【人力検索かきつばた杯】



テーマ:「竹取物語のスピンアウト」 

かきつばた杯を開催させていただきます。
お題を、文章中に書く必要はありません。スピンアウトをどう解釈してもいいですし、竹取物語をどう受け取るかもご自由に。

「かきつばた杯」って何よ、という方は、こちらをご参考に。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CD%CE%CF%B8%A1%BA%F7%A4%AB%A4%AD%A4%C4%A4%D0%A4%BF%C7%D5

初参戦の方、大歓迎です。短くてもいいです。
感想文程度でよければ、ご希望があれば書きますので。

〆切は、3/27(水) から3/28(木)にかけての夜半(時刻不定です。すみません)を予定してます。

では、よろしくお願いします。

回答の条件
  • 1人3回まで
  • 登録:2013/03/22 16:04:38
  • 終了:2013/03/28 19:11:49
id:takejin

ポイント付きになってなかったので、仕切り直しです。
すいません、こっちです。

ベストアンサー

id:grankoyama No.5

グラ娘。回答回数560ベストアンサー獲得回数1702013/03/27 22:13:01

ポイント75pt

月からの贈り物

「ねぇ、お兄ちゃん? なに読んでるの? ねえってば!」
 妹が僕と本との間に顔を割り込ませて聞いてきた。
 そりゃあそうだろう。同じ質問を5回も6回も無視してたんだから。強攻策って奴に出られたんだ。
 これじゃあ読書の続きができない。
 仕方なく僕は答える。
「ああ、これは竹取物語ってお話」
「あぁ、あたしぃ聞いたことあるぅ、あたしもそのお話読みたい……。あ、でも難しかったら大変!
 あたしにも読めるかなぁ? ねぇ、お兄ちゃん?」
「読めないことは無いと思うけど……、それよりわざわざ本を読まなくてもさ、竹取物語は無いけど、『かぐや姫』だったら、いくつか映像ライブラリが残ってたと思う。アクセスしてみる?」
「ライブラリかぁ、あたしアレ嫌いなの。なんだか目が回っちゃって。頭の中に直接送られてくるでしょ? あれ……酔っちゃうから……」

 そういえばそうだった。せっかくの最新技術。情報を直接受信して自分の情報源として取り込むほんとに便利な機能なのに、こいつは苦手といって全然使わない。そのせいで、なんというか知性の発達が遅れている。
 今の世の中、それこそ誕生から数ヶ月で成人並の知識量が得られる時代だってのに。
 僕が、伊達と酔狂でわざわざ紙媒体の物語を読むのとはまた違い、妹は、情報の直接受信を受け付けない体質のため、やむなく読書漬け、映像漬けでの勉強に日々を、延々と繰り返している。しかし遅遅として進まない。
「じゃあ、絵本があったと思う。さすがに紙の絵本は手に入らないから電子版だけど……いいだろ?」
「うん、あたし『たけのとりのものがたり』読む~!」
 いや、だから『かぐや姫』なんだけどね。『たけのとり』でもないし。
 さっそく僕は、膨大な量のデータの中から『かぐや姫』を探し出し、妹のタブレットに送信してやった。
 ピコーンと受信音が響く。
「ああ、来たよ~。読もうっと!」
 これでしばらくはまた、静寂な読書の時間に突入だ。なんせ妹は読書が遅い。絵本であれ、教科書であれ、僕の5倍? いや、10倍以上の時間を掛けて精読する。いや、ほんとに精読しているのか定かではない。ときに読んだ本の内容について聞いたらちんぷんかんぷんってことも多いのだ。

「へー、お姫様じゃないのね……。んっ、3ヶ月で大人になったんだぁ……。ねえねえ、お兄ちゃん?
普通の人間って、大人になるまでに十年とちょっとかかるって言ってなかった?」
「ああ、普通はそんなもんだな」
「じゃあ、かぐや姫はちょっと特別なんだね?」
「そうかもね……。ほら、続きも読んじゃいなよ」
 適当に相槌を打ち、妹を読書に促す。

「えっ! そっか、昔は人はみんな、月じゃなくって地球に住んでたんだ~。知ってた? お兄ちゃん?」
「そりゃあね」
「やっぱり、お兄ちゃんって物知りだねぇ」
 それだけ言うと妹は読書に戻った。

 数千年もの昔。地球は極度の異常気象と、量子発電システムの暴走によって、もはや人の住めない星になっていた。それでもわずかに生き残った人類。地球にしがみつき、細々と暮らしていた。
 そして、地球を見捨てて月に移り住んだ別の人類。ふたつに分かれた人類。
 それから何千年もの間、地球では文明を捨て、科学に頼らない原始的な生活をしながら何とか生きながらえていた。
 一方、月では、科学文明を継続させ、どんどんと新技術を発展させていった。一見繁栄に見えた月の文明もその翳りを見せる。遺伝子操作などを行い、月の環境への適応を計ってきた人類だったが、やがて徐々にその数を減らしていった。
 残っているのは妹ただ一人。

