを山田の作ったプログラムで切り分けると、研究室全員が、この大きさで」
「どうなっているんだ」
教授室に、もう一つケーキを持って山田が入ってきた。教授の前のケーキと寸分も違わないものだった。
山田はホワイトボードに向かうと、びっしりと行列式を書き始めた。
「ケーキの分子構造と組成分布を測定して、テンソル化します。このテンソルを微分方程式にかけて、研究室の人員の重みづけマトリクスと合成します。出来上がった積分方程式は解析的に解けないので、このプログラムで逐次計算します。プログラムにのせる係数はこの」
延々と、行列と微分方程式を書き続ける山田に、教授が声をかける。
「その逐次計算の計算時間はどれくらいなんだ?」
山田は、教授に振り向きにやりと笑う。
「いい質問ですね、さすが教授。国立大学計算機センターの85%のCPUをフル稼働させて、82時間37分11秒でした。また、レーザー微細切断作業に1個当たり11時間42分37秒かかります。」
山田に向かい鳥居教授は尋ねる。
「そのケーキは、この間の佐藤君の誕生日のケーキではないかね。」
「よくわかりましたね。そうです」
「やはりそうか。」
鳥居教授は、ケーキを矢野の目の前に持ち上げて言った。
「賞味期限切れだよ。2週間前ではないか、誕生日パーティーは。」
カラカラに乾燥していたショートケーキは、フォークを差した途端に細かく砕け散り、跡形もなくなってしまった。

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id:grankoyama

アレだって。
難しかったです。
超軽快な雰囲気は封印しつつも、読みやすい話ではあったんですけどね。
文系頭で、その辺の知識とか大学ゼミの雰囲気とかわかんなかったりするので。

2012/05/15 23:05:36
id:takejin

説明抜きで書いたので、わかる人にしかわからない展開です。理系でもさらに限定でお送りしました。

2012/05/16 00:20:14
id:yarukimedesu No.11

yarukimedesu回答回数283ベストアンサー獲得回数482012/05/15 19:48:58

ポイント12pt

スイーツ(笑)の方程式


『x + y =3…(1)

 3x + 2y =8…(2)』


 数学教師、原田又男は、そう黒板に書いた。テスト前だから、試験範囲の復習。ルールさえ知っていれば、簡単な連立方程式だ。


「この場合は、まぁ、方法は色々とあるけど、そうだな。エックス、プラス、ワイ、イコール……」


 原田が説明をしだすと、教室の女生徒が何人か、クスクスと笑い出した。原田は、少し間を開けて、再び、説明を続ける。


「うん。この(1)式を(2)式にあわせるために、3をかけて、さんエックス、プラス、さん……」


 またもや、数人の女生徒がクスクスと笑い出した。箸が転がっても面白い年頃はあるかも知れない。中学2年生と言えば、まさに、その頃なのじゃないか、と原田は考え、説明を再開する。


「エックス……。」


 クスクスという声。実は、原田は、女生徒が何で笑っているかは検討がついていた。自分が中学生の頃を思い出すと、そういうことで、ニヤニヤとしていたし、まぁ、女の子がそんなことを考えるのも、変じゃないかも知れない。原田が中学の頃とは、性に関する考えも変わっただろう。


「あー。うん。さっきから、何人か笑っている生徒がいるが……なんだ、男子の方もニヤニヤしているな。」


 改めて教室を見渡すと、声を上げていたのは数名だが、その声につられてか、ニヤニヤと顔を綻ばせている生徒が、結構いた。笑いが伝播しやすいのも、この年頃の特徴だろうか。


「うん。あんまり、こういうことを言うと、先生も立場上良くないのだけど、今は数学の時間だ。『エックス』なんて言葉は、問題ごとに出るし、他にも沢山あるだろう。例えば、職員室には『ファックス』があるし、君達は『ソックス』をはいている。先週の金曜ロードショーでは『マトリックス』がやってたし、その……。」


 と言いながら、原田は黒板にアルファベット三文字を書いた。「マジかよ……」という空気が教室に流れる。


「『SFX』技術は凄かったな。」


 教室は、変な安堵感に包まれた。それを確認して、原田は、続ける。


「まぁ、君達の年頃は、そういうことに興味があるだろうし、先生も、中学の時は、そうだった。だから、そんなことじゃ怒らない。でも、今は授業中だ。もう、これぐらいにして、ちゃんと勉強しような?」


