【人力検索かきつばた杯】#35

テーマ:ジャック・オ・ランタンとジャック・オ・フロスト

ショートストーリーを募集致します。
ハロウィーンも近づいてきたし、お化けなお話がテーマです。
皆さんご存知の通り(そんなことはない)出題者が変人なので今回のBAは《私の趣味》で決まることになっております、御了承下さい。
BAを狙いに行くも良し、自分の道をまっすぐ歩くだけでも良し。
ルールはキーワードさんの方にて御確認下さいまし↓
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CD%CE%CF%B8%A1%BA%F7%A4%AB%A4%AD%A4%C4%A4%D0%A4%BF%C7%D5

締め切りは自動終了くらい。たぶん忘れるだろうし、日本時刻とB.C.州の時刻書くのも面倒くさいので←
講評なんてのはできませんが、感想は全員にしようと思っております。

回答の条件
  • 1人3回まで
  • 13歳以上
  • 登録:2012/10/10 14:46:01
  • 終了:2012/10/17 14:50:03

ベストアンサー

id:a-kuma3 No.8

a-kuma3回答回数4557ベストアンサー獲得回数19032012/10/16 23:18:16

ポイント37pt

『Silent Halloween Night』


 掌の上で、私にはとても愛嬌があるとは思えない三角の眼で、かぼちゃが笑いかけている。見透かしたように、私を嘲笑っているようにも見えるのは、気のせいか。私は、ペティナイフを動かしながら、詩織(しおり)に話しかける。

「父さん、器用なもんだろう。また、自慢話かって顔をするなよ。
 小さいころから、手先が器用なのは自慢なんだから、仕方ないだろう」

 外はとても静かだ。
 県道から遠く離れたこの家では、たまに遠くから聞こえてくるサイレン以外は、車の音も聞こえてこない。台所から鍋がふく音が聞こえてくる。火にかけていたお湯が沸いたようだ。私は、仕上げを残すだけのかぼちゃとペティナイフを机の上に置き、台所に向かう。

「ほら、見てみろ。なかなか、よくできているだろう」

 沸騰しているお湯には、すでに塩が入れてある。袋から二人分のパスタを取り出して入れ、タイマーをセットする。

「今日のパスタは、かぼちゃのパスタだよ。ハロウィンだからね。
 今度は大丈夫だよ。きちんと、裏ごししたし、コンソメもきっちり効かせた。前みたいに、ぼそぼそで、ただ甘いだけのにはならないよ」

 かぼちゃを弱火にかけ、固くならないように茹で汁を少し足してゆっくりとかき回す。
 いつもの年よりもずいぶんと早い初雪が、真っ黒な夜がゆっくりと白く塗りつぶされてゆく。植えているかぼちゃやさつまいもを掘り返した跡は、すっかりと雪に覆われてしまっている。

「そうそう。庭に植えている白かぼちゃを使ったんだ。
 雪が降っているし、かぼちゃの提灯が雪だるまみたいだよな」

 しんしんと静かに雪が降り続く表から、小さな子がハロウィンの真似事をしている声が聞こえてくる。早くに母を亡くし、詩織には淋しい思いをさせたこともたくさんあった。いまさらハロウィンという年齢ではないが、なるべく一緒に食事をとるようにしてきたのは、私なりの罪滅ぼしのつもりだ。 かぼちゃに火を入れながら、タイマーの残り時間を確認する。味をみて、少し塩を足す。弱火にして、すりおろしたチーズを入れてゆっくりとかき回す。
 タイマーが、パスタの茹であがりを知らせる。ここからは手早くやらないと、せっかくのパスタが台無しになってしまう。お湯をしっかりと切ったパスタをフライパンにあけ、がしゃがしゃと混ぜ合わせる。軽く、二、三回あおって完成だ。皿を二つ寄せて、捻りあげるように盛り付ける。別に分けておいたかぼちゃを散らし、フライパンに残ったソースをたっぷりとまわしかける。
 両手で皿を運び、すでに食卓に用意してあるランチョンマットの上に静かに置く。

「お待たせ。ハロウィン用の、白かぼちゃのパスタだよ」いただきますを言って、さっそくパスタをほおばる。

「父さんには、ちょっと甘いかなあ。でも、旨いだろう。こうしてしまうと、白かぼちゃを使ってるのは、全然わからなくなっちゃうな。
 そうそう、かぼちゃの提灯に火を入れないとな。
 詩織は知ってたか? かぼちゃの提灯も、ゆきだるまも、名前がジャックって言うんだぞ。
 おっと、いけない。生クリームをかけるのを忘れていた」

 慌てて台所に生クリームを取りにゆく。私の皿は、もう半分以上空いてしまっている。詩織のパスタに、軽く生クリームをひとまわしかけてやる。

「駄目だなあ、本当にうっかり屋で。口を滑らせちゃうことも多いもんな。でも、あれだよな。そういうときには聞いてる方も、さらっと流してくれれば良いのにな」

 父さんは、いなくなった母さん、って言ったはずなんだ。亡くなった、って、詩織の聞き間違いじゃなかったのか。あんな言い方で責めることはないじゃないか。父さん、うるさいのは嫌いなんだ。

 もう、一年も前のことだから、はっきりとしたことは覚えてないし、済んだことをあれこれ言うのは止めよう。それに、父さんの長所は、自分の駄目なところを、きちんと分かっているところだ。だから、失敗をしたときでも、冷静に対処できると思ってる。かぼちゃを採ったときには、ちょっと驚いたけどな。


 ドアを叩く音がうるさい。
 さきほどからやたらと聞こえてくるサイレンの音もうるさくて堪らない。
 静かにしてくれないか。
 私は、詩織がいっぱい詰まったかぼちゃを味わうのに忙しいのだ。

id:misato385

良い感じにどろっどろに煮込まれた甘い南瓜ですね、御馳走様です。
意外と黒胡椒がきいている気がしましたね、クリーミーで胃もたれしそうです。
うーん、困ったな、ただでさえあまり好きじゃないかぼちゃがよけい甘ったるく感じられてしまう…パスタは良い茹で具合で、「アルデンテだろ」と生噛りのくせに威張ってくる男とは大違い。美味しいけれど、気持ちの良い吐き気が残る。
うーん、何て言ったら良いんだろう、その吐き気がたまらなく愛おしい感じ…。

2012/10/18 18:00:51
id:a-kuma3

やった────────────────────!

自分でも何書いているか分からなくなって、直前まで投稿しようか、悩みました。
苦しんだ分、うれしさもひとしお。

というわけで、祝杯ナウ。
# いつも飲んでるけど

2012/10/18 21:11:44

その他の回答(7件)

id:garyo No.1

garyo回答回数1782ベストアンサー獲得回数962012/10/11 01:47:16

ポイント38pt

『うそつきジョン』

「残念だが・・・・・・今の職場でこれまでの業務を続けてもらうのは難しい」


課長から会議室に呼び出された。
「自分の仕事に誇りをもってやっています。足りない所は指摘してください」
普段は温厚で冗談も言い合ったりする仲だが課長の表情は硬かった。
「特別転進を進める。今の仕事は諦めるんだな」
特別転進・・・・・・簡単に言えば退職だ。
「退職には本人の同意が必要だと」
「残れると思うのは君の勝手な考えだ。会社には会社の考えがある」
目の前が少しずつ暗くなる。心臓の鼓動が激しくなり口の中が乾いていく。
「少し考えさせてください」
「来週までに結論を出してもらう。君が言う通り会社の役にたつ人材であれば、今週中に契約の一つも取れるよな?」
「あたりまえです!」

売り言葉に買い言葉で答えたものの、契約のあてなど無かった。

「はぁ・・・・・・」
夕暮れの公園のベンチで一人ため息をついた。

「どうした、にいちゃん。しょぼくれた顔して何か心配事か?」
見るからにちゃらちゃらした男が声をかけてきた。
「暇なら酒付き合わないか?約束してたツレがドタキャンしやがって暇にしてたんだ」
どうとにもなれ・・・・・・彼の言葉に誘われてふらふらとついていった。