「面白かった! でもかなしいね。かぐや姫は月に帰っちゃうんだね?」
「月で生まれたんだからね。それは当然だよ」
「わたしも地球に行ってみたいな……。まだ誰か住んでるかな?」
「どうだろうね……。会ってみたい? 地球の人と?」
「うん! 会ってみたい」

 地球に送った監視ロボットの映像によれば、いまなお地球には小さいコミュニティーがいくつかあり、人類はほそぼとだが、逞しく生活を営んでいる。
 数ヵ月後、僕は妹を地球に送り込むだろう。最後に残された月の人間を地球に還す。それが僕の役目だ。
 今まで幾人もの人々を人工授精、培養ポットで創造し、育ててきた。その誰もが病弱で、厳しい環境で暮らすに堪えない身体を持ってしまっていた。
 そんな中で生まれた妹。僕のDNAを半分受け継ぐ妹は、おそらくは地球での環境にすら耐えられる奇跡のかけら。

 読んでいた竹取物語は終盤にさしかかっている。帝が不老不死の薬を焼いてしまった。

『カグヤプロジェクト』は動き出す。そしてカグヤ姫は、二度と月に帰ってくることはないだろう。
地球に根を下ろし、地球人として暮らすのだ。
 妹には地球で幸せを見つけてもらう。
 それを見届けたら……僕は……量子コンピュータの脳と機械の身体を持つ僕は、自身の機能を停止させるだろう。
 あまりにも永く生き過ぎた。あまりにも多くの人間を死においやった。
 だから、この永遠の命ともお別れしよう。
 帝が、不老不死の薬を焼いてしまったように。

~fin~

id:takejin

をを、SFだぁ。
僕の存在自身と、彼女が投入される地球の現状が気になりますが。

2013/03/28 00:53:14
id:takejin

説明無しに状況を想起できる文章力は、大したものだと思います。ええ、動画が目の前を流れます。
SF的アイデアは、もう少し時間をかけると、境界線がはっきりしたのでしょう。でも本体だけで、十分な手ごたえです。
ただ、人工飼育したハイイロガンをツンドラの野にいきなり放つ感があって、ちょっと残念。
(硬めのSFって、こういうところを譲らないから嫌われるんだけど)地球に降ろすメリットがはっきりすると良かったなぁ。

※ここで、思いつき。
月のカグヤは、筒状のポッドで育成されている。(まるで竹のような)
月世界人とは違う、地球人のDNAから生成したもの。
地球上の人類は、そのDNA片が必要になっている。
地球上の人類から、カグヤにラブコールが飛んでくる。
実は、見た目が地球人と月人では違う。
カグヤは見た目が同じ地球人がいる、地球へ行くことを願う。
地球から、回収ロケットがやってくる(最後のアポロだったりして)
カグヤは地球へ還る。

なんてね。

SF書いてくれたから奮発します。

2013/03/28 19:19:01

その他の回答(6件)

id:dabloger No.1

dabloger回答回数54ベストアンサー獲得回数32013/03/23 13:16:52

ポイント40pt

『ある男の恋』


その姫と時の帝とがお互いにお心を慰めあっていた頃、一人密かに姫を想う男がいた。姫を想う男は多かったのだけれども、その男は帝にお仕えし信頼も厚かったのでそのようなことは気振りも見せず、ただ心の中でその想いを圧し殺していたのだった。
しかし、姫が月に帰ってしまった後、男の想いはどういうわけかますます強まりどうしたら月へ行くことができるのかそのことばかり考えるようになってしまった。
そんな折、帝は男をお召しになり、一つの命を下された。姫の残していった薬の壺を手紙と一緒に一番高い山の頂上で焼いてくるようにということだった。