 原田は話をしながらでも、女生徒の動きを注意深く見ていた。


「だから、この手紙も、今は、預からせて貰うぞ。」


 と、言い。ぱしりと、女生徒の手から、ノートをちぎって作った手紙を取り上げた。「見られて困るようなモノは書いてないよな。」と、軽いノリで、流れるように手紙を開いてしまった。それは、迂闊なミスだった。女生徒は、ワっと泣いてしまった。原田は、一瞬、硬直したが、すぐに自分を取り戻し、手紙の内容には触れないで、すぐに手紙を、彼女に戻した。

 少し授業の雰囲気が淀んでしまったが、女生徒も泣きやみ、授業は再開された。こういう時、教師は自分の授業が長く感じる。



 授業が終わり、原田は職員室に戻ってきた。先ほどの授業中に受けたショックが尾を引いているのか、肩を落としている。それに気がついたのか、同僚の体育教師、大沢利一が、原田の肩を揉みながら言う。


「どうしたんですか?原田先生?元気ないじゃないですか?」

「あー、いや、ちょっと、さっきの授業で……。」

「何か問題でも?」

「あー、いや……。」

「煮え切らないなぁ。言っちゃって言っちゃって……。」

「ちょ……大沢先生、痛いです。」


 大沢は緊張をほぐそうとか、さらに原田の肩に力を込めた。学生時代のラグビー経験は伊達じゃあない。


「痛い痛い。大沢先生、痛い。」

「ほらほら、早く言っちゃって楽になんなさい。」

「あー……いや、ですね。女子から手紙をとったんですよ。ほら、授業に回したりする。」

「はいはい。」

「それが……文芸部の、ほいず、帆伊豆恋の手紙だったんですが、藤吉にあてた。」

「えぇえぇ。」

「いや……なんというか絶句でしたよ。何か、友達への冗談だと思ってのですが、その、数学のエックスとワイが、そのカランデるのですよ。」

「はぁ?」

「いや……『かけてやる』とか、そんな感じで……。」


 その時、二人の会話に聞き耳を立てていた国語教師、木藤仁美が、お茶を吹き出した。


「大丈夫ですか?!木藤先生?!」


 ビックリした声で大沢が言う。「大丈夫です。大丈夫です。」と言いながら、木藤はお茶を拭く。大沢は、原田の元に戻る。


「いやぁ。年頃の女の子の考えることは、分からないものですね。記号同士が、ね。そのヤラシイことをするなんて……。」

「心中お察しします。はははは。」


 お茶を拭きながら、その会話も木藤は聞き逃さない。


――あちゃー……。二人とも文芸部の部員だ……。


 木藤は、文芸部の顧問である。


「まぁ、時代は変わるものですよ。たしか、そういうの『スイーツ』って言うんですよ。原田先生。」

「あぁ。最近、よく聞きますね。」


――違う!お二方!それは違う!


 と心の中で木藤は叫んだが、当然、訂正することはできなかった。眼鏡についたお茶の水滴を拭き取りながら、「あんまり生徒の自由に活動させるのも良くないな。」と反省した。


「ま、どうですか?今夜あたり?」

「またですかぁ?今月ちょっと多くないですか?」


 その反省も、瞬く間に、どこかに流れて行ってしまった。6時間目のチャイムがなった。さぁ、部活の時間である。

id:grankoyama

アレです。
男子校だったので、甘酸っぱい思い出皆無&苦手。
文章は巧いのですが、ストーリが入ってこなかったです。
まあ、巡り会わせが悪かったということで。
次回もお待ちしております。

2012/05/16 22:16:12
id:yarukimedesu

 もうちょっと丁寧に書けば良かったかな、と思いました。折角なんで解説してみると。

  1. 「○ックス」という響きでニヤニヤする中学生達(下ネタですみません)。
  2. その中で手紙を回していた女生徒二人(帆伊豆と藤吉)。
  3. 手紙を取り上げてみると『X』と『Y』が擬人化され、いやらしいことをしているマンガ的イラスト。しかも男同士。
  4. 原田先生愕然。
  5. 原田先生が落ち込んでいると、中の良い大沢先生が励まそうと肩を揉む。
  6. 仲の良い二人の様子を観察してニヤニヤしていた木藤先生。
  7. 大沢先生は何か勘違いして、最近の女子を揶揄する「スイーツ」という言葉を同じく話題になっている「腐女子」という言葉と勘違いしていた。
  8. 木藤先生自身が腐女子なモンで訂正できないまま…また腐女子的思考に流されていく…。

