【人力検索かきつばた杯】#40 「野ばら」


かきつばた杯を開催します。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CD%CE%CF%B8%A1%BA%F7%A4%AB%A4%AD%A4%C4%A4%D0%A4%BF%C7%D5

お題:
 タイトル「野ばら」でショートストーリー

締め切り:2012/12/31 AM00:05~自動終了直前 

※基本的にタイトル固定でお願いしますが、応相談。
※先日予告したものは予告通りに別途開催します。ほかの方の開催がなければ、予告した分が#41となります。

開催者挨拶:
 せっかく遠慮したにも関わらず、どちら様も開催される気配がないので、私が#40記念大会開催の誉れをGETしまして候でござります。
「あ~アイツのお陰で年末は仕事と宴会に集中できそうだなァ~」と油断されておられた常連各位には大変ご愁傷さまですが、タチの悪いクリスマスプレゼントだと思って観念してください。

回答の条件
  • 1人3回まで
  • 登録:2012/12/24 07:01:31
  • 終了:2012/12/31 00:09:54

ベストアンサー

id:takejin No.6

たけじん回答回数1466ベストアンサー獲得回数1892012/12/28 10:52:33スマートフォンから投稿

ポイント47pt

『野ばら』

薔薇の花束を助手席に積んで、僕は道を急ぐ。
彼女が待つ家へ、夕方の坂を上る。薔薇の花びらに夕暮れの紅が射して、何とも言えない色を醸し出している。
さあ、日も暮れた。ドアをノックしよう。バラで、僕の顔が見えないようにして、と。
「あら、薔薇?ケンジ君ね」
「名乗ってないのに」
「だって、いまどき薔薇なんて、あなたぐらいしかいないわよ」
透き通るように白いユミの顔が、さらに輝いている。宵の口の君は、ひときわ美しい。
「今日はどこへ行くの?」
「そうだなぁ、夢の国なんてどう?」
「あら、ドリームランド?いいわ、たまには遊園地も」
「じゃあ行こう。夜は人が多いから」

住宅街を抜けて行く。ユミはオープンカーのドアにもたれかかって、流れる景色を眺めている。
「この辺も、薔薇がいっぱい咲いてるわね」
「野生の薔薇が増えたからね」
「ねえ、薔薇の花言葉って知ってる?」
「知ってるよ。」
「教えてくれる?」
「『夢かなう』だよ」
「そのバラだと、今はそうなのね」
「夢と言えば、ユミの夢ってなんだい?」
「砂漠の真ん中のオアシスで、水泳をすることかな」
「真昼間に?」
「そうよ」
「そりゃ、夢かも。でも、かなうといいね」
「そうね、花言葉みたいにね」
街並みを抜け、ハイウエィに車を上げる。
前方には、砂漠の中に浮かぶ華やかに彩られた夢の国が見えてきた。

ドリームランドは大混雑だった。
「人でいっぱいねぇ」
「ほんとだ。」
列を整理しているスタッフに聞く。
「ずいぶん混んでますね」
「すみません、本日は特に日差しが強かったので、夜に集中しまして」
「そうなんだ」
「改善のため、透明ドームの建設を進めていますが、完成まではこの状態かと」
「ふううん」
見上げると、空の半分を透明な天蓋が覆っている。その脇では工事用のマシンが作業をしているのが見える。

ドリームランドの真ん中の観覧車に乗ると、周りの砂漠が一望できる。砂漠のあちこちが、青白い色で埋まっている。
「おや、薔薇は砂漠にも沢山生えてるね」
「遺伝子操作の産物が、野生種と勝手に交配して広まっちゃったのね。厳しい環境にも耐える遺伝子も与えられてるし」
「砂漠が野ばらで覆われるなんて、バラ色だね。」
「バラ色って、何色の事よ」
「え、青じゃないの?」
僕は、薔薇の色が他にあるなんて知らなかった。
「それは、最近でしょ?本当は赤なのよ」
「赤いバラなんて知らないよ」
「紫外光や電磁波が降ってくるようになった今では、赤いバラなんて生きられないわ。強い光を吸収うしちゃうから。でも、昔は赤だったの。」
僕は、ほんのり赤く染まる、ユミの唇を見つめていた。
「それって、ユミの研究と近い話?」
「そうよ。遺伝子操作で、この太陽から青くない生物を守る研究だもの。赤いバラも生き残れるように。」
「うまくいくといいね」
「うん、あんまり進んでいないんだけどね」
ユミは小さくため息をついた。


ユミのケータイが鳴っている。
「?」
「夜明けだわ。帰らないと」
「急ごう」
ドリームランドの中央通りを出口へ急ぐ。周りの人たちも、同じように集まってくる。
混雑でなかなか出られない。そうこうするうちに、空が明るくなってきた。
「あ、陽に当たっちゃう」
「もうすぐ駐車場だから。こっちだ。」

駐車場から離陸すると、もう夜は明けきっていた。
「まぶしいわ」
「このキャノピーは紫外光も放射線も通さないから大丈夫」
「ええ、わかってるけど、日差しに慣れないから」
ユミは、この日差しの下では生きられない。太陽からくる強い紫外線と電磁波が注ぐ地上では、ユミの肌を通過して機能不全を起こしてしまう。日が沈んでからしか、出歩けないのだ。この地球上では、人口の一割は、この夜行性の人種なのだ。
「赤いバラの花言葉って知ってる?」
「知らないよ。第一赤いバラなんて見たことないけど」
「ええ、今はないのよ。だから『かなわぬ夢』なの」
「へええ。」
「でも、ずっと昔は、それは『青いバラ』の事だったのよ」
「変だよそれは。いっぱいあるじゃん」
「この日の光が、そう換えちゃったのよ」
陽が高くなってきた。高速エリアへとドームを超えるように車を上昇させた。

その時、上から大きな建設用マシンがスピンしながら落ちてきた。避ける間もなく、僕の車に衝突した。ハンドルが効かなくなる。地面が目の前に迫ってきた。

気を失っていた僕は、痛みで目を覚ました。いろいろなところが痛い。割れたキャノピーが見える。
「ユミ、日差しが」
振り向いた横には、ユミが横たわっていた。
燦々と日差しがユミに降り注いでいる。車のシートが、ユミの赤い血で染まっている。
「もうだめね。」
ユミの顔には斑点が浮き出していて、防護服の破れた部分も赤くただれている。覆ってやりたくても、体が動かない。
ユミは僕を見て微笑んだ。
「私も赤いバラも、ここでは無理なの。わかってた。かなわぬ夢だと。」
「そんなことない。がんばれ」
僕はかろうじて動く手で、ユミに触った。
「ううん。いいのもう。あなたのように生まれたかったわ。この薔薇たちと同じに。」
ユミの周りは青いバラでいっぱいだった。それは、砂漠のオアシスのようでもあった。彼女は、倒れたシートの上で、背泳ぎを泳いでいるようにも見える。その薔薇の池の中にあるユミの手は、僕の血で真っ青に染まっていた。