幾月かの旅を経て、男は今、山の頂上にいる。
帝の命を受けたとき男に誘惑が忍び寄った。それは大変畏れ多いことで実行するなどとんでもないことだったので、それを振り払おうと一心不乱に山へ登った。しかしとうとう誘惑は男の心を捉えてしまったのである。
その誘惑とは薬をのんで不死になり姫のいる月へ渡る手立てを探すことなのであった。今や男の心は姫への憧れでどうしようもなく、帝への忠誠を上回るほどになっていた。
いくらか逡巡した後、とうとう壺の蓋を開けてしまう。ぱっと煙のようなものが上がり男はびっくりして思わず煙を吸い込んでしまった。酷い眩暈がし、一瞬目の前が真っ暗になったような気がした。
(なんと、罪深いことを。やはり開けるのではなかった。)
男は蓋を開けたことを悔やんだが姫のことを考えるとあきらめきれず、薬をそのまま持ち歩いて山を降り始めた。
ふと、男は自分の身がやけに軽く感じることに気がついた。それにもうかなり歩いているのに疲れておらず、お腹もすいていない。
(こりゃあ、あの煙のおかげかもしれない)
先ほどの悔いはどこへやら、男は意を決して薬を全部のんでしまった。するとさらに体が軽くなり、地面を蹴り上げるとそのまま体が宙に浮かんだので、もしやこのまま空を飛べるのではとさらに上昇を試みた。これで月まで飛んでいけるかもしれないのである。
だが、身体はある高さまで到達するとそれ以上は昇ってゆけなかった。
男は再び地に降りてしばらく考えていたが、仙人なら月へゆく方法を知っているのではなかろうかと思い、疲れを全く感じなくなった男は姫の手紙を懐に、そのまま仙人を探す旅へと出かけてしまったのである。


長い旅で男は何人もの仙人を捜し当てて問うたが誰も月へ渡る法を知らず、時は流れ去る。やがて帝はお隠れになられ、仙人たちも姿を消してしまい、もはや男が薬をのんだのは気の遠くなるような昔になり、当時と似ても似つかぬ時代になった頃。
船が月へ渡りそこから映像を送ってきた。
何もない、荒野がただ広がる景色。それが月の景色だという。
男はそれを小さな地方都市の片隅で見て悲鳴を上げた。
(姫は、かぐや姫は一体どこにおわすのだ!)
絶望のあまり男はそのまま気が遠くなり…


気がつくと男は山の頂上で倒れていた。薬の壺がそばに転がっている。なにか不思議な心地がして、長い夢を見たような気がするのだが思い出せない。ただ、
(帝があのように仰せになったのは正しかったのだ)
となぜかそう思い、かぐや姫の手紙を懐から取り出して転がった壺の上に置いた。
そして散々苦労して火をつけてそれを燃やした。

(調岩笠伝)

他3件のコメントを見る
id:takejin

苦言から始めますね。
一文が長いです。読点がもう少し欲しい。読んでいて息が切れます。
語尾に、”である調”が時々顔を出してます。
現実から離れた瞬間を特定するのに、”まさに火を点けんとする瞬間”を印象付けると、読者もその瞬間に戻れると思う。一瞬目の前が真っ暗になった瞬間に舞い戻ってくるのでしょう?
ここを、”読者に考えさせない”ようにするのが一つの手です。
それと、未来の絶望した瞬間にどうして気が遠くなるのか、という疑問を解消する方法を探ると、落ちに納得が行くと思うんですが。

全体の雰囲気は、原作を壊さない配慮があっていい感じです。原作の帝は、思慮深く、この国を任せるに値する人物と読み取れますしね。

2013/03/28 19:14:10
id:dabloger

講評ありがとうございます。

>”まさに火を点けんとする瞬間”
これは発想してませんでした。かぐやへの思いでいっぱいなため焼くことも忘れて上の空な感じを出したかったのですが、このあたりのことを考えて構成するといいのですね。

いろいろと未熟な点があり読みにくくて申し訳なかったです。

2013/03/29 06:48:46
id:grankoyama No.2

グラ娘。回答回数560ベストアンサー獲得回数1702013/03/25 15:39:19

ポイント30pt

竹取れ! 武藤さん

今は昔、竹取の翁といふものありけり、野山にまじりて竹をとりつつ、よろづのことにつかひけり。
名をば、武藤の善蔵となむ言ひける。

ある日、善蔵が、竹林を歩いていると、なんかこうもう、ピッカーン!!! って輝いてる竹があったのね。
そりゃあもう、すごい輝きようで……。
で、近づいて中を除いたんだか、鉈でぶったぎったんだかは知らないわよ。
一説には、チェンソーを持ち歩いていたとか言われてるから、それでいわしたのかも知れないわねぇ。
とにかくその、光る竹をぶったぎって、ひきちぎって、ひねくりまわしたわけよ。

で、出てきたのがこの私。輝やく夜と書いて輝夜(かぐや)……じゃなくって、武藤フアってことなのね。
それで、竹取は趣味で、本来は発明家だった善蔵の元で私は育てられました。
いろいろな発明品の実験台にされました。でも、義理というか、仮の親とはいえね、感謝してるわよ。武藤善三には。
だから、全然辛い日々じゃなかったです。しんどくても、毎日がハッピーでした。
でね、父は発明に夢中になっちゃって、全然竹を獲らなくなっちゃったの。
仕方ないわよね。あの人。生活能力が全然ないから。今までなんとかやってきたのが奇跡だって。
数少ない知人の皆さんは口をそろえていうわ。