「なるほどな。今週中に契約が取れないと首になるわけだ」
バーでカウンターに座り乾杯を済ませた。
「すぐにというわけではないけど・・・・・・まあ似たような感じだ」
目の前のグラスのビールを一気に飲み干す。
「自己紹介がまだだったな。俺はジョン。この店の常連だ」
ジョンはグラスを掲げてカウンターの中に差し出した。マスターやバイトがグラスを
掲げる。
「話はわかった。契約が取れればいいんだろ」
「まあそうなんですけどね。簡単には・・・・・・」
ジョンは胸をドンと叩くと
「任せろよ。何の契約か知らないが俺が入ってやるよ」
「本当ですか?」
「ああ、そのかわり、店の飲み代払ってくれたらな」
「本当ですか、払います」
カバンから書類を出して
「サインを頂けますか」
「おう任せとけ!その前に飲み代を払ってもらっていいか。俺はトイレに行ってくる」
「お安い御用です」
マスターを呼びチェックしてもらった。飲み代くらいなら、契約内容に比べれば安いものだ。


「マスター、ジョンさんは?」
「あれ?先に帰るって出てったよ?」
なんてこった。飲んでたから契約の事忘れたのかも知れない。
「そうですか。すみません」
肩を落として店を出た。


「この前の面談から一件も契約が無いみたいだが。給料泥棒と言われても仕方がないな」
課長は机の上の書類に目を通した。
「先日はもう少しで契約が取れる所でしたが、トラブルがあって・・・・・・。面談もこれ以上はやめてもらえませんか」
「業務なので、面談をやめるわけには行かない。出てこない場合は業務命令違反だ」
唇を噛んで下を向く。上司だって各課から何人減らせと上からノルマが出て必死なのだろう。


ストレスの発散になればと思い、先日のバーに向かった。
カウンターでマスターに軽い酒を頼んだ。シャンディガフを飲んでいると「久しぶりだな!この前は悪かった」
横に座った男が話しかけてきた。
「どちらさまで?」
「冷たいな!ジョンだよ。この前は酔いつぶれちまって悪かった。
いい店があるから飲みなおそうぜ」
ジョンは精算すると店を出て行った。
もしかしたら・・・・・・そう思いついて行った。
「どうだい。この店は」
店に入ると、若い女の子が椅子の横に座った。
「いいだろ。俺の指名だから間違いはない。契約を済ませないとな。ビールで乾杯しようぜ」
ジョッキが目の前に置かれ乾杯をした。
ジョンは愉快で女の子との楽しい時間が過ぎた。
f:id:garyo:20121013212046p:image

「そろそろ帰ろうぜ。チェック頼むわ」ジョンは店員に言った。
店員は恭しく請求書を持ってきた。
「・・・!?」
桁が2桁違う?
「これは?」
ジョンはニヤリと笑うと「このあたりでキングが付く店は組がやってるボッタクリだ。おれはカモをひっかけるのが仕事さ」
屈強な店員達に囲まれていた。
「おとなしく払った方が身のためだぜ。後、二度と俺と契約しないと誓え。痛い目に会いたくなかったらな」
二度と契約しないと誓った後、身分証明書をコピーされ借用書にサインした。


「予定を聞こう。特別転進施策に応募する気は?」
課長に呼び出された。何十回目だろうか。
「ありません!」
「会社にどんな貢献ができるか具体的に言ってください」
「何度も言っていますが」
「実績が伴わないとね。結局1件も契約が取れなかったわけだが」
「それは・・・・・・」


「所内に業務が無い」と派遣会社に出向になった。
組合は雇用は守られているから違法では無いと。
派遣会社から他の会社に行くと二重派遣になるため仕事が限られるという会社の説明で派遣会社への転籍を承諾した。


今は閑職の受付窓口の仕事をしている。
何年もたち仕事にもなれ諦めもついた所だ。
「やあ、受付はこっちでいいかな?」
どこかで見たような人物が現れた。
「天国に行ってみたら、受付拒否されてこっちに回されたんだ」

「残念ですが、ジョンさん。お断りします」名前を思い出すと当時のことも思い出した。
「はぁ?」こちらの顔を覗き込み思い出したようだ。
「お前は!あの時の・・・・・・」
「地獄でも迎えることはできません。誓いをお忘れで?」
「何のことだ?」
「あれは『望みを叶える代わりに魂を頂き地獄に落ちる』という契約でした。貴方とは二度と契約しないと誓ったので、魂を取って地獄に入れることはできません」
「なんだと!」
我々はあんたらと違って約束をキチンと守るんだよ。

とぼとぼと道を引き返していくジョン。足元が暗いというので駄賃に地獄で燃えている炎の塊のかけらを渡してやった。


天国にも地獄にも行けず現世を彷徨う彼を人はジョンの愛称のジャックで「ジャック・オ・ランタン」と呼ぶと風の便りに聞いたが
善良なる悪魔である私には関係の無いことだ。


Fin

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id:garyo

http://www.miracletown.net/season/jack1 元ネタはこちらですが、悪魔があまりにも可哀想なので悪魔視点で書いてみました。
シャンディ・ガフはビールをジンジャー・エールで割ったカクテルでビールより弱いお酒です。お酒の苦手な女性などに好まれます。見た目はビールそっくりですけどね。
おまけhttp://p.tl/u2aR-

2012/10/13 20:27:23
id:misato385

可愛らしい御嬢さんたちですね!
ジャック・オ・フロストは闘ってないで冬の準備した方が良いんじゃないの!?
ほら早く行ってらっしゃい!!←
魔法がめっちゃ可愛いです。顔とか。音とか。

2012/10/14 03:47:40
id:grankoyan No.2

やっくん。回答回数19ベストアンサー獲得回数62012/10/11 18:20:08

ポイント38pt

 二人の巨漢が睨み合っていたのも数瞬。ひとりが、雄叫びを挙げながら、おざなりに間合いを詰めると攻撃姿勢に入った。
「ジャックフロスト・フローズンキックゥッ!!!」
 白いパンツ姿の覆面マッチョが右足を振り上げた。
 それに呼応するように、オレンジ色のパンツ姿のこれまた覆面をしたマッチョが、左腕を掲げて防御姿勢を取る。
 が、それを読んでいた、白パンツ男は、蹴りの軌道を上段のそれから、中段の脇腹を狙うものへと変化させ、見事に相手のボディに打ち付けた。
「ジャックランタン・マッスルボディ!!」
 が、オレンジ色のパンツ男は、側部の腹筋を硬化させて、蹴りのダメージを最小限に留めた。
 そのまま、オレンジのパンツ男は、右腕を振り上げて、白いパンツ男に突進していく。
「うがーっ! ジャックランタン・ラリアット!」
 その攻撃は、白パンツ男の両腕にがっしりと受け止められ、また、膠着状態が続いた。

 かくいう僕は、リングの片隅で、巨漢二人の戦いを見つめている。
 少し大きめのパンツのゴムをしっかり握りしめながら。
 
 ここ、地下闘技場で出場者に着用が義務づけられているユニフォームは、パンツ一丁のみ。ただし、巨漢たちのように覆面を被るのは自由だ。誰だってプライバシーがある。
 なんてったって、支給されるパンツはカラーは自由に選べても、サイズに融通が利かない。フリーサイズが一種類用意されているだけだ。
 むきむきマッチョの大男が着用すれば、それはいかんとも表面積の小さいぎりぎりなパンツとなり、闘いの中のアクシデントであれがあれしてしまうこともしばしばだ。
 あれが、あれすることまで計算に入れたサイズなんだろう。ハイキックの時なんかドキドキする。
 観客も、心得たもので、ふと客席に目をやれば、股間を気にする貴婦人や、股間を気にする老紳士、股間を気にする疲れた会社帰りのOL、股間を気にする…………とまあ、バリエーションに富んだ客層であるが皆一様に股間に注目している。
 