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id:takejin

では、キャリーの様に、終わったとおもったら!!
って感じに。

2012/12/31 11:04:09
id:takejin

後一日、昼休みが有ったら、事故(というか、日光にさらされるきっかけ)の所にも手を入れたんだけどなぁ。

2012/12/31 11:07:16

その他の回答(7件)

id:misato385 No.1

回答回数59ベストアンサー獲得回数92012/12/25 10:41:38

ポイント40pt

『野ばら』

 逆さまの勿忘草が飾られていた。

 小さなカフェで、客は一人もいなかった。夜も遅かったし、今日はクリスマスイブというやつで、家族でケーキを食べたりだとか、友達とパーティーしたり、恋人とデートしたり、世間はもう赤い服着た老人だの派手に飾られたモミの木だので飾られ、夜には眩しいくらいの明かりがあちこちで点滅している。しかしこのカフェは特にそういったこともせず、静かに立っていた。それが気に入って通うようになったのがつい最近。今は店員は一人だけ、私が注文したチャイ・ラテを作っているので奥に行ってしまい、広い空間に私だけという淋しい状況になってしまった。
 彼氏が欲しいだの、恋がしたいだのと強く願ったことはないが、こういうときに話し相手をしてくれたり、淋しいときに少し甘えられるような人がほしいとは思う。気付けば淡い思いを抱いていた人は遠くへ行ってしまったし、仕事に打ち込めば出会いは勿論やってこなかった。一人厨房で夢を描きながらチョコレートや飴細工を添えたケーキは売り出せばいつしかすぐに売り切れるほどになっており、けしてその時間は無駄ではなかったし、後悔だってしていない。でも、淋しさというものは簡単に埋めつくせるほど浅くはない。また、冬の寒さに余計孤独感がつのるのだ。
 「お待たせしました」
そう言って店員の彼は静かにカップをカウンターにのせた。彼は高校の同級生だったが、あまり話したこともなく、ここで働いていることもつい最近まで知らなかった。今ではお互いの店によく遊びに行くようになり、私のケーキを買ってくれたりもする。サッカー部で部長をしていた彼は顔も性格も悪くなく、モテている方だとは思ったが、なんと未だに彼女をつくったことがないと言う。明るい彼が恋愛に興味がないはずがなかったが、確かに昔からそういううわさを聞かなかったような。
 「クリスマスイブですよー。淋しくないの?」
そう言って自分の淋しさを誤魔化しつつ彼に意地悪そうに笑って言ってみると、
「クリスマスイブにフリーだから何だっての。お前も人のこと言えないじゃん」
彼の悪戯っ子のような笑顔は何だか見ていて面白く、ふふ、と笑みをこぼしながらチャイ・ラテを口に流し込む。あたたかいというのは本当に不思議なもので、淋しさが穿った穴に注がれて満たされていくような、そんな感じがする。辛いことも全部忘れられるし、生きてるんだなって実感できる。シナモンの香りで疲れも癒されて、久しぶりに安心できてるなと思った。
 「ねえ、何であの勿忘草逆さまなの? わざと?」
特に話題もなかったのでさっきから気になっていたことを振ってみる。「わざと」と彼はぼーっとした顔で短く呟いた。そこにすかさずどういう意味かと食いつくと、彼はしまったと手を口に当てたが、渋々話してくれたのだ。
 「この前、お客さんに告られた」と。常連で、話したことも何回かあり、良い人だと思っていた。しかしお付き合いを断ったというのだ。その次の日も、次の日も彼女は「いつでも待ってる」と言ってきた。けれどそれには応えられないと、飾ってあるのと同じように逆さまの勿忘草の花束を渡したのだと。彼女も彼目当てだったのか、最近は店に来なくなったらしい。

 私を忘れないで――勿忘草の花言葉、その逆さまということは、「忘れてください」ということ。

 「何それ、付き合っちゃえば良かったのに……」
彼は結局フリーのままだ。ここ最近のやり取りで彼がどんな人か分かってきたから、何だか勿体ないと思った。どんな女性も彼とだったらたとえ平凡でも幸せな日々がおくれるだろうし、私のように仕事漬けにしてしまうのも惜しいと思うのだ。
「ひょっとして好きな人がいるとか?」
自分用のホットコーヒーを淹れている彼は一瞬動作が止まったように見えた。どうやら図星のようだ。カップを両手で包むようにしながら手を温め、様子をうかがう。ずっとそんな噂のなかった彼にそんなことを訊くのもどうかと思ったが。
 暫くして、「まあね」と返事が来たときの感情と言うのは何だか複雑なものだった。嬉しいような、仲間が減って寂しいような。大きな溜息が漏れて、でも応援してあげたくも思う。そして、遅い春だなあなんてちょっと笑ってやりたくも思う。
「じゃあ、告白しちゃいなよ。この際親密度は気にせず、早いうちに伝えた方が良いって」
そう言ってしまった自分が何だか嫌だったが、彼の幸せを手伝うのは友人として当然だと思い直し、後ろを向いたままの彼の背中を見守った。
「早いうち……か?」
「そうそう。冬は寒くて人恋しい季節だからね。良いチャンスだよ」
 彼は深呼吸するとこちらを振り向いて、リボンでラッピングされた小さな花瓶をカウンターにのせた。そこには可愛らしい白い花と、赤い実が活けてあった。何が起こっているのか分からず顔を見上げると視線を逸らされ、「察しろ」とだけ、ぶっきらぼうに言い放つ彼の頬は、少し赤く見えた気がした。

孤独、才能、詩、痛手からの回復。

素朴な愛、無意識の美。

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id:misato385

そこは常習犯なので気を付けねばですよね。
ハーメルンの笛吹きになれるように頑張りますですよ。
正直自分でこれ気に入ってなかったので気が向いたら書き直します。

2012/12/30 14:52:43
id:gm91

作品の完成度は高い。文章も読みやすくてよいです。
ちょっとだけ残念なのがお題の処理。
ラスト、花言葉だけが唐突に出てきて不自然な感じ。もう1ステップだけ物語に絡めるといい感じに爆発したのかと思います。読者に調べさせちゃうのはちょっと不親切。
「キーワードから連想」ならこれでよかったんだけど、タイトル指定にした醍醐味がそこにあるので、ちょっと拘ってみたとです。