 という感じでした。まぁ、「ストーリが入らない」というのは、そういうことじゃあないかも知れませんが。。。

 各人の名前のイメージとかを自分のダイアリ(グループ)で解説してみたので、良かったら、そちらも読んでみて下さい↓

 このページにトラックバックが行ってたので、もおう読まれているかも知れませんが。。。

2012/05/16 22:26:59
  • id:grankoyama
    グラ娘。 2012/05/09 23:50:47
    講評は随時行うつもりなので、これで完成! って作品を投稿してください。
    その後、修正されても、読み直さない可能性もあります。まあ、気分次第ですが。
  • id:minoru-0413
    minoru-0413 2012/05/11 15:27:44
    もう一つストーリーあって、凄く迷っているのですが…
    とりあえず此方にしました。
  • id:grankoyama
    グラ娘。 2012/05/11 23:35:55
    じゃあ要望に答えて、一人2回答。学業の合間に暇があれば、お書きください。
  • id:takejin
    あー、初期加速の時点で燃料がたり あ、お前誰だ、どこから入っ
  • id:gm91
    実は、書きかけがあと2つあるんですが、3投ダメですか?
    片方は続編なので、無理やりつなげてもいいんですけど、続編だけで2000字超えて来たので……。
  • id:gm91
    最初は私も冷たい方程式モノで考えてたんですけど、どうしても#1に似ちゃうんで挫折。好き勝手にやっちゃいました。98%くらいパクり詰め合わせです。
    もう一つのやつはもっとグダグダなので、もうちょっと練ってから投稿します。
  • id:garyo
    >あー、初期加速の時点で燃料がたり
    禁則事項です。
    >最初は私も冷たい方程式モノで考えてたんですけど、
    そうくると思って質問登録後、「早いもん勝ち!」と1時間で書き上げました。
    2回回答できるようですのでもう一つ書いてみました。
  • id:minoru-0413
    minoru-0413 2012/05/14 17:42:55
    1本目書き直したら別物になったので、
    少しはまともになったかなと思ったんですが。
    何だか私の話って病んでるかドシンプルってやつですね。
    そして人が死にそうになるので今回も誰も殺さないように書きました…。
  • id:gm91
    なんとか完了。
    ちなみにパクリ元はコチラ
    http://d.hatena.ne.jp/gm91/20120515/1337011734
  • id:takejin
    やあ、sokyoさん久しぶり。
  • id:gm91
    BAおめでとさんです。
  • id:minoru-0413
    minoru-0413 2012/05/16 16:59:20
    sokyoさん
    美味しいとこ持って行きましたねw
    BAおめでとう御座います。
    今回も楽しかった…!!
  • id:sokyo
    わーー!かきつばた賞ありがとうございます★☆
    久しぶりにリアルタイムでかきつばた捕まえたので参加できてよかった♪

    あと弥演琉さんおいしいところごちそうさまー!いやっh…
    …うそですほんとお邪魔しました汗 でもケーキおいしかったです。
    今回のテーマ見て私はスイートでフロートなアパートが
    ずーっとぐるぐるして頭から離れませんでした。
    101号室に私を代入する話かな?とか←違

    あとはグラ娘。さんがステキな講評を書いてくださると聞いているので、
    おりこうにして待ってたいと思います。わくわく。

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  • 病むに病まれてビラの裏 - [小説]スイーツ(笑)の方程式 病むに病まれてビラの裏 2012-05-16 01:06:52
    『x + y =3…(1)  3x + 2y =8…(2)』  数学教師、原田又男は、そう黒板に書いた。テスト前だから、試験範囲の復習。ルールさえ知っていれば、簡単な連立方程式だ。 「この場合は、まぁ
  • テーマタイトル  星に願いを色のない星/名のない星はてなスター郵便局と黒いスターの話 3山手線占い読心術と過去視と3にまつわるナゾ解きの話 アイドル りょうりきみはアイドル二
  • かきつばた杯 |*テーマ|*タイトル|* | 星に願いを色のない星/名のない星はてなスター郵便局と黒いスターの話 3山手線占い読心術と過去視と3にまつわるナゾ解きの話 アイドル りょう
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