 今行われているのは、8人からなる選抜された人気かつ実力あるファイターによるバトルロイヤルである。
 チャンピオンのジャックランタンとその双子の弟である準チャンピオンのジャックフロスト――二人の大きな覆面ファイターが股間を気にせずにどんどん出場者をなぎ倒し、リング上に残っているのはわずか三人。
 その三人のうちの一人が僕だ。
 パンツがずり落ちないように払ったのと等価の細心の注意で、他の出場者との交戦を避けていた。
 あれよあれよと、出場者たちはランタン・フロスト兄弟にノックアウトされて、気が付けば、僕は優勝候補の一角となっている。
 ジャックフロストとジャックランタンの実力はほぼ互角。このまま二人が戦い続けるなら共倒れの可能性が高い。同時ノックアウト。
 そんなことが起これば、僕は労せずして新チャンピオンの座に就くことができる。
 莫大な賞金と、大いなる栄光。そして、相変わらずサイズがしっくりこない、ぶかぶかの新しいパンツが与えられるのだ。

 フロストとランタンは頭突き合戦へと突入していた。
 相手の頭へ自分の頭をぶつける。防御なんて一切しない。突かれたら突き返し、そしてまた突かれる。それの繰り返し。
 大きく開いた両足の付け根からは、あれがあれしそうな不穏な気配が漂っているが、当人たちは気にしない。
 気にしているのは、様々な股間を気にする観客。主催者やスタッフ。
 皆、一様に頭部と下腹部に交互に目をやっている。

 試合が動いた。
 フロストとランタンは同時に大きく頭を振りかぶった。
 渾身の頭突きを放つつもりだ。
 お互いに防御のことを一切考えず、ただ相手の頭に自分の頭をぶつけることだけを考える。
 股間の露出も気にしない。(実際に露出したことは無いのでその辺はご安心ください。念のため)
 すべての神経を頭突きの一点に集中させる。

 グシャッとも、ドゴンともとれない激突音が鳴り響き、観客が二人の股間を気にしながら、大きな歓声をあげた。
 完全同時のノックダウン。
 レフェリーがカウントをよみあげる。少しゆっくりめに。たどたどしく。若干の誤りを含有しながら。
「ワン・ツー・スリー・フォー・とんで・シックス・ナイン・エイト……」
 あと、ワンカウントで、僕の勝利が決定する。
 観客達の視線は、倒れたままのフロストとランタン、二人の股間、僕、僕の股間とめまぐるしく行き来する。

 そして、その1秒後。
 僕のチャンピオンロードが始まった。すぐにずり落ちてしまう黄金色に輝くブカブカの新パンツとともに。

id:misato385

良いか、そういうのは銀魂でやるんだ!!←
16歳の女子に下の話してどうするんです!!(お前じゃねぇ
あと主人公は…叩かれそうな、気が、しなくも…。
ていうか股間って言うなぁあああ!!!
良いからおとなしくスナフキンの名言集でも読んでなさい!!
私はそういったのは書けませんからね、羨ましくは…ない…かなぁ(おい
とりあえず、にやってできたので良かったですよ、ええ、消化不良ですけど!!

2012/10/12 22:40:16
id:grankoyan No.3

やっくん。回答回数19ベストアンサー獲得回数62012/10/12 21:57:31

ポイント38pt

 目が覚めると僕は草原の真っただ中にいた。
 左右ははるか彼方に地平線が見渡せる。
 左前方には、ごつごつした岩山の風景が広がっている。
 視線を右に移すとそこには、一面の銀世界。
 振り返るとうっそうと茂る森が目に入る。

 ひとしきり、周囲を見渡した僕は、どうしたもんかと頭を悩ませていた。
 昨日は自宅のベッドで普通に眠ったはずだった。
 一体ここはどこなんだろう?
 一体何故僕はこんな場所にいるのだろう。

 思案に暮れていると、左右の両方から、小さな点が近づいてくるのが見えた。
 点はだんだんと大きくなり、やがてその姿を現す。
 左からくるのは、カボチャの頭をしたオレンジ色の精霊。
 右からくるのは、二股に分かれたとんがり帽子をかぶった雪だるま。

「ようこそ、精霊の国へ」
「ようこそおいでました、精霊の国へ」
 二人の精霊が同時に僕に話しかけた。
「きみは選ばなければなりません」
「あなたは選ぶ必要がございます」
「なにを?」
「君がこれから過ごす世界」
「あなたがこれから暮らす世界」
「言い忘れてました。トリックオアトリート」
「申し遅れました。トリックオアトリート」
「なに?」
「僕たちの世界の挨拶みたいなものです」
「わたしたちの国でのご挨拶です」
「僕はキャンディも何も持ってないみたいなんだけど……」
 僕はポケットを探って途方に暮れた。今初めて気が付いたのだけど、僕の服装は寝るときに来ていたパジャマではなく普段着だった。
 Gパンのポケットにはなにも入っていない。昨日入れてあったはずの財布も無い。普段持ち歩いている携帯もない。
「大丈夫だよ。いたずらはしないから。そういう決まりだから」
「ご心配なく。いたずらなんかしません。そういう約束なのです」
「じゃあ、どうすれば?」
「挨拶には挨拶で返せばいいよ。トリックアンドトリートって」
「挨拶には挨拶を返せばよいのです。トリックアンドトリートと」
「大丈夫だよ、いたずらはしない」
「大丈夫です、いたずらはしません」
 数瞬の間を置き、僕は返答した。
「トリックアンドトリート」
「トリックアンドトリート」
「トリックアンドトリート」
 三人の声が重なった。

「さまよい続けるのは嫌いかな?」
「寒いところはお嫌いですか?」
「さまようのも寒いのも嫌だ。僕は家に帰りたい」
「残念だなぁ」
「残念ですね」
 しばし間を置いてから、二人が家への帰り方を教えてくれた。
「君の後ろに広がっているのは迷いの森」
「でも、あなたは迷いの森を抜けなければ、家には帰れません」
「森には魔女がいるよ」
「あなたを騙そうとする古い木々が暮らしています」
「ひとりでは森を抜けるのは多分無理だ」
「道案内が必要です」
「よかったら僕が案内するけど」
「わたしは、雪の世界を長く離れることはできません」
「だから、僕の案内で森を通り抜けて家まで帰してあげる」
「そうするのがあなたにとって一番いいのでしょうね」
「僕たちと一緒に暮らせないのは残念だけど」
「あなたには帰るところがあり、お待ちになっている人がいるのでしたら」
「僕たちのところにくるのはまた今度」
「わたしたちとともに過ごすのはまたの機会に」

 迷いの森を抜けるとそこは小さな滝と泉があった。
 カボチャの精霊が言う。
「その泉の中へ入れば元の世界へ還れるよ」
「そう、ありがとう。世話になったね」
「どういたしまして、トリックオアトリート」
「トリックアンドトリート」
 言い残すと僕は、泉の中へ飛び込んだ。
 そして、溺れ死んだ。
 そして、二度と浮かび上がることは無かった。

fin

id:misato385

狙ってきたんですね!そうですよね!ね!(五月蠅い
とりあえず可愛らしくてもやっとして薄い感じでズドンですね、分かります。
最後の「溺れ死んだ」は惜しかったかな…京ワールドではあまり「死ぬ」をはっきり使いませんので…。
終わっちゃったって感じするので、潜っていって「死んだのかな、帰れたのかな」って感じでよく考えたら死んでるって感じに書かれていれば入国許可下ります。
妖精さんたちの口調が可愛らしいです。どこに行ったら会えますか。