2012/12/31 10:52:36
id:grankoyama No.2

グラ娘。回答回数560ベストアンサー獲得回数1702012/12/25 13:48:12

ポイント38pt

『野ばら』


「会長! 反乱軍が……!」
 生徒会室に飛び込んできた彼は、生徒会長の側近。特別にしつらえたブレザーは他の生徒と同じデザインのはずであるが、どことなく貴族を思わせるような着こなしがハマっているが、いわゆるブサメンで、折角の衣装が台無しである。
「どうしたんだい、吉川……」
 優雅にダージリンティーを舌で転がしながら飲んでいた生徒会長の石嶺は、吉川の狼狽を冷静に受け止めながら、ブランデーグラス(中身はダージリンティー)を弄んでいた。
「ですから、反乱軍が……はぁはぁ、反乱軍が……ですねぇ……」
 息も絶え絶えに報告を始める吉川。
 ちなみに、一風変わった生徒の多いとある都立高校での一幕である。おかしな生徒が多いとはいえごく普通の高校。反乱軍なんぞという組織は、公式には認められていない。
 しかし、ここ数年、生徒会への反抗を企て、つい先日は風紀委員会を壊滅に追いやった、諸生徒の一団は、もはや、通常の学生生活の範疇を超え、『反乱軍』、あるいは『革命軍』、はたまた『野ばらの騎士団』などという大層な呼称で呼びあらわされている。
 その勢力の基盤となっていたのは、とある同好会である。
 SOS団……ではない。光画部……でもない。
 麻雀同好会という、高校の同好会にしてはおぼろげながらに異彩を放つその組織は、もともとは非認可の組織であった。
 ことの発端は2年前。帰宅部の一掃をめざし、部活への入部を強制するという新しい校則を配布した学校側(教師、生徒会系組織)に対して、帰宅部の諸メンバーが、起死回生で打ち出したのが麻雀同好会という組織であった。
 実際に放課後に部室で麻雀(もちろん金銭はかけていない……と学校側には認識させている)を打ちまくっているメンバーがごく少数。加えて、課外活動として、帰宅後にそれぞれの場所で麻雀にふけるメンバーが、これまた少数。
 実のところは、家に帰って好き勝手に過ごしているメンバーが大多数。
 それでも、部活の活動報告書には、メンバー全員の対戦成績などが記載され、公式報告の上では、全員が毎日きちんと部活動(といっても麻雀を打っているだけであるが)にいそしんでいるという、免罪符を得たうえで好き放題な放課後ライフをエンジョイできるということで、一気に勢力を伸ばした組織である。

「で、反乱軍、もとい、麻雀同好会がどうかしたのかね? 吉川君……」
 生徒会を束ねる長である石嶺は、普段から麻雀同好会の存在を疎ましく思っていたが、これまで積極的介入は避けてきた。
 そもそも、2年前の麻雀同好会の発足のきっかけを与えた時の生徒会は急進派。石嶺たちは穏健派として、ものごとを丸く収めるべく、のらりくらりと運営をしてきた。
 つまりは、麻雀同好会にもそれなりの予算を与え、幽霊部員たちにも寛大な態度で接し、争いの種を摘み、なるべくなら、無事に任期を終えることを主目的に据えてきたのだ。
 活動内容不明な部活は罪。そういう意味では、麻雀同好会は一応、麻雀を打つという大義名分に即した活動を行っているといえる。
 風紀を乱す活動は断罪されるべき。賭け事をしているなどはもってのほかではあるが、これまでのところ、麻雀同好会で、それらの類の報告はなされていない。
 幽霊部員が多いというのが、取り締まり対象になるといえばそうであるが、穏健派で進める生徒会は見て見ぬふり、つまりはそれについても過度な干渉を避けてきた。
 
 つまりは、麻雀同好会は限りなくグレーな組織ではあるが、生徒会側の寛大な措置によって、書類の上ではまっとうな同好会として成立しているのである。
 小さな火種はくすぶっていようとも、突然問題を起こすような組織であるとの認識はこれまでされてこなかった。
 しかし、吉川の報告は、石嶺の想像の域をはるかに超えていた。
「これを見てください……」
 そう言いながら吉川が差し出したのは、一片の書類。
「まさか……これは……」
 さすがにそれを見た石嶺も絶句してしまう。
 その内容は簡単に言うと、本校の全ての文化部と麻雀同好会の統合。麻雀同好会から、『世界文化研究委員会』への活動内容の変更などが記されていた。
 さらには、各々の文化部の部長、各役員等の署名まで入っている。
「どういうことだ!」グラスを床にたたきつけ、天を仰ぐ石嶺に吉川が事の重大さをさらに告げる。
「文化系クラブの大統合です! すべての文化部をひとつに集約し、一代勢力を築くというのが彼らの目的です。さらに一部の運動系の部活からも離反者が出ています。
 このままでは……、このままでは我が校の文化的部活動は崩壊します……それに……」
「ただでさえ、成績の振るわない運動系の部活群……、メンバーがそろわなくなり、地区大会への出場も危ぶまれるような状況が即座に予測されるな……」
「ええ、それにここに記載しているとおり……」
「部員のレンタル規約か……、団体競技である野球、サッカー、その他もろもろの部活への部員の貸出。対価は、活動予算、それに『世界文化研究委員会』への不干渉……」
「このままでは、わが校の部活は、全て『世界文化研究委員会』に牛耳られてしまいます! それに……これだけの人数が結束するとなると……」
「次回の選挙の結果が目に見えているな……。『世界文化研究委員会』擁護派が当選し、さらに勢力を増すだろう……」
「会長……」
「時は来た! 我ら、第32期生徒会。いままで、自由な校風、リベラルな放課後ライフを謳い、麻雀同好会を始め、ことさら文化部に対しては、寛大な措置を取ってきたが……
 殿下の宝刀を抜くときが来たようだ。緊急会議を開催する! 暁の四組織に連絡を!」
「まさか……!」
「ここまでくれば仕方あるまい……。甘い顔をしてこられたのもこれまでだ。まずは申請に先立ち、現状の麻雀同好会の活動報告に対しての査問委員会を結成する。
 しかるべき資料をまとめ、可能であれば、麻雀同好会の無期限活動停止を要求すべし」
「しかし……これまでの活動報告は、数字の上では問題なく、審査委員会も承認を通してきましたが……」
「叩けばいくらでも埃は出るだろう。痛み無くして、この危機は乗り越えられまい」