で、本題ね。
しかたがないから、竹取りが私の日課になっちゃったの。
そりゃあ、もう何本も何本も、毎日毎日切ってたら、たくましくなるわよ。
スレンダーでありながら、筋肉質で美貌に磨きがかかっちゃったわけね。
だから、そりゃあ、男どもがほっとかないって。

ほっとけないよ~ って歌があったでしょ? 知らない? 知らないんならいいけど。
求婚されまくりよ。だから、私はね、他に好きな人がいるってわけでもなかったし、
断るのに都合がいいかなって思って、『かぐや姫』『求婚』でぐぐったわけよ。
そしたら、某知恵袋でぴったりの質問があったのね。
仏の御石の鉢
蓬莱の玉の枝
火鼠の裘
龍の首の珠
燕の子安貝
って、なんだかよくわからないものばっかり。
で、読めないんだけど『火鼠の裘』とか、『燕の子安貝』はやばそうだから、あとの三つをローテーションでもってこい! そしたら結婚してやるわ! って言い寄ってくる男どもに言ってたのね。
仏の御石の鉢、蓬莱の玉の枝、龍の首の珠の3つね。
そしたらみんな持ってくるわ、持ってくるわ。
でもそもそも、それが何なのか、読み方も知らないし、現物なんて想像できないし、とりあえずgoogleの画像検索で、画像を探してもなんだかよくわからなくなって、じゃあいいわってことになって、とりあえずなんか持ってきた人は第一関門突破ってことにして、第二関門を設定したわけよ。
ああ、でもさすがに蓬莱のぶたまんの底についている薄い紙みたいな木みたいなのをはがして持ってきた人はとっととおかえり願ったけどね。

で、第二関門はかきつばた杯でベストアンサーとってこい! ってね。
これでだいぶと絞られるはずだから。
でも中にはねぇ、奇特というか、文才に恵まれているというか、突破しちゃう人がいちゃったりなんかしたわけよ。
で、仕方なく第三関門を設定することになってね、じゃあ、今度はかきつばたを開催した人じゃないとだめよって。
これだったら、大丈夫だと踏んでたのよねぇ。なにせ忙しい人だから。
それに質問履歴見ても、質問数が滅茶苦茶少なかったから。
大丈夫、絶対開催しないだろうって。
それが甘かったのね。
よりによってお題が竹取物語のスピンアウトだなんて。
もしかして、ユーザーIDのたけじんって竹取物語からとったのかしらん。

そんなわけで、たけじんさん。
わたしとほんとに結婚したかったら、grankoyama氏にかきつばた賞をあげちゃってください。
これが、最終関門です。

ちゃんとスピンアウトできたかしら?
さあ、今日の分の竹を取りにいかなかくっちゃ。

id:takejin

あとでちゃんと書きますが、スピンアウトはしてますよ、確実に。

2013/03/27 23:36:57
id:takejin

ははは、2段落目からの変わりようがなんとも。
”除く”とか”善三・善蔵”とか、いろいろ目につきますが、そんなことはどうでもいいです。
「蓬莱のぶたまんの底についている薄い紙みたいな木みたいなのをはがして持ってきた人」と結婚した方がよかったんじゃないかなぁ。
私、第一関門突破してない気がしないでもないんだけど、気のせいかな?
結婚したいかどうかは、”わたし”の画像を拝見しないとね。
私の妻より美人だったら、考えます。(美魔女もびっくりの妻の画像はUPしませんが)

2013/03/28 19:15:19
id:letsgogogo11 No.3

どの回答も吟味して回答回数90ベストアンサー獲得回数52013/03/26 21:25:36

ポイント35pt

「星(スター)の物語」

 時は898年。
「大変じゃー」
おじいさんは切った竹を手に慌てて家に入ってきた。
「どうしたんです?おじいさん」
家で晩御飯の用意をしていたおばあさんが落ち着かせる。
「これを・・・」
おじいさんが手にしている竹筒の中をおばあさんに見せる。
「まぁ、なんて事かしら」
そこには可愛らしい女子(おなご)の赤ちゃんがスヤスヤと眠っていた。
「竹を取っていたら、赤ちゃんの泣き声がしたもんで竹を切ってみたら・・・」
赤ん坊を拾ったいきさつを説明し。おじいさんはようやく落ち着く。
「おじいさん、これは神様から授かった宝物かもしれません。私達で大切に育てましょうよ」
おばあさんの提案におじいさんは承諾した。
二人の家は決して立派な屋敷ではなかった。
かと言って粗末なボロ小屋でもなかった。
昔は子供や孫と楽しく生活していたが、こんな田舎の生活はこりごりと子供達は都へ出て行った。
都の生活が心地いいのか、出て行ったきり子供達は一度も家に帰ってこなかった。
そんな寂しい二人の前に現れたのがこの赤ん坊だった。
二人はその赤ん坊を歌救夜(かぐや)と名づけた。