2012/10/12 22:45:25
id:meefla No.4

meefla回答回数984ベストアンサー獲得回数4602012/10/15 09:28:38

ポイント38pt

ナイトメアー・ビフォア・ハロウィン


「どう思います、博士?」
 ジャック・スケリントンの問いに、フィンケルスタイン博士は無言で頭の蓋をあけ、脳みそをバリボリと掻いた。
 彼らの視線の先には、大きな氷の塊があった。その中に閉じ込められているのは、狼男。
「ハロウィン・タウンの入り口で見つかったんです」
 ここはフィンケルスタイン博士の研究所。ジャックはハロウィン・タウンの支配者である。ストライプの燕尾服を着て、コウモリの蝶ネクタイをした、伊達男の骸骨だ。
「狼男は大丈夫ですかね?」
「銀の銃弾だけじゃよ、狼男を殺せるのは」
 フィンケルスタイン博士は即座に答えた。彼は電動車椅子を操作して、氷塊を調べながらその回りを一周した。
「ふむ。完璧に氷っておる。狼男に抵抗する隙も与えなかったわけじゃな」
「またウーギー・ブギーの仕業かしら」
 サリーが口を挟んだ。サリーは、つぎはぎの人形だ。ハロウィン・タウンで唯一まともな住人と言われている。
「ブギーはジャックが退治した筈じゃし、こんな事ができる奴はハロウィン・タウンの住人にはいないじゃろう。……はて、どこかの本で読んだような気もするのじゃが、思い出せん」
 デスクの前に戻った博士は、アヒルのように唇を突き出しながら、分厚い本をめくって調べ物に没頭した。
「この何日か、とっても寒い日が続いてるわ。何か関係があるのかしら」
「そうなんだよ、サリー。ハロウィンまであと2週間だというのに、この寒さで準備が進まない」
 ジャックはそう言うと、窓を指さした。
「ほら、窓のガラスにも霜が。これはまるで、いつかの……」
「サンディ・クローズが雪を降らせた時?」
 サリーの言葉に、ジャックは目を大きく見開いた。
「そうだよ、サリー!サンディ・クローズなら、何か知ってるかも。……僕はクリスマス・タウンに行ってみるよ」
 ジャックが大股に研究所から出ていくのを、サリーは不安そうに見つめていた。

「……というわけなんです、サンディ・クローズ」
 ジャックの聞き間違いからハロウィン・タウンでは『サンディ・クローズ』として知られているサンタクロースは、白いあごひげに埋もれた顔を曇らせた。
「それはジャック・オ・フロストの仕業じゃな。あやつめ、このところ大人しいと思っていたら、ハロウィン・タウンで悪さをしていたとは」
「ジャック・オ・フロストですって?」
「このクリスマス・タウンの町外れに住んでいる、性悪な老いぼれじゃよ。霜を降らせるだけならまだ可愛げがあるが、怒ると相手を氷漬けにして殺してしまうのじゃ」
 サンタクロースはエルフを呼ぶと、何事かを命じた。
「ジャック。わしのソリを貸してやるから、すぐにハロウィン・タウンに戻るのじゃ。ハロウィン・タウンが危ない」
 ジャックの目が輝いた。
「あなたのソリに乗れるんですか?」
「わしも手伝ってやりたい所じゃが、まだ『良い子リスト』が完成しておらん。特別じゃぞ、ホーホーホー」

 ハロウィン・タウンに着いた時には、すでに夜になっていた。ジャックがサンタのソリから降りると、幽霊犬のゼロが飛んできた。ハロウィン・タウンはクリスマス・タウンと同じくらい寒く、そこここの建物はびっしりと霜に覆われていた。
「ゼロ!これは一体……」
 ゼロはパンプキンの鼻を光らせながら、ジャックを町の広場に導いた。
 広場の噴水も凍りついていた。そこにいるのは巨大な雪だるま。長身のジャックの2倍はあるだろうか。その周りには、町長や吸血鬼ブラザーズやビヒーモスたちが、氷漬けになって転がっていた。
 遠巻きに見ている町の住人たちの中から、サリーが言った。
「ジャック!あの雪だるまがみんなを……」
 ジャックはうなづくと、雪だるまに向かって言った。
「お前がジャック・オ・フロストだな?」
 雪だるまは凶悪な笑みを浮かべた。
「そうじゃよ、ジャック・スケリントン。この町はわしが乗っ取った」
「そうはさせないぞ」
 雪だるまが吐き出す冷気を、ジャックは軽いステップでかわした。雪だるまは次々と冷気を放つ。
 フィンケルスタイン博士が叫んだ。
「ジャック、霜は炎に弱い。あの技を試すのじゃ」
 ジャックは華麗にスピンすると、パンプキン・ジャックに変身した。頭はジャック・オ・ランタン、体は藁人形だ。ジャックを狙った冷気と、ジャックが口から噴き出した炎が交錯した。
 見守る町の一同から、「おお」という驚嘆の声が漏れた。
「ジャックはあんな技をいつの間に……」
 サリーの疑問に博士が答えた。
「『フレイム・スロウ』。今年のハロウィンのために、修行して会得したのじゃよ」
 ジャックは、ひるむ雪だるまに近づき、小さくジャンプした。ジャックが着地すると、その体の周囲に炎が広がった。
「広範囲攻撃の『ファイアー・ボム』じゃ」
 ジャックはファイアー・ボムを連発しながら、雪だるまとの間合いを詰めていった。ファイアー・ボムの熱で、雪だるまは徐々に小さくなっていく。
 ジャックは最後のファイアー・ボムを放った。雪だるまは完全に溶け、小柄な老人の姿が現れた。ジャック・オ・フロストの本体だ。
「わしの負けじゃ。クリスマス・タウンに戻るよ。つまらん町じゃがな」
「なぜこんな事をしたの?」
 サリーが声をかけた。
「クリスマス・タウンでは、わしはいつも邪魔者扱いなんじゃ。サンタもエルフも、年がら年中クリスマスの事だけ。わしの居場所なんぞどこにもないのさ」
 ジャック・オ・フロストは、しわだらけの顔で、吐き捨てるように言った。サリーは少しの間、考えた。
「この町に引っ越してきたら?」
 ジャック・オ・フロストは首を横に振った。
「こんな非道い事をした奴を、受け入れてくれるわけがなかろう?」
 燕尾服の姿に戻ったジャックは、顔を輝かせた。
「サリー!なんて良い考えなんだ!ハロウィン・タウンなら、みんなが恐怖を大歓迎さ」
「そうよ。あんたの技には背筋も凍ったわ」
 魔女の一人が言った。ジャックはうなずいて、言葉を続けた。
「ちょうどウーギー・ブギーの屋敷が空いてる。あそこに住んだらいい」
 ジャック・オ・フロストは、信じられないという表情で、周囲を見回した。
 それに構わず、ジャック・スケリントンは、サリーに向かって宣言した。
「新しいハロウィンのアイディアが浮かんだよ、サリー。今年のハロウィンは最高のものになるに違いない。急いで準備だ!」


(了)

id:meefla

自分の道をストレートに歩かせていただきました。
べっ、別に京ワールドに入国したくてお化けの話にしたんじゃないんだからねっ。

ハロウィン、ジャック・オ・ランタンと言えば、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のジャック・スケリントンでしょうJK。
NBC(テレビ局じゃないよ)を観た人にはお楽しみいただけると思いますが、未見の人のためにキャラ設定はこちら。
ジャック・スケリントン | ティム・バートンのナイトメアー・ビフォア・クリスマス | ディズニーキャラクター
下の「キャラクター紹介」の所から他のキャラも見られますが、ネタバレあるので注意。

『ファイアー・ボム』とかは、PS2 のゲーム『ティム・バートン ナイトメアー ビフォア クリスマス ブギーの逆襲』から。
こっちは知らない人の方が多いと思いますので、公式サイトをご紹介……しようと思ったら、こら!カプコン!いくら古いゲームだからって、公式サイトを私に断りもなく削除するな!
仕方がないので、アーカイブはこちら。
http://web.archive.org/web/20080331121733/http://www.capcom.co.jp/halloween/
フラッシュで作られてるんで、[ENTER] 踏んでもその先は見られないようです。
パチもんじゃないよ。ティム・バートン監修だよ。世界観は微妙に違うけど。

2012/10/15 09:30:27
id:misato385

わーい!ジャックだ!ディズニーランドのハロウィーン行きたかったな!
何か魔法みたいの使えたんですね…あんまり詳しくないもんで驚きました。
王道!なバトルもの良いですね!久しぶりに熱くなった気がします!
おじいさんなジャック・オ・フロストもおもしろいですし、サンディ・クローズとかサリーとか何だか懐かしいなとか思ったり。
精霊らしい彼らが見られて幸せだな、と思いました、まる。

2012/10/16 02:26:35
id:sokyo No.5

sokyo回答回数1371ベストアンサー獲得回数942012/10/16 00:23:22

ポイント37pt

『留守番ジャックと丸天井の部屋』

俺はジャック・オ・ランタン。精霊だ。
ジャックなんてのはまあ、ありふれた名前だ。ジャック・スパロウ。ジャン=ジャック・ルソー。他にもいくらか思い当たる人物がいるだろう。
だが、今日話すのはもっと無名な「ジャック」だ。今もお前のすぐ近くにいるが、このジャックは知らないだろう。その若人は名を“リトル・ジャック”と言う。