 こうして、麻雀同好会の独立宣言に端を発した、生徒会と文化部連合の戦いは幕を開けた。
 後世、『野ばらの反乱』として、歴史に刻まれる壮大な争いは、最終的には壮絶な麻雀対決へとその戦いの場を移すことになるのだが、その仔細は生徒会史には編纂されていない。

id:grankoyama

もういっこぶちこもうとしたら、連続投稿は禁止されていますとかって出ちゃった。こんなの初めて。

2012/12/25 13:49:29
id:gm91

話がまとまってないですけど、妄想パワー炸裂で楽しめました。
元ネタ愛が感じられて好きです。

2012/12/31 06:55:35
id:grankoyama No.3

グラ娘。回答回数560ベストアンサー獲得回数1702012/12/25 13:49:42

ポイント32pt

「というわけで、我々反乱軍は帝国軍の皇帝が放った魔物を退治しながら、世界の平和を守ることになったんだが……なにか質問は?」
「は~い、はいは~い!!」
「えっと、君は?」
「パーティの紅一点、アリーナです! うふっ。とある王国のお姫様です! 特技は素手での格闘です! 苦手なものは、じじいの説教です!
 出典のゲームがちょっと違うような気がするけど、気にせず頑張ります!」
「あ、そう……で、質問って何?」
「パーティアタックってありですか?」
「パーティアタック?」ハルオニールは怪訝そうな顔をして聞き返した。
 ちなみに、ハルオというのはgrankoyamaがゲームの主人公に付ける名前で、本名とは一切関係ない。一時期は、かわうそやかっぱなど、吉田戦車の影響を受けて、伝染るんですのキャラクターの名前をパーティメンバーに付けていた時期もあったが、それだと非常に感情移入しにくいということに気づき、以来ほとんどのゲームで勇者や主人公はハルオの名を冠されている。
 で、今回はネタ元がFFⅡっぽいので、それの主人公のフリオニールから転じてハルオニールというのが、主役の名前だ。以後お見知りおきを。

「パーティアタックというのはですねぇ……」
 横槍を入れてきたのは、ファンタジーの世界には違和感たっぷり、天野喜孝の世界とは似ても似つかない、小太りでニキビ面のおっさんだ。
 名前は仮に上野さんとしておこう。某ニンテンドーのシステム上、自身のアバターをゲーム内に持ち込むことが一般化されてしまった。
 上野さんはその不細工な容貌を、真摯に受け止めて嘘偽りで飾り立てることなく、本来の自分にできるだけ近いMiiを作成したら、気持ち悪いおっさんそのままのキャラクターでゲーム内に登場することになってしまった。本職は、デザイン関係の仕事と言っているが、その真偽は定かではない。RPGとギャルゲーに明け暮れる日々を過ごし、今回もいつの間にか、パーティの一員として参加してしまっている。

「パーティアタックというのは、その名の通り、自分の仲間に攻撃をすることだ。ほとんどのゲームにおいてそれは意味をなさないが、属性吸収系の装備を身に着けていた場合など、
 魔法攻撃を吸収して回復に充てることができるなどの使い道がある」
 さらに横槍を入れてきたのは、上野さんとのネット上の知り合いの前橋さんである。前橋さんは実は主婦で二人の子持ちらしいのだが、ゲームではいつも20代のいかした青年を演じている。ファンも多い。そこここのネットゲームで、名を馳せている。課金常習者である。旦那の稼ぎのほとんどがネットゲームやガチャに消えているといわれているが、彼女は気にしない。
 なぜなら、セレブであるからだ。セレブ的金銭感覚を持ちつつ、豪華なランチやブランド物の衣類、バッグなどに目もくれず、オンラインゲームに没頭するその姿は、中学一年生と小学四年生になる二人の息子もあきれるほどの、浪費っぷりである。
 反面教師が功を奏してか、二人の子供はまっとうに成長しているのがささやかな前橋家の救いである。

「なるほど……味方に攻撃することですか……」ハルオニールは考え込んだ。
「エニックスなら、そんな暴挙は許さないけどね」とアリーナが微笑む。
「でも、今回のシステムなら、味方からの攻撃を受けてHPが減少しても、最大HPの上昇が見込めますから……」
 上野さんは、腰を振りながら、説明した。ちなみに上野さんの腰ふりには深い意味はない。特に何もすることがない場合は始終腰を振っている。いわば、足ふみのようなものだ。
「しかし、それだと序盤は良くても後半にゲームバランスが崩れてストーリーの進行に支障をきたすというのが通説では?」
 慎重派の前橋さん(39歳)が異を唱えた。彼女はリアルタイムでファイナルファンタジー2をクリアしたまさにその世代である。
『マル勝ファミコン』や『ファミ通』をこよなく愛し、時に投稿までしてガバスを得ていた彼女からすれば、攻略法を使用するのはやぶさかではないが、大人になって思うのだ。
 ゲームバランスを著しく損なうようなプレイは自粛すべきだと。莫大な資金で得たレアアイテムで、数々のオンラインゲームで大勢のユーザからやっかみを受けながら、金満大国日本を具現化するプレイスタイルを棚に上げつつ思うのだ。
 製作者の意図をゆがめたプレイは本来のゲームの面白さを損い、虚しい行為なのであると。

「とか何とか言ってるうちに敵が来たよ!」
 パーティに緊張が走る。もはや記憶にはないが、多分、FFでの序盤の雑魚であればゴブリンとかであろう。
 ゴブリンだということにしておく。2~3匹のゴブリンにエンカウントした。
「わたし、魔法って使ってみたかったのよねぇ~」おてんば姫が楽しそうに呪文の詠唱を始めた。
「メラ? じゃなくってファイア? どっちでもいいけど! えい!」
 彼女の放った火球は、一目散にハルオニール目がけて飛んでいく。

「熱っつ~~~!!」ハルオニールの悲鳴。ただし、初歩的な魔法攻撃ではHPゲージの3分の1も減少しない。
「パーティアタックありでいくんですか? じゃあ拙者も……」と、上野さんもこん棒でハルオニールを殴打する。
 1回ヒットで、ハルオニールのヒットポイントはイエローゾーンに突入した。
「ったく、後半きつくなっても知りませんよ!」それを見ていた前橋さんは、課金で得た攻撃力のすざまじい伝説の剣をハルオニール目がけて振り下ろそうとする。
「それ! それ当たったらおそらく、俺は死ぬ!」必死の思いでかわそうとするハルオニールであったが無情にも渾身の一撃を受けてしまった。

 戦闘不能。それすなわち、死ではないが、動くに動けない状況。念のために言っておくが死ではない。ただ、戦闘に参加できなくなっただけなのだ。
 戦闘中は倒れ込み、身動きひとつ取れないが、そこは敵もわかったもので、決して攻撃の対象になることもない。
 戦闘が終われば普通に動けるし、会話もできる。しかし、戦闘中は前のめりに倒れ込んだ状態を強いられる。
 
 薄れゆく意識の中でハルオニールは想った。このパーティ……先が思いやられると。
 痛みに耐えて、強くならなければ……

id:gm91

いつものお題ならOKだったんですけど、今回あえてタイトル固定にトライしてみたので、そこがちょっとだけミスマッチ。あと、パロディに夢中になりすぎてストーリー等閑になってるのが、点数が伸び悩んだ理由か。