 成長すると歌救夜の頭から竹のような緑の髪が生えてきた。
村人の中には彼女を奇異な目でみる人もいた。
その影響で彼女はいじめられ、落ち込んで眠れない日もあった。
そんな歌救夜におばあさんは子守唄を歌って寝かしつけてくれた。
それがきっかけで歌救夜は歌好きになり、日が暮れると歌うようになった。

 チュッ、チュッ、チュン
 チュッ、チュッ、チュン
 心コロンコロン、羽ばたく
 ポカポカお日様降り注ぐ
 ルンルンルン♪
 タンポポの綿毛がフワフワ浮いている
 でもね、お日様隠れちゃうとシィーンとなっていく・・・
 早くお日様顔出して・・・
 待ち遠しいよ・・・
 ねぇ、お願い・・・

その心地よい美しい声は、帝の宮廷に響き渡るほどだった。

 歌の噂は少しずつ広まり、月日は流れ歌救夜は十七歳の年頃の娘になった。
噂を聞いた貴族達は彼女の歌を聴きにやってくるのであった。
「歌声からさぞ美しい姿のかと。是非そのお姿を・・・」
簾で覆われた向こうから彼女が、
「ごめんなさい、あなた方が思うほど美しくはありません」
と断る。
姿を隠せば隠すほど見たくなるというのが人の性。
ある夜、一人の貴族が歌救夜の顔を一目見ようと家に忍び込んだ。
いつものように綺麗な歌声が響く。
その貴族は歌救夜の顔を見て驚いた。
当時長い髪が美しいと言われた時代に反して歌救夜は短めのツインテールだった。
しかも顔も馬のような形で、鼻が低く決して綺麗とは言えなかった。
彼女の正体は帝の耳にも入ってきた。
悪魔の顔をした娘が夜な夜な人を誘惑していると。
このまま放っておくと国に災いがやってくる。
帝はこんな美しい歌の女性が本当に悪魔なのか?
そう疑問に思いながら、周りの意見に流されて彼女の討伐に賛成した。

 そして、満月の夜に討伐が決行された。
いつものように歌う歌救夜。
甲冑を装備し、五十ほどの兵を引き連れて帝がやってきた。
「そこで歌っている者、悪魔の顔をし人々を誘惑すると聞く。確認のため顔を見たい」
歌をやめた歌救夜が帝にこたえる。
「それは・・・できませぬ」
「問答無用!」
帝は兵士に歌救夜の姿を覆っている簾を取り外させる。
そこには脅えた歌救夜の姿があった。
兵士達は歌救夜の姿を見ると、
「やはり悪魔だー」
「殺してしまえー」
次々と罵倒を浴びせた。
そこにおじいさんとおばあさんが間に入って懇願する。
「どうかこの子の命だけはお助けください」
帝は悩んだ。
帝の目には歌救夜が美しく見えた。
しかし、帝の立場場、見逃すことはできない。
「皆の者、静まれ-!」
帝が兵士を黙らせる。
「確かに、夜な夜な人々を惑わす行為は許されることではない。だが、まだ年が若い事もある。せめて奥の部屋で予が処刑してやろう」
と声を上げて歌救夜に近づいていく。
本当は処刑したとみせかけてこっそり逃がすつもりだった。
「分りました。これ以上ここにいては迷惑がかかるので月へ帰ります」
意を決したように歌救夜が言った。
「月へ帰るだと?何を訳の分らぬことを言っている」
帝が疑問を口にした後すぐに、歌救夜は歌い出し彼女の周りから光が放たれた。

 ベイビィ、泣き虫さんー
 教えてくれたあの言葉あったでしょ
 「吹っ飛んじゃえー」てね

その内に月から雲に乗った使者がやってきた。
兵士が矢を構えて彼女ともども殺そうとする。
「誰が矢を構えろと言った、やめー!」
帝が矢をやめさせた。

 ベイビィ、おろおろさんー
 教えてくれたあの言葉あったでしょ
 「もち着きなー」てね
 そうすりゃ、きっとなんとかなるさー
 でもね、それでもおろおろさん治まらない
 なんだろうこの気持ち・・・

歌救夜は今まで見たことのない不思議な踊りをしながら、使者が迎えにきた雲に乗って消えていく。
消える寸前に歌救夜は、何か言った。
「○○○○」
それはおじいさんやおばあさん、帝に対して言っているような気がした。
帝は心の中で悲しんだ。
あんな美しい女性は見たことがない。
二度と会えないだろう・・・
そして、彼はこの出来事を絵や文書に残した。