リトル・ジャックは、大きな屋敷の、丸天井の部屋で暮らしていた。そこで彼は一人、留守を預かっていた。
彼は丸天井の部屋に籠り、チェスプロブレムに没頭した。直に寝食を忘れてのめり込むようになり、食事さえ煩わしくなった。
そこで彼は、青い魔法瓶を、隣に侍らせるようになった。魔法瓶の表面には不思議な光沢があり、光をかざしてみると、魚が水槽の向こうからこちら側を見るような幻想が広がった。だが彼はそんなことには興味がなかった。彼はそこに、エナジードリンクを注ぎ込み、残りの時間はチェスボードかまぶたの内側だけを見て暮らした。
しかし、その生活もすぐに破綻をきたした。そこで家にあった金に手を付け、メイドを一人雇った。やがて現れた少女は、ジルと言った。
ジルのエプロンドレス姿は、彼を魅了するに十分だった。束ねた黒い髪も、フリルの裾から伸びる肉感的な足も、まるでイデアがそのまま舞い降りたかのように思われた。彼は、彼女が仕事上良い働きをすれば褒美として、そして時にミスがあれば仕置きとして、毎晩同じことをした。
ジルは良く働いた。身の回りの衣食住をそつなくこなした。彼女は件の魔法瓶をフロスティ・ジャックと呼んだ。彼女はきちんとした食事を用意するのとは別に、彼のそれまでの暮らしを尊重し、毎朝フロスティ・ジャックにドリンクを詰めた。
そしてリトル・ジャックはいよいよ部屋から出ることもなくなった。

ところで、彼には怖れているものがあった。ジャック・オ・ランタン。つまり俺のことだ。お前に理由が分かるか? まあ彼の立場で考えてみれば分かるだろう。
自分と同じ名前の精霊など、ドッペルゲンガーのようなものではないか。

ジルも来て、自堕落な生活がすっかり板に付いたある夜のことだ。彼は空の向こうから、俺の灯火が近づいてくるのを見た。
それは本当に俺だったかもしれない。そうではないかもしれない。
ただ、重要なのはそれが俺だったかどうかじゃない。本人が俺だと思うのなら、それが彼にとっての、事実だ。
これは、その時の話だ。
リトル・ジャックは大いに慌てた。何としてもジルを消さねばならない。誰の助けなどなくともこの屋敷を守ったという成果を見せねばならない。今すぐに彼女を消す方法はないか。彼はアイデアを探した。考えている間にも、灯火は屋敷に近づいてくる。ジルの声を殺すだけでは駄目だ。身体を隠すだけでは駄目だ。自由を奪うだけでは駄目だ。その全てを両立できるような方法はないか。
彼は急いであの瓶を手にした。片手に瓶を持ち、もう片手で彼女の髪を引いた。

そして、勢いに任せ、後ろから、彼女の顔を、瓶の飲み口へ、突き込んだ。

おかしな音がした。
そのまま彼女の細い肩を、そして身体の全体を、彼は瓶の中へと押し込んだ。入るはずのないものが、入っていく。フロスティ・ジャックの中で、彼女は知らない液体へと変わっていった。最後に彼女の爪先が消えた。彼はすかさず蓋を閉めた。できるだけ強い力でそれを閉めた。
ついさっきまで生きていた人物が、手のひらの魔法瓶に収まった。一時の静寂が訪れた。

ところが、当のフロスティ・ジャックが、彼の手の中で震えだした。ジルを収めた瓶が、胎動していた。ジルはまだ、中で生きているに違いない。それが動くたび、中でぬらぬらとした液体が揺れるのを覚えた。
それを握り直そうとして、彼は別のことに気付いた。フロスティ・ジャックの表面に、霜が降りていた。その霜が、見ているそばから音を立てて増殖していた。
彼は慌ててそれを払った。霜は確かに解けて消えた。だが、フロスティ・ジャックの表面の霜は、払えど払えどゆっくり増え続ける。
早くしなくては。彼は考えを巡らせた。ジルをシンクに流してしまおうか。いや、仮にそれで流しにこの霜が張り付いてしまったら。瓶ごと何処かに隠そうか。いや、それでは瓶の胎動は止まらない。
その時、天井の方から物音がした。灯火はすぐ外に居るに違いない。彼は部屋のドアに鍵をかけ、天窓を閉め、天窓を操作するレバーを手で押さえた。空が怖かった。彼の手はがたがたと震えた。震えが彼自身から来るものなのか、瓶の中から来るものなのか、それともレバーから来るものなのか、判らない。寒気なのか、恐怖なのか、焦燥なのか、判らない。
飲むしかない。この魔法瓶の中身を、飲むしかない。そうだ、そうしてしまえば、証拠は何一つ残らない。霜は体温で消える。ジルという人物など最初からいなかった。無事、留守を預かる任務を果たせたことになる。彼はそう考えた。
彼は、瓶の蓋を捻った。蓋は中から押さえつけられているかのように、重い。そのとき、部屋全体が音を立てて揺れた。ボードの上のチェスピースが倒れた。彼はそれに注意を払わなかった。ずっと力任せに瓶の蓋を捻り続けた。そして蓋の螺旋の、最初の固いところを乗り越えたような手応えがあった。U,J,J&

何。ランタンの中身を見てみたい、と。良いだろう。少し冷えても来たことだし。
それにしても、何やら今日は手が震えるな。それにこのランタンの蓋、随分固く閉まっているようだが。まあ、たぶん、最初の固いところを乗り越えれば。よっ、と。
“ジャック”は天井を見上げた。部屋の丸天井が、回り出している。

蓋が開いた。目が合った。

id:misato385

出た、sokyoさんの独特な…なんてのあれです、あれ。←
良いなあ、こういう話好きですけど、ジル、うん、ジルですね。
毎晩同じことをしたとのことですが…はい、そうですね。
発想が凄いですよね、頭ン中どうなってんですか!
読み終えたときの本当に何も言えないこの感じ、流石です…。
秋の風が涼しいから寒いに変わってきましたね。
そうだ、ランタン買おう。

2012/10/16 15:43:24
id:gm91 No.6

GM91回答回数1018ベストアンサー獲得回数912012/10/16 05:42:07

ポイント37pt

『宇宙の掃除士』#03

《生命維持モード動作中。運転限界まであと23時間50分です。》
(あ、私、寝てたのか……)

 G.A.I.A.のコクピットに響くアラート音声に起こされるのはあまり気分の良いもんじゃない。
《救援用ビーコンは全数展開済みです。更新情報なし。》
(やっぱり、だめか……)

 微かな期待を胸にコンソールを弄ってみても、事態が好転しそうな気配すら見つけることは出来なかった。
(私、このまま、死んじゃうのかな……そんなのイヤだな……)

 寝起きのせいか、意識がはっきりしないまま、沈むことだけを辛うじて拒否しながら絶望の海に漂っている。
 辺りはひたすらに漆黒の闇。遠くに煌く星の輝きすら、今はただ無機質で冷たく見えた。

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

(雪ダルマに羽根って生えてたっけ?)
 俺は、格納庫でアラキの機体に施されたペイントの前でおぼろげな記憶の糸を手繰り寄せていた。

「カワイイでしょ?」
 俺は、不意に後ろから声を掛けられ、動揺したのを悟られないように努めて冷静に言葉を返した。声の主はわかっている、部下のミカ・アラキだ。お調子者だが腕は立つ。

「カワイイって、雪ダルマがか?」
「違いますよ~、これは『ジャック・オ・フロスト』。私のパーソナルマークにしたんです!」
「……あっそう、そりゃよかったね……」
「あ~何ですかぁ?その投げやりな応答は?」
 どうして、こんなことに夢中になれるのか俺にはさっぱりわからないが、どうやら俺の反応の薄さが意外らしい。
「大丈夫!隊長のもサービスでノーズアートしておきましたから!おっ楽しみに!」
「……あっそう、そりゃよ、ってお前!?」
 ダッシュで逃げ去ったアラキには目もくれず、俺は自分の機体へ駆け寄った。……そして立ち尽くす。