2012/12/31 06:56:20
id:grankoyama No.4

グラ娘。回答回数560ベストアンサー獲得回数1702012/12/26 16:16:33スマートフォンから投稿

ポイント42pt

 試合開始直前の控室。
 錠剤を飲み下す須崎健人を心配そうに見つめる細面の青年。ふたりきりの室内。
「健人、やっぱり……それを飲むんだな……」
「今さらなんだよ、三船。これがないと……勝てないよ。俺には大した地力もない。センスだって……。それでもここまで……チャンピオンの挑戦者としてこの舞台に立つ機会が与えられたのはお前の開発してくれた、このワイルドローズのおかげだ」
「確かにこれには……痛覚を緩和させて痛みを減少させる、脳に働きかけて脳震盪その他類似症状へ陥りにくくするってまさに、格闘家にとって……お前にとって必要な効果が見込めるんだが……」
「ドーピングにも引っかからないんだろ?」
「まあ、新薬だからな……というか、劇薬、法をまぬがれている麻薬と言い換えてもいい」
「こんな総合格闘技の大会ごときで厳密なドーピング検査なんて実施されないしな。筋肉増強剤くらいみんな飲んでるよ」
「だが、これには相応の副作用がある……」
 そう言って黙り込む三船を須崎は、からかうように言った。
「なあに、副作用はこれまでの試合で経験済みだ。お前だって、被験者が欲しかったんだろ?」
「それはそうだが……」
「それともなにか? こんな薬に頼って試合に臨む……卑怯だと思うか? スポーツマンシップにのっとっていないと?」
 三船は、言葉を選びながら、
「それもあるにはあるが……それよりやっぱりお前の体が心配だ。いくら薬が効いている間はダメージを感じにくいとはいえ、実際のダメージが軽減するわけではない。
 本来であれば、気を失ってしまうほどの衝撃……それはつまり体の許容範囲を超えているということだ。それを無理に乗り越えて戦うのは……」
「仕方ないんだよ。そうでもしないと勝てない。そりゃあ、たまには勝てる相手に巡り合うこともあるだろうけど、受けるダメージを気にせずに全力で攻撃を放つ。それが今の……ワイルドローズを得た俺の戦いかただ。正直、俺本来の力ではこの世界で生きていくことは難しかったと思う。そういう意味ではお前には感謝しているよ」

 須崎と三船の間に沈黙が流れる……。そして無言のまま試合開始を告げる連絡が入り、二人は入場ゲートへと歩んでいった。

 5分3ラウンドの戦い。須崎の対戦相手は、不敗、常勝と名高い外国人選手。ミドル級の選手なので、上背はないが、その鍛えられた肉体には無駄が無い。
 探り合いともとれる膠着状態が続き、お互いに牽制の攻撃を放つだけで第1ラウンドは終わった。
「体調に変化はないか? 意識は? 相手の動きははっきりと見えているか?」
 声を潜めつつ、矢継ぎ早に質問する三船に対し、須崎は、
「大丈夫、これまでの試合と同じだ。次のラウンドで勝負を懸ける!」
 ラウンド間の休息が終わり、リングへ向かう須崎は手を挙げ、三船に必勝を誓った。

 致命的な攻撃を受けても、それがダウンにつながらない、ダメージが蓄積されない。須崎の活路はそこにある。
 反撃覚悟で、大ぶりの攻撃を繰り出す須崎であったが、防御面は薬の影響で強化されていても攻撃についてはそうではない。
 幾度か有効打を当てるものの、反撃もくらい、一進一退の攻防が続く。
 しかしラウンド中盤から、須崎の攻撃が相手をとらえ始める。ダメージは確実に相手の体力を奪い、その動きを緩慢にしていく。
 対する須崎のほうは、打ち疲れることもなく、攻撃を繰り出していく。
 もともとグラウンドでの攻防は苦手とするチャンピオンだ。寝技へ引き込まれることは、考えなくともよい。
 このまま攻め続ければ……いずれ……と、須崎が勝利を見出し始めた時に、ラウンド終了を告げるゴングが鳴り響いた。

「このままいけば……判定でも……」
 そんな三船の言葉に、須崎が応じる。
「ファンはそんなのを、望んじゃいない。捨て身で攻撃をし続ける、不屈の闘志を持った俺を応援してくれてるんだ……」
「…………」
「たとえそれが、特殊な薬を使った成果なのだとしても……。俺はファンに応える義務がある。責任があるんだ。ここで判定なんて望んでしまったら……それこそ、なんのためにワイルドローズなんていうものに手を出したのかわからなくなる。一度踏み込んだ悪魔の道。貫き通す! 信念を持って!」
 三船は須崎の瞳に宿る決意を見出して、納得したかのように小さく頷いた。
 そして、須崎に告げる。
「健人、ワイルドローズなんてものは無かったんだよ。あれはただのビタミン剤だ。お前は自分の力でここまで来たんだ。不屈の闘志で。致命打を寸前に回避し、ダメージを最小限に抑えて。痛みを克服し。すべては自己暗示の為せる業だ。しかし、それはお前の底に眠っていた力なんだ。誰の手も借りていない!」
「……」
「大丈夫、お前は強い。お前の強さはお前ひとりのものだ」
「三船……」
「最終ラウンド! 期待しているぜ!!」
 もはや、須崎の心に迷いは無かった。自分を信じ、己の力で望むものを手に入れる。
 しかし、それは自身のためだけではない。自分を支え、信じてくれた友のために。

 会場を埋め尽くす声援。雑踏を突き抜け……栄光への5分間の始まりを告げるゴングが高らかに鳴り響いた。

id:gm91

こういう暑苦しい話好きなんですよね~。相手の選手の名前とか、試合の攻防についてもっと具体的に描写があると感情移入度upするかも。

2012/12/31 06:56:42
id:a-kuma3 No.5

a-kuma3回答回数4441ベストアンサー獲得回数18252012/12/27 18:32:58

ポイント45pt

『野ばら』


 流したテールがコーナーをグリップしたと同時に、スロットルを思いっきり開け、次のコーナーに向かう。霧雨の水滴に濡れるヘルメットのシールドをぬぐい、次のコーナーに乱暴に突っ込んでいく。シールドの中まではぬぐえないので、センターラインがにじんで見える。

「ごめんね、黙っていて。あなたと出会った時には、もう手の施しようがない状態だったのよ。だから、お付き合いできません、って断ったじゃない。それなのに、あなた強引なんだもの。ちょっとすてきだなあって思ったから、お食事一回くらいなら良いと思ったの。駄目ね、私って優柔不断で。最後の日が来る前に、お別れしようと思ってたのよ。本当にごめんね」