 彼の死後、彼女のことが忘れられず、遺言で絵や文書と一緒に火葬された。
それから千百年後、アイドルが歌や踊りをするようになった。
これは史実には残らなかったが、アイドルの起源と言われる物語である。

他2件のコメントを見る
id:takejin

あら、カグヤってグリーンな髪だったのね。短めのツインテールって。
馬のような顔に低い鼻っていうのは、悪魔な顔なんでしょうか?
帝の時代なので、悪魔ではなくて鬼あたりで手を打っていただいた方がよかったかな。
この歌詞は、なにか原典があるんでしょうか。すみません、アイドル系うといので。
それと、最後の「○○○○」がわからないです。
帝が彼に替わってます。
「史実には残らなかったが」は省いていいのではないでしょうか。

結構、全体に荒削り感がありますが、姿勢は買います。かぐや姫→元祖アイドル説、いいじゃないですか。

2013/03/28 19:16:19
id:letsgogogo11

「○○○○」の部分はたけじんさんの好きな言葉で補ってもらっていいわよ。
歌はあるSFものの歌を参考にして書いたけど自分的には納得いってない歌詞で詰め込んだ感じがちょっと悔しいわ。
大筋で伝わっただけでも良かったわ
ありがとう。

2013/03/28 21:12:00
id:inugamikoubouathangul No.4

犬神工房回答回数25ベストアンサー獲得回数72013/03/27 17:20:49

ポイント50pt

『月人の神話 人狼を撃つ銀の矢について』

 月には女神と巫女たちがいた。
 女神は狩猟と豊穣の女神であり、純潔と多産を司る女神だった。その国は、女神を崇め、祀り、捧げ物を絶やすことがなかった。

 その森林地帯は典型的な田舎だった。狩猟を主な生計とし、女神の使いである狼と、狼の魂を祓う銀の矢を奉じる部族の土地であり、隣村同士で争いが絶えなかった。
 偉丈夫の狩人がいた。彼は若くして祖霊である狼の皮をかぶることを許されていた。戦を前にして、村人たちとともに狼の祠に祈った後、彼は立ち入りを禁じられていた女神の祠に一人祈った。
「村を守れますように。多くの敵を倒せますように。自分は多くの獲物を狩って女神に捧げます。何か証を示してください。それさえあれば、自分は女神の加護を信じることができます」
 すると、若者の目の前に、この世のものとは思えないほど美しい、しかし見知らぬ女が立っていた。
「私は月の巫女です。あなたの祈りに応じて遣わされました」

 戦が始まってから、若者はよく戦い、そして傷ついていった。しかし、巫女が手をかざすと、どんなに深い傷も塞がっていくのだった。
 やがて戦は若者の村の勝利に終わり、彼らは隣村から多額の戦利品を得ることができた。巫女は月に帰ろうとしたが、いまだ独り身であった若者は巫女に自分と結婚するよう願った。若者と巫女は結ばれ、次の年には娘をもうけた。
 幸せは長くは続かなかった。月の巫女は純潔であらねばならなかったからだ。巫女は女神の怒りを買い、赤ん坊が生まれた次の日、青年の目の前で、この世のものと思えないほど醜い、一匹のヒキガエルに変えられてしまった。
 悲劇は終わらなかった。若者に嫉妬する者は多く、若者の次に強いと言われていた青年が、ヒキガエルを殺し、その毒をやじりに塗って、いつもの通り狼の皮をかぶって狩りの途中であった若者を、森の木陰から射殺し、赤ん坊を竹やぶの中に捨てて、そのまま何食わぬ顔で村に帰っていったのだった。
 若者の父母である老夫婦は、山へ芝刈りに行った際、全くの偶然から息子と嫁の死体と赤ん坊を見つけ、深く嘆き悲しんだ。彼らは赤ん坊を大事に育てることで息子と嫁の霊を慰めようとした。

 月の巫女の血を継いだせいか、赤ん坊は一年も経たないうちに大人に育っていった。娘は母親よりもさらに美しく、隣村からも彼女を一目見ようとする者が後を絶たなかった。老夫婦は彼らから銀の矢を受け取り、老夫婦はたちまち金持ちになった。
 都の貴族たちからも幾度となく結婚の話が持ち上がったが、娘は他ならぬ青年に惹かれていたため、純潔を守り続けた。
 が、ある日、村の中で一つの噂が流れた。娘の両親を殺し、娘を竹やぶに捨てたのは、青年ではないか。悲しむ娘と村人たちは噂の真偽を問うべく神託を仰いだ。女神は娘を憐れんで、娘にだけ聞こえる声でささやいた。
(噂は真実である。青年はお前の両親を殺し、お前を竹やぶに捨てたのだ)
 娘は深く傷ついた。
(私はもうこのような地上にいたくありません)
 女神は彼女にこう答えた。
(青年に、西にある山の術師たちの村から、不老不死の果実を取って来るよう命じるのだ)
 青年は旅立つより他になかった。この罰に等しい旅を終えて、果実を取ってくれば、英雄としての名声が疑惑を上回り、彼は再び村に受け入れられるかも知れない。それは一つの賭けであった。