「なんじゃあこりゃあ?」
 俺の愛機にデカデカと描かれたカボチャのお化け。よく見ると巨大なカッティングシートである事に気が付き、何とか剥がそうとしたのだが、嘲笑うかのように出撃を促す警報が流れた。いつも間の悪い事この上ない。
 極めて不本意ながらカボチャ同伴で出撃した俺は、部下どもの失笑に耐えながらも指揮官としての威厳を失わないように努めた。本当だ。

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

「帰還したらまっ先に剥がしてやる!」
『えぇ~?折角の力作なのに~』
「人の機体にカボチャなんぞ描きやがって」
『カボチャじゃなくて『ジャック・オ・ランタン』です。ハロウィンくらいはご存知ですよね?』
 流石に俺もその程度の知識はある。……確か中世の日本3大奇祭の一つ。残りはクリスマスとバレンタイン・デイだったかな。いやいや、そんなことはどうでも良い。何が悲しくてカボチャの落書きと仕事……

《目標接近注意》
 仕事場への到着を告げるアラートに、俺は我に返る。
 今日の相手は並以下だが油断は禁物だ。

「こちらウィロー、全機戦闘配置!フォーメーションはWだ」
『『『『了解!』』』』

「仕事」は予想通りに簡単に方がついた。ただ1点を除いては。
「全機、状況知らせ」
『タルト、異常なし』
『ラクガン、異常なし』
『……カステラ、異常あり、ません……が』
「が、何だ?」
『ブリュレの応答がありません』
「何だと?まさか撃墜されたのか?」
『いえ、自分と同じ宙域で戦闘し、戦闘後に離脱するところまで一緒でしたので、間違いありません』
「じゃあ何故?」
『……わかりません』


 救援隊が到着しても、ブリュレことアラキからの応答は途絶したままだった。
「よし、ひとまず撤収する」
 一抹の不安が胸をよぎったが、俺にできることはない。そう考えて俺は部下どもに撤収を指示した。
 アイツの事だ。ケロッとした顔で還って来るに違いない。
 そう信じていた。……いや、信じたかった。

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

《生命維持モード動作中。運転限界まであと13時間55分です。》
 無機質に応答するコンソールと戯れるのにもいい加減飽きてきた。

(しっかしドジったなあ……)
 宙域の「掃除」を終えた後、私は僚機と共に集合場所へとワープした。はずだった。
 呼べど叫べど誰からも応答がない。無の空間にただ独り。
 動揺していたのか、どうやら座標指定を間違えたようだという事に気が付くまでにかなり時間がかかった。
 ……そこまではまだ良かった。ワープし直す為に座標計算を始めた私の指が凍りついた。

(現在位置、喪失?まさか?)
 思い違いであって欲しい、との願いも空しく、何度計算しても答えは変わらなかった。

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

《生命維持モード動作中。運転限界まであと9時間30分です。》

 無機質に応答を繰り返すコンソールと戯れるのにも飽き、私は成す術もなくコクピットに居座り続けていた。
 成す術もなく?
 いや、違う。私には待つ他にいくつかの選択肢が残されている。

1.非常用キットの保存食を試食する
 ……それはもう既に試した。まだまだ改善の余地がある味だというのは身に沁みた。

2.非常用キットの麻酔で気分を紛らわせる
 ……いやいや、これは重傷者用のモノだ。こういうモノを弄ぶ趣味は無い。

3.非常用キットの秘密の薬(ドクロマーク入り)を使って楽になる
 ……その存在意義を肯定する気持ちが、今はちょっとだけわかる気がする。
 ……いやいや、しっかりしろ、私。まけるな、がんばれ、私。

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

 48時間を経過しても依然アラキは戻らなかった。

「葬式って、どういうことですか?」
「明日、この宙域への滞留は解除される予定だ」
「見捨てるんですか?」
 俺は年甲斐もなく上官へ食ってかかったが、司令は俺の剣幕に動じることなく冷徹に言い放った。
「……あきらめろ。そろそろ生命維持モードの限界時間だ」
「いえ、まだ望みはあります」
「何だ?」
「アイツの機体は、Fシステムの耐久テストをしていたはずです」
「まだ実用例は無い。それに仮に使ったところで……」
「もう一度だけ、チャンスを下さい。あと一日いや半日でいい。お願いします」

 司令は無言で踵を返すと、懐から通信端末で機関部を呼び出した。
「私だ、パルスエンジンのオーバーホールの進捗はどうだ?…そうか、あとどれくらいかかる?6時間?順調だな。よし、思い切って24番エンジン以降も始末しておこう。そのペースならあと30時間もあれば済むだろう?うん、そうだ。遅れを取り戻さないとならんからな。ああ、上には私から掛け合っておく。宜しく頼む。じゃ。」

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

《生命維持モード動作中。運転限界まであと5時間30分です。》

 ……私はドクロマークの小瓶を掌の中で弄んではキットに戻すという無意味な行動を繰り返している自分に気が付いていたが、自分ではどうすることもできなかった。じっとしていると暗闇の中へ溺れてしまいそうだった。

(こわいよう。……誰か、たすけて……)

 恐怖と疲労で朦朧とした意識の片隅にFシステムの事が浮かんだ時、私の脳細胞は最後の力を振り絞って演算を始めた。
 Fシステム。Frost-System。簡単に言えば「冷凍冬眠システム」。
 回復困難な重傷を負った時、とりあえずフリーズさせといて、後でゆっくり直すって寸法。
 まだ試作品なんだけど、戦闘での機動に耐えられるか耐久テストとして私の機体に搭載してある。スイッチを入れるのは帰還してからの筈だったんだけど、非常事態だし、仕方ないよね。

 ただちょっと問題があってさ、冷凍するとこまではほぼ完璧なんだけど、無事に蘇生できるか保証がないのよね。
 開発陣も「自決するよりは多少マシな、先送りにするだけのシステム」って自嘲してた。使う方の気持ちになれば「明日に希望を託す」くらいは言って欲しいなあ……。

 そんな事を思い出しつつ、私の指は半分無意識にパイロットスーツにつなげたハンディターミナルを操作している。
 間をおかずしてヘルメットのバイザーに文字が浮かんだ。

 ≪Fシステム 起動中……こんにちは!ぼくジャック!合言葉をどうぞ!≫

(あはは、何これ?)
 バイザー劇場に突如登場した、おどけた雪ダルマに私は精一杯の笑顔で応えた。

「Trick or Treat.」


(了)

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id:misato385

王道ガツン!!←意味不
何だかアメリカ映画っぽいなーストレートだなーと思いました。
一人称なうえに親しみやすい口調はやっぱり見習いたいところ、勉強になります。
設定を分からなくても誰でも楽しめる、そして抜群の安心感。
流石ですよね、本当安定してるように見せかけてたまに凄いことするから更に尊敬します。
御味噌汁に入ってるかぼちゃのような、どろっとしてない感じが良かったです。
しっかり甘みもお味噌の味もして美味であります。

2012/10/22 10:25:08
id:gm91

京ワールドへのみちは~はてしなくとおい~

精進しますです。
ありがとうございました<(_ _)>

2012/10/22 12:34:33
id:takejin No.7

たけじん回答回数1480ベストアンサー獲得回数1922012/10/16 19:45:15スマートフォンから投稿

ポイント37pt

『ハロウィン・ナイト・フライト』


「おはようございます、機長」
僕は、今日初めてペアを組むキャプテンに挨拶した。背の高いロマンスグレーの機長は、制服を着こなし、サングラスも決まっている。
機長は僕の目の前に立つと、ちょっと首をかしげてこう言った。右手を差し出しながら、
「トリック オア トリーツ」
ビックリした僕の脇を、CAのマーサが通って行く。マーサは通り過ぎながら、機長の右手にキャンディの包みを置いていく。「ハッピィ ハロウィー ン」と言いながら。
「君。ちゃんとお菓子をくれないと、いたずらするよ。」
機長は僕にウィンクしながら、キャンディを一個分けてくれる。
「それに、お菓子をくれなけりゃ、いたずらしてもいいんだ。」
僕の目の前を矢印の形のしっぽを付けた整備員が走っていく。出発ロビーも魔女と幽霊とゾンビでいっぱいだ。
機長が手を振ると、背の高い骸骨がマシュマロを投げてきた。真っ赤なマシュマロが、機長の口に直接入って行った。
「機長!今年も頼むよ。特別な夜だからな!」
骸骨が叫ぶ。機長はマシュマロを振りながら、ドアを抜ける。