 病院に担ぎ込まれてから、三回目の朝を迎える前に、美砂はあっけなく息を引き取った。
 急性骨髄性白血病ということだった。

「くそっ、どうして美砂だけがこんな目に!」

 切り立った崖の向こうから聞こえてくるクラクションに、ラインを少し外側に修正する。後輪が小さいものに乗り上げた感触。流れるテイル。慌てて当てたカウンターに、突然グリップを取り戻す後輪。
 次の瞬間、暴れだしたバイクを立て直す間もなく、ぼくは宙に放り出されていた。


「駄目じゃない。あれほど、バイクには気を付けて、って言ってたのに」
「ああ、美砂。分かってるさ」
「いいえ、分かってません。本当はバイクに乗るのも反対だったのよ。危ないことをしないからって約束だったのに」
「うん、悪かった。謝るよ。でも、もう、そんなことはどうだって良いんだ。このまま、君と一緒に……」
「あなたのことが本当に好きだった。でも、一緒は駄目。あなたには生きていて欲しいの」
「いやだ。美砂がいない世界なんて、生きている意味がないよ」
「私からの、最後のお願い……」


 後ろから優しく抱きかかえている美砂の手をほどこうとしたとき、ドン、という低い爆発音で、ぼくは意識を取り戻した。
 愛車のCBRが、五十メートル向こうで炎に包まれている。ひとしきり強くなってきた雨の向こうから聞こえてくるサイレンが、ぼくの意識を現実の世界に引き戻す。視界を取り囲む濃い緑の縁取りと、それを彩るたくさんの白くて可愛らしい花が、ぼくの居場所を教えてくれる。どうやら、道路わきの灌木がクッションの役割を果たしてくれたらしい。


「ひどいじゃないか。君の死を乗り越えろって言ってるんだね」


 野ばらは、ぼくを優しく抱きながら、静かに泣いていた。

id:a-kuma3

申し遅れましたが、講評は希望者のみと致します。随時受け付け。

希望します。

2012/12/30 22:31:20
id:gm91

設定とストーリーはいい感じです。ただ、オーソドックスなストーリーなだけに、描写がちょっとあっさりだったのが少し物足りない感じがしました。場面切替がちょっとわかりにくい感じなので、状況描写をもう少しだけつけるといい感じになると思います。

2012/12/31 06:57:15
id:takejin No.6

たけじん回答回数1466ベストアンサー獲得回数1892012/12/28 10:52:33スマートフォンから投稿ここでベストアンサー

ポイント47pt

『野ばら』

薔薇の花束を助手席に積んで、僕は道を急ぐ。
彼女が待つ家へ、夕方の坂を上る。薔薇の花びらに夕暮れの紅が射して、何とも言えない色を醸し出している。
さあ、日も暮れた。ドアをノックしよう。バラで、僕の顔が見えないようにして、と。
「あら、薔薇?ケンジ君ね」
「名乗ってないのに」
「だって、いまどき薔薇なんて、あなたぐらいしかいないわよ」
透き通るように白いユミの顔が、さらに輝いている。宵の口の君は、ひときわ美しい。
「今日はどこへ行くの?」
「そうだなぁ、夢の国なんてどう?」
「あら、ドリームランド?いいわ、たまには遊園地も」
「じゃあ行こう。夜は人が多いから」

住宅街を抜けて行く。ユミはオープンカーのドアにもたれかかって、流れる景色を眺めている。
「この辺も、薔薇がいっぱい咲いてるわね」
「野生の薔薇が増えたからね」
「ねえ、薔薇の花言葉って知ってる?」
「知ってるよ。」
「教えてくれる?」
「『夢かなう』だよ」
「そのバラだと、今はそうなのね」
「夢と言えば、ユミの夢ってなんだい?」
「砂漠の真ん中のオアシスで、水泳をすることかな」
「真昼間に?」
「そうよ」
「そりゃ、夢かも。でも、かなうといいね」
「そうね、花言葉みたいにね」
街並みを抜け、ハイウエィに車を上げる。
前方には、砂漠の中に浮かぶ華やかに彩られた夢の国が見えてきた。

ドリームランドは大混雑だった。
「人でいっぱいねぇ」
「ほんとだ。」
列を整理しているスタッフに聞く。
「ずいぶん混んでますね」
「すみません、本日は特に日差しが強かったので、夜に集中しまして」
「そうなんだ」
「改善のため、透明ドームの建設を進めていますが、完成まではこの状態かと」
「ふううん」
見上げると、空の半分を透明な天蓋が覆っている。その脇では工事用のマシンが作業をしているのが見える。

ドリームランドの真ん中の観覧車に乗ると、周りの砂漠が一望できる。砂漠のあちこちが、青白い色で埋まっている。
「おや、薔薇は砂漠にも沢山生えてるね」
「遺伝子操作の産物が、野生種と勝手に交配して広まっちゃったのね。厳しい環境にも耐える遺伝子も与えられてるし」
「砂漠が野ばらで覆われるなんて、バラ色だね。」
「バラ色って、何色の事よ」
「え、青じゃないの?」
僕は、薔薇の色が他にあるなんて知らなかった。
「それは、最近でしょ?本当は赤なのよ」
「赤いバラなんて知らないよ」
「紫外光や電磁波が降ってくるようになった今では、赤いバラなんて生きられないわ。強い光を吸収うしちゃうから。でも、昔は赤だったの。」
僕は、ほんのり赤く染まる、ユミの唇を見つめていた。
「それって、ユミの研究と近い話?」
「そうよ。遺伝子操作で、この太陽から青くない生物を守る研究だもの。赤いバラも生き残れるように。」
「うまくいくといいね」
「うん、あんまり進んでいないんだけどね」
ユミは小さくため息をついた。


ユミのケータイが鳴っている。
「?」
「夜明けだわ。帰らないと」
「急ごう」
ドリームランドの中央通りを出口へ急ぐ。周りの人たちも、同じように集まってくる。
混雑でなかなか出られない。そうこうするうちに、空が明るくなってきた。
「あ、陽に当たっちゃう」
「もうすぐ駐車場だから。こっちだ。」

駐車場から離陸すると、もう夜は明けきっていた。
「まぶしいわ」
「このキャノピーは紫外光も放射線も通さないから大丈夫」
「ええ、わかってるけど、日差しに慣れないから」
ユミは、この日差しの下では生きられない。太陽からくる強い紫外線と電磁波が注ぐ地上では、ユミの肌を通過して機能不全を起こしてしまう。日が沈んでからしか、出歩けないのだ。この地球上では、人口の一割は、この夜行性の人種なのだ。
「赤いバラの花言葉って知ってる?」
「知らないよ。第一赤いバラなんて見たことないけど」
「ええ、今はないのよ。だから『かなわぬ夢』なの」
「へええ。」
「でも、ずっと昔は、それは『青いバラ』の事だったのよ」
「変だよそれは。いっぱいあるじゃん」
「この日の光が、そう換えちゃったのよ」
陽が高くなってきた。高速エリアへとドームを超えるように車を上昇させた。

