反日デモや反日暴動に毛沢東が出てきたのは今回が初めてです。
反日暴動は、中国の国民が民主化運動を起こさないように、中国政府が誘発しているものです。中国の指導者交代にあたっては過去に民主化運動が起こってきた歴史があります。民主化運動の防止のために、共産党のシンボルである毛沢東の名のもとに、反日デモをさせているのだと考えるのが妥当でしょう。
「毛沢東の肖像が政治的に使われたのはこの十年以上の間で初めてです。」
「毛沢東の肖像を政治の意図で使ったのはこれまで薄熙来だけでした。」
http://m.timesofindia.com/world/china/Mao-returns-as-anti-Japan-fury-spreads-in-China/articleshow/16429759.cms
中国は自由な国ではありません。中国共産党が独裁支配している多民族国家です。
政府と良い関係を持っている人がどんどん大富豪になっています。世界のブランド品や高級車の25%を中国人が買っているというデータがあります。
一方で大多数の庶民はとても貧しいです。庶民の不満はいつ爆発してその怒りが富豪たちや政府に向けられてもおかしくありません。そこで政府は国民の怒りが政府に向かないように反日教育を実施して、ときどき反日デモを誘発してガス抜きをします。
中国では報道が規制され言論が統制されています。インターネットも管理されています。庶民は言われるままに反日教育を受けて反日感情を植えつけられて、反日デモをしたり反日暴動を繰り返します。
中国は今政権指導者の世代交代の時期にあります。
1976年に周恩来が死去したときには四五天安門事件、1989年に胡耀邦が死んだときに六四天安門事件、それぞれ民主化運動が起こっています。当時のソ連の公式文書によると、六四天安門事件では中国政府は軍隊を出動させて三千人の学生たちを全部殺してその場で焼いたそうです。天安門事件のことはネットの遮断と出版などの検閲などにより、中国の国民は知りません。しかし昨年、六四天安門事件の指導者劉暁波がノーベル平和賞を受賞して、世界は注目しています。
中国政府は今回の共産党の指導者交代にあたって民主化運動が起こらないように、毛沢東をイメージキャラクターに採用して反日運動を誘発しているのだと考えられます。
毛沢東の肖像を掲げてデモをしているところが、このデモが政府主導で起こっている事を表しています。
ただ、デモが暴動にまで至っているところは、政府の管理でコントロールできる範囲を超えている可能性もあります。暴動に駆り立てているのは反日の愛国心ではなく、社会への不満である可能性も否定できません。
以下は櫻井よし子さんが、中国政府の反日教育について言及しているテレビ放送です。
中国政府が中国政府の利益のために反日教育をしているという解説です。
これまでの反日デモで毛沢東の肖像画を掲げるケースはなかったです。
ただ、中国政府が毛沢東の肖像を掲げることに関与はしてないようですね。
今の政府に不満を持った者が掲げているようですから。
「なぜ“毛沢東”が? 反日デモの深層」
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/newsanswer/newsl/post_27103
中国の国内事情に詳しいジャーナリストの富坂聰氏によれば、
「現状よりも昔の方が良かった」ということを強調している。
毛沢東以降、鄧小平をはじめトップは市場経済主義を推し進めてきた。
その結果中国で拡大する格差、
人々の気持ちを代弁するのが、毛沢東の肖像
ということだそうです。
http://mainichi.jp/opinion/news/20120917ddm003030101000c.html
実際のデモ参加者の発言
「毛主席、万歳」。北京の日本大使館前で16日に起きたデモでは、
多くの集団が新中国建国の父、毛沢東の肖像画を掲げ、声をそろえて毛沢東をたたえる集団もあった。
上海でも16日、大小の毛沢東の肖像画がデモ参加者によって掲げられた。
上海市郊外から参加したという20代の男性は胸に毛沢東の肖像が描かれたシャツを着ていた。
「国民の多くが平等だった毛沢東時代の方が良かった。今の政府のやり方はおかしいことばかりだ」と語った
これまでの反日デモで毛沢東の肖像画を掲げるケースはなかった。
目立つ毛沢東の肖像画 薄熙来支持派が暗躍か
胡錦濤国家主席ら現指導部によって失脚に追い込まれた薄熙来氏を支持していた「極左」グループは、毛沢東を崇拝していた。「薄熙来派の暗躍では……」。政治談議が大好きな北京の庶民の間では、共産党大会を前に臆測も飛ぶ。(北京=中沢克二)
日経新聞の9/16の記事です。
日経オンライン 9/28
「
◆薄熙来氏の党籍剥奪 中国共産党、公職からも除名
【北京=多部田俊輔】中国共産党は28日に開いた政治局会議で保守派の有力政治
家、薄熙来氏の党籍剥奪を決めた。公職からも除名する。中国国営の新華社が28日伝
えた。薄氏妻の英国人殺害事件に関連して職権を乱用したほか、巨額の賄賂を受け取
ったとして、最も厳しい処分を決めた。胡錦濤最高指導部は党内の保守派を抑え込
み、習近平・国家副主席を中心とする新指導部への刷新を進める。
」
今回の反日デモでは、薄熙来を支持する人々が毛沢東の肖像を掲げたと考えられています。
中国の政権が江沢民から胡錦濤に権力が移る中で、江沢民を後ろ盾にしていた薄熙来が胡錦濤につぶされたという形になっています。毛沢東の肖像は今回の反日デモを利用して薄熙来の権力が健在であること誇示しようとを持ち出されたと考えられます。
朝日新聞の8/26の記事です。
中国共産党が、重慶市副市長の米総領事館駆け込み事件などの責任を問われ、党政治局員の職務を停止された同市党委員会前書記の薄熙来(ポー・シーライ)氏(63)を党籍剥奪(はくだつ)の処分とする方針を固めたことが分かった。党の指導者らが集まって今月上旬に河北省北戴河で開かれた非公式会議で決定した。会議の出席者に接することができる複数の党関係者が明らかにした。
薄氏をめぐっては、後ろ盾だった江沢民・前国家主席ら党内の保守派勢力が厳しい処分に反対していたが、胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席(党総書記)に連なる勢力がこれを押し切った形だ。今秋の第18回党大会で決まる次の最高指導部人事の調整においても、胡氏が強い政治力を維持していることを示す決定といえる。
記事にそのままの言葉が載っています。
http://mainichi.jp/opinion/news/20120917ddm003030101000c.html
これまでの反日デモで毛沢東の肖像画を掲げるケースはなかった。
さらに証拠として2005年に反日デモがあった時から2011年までの画像の検索からデモで毛沢東の肖像画や写真を掲げている画像はヒットしませんでした。
http://bit.ly/OOc2UU
2005年の反日デモ
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/0483.pdf
毛沢東の肖像画は意味ありそうですね。もう少し事態の推移を見てみます。
2012/09/17 21:32:52ロイター 2012年 09月 20日
2012/09/21 01:34:21『焦点:中国政府に高まる弱腰批判、反日デモが新指導部の足かせに』
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE88J03S20120920
サンケイ 2012年 09月 20日
『党指導部にも脅威迫る 反日デモ「体制批判におわす毛沢東肖像」』
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/120920/cpd1209200504004-n1.htm