機内の点検をし、管制から出発許可を待つ。
「やあ機長、心の準備はいいかな。」
「ああ」
「そういえば、副操縦士は、初めてだったかな」
「ああ」
「では、ご挨拶を。副操縦士君、気分はどうかな」
「はい、普通ですが。なにかあるんですか?」
僕は怪訝な声を出しているに違いない。含み笑いの管制官は、こう答えた。
「いやいや、今晩は楽しいフライトだと思うよ。では、ご無事を」
機長が答える。
「無事を祈っててくれ。」
「祈っているとも。上がったら、いつものアレを忘れずに」
「ああ」
謎のやり取りを聞きながら、ハロウィン独特の軽口なのだろうなぁと、僕は想像していた。もらったキャンディをなめながら。


滑走路の端に止まり、左右二基のプロペラの回転を見ながら機長の合図を待つ。
右のプロペラは真ん中がペロペロキャンディーの塗装だ。渦巻き模様で 目が回りそうだ。
見上げる夕暮れの空は、もうすでに夜の側へと足を踏み込んでいる。機長は、ヘッドセットのマイクを触り、乗客に向かって言った。
「野郎ども、行くぜ!」
と、同時にスロットル全開。轟音を立てるエンジンに引かれて、滑走路が後ろに流れていく。浮かび上がった目の前には、分厚い雲が広がっていた。
「気象予報は快晴…」
呟く僕の耳に、管制から声が入る。
「上空に積乱雲発生中。おいでなすった。」
機長は操縦桿をまっすぐに保ち、雲を避けようともしない。見る間に雲に突入し、視界が真っ暗になった。激しく揺れる機体が水平飛行に移ったのは、 それから数分だったが、僕には1時間にも感じられた。

揺れる機内で、機長が前を指差す。
「来たぜ。」
前の窓に、細かい氷の粒がぶつかっている。たちまち、窓が真っ白になった。ほとんど前が見えない。水平飛行中とはいえ、これでいいのだろうかと機 長を見る。と、なにやら操縦室の照明をいじっている。
「その、窓の上の黒い布を下ろせ。」
機長が指した先には、計器の間に挟まれた黒い布が見える。これを下ろす?窓が見えなくなるじゃないか。
「え」
「いいから下ろせ」
言われるまま布を下ろすと、そこには穴が開いていた。
「よおし、準備完了」
と機長は言い、照明を触っていた手を放した。操縦室に、オレンジ色の光があふ
れる。光に照らされた黒い布は、ギザギザの縁取りをした大きな穴が開 いている。それが左右に一つずつ。ちょうど操縦室の窓に当たるところだ。真ん中に小さな三角の穴もある。
「これがなんだかわかるか」
「い、いいえ」
「目だ。目の形だ」
何を機長は言っているんだろうと思って、よく穴を見てみると、思い浮かぶものがあった。
「カボチャ大王」
機長はニヤっと笑い、大きくうなずいた。
「そうだ、あのカボチャの提灯だ。外から見ると、ジャック・オ・ランタンになってる。」
「な、なぜ?」
「自動操縦に切り替える。ついてこい」
機長は後ろの扉を開けて行った。

機内の乗客は、人間ではなかった。うめき声を立てている魔女やゾンビや幽霊やゴブリンたち。機長が歩くと、周りから手が出てきて機長と僕を捕まえ る。
「トリック・オア・トリーツ」
ポケットからキャンディーをばらまきながら、機長は機体中央部になる右側の窓にたどり着いた。指し示す機長の横から、窓の外を見る。


翼の上に何かいる。


窓の外には、主翼が伸びていて、途中にエンジンのふくらみと白い輪が見える。
プロペラの端にペイントされている白い色が、回転で輪に見えるのだ。
そのエンジンの後ろ、主翼の上になにかがへばりついている。雷雲の中で、稲光が光る。その光に照らされて、翼の上の物が分かった。
「雪だるま…角が生えてる」
乗客が騒ぐ。
「来たぞ」「魔物だぁ」「お菓子はどうした」「いたずらされるぞ」
もう一度閃光が走る。僕の目に残ったのは、雪だるまのニヤリとした笑い顔だった。
暗い雲の中を飛ぶ機体の翼の上を、ゆっくりと雪だるまはプロペラに近づいていく。
「エンジンにいたずらするつもりだ」「お菓子を投げろ」「窓が開かねえ」
魔女たちが右側の窓にへばりついていて、機体はゆっくりと右に傾いていく。
頭に矢の刺さったマーサが、ゾンビだちを窓からはがしていく。
「さあ、座りましょうねぇ」
「機長、ジャック・オ・フロストにキャンディをやらないと。」
背の高い骸骨が、機長に言う。隣の小さい骸骨も、甲高い声で付け加える。
「いたずらされちゃう」
機長は、僕を連れて操縦室に戻る。


「さて、どうする」
着席した僕に、機長が問いかける。知らないよ、と思いながら僕は答える。
「わかりません」
「あーあ、カボチャ大王で魔除けしたんだけどなぁ。翼だったか。」
機長は、何か思いついたように右手を挙げる。
「そうだ。あれを上げればいい」
「なんですか」
「副操縦士。右のエンジンを止めろ。」
「え、嵐ですよ。落ちます。」
「大丈夫だ。それに、いたずらされたらやっぱり落ちる。」
僕は、機長に向かって叫んでいた。
「なんなんですか、あれは。ただのぬいぐるみじゃないですか。よくできてますけど。これは何の冗談ですか。ハロウィンのジョークにしては程度が過 ぎませんか?それにエンジン止めるなんて。遊びに命賭けられません。」
「そう思うだろ。ただのジョークだと。だがな、あれは本物なんだ。毎年ハロウィンの晩の山越え便にやってくる。」
向き直った機長の目は、まっすぐ僕を見ていた。
「何もしなかった頃は、本当に墜落する便もあったんだ。ある年、ハロウィンの騒ぎをこの機でやると、それは何もせずに帰っていくんだ。だから、大 真面目にハロウィンのバカ騒ぎを、この便はやることになってる。」
「で、エンジンを止めるんですか」
「ああ。右エンジンの中心に、大きなグルグルキャンディーが付けてある。エンジンを止めて、そいつを取らせて帰ってもらうんだ。」
なんで、エンジンなんだよ。と思いながら、僕は操縦桿を握りなおした。
「機長、なんでエンジン止めるんです?」
機長は重々しく答えた。
「止まる寸前にゆっくり回るのが楽しいらしいんだ。」
ため息をつきながら、僕は右のスロットルをゆっくりと戻した。ゆっくり回るのが、雪だるまによく見えるように。

嵐の中を片肺飛行を続けていると、急に雲が切れ、星空が広がった。
「帰って行ったか」
機長はつぶやき、僕に向かって言った。
「右エンジン始動。山の向こうに行くぞ。」
さっきまでの操縦桿の振動が嘘のように、穏やかな飛行になった。遠くに街の灯が見える。無事に着陸できそうだ。

タラップを降りると、後ろから声がかかった。
「どう?面白かった?」
振り向くと、頭から矢を抜いているマーサだった。ほどけたブロンドの長い髪を僕のほおにかすらせて、耳元でささやく声はこう言っていた。
「よくやったわ、ジャック。毎年、新人のパイロットはこのバカ騒ぎの洗礼を受けるのよ。片肺飛行の腕も見られるしね。」
ウィンクをして走り去るマーサと、親指を立てておもいっきり走っていく機長が見える。

やっぱりね。そんなことだろうと思ったよ。ばかばかしい。


でも、僕は今右目の端で見ているものはなんだろう。右のプロペラの先はあんなふうにちぎれてたっけ?白いペイント部分はどこへいったんだろう。

ま、メカニックもいっしょにいたずらしたんだろうさ。特大のペロペロキャンディも、もうはずしたみたいだしね。

id:takejin

ちょっと修正したのを、はてなブログに。
http://takejin009.hatenablog.com/entry/2012/10/17/155610
暇が有ったら覗いてね。

2012/10/17 16:05:44
id:misato385

可愛い!!
ジャック・オ・フロスト可愛い!!可愛すぎる!!
こういう話も好きです、ていうか面白かったです!!
素敵ですね、何だか主人公も機長も良いキャラだし、本当良いですね何ですかこれ!!
ところで、どうすればこの便のチケット取れるんでしょうか?