その時、上から大きな建設用マシンがスピンしながら落ちてきた。避ける間もなく、僕の車に衝突した。ハンドルが効かなくなる。地面が目の前に迫ってきた。

気を失っていた僕は、痛みで目を覚ました。いろいろなところが痛い。割れたキャノピーが見える。
「ユミ、日差しが」
振り向いた横には、ユミが横たわっていた。
燦々と日差しがユミに降り注いでいる。車のシートが、ユミの赤い血で染まっている。
「もうだめね。」
ユミの顔には斑点が浮き出していて、防護服の破れた部分も赤くただれている。覆ってやりたくても、体が動かない。
ユミは僕を見て微笑んだ。
「私も赤いバラも、ここでは無理なの。わかってた。かなわぬ夢だと。」
「そんなことない。がんばれ」
僕はかろうじて動く手で、ユミに触った。
「ううん。いいのもう。あなたのように生まれたかったわ。この薔薇たちと同じに。」
ユミの周りは青いバラでいっぱいだった。それは、砂漠のオアシスのようでもあった。彼女は、倒れたシートの上で、背泳ぎを泳いでいるようにも見える。その薔薇の池の中にあるユミの手は、僕の血で真っ青に染まっていた。

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id:takejin

では、キャリーの様に、終わったとおもったら!!
って感じに。

2012/12/31 11:04:09
id:takejin

後一日、昼休みが有ったら、事故(というか、日光にさらされるきっかけ)の所にも手を入れたんだけどなぁ。

2012/12/31 11:07:16
id:kobumari5296 No.7

琴木回答回数60ベストアンサー獲得回数42012/12/28 20:53:06

ポイント38pt

ホテルから出てきた男は、空の財布を見ながら自嘲した。男は三十代半ば、中小企業に勤める働き盛りサラリーマンだった。営業で、見た目は普通だが愛想がよく、ノルマはほぼ毎月こなしていて、エースと呼ばれたこともある。財布はいつも最高額の札で満たされていた。女には興味はなく、仕事一筋。会社側からは、こいつがいれば順風満帆に時が流れる、と思われていたし、本人もそう思っていた。
 それがある日、実家から電話があった。父の訃報の電話だった。母曰く、「あんたは仕事が好きだから、お父さんは病気を告げずに家業の神社を続けていたのよ。崇、あんたは長男。もう、潮時でしょう。」母は昔から、会話の要点の肉づけが多いところがある。要するに、仕事を辞め、神社を継げと言うことだ。崇は母のそれに従い、次の日に会社に辞表を出した。母の言うことも一理あるし、実家を継がず東京へ飛び出た後ろめたさを消すためでもあった。
 東京もあと一週間。引っ越しはすまし、アパートには何もない。だったら東京の思い出をと、夜の街に繰り出した。上京して初めての経験だ。案の定、勧誘する男女は多数いた。
 「お兄さん、暗い顔してるね。ね、あたしと遊ばない?」
 “お兄さん”。どう見ても三十代の自分を女はそう呼び、引きとめた。普段の自分なら分かっていただろう。これは単なる女の多額な小遣い稼ぎだと。でも、その女と出会った崇は、普段の状態ではなかった。現実にのまれた大都会の遭難者だったのだ。

女は一紗と言った。なかなかの美女だ。十代のような若さではなく、生き生きとした健康的な美貌だ。初めて入る夜の喫茶店は崇にとっては冒険にでも出るようなもので冷や汗の洋物が背を伝ったが、一紗は手慣れた感じで、コーヒーを二つ頼んだ。
「お兄さん、名前は?」
「崇。」
「歳は?」
「三十代半ば。中小企業勤務も、父が他界して家業を継げと母親に言われ、辞めてきた。彼女なし、勿論妻子もなし。これでいいか。」
「オッケー。」
 一紗は幼い笑顔を作る。それがなんだか羨ましく、微笑ましくあった。仕事一筋の自分は、典型的な営業スマイルしか作れない。本業は知らないが、もしかしたら自分のようなオジサンを“お兄さん”と煽てて、遊ぶのが職業に近いのかもしれない。自由に羽を広げ、自由に生きる。人生を楽しんでいる。崇が一紗に興味という名の感情を持つのに、そう時間はかからなかった。
「一紗はさ。どうして俺なんかひっかけたの。金?暇だから?」
「ひっかけたなんて、嫌な言い方。あたしはただ、崇さんが求めてるから寄ってっただけだよ。」
「求めてた?俺が?」
「うん。」
 そういって、一紗はストローもコップも持たず、口でストローを加えて幼子のようにコーヒーを飲んだ。気づかなかったが、頼んでいたコーヒーが来ていたのだ。崇のコーヒーは、汗ばんでどんどんその濃さを失っている。
「崇さんが、寂しそうに慣れないこの街を歩いているように見えた。あたしみたいな気ままな女を求めてるんだなって、思ったんだ。」
「なんで街に慣れてないなんて、分かったんだ。」
「この街に通って十年以上。人を見る目はあるのよ。だから、その先に崇さんが望んでいることも知ってる。」
「は?」
「夜のアレだよ。世の中が憎くて、野獣みたいな目をしてる。だからあたしは美女になって――」

目が覚めたとき、崇は裸でベッドに寝ていた。どうやら某高級ホテルだな、と冷静に分析した。夜景に見覚えがあったのだ。接待でよく使ったレストランが入っている、ホテルの一室だろう。段々頭が冴えてきて、一紗の存在を思い出した。
「一紗はここよ。」
「一紗……」
 一紗は風呂上りらしく、このホテルの上質なバスローブを羽織っていた。参ったな……崇は心の中で呟いた。いつもの自分ではなかったにしろ、見知らぬ女とそういう行為をしてしまった。
「これの中身は、もらっておくね。授業料。」
「授業料……って、おい!」一紗の手には、崇の財布が握られていた。一紗は残り少ない中身を引き抜くと、空のそれを崇へ投げた。「崇さんにとって、仕事は野ばらよ。」
「は?」
意味が分からず、崇は口を開けた。裸で目を白黒させているだろう情けない自分を想像できたけれども、それを直す余裕がなかった。
「美女と野獣って知ってる?野獣の姿にされた王子は、野ばらが枯れる前に真実の愛を見つけないと、死んじゃうの。崇さんは、お仕事が好きで、それが枯れちゃったから、死んじゃった。」
 バスローブを脱いで、さっきまで着ていた服に着替えた一紗。準備を終えると、あのあどけない笑顔を崇に向けて、言った。
「これからは、別の人間になったとでも思って、物語を紡いだら?野ばらの花言葉は“痛みから立ち上がる”よ。それじゃあね。オジサン」
 これは励ましか、それともけなしているのか?崇には最後まで分からなかったが、残る道は一つひかない。こんな情けないことは誰にも言えない。
「野ばらか……」
 自分を野獣と言った女に、何も言い返す言葉がなかった。