 青年の旅は困難を極めたが、ついに西の山奥で術師たちの長老である老婆に面会が許された。老婆は快く果実を与えた。娘と、青年の分、二つ。
「これらは娘と青年のために特別に女神の祝福を施したものである。必ず村で、婚姻の儀において、二人で食するように。勝手に他の者に与えたり、独り占めしてはならぬ」
 青年は果実を老婆のくれた箱に詰めると、山の中腹を流れ、故郷の村に通じる川から、舟で降りていこうとした。
 だが、青年は思った。自分は村人たちや娘に疑われている。このまま帰って殺されはしないだろうか。それよりは自分がこの果実を食い、どこかで気立てのよい女を探して、もう一つの果実を食べさせて、そのまま幸せに暮らした方がよいのではないか。
 青年はその甘美な果実を一つ口にした。たちまち黒い雲が天を覆い、老婆が恐ろしい形相で舟の舳先に立っていた。
「私がせっかくお前たちのために善意を施したのに、お前はそれを踏みにじった」
 老婆が杖を振るうと、青年は黒い煙へと姿を変え、一部は雲の中に吸い込まれていき、一部は散り散りになって消えていき、一部は老婆に箱の中に詰め込まれ、固く固く縛られた。老婆は箱ともう一つの果実を舟に残したまま、ふっと姿を消した。

 ある夜、青年の帰りを待つ娘のもとに、女神が語りかけた。
(川上から舟がやってくる。上には果実が一つと、箱が一つある。果実は拾って食べ、箱と船は再び川に流すのだ)
 娘は村人たちとともに川で舟を見つけると、言われたとおりにした。
 不意に、娘の体が宙に浮いていった。女神が他の巫女たちを従えて月から降りてきた。
(不老不死にして純潔なる娘よ。お前は新しい月の巫女の一員となるのだ)
 女神は娘の手を取ると、そのまま再び月へ戻って行った。
 娘が去っていき、老夫婦の嘆く声が狼の遠吠えのごとく天にこだました。娘は老夫婦と、わずかに青年のことを思い、はらりと涙をこぼした。それは小さな銀の粒となって、老夫婦の前に落ちた。

 老夫婦はその後も狼と女神への祭祀を絶やさず、悠悠自適のまま生涯を終えた。
 術師の長老の老婆はその後も生き続け、苦難の旅を超えてきた者には快く不老不死の果実を授けた。
 青年の煙の入った箱は海にたどりつき、そこで舟とともに深い海の底に沈んだ。

 その後、月世界で、女神が娘に問いかけたことがあった。
「お前は今でも地上に未練はないか。お前の母のように恋に心を惹かれてはいないか」
 娘は口を開いた。
「父と母は禁を破って愛し合って命を失い、青年は私を裏切って姿を消しました。私にとっては恋はもう過ぎ去ったものです。未練はありません」
 そして、ややあって、こう付け加えたという。
「それでも、過ぎ去った恋は、美しいのだと思います」

 月には女神と巫女たちが今もいる。あの娘も、そこにいる。

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id:takejin

登場人物も物語も、オリジナルなのにきちんと竹取物語を踏襲していますね。
文体も落ち着いているし、違和感なく読めます。
ただ、人狼である必然は…月繋がりって感じですか。それと、題名の銀の矢の活躍は?

全体には、世界観が貫かれているのが感じられて、いいと思います。

2013/03/28 19:17:38
id:inugamikoubouathangul

たけじん様の評価が済みましたので、軽くネタバレをします。

『月人の神話 人狼を撃つ銀の矢について』→『人月の神話 狼人間を撃つ銀の弾はない』
題名の元ネタはプロジェクト管理に関する「安易に人員を増やせば増やすほどプロジェクトは遅れる」という世知辛さを描いた有名な本です。
題名にしては人狼や銀の矢が、必然性を伴って活躍していない、というご指摘がありましたが、ご指摘の通りです。反省点の1です。