2012/10/18 17:51:29
id:a-kuma3 No.8

a-kuma3回答回数4557ベストアンサー獲得回数19032012/10/16 23:18:16ここでベストアンサー

ポイント37pt

『Silent Halloween Night』


 掌の上で、私にはとても愛嬌があるとは思えない三角の眼で、かぼちゃが笑いかけている。見透かしたように、私を嘲笑っているようにも見えるのは、気のせいか。私は、ペティナイフを動かしながら、詩織(しおり)に話しかける。

「父さん、器用なもんだろう。また、自慢話かって顔をするなよ。
 小さいころから、手先が器用なのは自慢なんだから、仕方ないだろう」

 外はとても静かだ。
 県道から遠く離れたこの家では、たまに遠くから聞こえてくるサイレン以外は、車の音も聞こえてこない。台所から鍋がふく音が聞こえてくる。火にかけていたお湯が沸いたようだ。私は、仕上げを残すだけのかぼちゃとペティナイフを机の上に置き、台所に向かう。

「ほら、見てみろ。なかなか、よくできているだろう」

 沸騰しているお湯には、すでに塩が入れてある。袋から二人分のパスタを取り出して入れ、タイマーをセットする。

「今日のパスタは、かぼちゃのパスタだよ。ハロウィンだからね。
 今度は大丈夫だよ。きちんと、裏ごししたし、コンソメもきっちり効かせた。前みたいに、ぼそぼそで、ただ甘いだけのにはならないよ」

 かぼちゃを弱火にかけ、固くならないように茹で汁を少し足してゆっくりとかき回す。
 いつもの年よりもずいぶんと早い初雪が、真っ黒な夜がゆっくりと白く塗りつぶされてゆく。植えているかぼちゃやさつまいもを掘り返した跡は、すっかりと雪に覆われてしまっている。

「そうそう。庭に植えている白かぼちゃを使ったんだ。
 雪が降っているし、かぼちゃの提灯が雪だるまみたいだよな」

 しんしんと静かに雪が降り続く表から、小さな子がハロウィンの真似事をしている声が聞こえてくる。早くに母を亡くし、詩織には淋しい思いをさせたこともたくさんあった。いまさらハロウィンという年齢ではないが、なるべく一緒に食事をとるようにしてきたのは、私なりの罪滅ぼしのつもりだ。 かぼちゃに火を入れながら、タイマーの残り時間を確認する。味をみて、少し塩を足す。弱火にして、すりおろしたチーズを入れてゆっくりとかき回す。
 タイマーが、パスタの茹であがりを知らせる。ここからは手早くやらないと、せっかくのパスタが台無しになってしまう。お湯をしっかりと切ったパスタをフライパンにあけ、がしゃがしゃと混ぜ合わせる。軽く、二、三回あおって完成だ。皿を二つ寄せて、捻りあげるように盛り付ける。別に分けておいたかぼちゃを散らし、フライパンに残ったソースをたっぷりとまわしかける。
 両手で皿を運び、すでに食卓に用意してあるランチョンマットの上に静かに置く。

「お待たせ。ハロウィン用の、白かぼちゃのパスタだよ」いただきますを言って、さっそくパスタをほおばる。

「父さんには、ちょっと甘いかなあ。でも、旨いだろう。こうしてしまうと、白かぼちゃを使ってるのは、全然わからなくなっちゃうな。
 そうそう、かぼちゃの提灯に火を入れないとな。
 詩織は知ってたか? かぼちゃの提灯も、ゆきだるまも、名前がジャックって言うんだぞ。
 おっと、いけない。生クリームをかけるのを忘れていた」

 慌てて台所に生クリームを取りにゆく。私の皿は、もう半分以上空いてしまっている。詩織のパスタに、軽く生クリームをひとまわしかけてやる。

「駄目だなあ、本当にうっかり屋で。口を滑らせちゃうことも多いもんな。でも、あれだよな。そういうときには聞いてる方も、さらっと流してくれれば良いのにな」

 父さんは、いなくなった母さん、って言ったはずなんだ。亡くなった、って、詩織の聞き間違いじゃなかったのか。あんな言い方で責めることはないじゃないか。父さん、うるさいのは嫌いなんだ。

 もう、一年も前のことだから、はっきりとしたことは覚えてないし、済んだことをあれこれ言うのは止めよう。それに、父さんの長所は、自分の駄目なところを、きちんと分かっているところだ。だから、失敗をしたときでも、冷静に対処できると思ってる。かぼちゃを採ったときには、ちょっと驚いたけどな。


 ドアを叩く音がうるさい。
 さきほどからやたらと聞こえてくるサイレンの音もうるさくて堪らない。
 静かにしてくれないか。
 私は、詩織がいっぱい詰まったかぼちゃを味わうのに忙しいのだ。

id:misato385

良い感じにどろっどろに煮込まれた甘い南瓜ですね、御馳走様です。
意外と黒胡椒がきいている気がしましたね、クリーミーで胃もたれしそうです。
うーん、困ったな、ただでさえあまり好きじゃないかぼちゃがよけい甘ったるく感じられてしまう…パスタは良い茹で具合で、「アルデンテだろ」と生噛りのくせに威張ってくる男とは大違い。美味しいけれど、気持ちの良い吐き気が残る。
うーん、何て言ったら良いんだろう、その吐き気がたまらなく愛おしい感じ…。

2012/10/18 18:00:51
id:a-kuma3

やった────────────────────!

自分でも何書いているか分からなくなって、直前まで投稿しようか、悩みました。
苦しんだ分、うれしさもひとしお。

というわけで、祝杯ナウ。
# いつも飲んでるけど

2012/10/18 21:11:44
  • id:misato385
    徹夜明けのテンションで感想書いたら相当ウザくなりましたが、本当は暗いどころか真っ暗な地味子なので、嫌いにならないで上げてください。石投げないで下さい。お布団下さい。あと時間も。
  • id:maya70828
    くそー!仕事が忙しくて参加できねー!
  • id:sokyo
    ↑かーらーのー?
  • id:misato385
    うああああ、自己嫌悪とかしてる場合じゃない、質問終わってた!!
    BA選ばなきゃ!!
  • id:meefla
    何このハイレベル……(・・)
  • id:sokyo
    ↑私のこと?(殴

    a-kuma3さんっっ!
    かきつばた賞おめです☆★
    こんな作品じゃ私かなわないよ!><

    あと、京さんの主催、超絶ステキでした♪
    安心して参加できたしとっても楽しかったです。
    ハイレベルなみなさんが集まったのは偶然じゃなくって、
    京さんの主催がとってもよかったからだって思ってますよー。

    その証拠として、このコメにはスターがいっぱい付くよ!←えびばでかもん!!
  • id:a-kuma3
    イメージがはっきりと浮かんでしまうお題だったので、難しいなあ、と思ってたのですが、色んなバリエーションがあって面白いですねえ。
    最近は、自分で投稿するまでは他の人のを読まない、と決めている(心が折れちゃうから)ので、ちょっとしたアンソロジーを読んでる気分を楽しんでます。
  • id:takejin
    今回は、特に楽しかったなぁ。
  • id:maya70828
    今回、ポイントで回答者を釣らずに回答が集まる感じが良かったです。
    受けがよいユーザーがかきつばた杯を開催すればいいと思いましたね。
  • id:gm91
    遅ればせながら、BAおめでとさんです >a-kuma3氏


    ハロウィン……実はaじゃなくてeの方で書こうとしてたけど挫折しました。
    http://www.youtube.com/watch?v=PHJin6xn20Q&feature=related
    http://www.youtube.com/watch?v=bBmLAwB__LM&feature=related

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