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id:gm91

ごはんの投稿作と雰囲気が違うので最初気が付きませんでした。
設定というかストーリーの着眼点が良かったです。
ちょっと残念なのが、文章の細かいところでまだアラが目立つところかな。
・母のそれ →「それ」「あれ」が多いと拙い印象を受けますので注意
・これは単なる女の多額な小遣い稼ぎだと 
→これは女の単なる小遣い稼ぎだと、とかかな。
・十代のような若さではなく、生き生きとした健康的な美貌
→むしろそれが「十代のような若さ」なのかと。
・興味という名の感情 →興味 でいいような。
・崇のコーヒーは、汗ばんでどんどんその濃さを失っている。
→状況がよくわからない。コーヒーが汗ばむ?濃さを失う?

作品に対する情熱はよく伝わって来るので楽しく読めました。今後に期待します。

2012/12/31 09:06:31
id:kobumari5296

講評ありがとうございます。精進します。
#41にも参加させていただきました。よろしくお願いいたします。

2013/01/01 09:11:05
id:maya70828 No.8

楽1978回答回数1364ベストアンサー獲得回数1392012/12/30 21:11:42

ポイント32pt

「野ばら」

時は刀を持ち歩き夜盗がはびこる時代。
侍が平民を虐げるのは当たり前の世の中だった。

「やめてください!」
子連れのボロ布をまとった女性が侍に巾着袋を取り上げられて、それを取り戻そうと手を必死に伸ばそうとしていた。
「おーっと」
侍はその袋を空に向かって高く上げ、意地悪な顔をした。
「そのお金は病気の娘の薬代のために稼いだものなんです」
子連れ女性の腰を手で掴み、その女性の脇下から顔をひょっこりと顔を出したいがぐり頭の男の子がこわごわ叫んだ。
「母ちゃんの金を返せ!」
「おら、おらー、ガキは大人しく引っ込んでろ」
侍が威嚇する。
男の子は自分の倍もある侍にガタガタ震えていたが、勇気を振り絞って体当たりした。
「畜生、この野郎ー」
「ほー、大人しくしていれば見逃してやろうと思ったがどうやら死にたいようだな」
侍は眉をピクリとつり上げた。
「どうかお許しを。お侍様」
子連れの女性は、土下座して侍に繰り返し頭を下げた。
「邪魔するならガキごと斬ってくれる」
そう言うと侍は腰につけている鞘から黒光りする刀を抜き女性の頭に向けて振り下ろそうとした・・・

「カキン!」

横から棒のようなものが頭の直前まで振りおろした刀に飛んできて刀の軌道がそれた。
「うおっ、何者だ!」
侍が黒い棒が飛んできた方を向くと団子の串を咥え、バンダナをした女が一人立っていた。
その女は胸を包帯でグルグルに巻き、下半身を麻製の下着で身にまとっていた。
「テメェに名乗る名などない」
侍は女の身なりをみて言った。
「どこの馬の骨か分らない山賊ふぜいが」
「見りゃ分かんだろ、バーカ」
女が侍を軽くあしらう。
「貴様、拙者を愚弄するつもりか!」
刀を持つ侍の標的が女へと移る。
「だ・か・らテメェに喧嘩売ってんだよ」
女は親指以外の四本の指で自分の方へクィッ、クイッと手招きして「かかってきなさい」と言わんばかりに挑発した。
「きさまー!」
侍が女の挑発に耐え切れず襲いかかった。
「あらよっと」
女はひらりと華麗に身をひるがえし侍の後ろに回った。そして、後ろから腕を関節技で絞め上げた。

「ドサッ!」

侍の持つ刀が落ちてうめき声が上がる。
「あがががが。腕が、腕がー!」
女は刀を握れないくらいに痛めつけて彼を地面に叩きつけた。
侍が地面にうずくまって体をしばらく痙攣させた。
「キャハハハ、こいつの間抜けな顔といったらすげー笑えるわ」
女が侍をバカにする。
「欲のが突っ張った単細胞さん、このお金は持ち主に返してもらう」
と言うと女は侍が刀を抜く時にしまったであろう巾着袋を懐から取り出した。
侍はようやく体の痙攣がおさまり、フラフラと立ち上がって痺れた利き腕を反対の腕で押さえながら
「くそ!おぼえてろー」
と吐き捨てて去っていった。

「けっ、みかけだおしだな」
女は侍が去っていく方を向いてそう言った。
そんな女の様子をみながら子連れの女性は女の刺青に目がいった。
「その肩の薔薇はもしかして山賊『山野(さんや)』では?」
女の肩には葉がトゲで覆われた美しい野ばらがほられていた。
「えへへー、正解。無く子も黙る山野とは私のことよ」
女が照れながらポリポリと頭を掻いた。
「ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます」
子連れの女性は何度も頭をペコリと下げ感謝した。
「じゃあ、私はもう行くから」
去ろうとする女に子連れの女性が声をかける。
「少ないですがお礼をさせてください」
と言って子連れの女性は女の前でお金を差し出した。
「私は貧乏人からお金を貰う主義じゃないんだ」
と言って女は子連れの女性の前を通り過ぎていく。
子連れの女性は去っていく女の背中をみながら呼び止めようとする。
「では、せめてお名前だけでも」
女は去りながら言う。
「やまなとでも言っておくよ」
野ばらのように女の話す言葉はトゲがあるが、心意気は花のように美しい。
それが山賊のやまなだ。

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id:maya70828

捻りはうまいこと思いつきませんでした。
物事をストレートに書く癖がついているので。
いじめっ子がどうたらというワンパターンな展開が多いことが質問者を飽きさせる原因になっていますね。頭の引き出しが狭いということだ思います。
自分の書きたいものというより質問者に合わせたショートを書いています。
私の変な性格上、自分が書きたいもの、自分がおもしろいものが質問者にとっておもしろいとは限らないことが多々あるのでそれを抑制しているのが原因だと思います。
次回は実験的質問者に合わせずに書こうかなと思います。
ひとりよがりになることだけは覚悟してください。

2012/12/31 10:39:49
id:gm91

>質問者に合わせずに書こうかな

それでよか。

2012/12/31 10:46:28
id:gm91

質問者から

GM912013/01/16 14:41:29

申し遅れましたが、講評は希望者のみと致します。随時受け付け。

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