ヒキガエルと、青年に殺される若者と、西にある山の術師たちの村、不老不死の果実は中国の羿(ゲイ)と嫦娥(ジョウガ)の夫婦が元ネタです。
ゲイは追放された神の狩人でしたが、夫婦の分の不老不死の薬を求めて西の山の仙女・西王母から不老不死の薬をもらいました。
ですが、ジョウガはこれを独り占めして飲んで月に逃げてしまい、彼女は天罰でヒキガエルにされてしまいました。
そしてゲイの方は弟子に暗殺されて取って代わられてしまいます。
この逸話を、ヒキガエルと暗殺と西王母・不老不死の薬の三つに分割して、流れに応じて改変しています。

不老不死の薬が果実なのは、西王母が長寿の仙桃を管理することもありまして、桃は桃太郎を意識しました(割っても子供は生まれてきませんが)。
同様に、海に沈んだ煙の箱も、実は浦島太郎を意識しています(誰も開けてはいませんが)。かぐや姫では山で天に昇っていってしまいましたが、それとも整合性を取ろうとしたものです。

また、本当はここにギリシャ神話のアルテミスとオリオンのネタを盛り込む予定でしたが、練りこめませんでした。反省点の2です。

後は竹取物語の話をちょっとずつ変えつつ、他の物語と絡めて展開しています。

あらすじ感があるというのも反省点の3です。
かきつばた杯は2000文字でおさえるということだったのですが、削りに削って2500文字程度になってしまったため、文体は圧縮せざるを得なかった、という事情はありました。
せめてあらすじでも映える口伝伝承スタイルにしようと思ったのですが、うまくいっているかというとあらすじ感が強すぎたようです。

白状するとだいたいこのような感じです。

2013/03/28 20:19:23
id:grankoyama No.5

グラ娘。回答回数560ベストアンサー獲得回数1702013/03/27 22:13:01ここでベストアンサー

ポイント75pt

月からの贈り物

「ねぇ、お兄ちゃん? なに読んでるの? ねえってば!」
 妹が僕と本との間に顔を割り込ませて聞いてきた。
 そりゃあそうだろう。同じ質問を5回も6回も無視してたんだから。強攻策って奴に出られたんだ。
 これじゃあ読書の続きができない。
 仕方なく僕は答える。
「ああ、これは竹取物語ってお話」
「あぁ、あたしぃ聞いたことあるぅ、あたしもそのお話読みたい……。あ、でも難しかったら大変!
 あたしにも読めるかなぁ? ねぇ、お兄ちゃん?」
「読めないことは無いと思うけど……、それよりわざわざ本を読まなくてもさ、竹取物語は無いけど、『かぐや姫』だったら、いくつか映像ライブラリが残ってたと思う。アクセスしてみる?」
「ライブラリかぁ、あたしアレ嫌いなの。なんだか目が回っちゃって。頭の中に直接送られてくるでしょ? あれ……酔っちゃうから……」

 そういえばそうだった。せっかくの最新技術。情報を直接受信して自分の情報源として取り込むほんとに便利な機能なのに、こいつは苦手といって全然使わない。そのせいで、なんというか知性の発達が遅れている。
 今の世の中、それこそ誕生から数ヶ月で成人並の知識量が得られる時代だってのに。
 僕が、伊達と酔狂でわざわざ紙媒体の物語を読むのとはまた違い、妹は、情報の直接受信を受け付けない体質のため、やむなく読書漬け、映像漬けでの勉強に日々を、延々と繰り返している。しかし遅遅として進まない。
「じゃあ、絵本があったと思う。さすがに紙の絵本は手に入らないから電子版だけど……いいだろ?」
「うん、あたし『たけのとりのものがたり』読む~!」
 いや、だから『かぐや姫』なんだけどね。『たけのとり』でもないし。
 さっそく僕は、膨大な量のデータの中から『かぐや姫』を探し出し、妹のタブレットに送信してやった。
 ピコーンと受信音が響く。
「ああ、来たよ~。読もうっと!」
 これでしばらくはまた、静寂な読書の時間に突入だ。なんせ妹は読書が遅い。絵本であれ、教科書であれ、僕の5倍? いや、10倍以上の時間を掛けて精読する。いや、ほんとに精読しているのか定かではない。ときに読んだ本の内容について聞いたらちんぷんかんぷんってことも多いのだ。

「へー、お姫様じゃないのね……。んっ、3ヶ月で大人になったんだぁ……。ねえねえ、お兄ちゃん?
普通の人間って、大人になるまでに十年とちょっとかかるって言ってなかった?」
「ああ、普通はそんなもんだな」
「じゃあ、かぐや姫はちょっと特別なんだね?」
「そうかもね……。ほら、続きも読んじゃいなよ」
 適当に相槌を打ち、妹を読書に促す。

「えっ! そっか、昔は人はみんな、月じゃなくって地球に住んでたんだ~。知ってた? お兄ちゃん?」
「そりゃあね」
「やっぱり、お兄ちゃんって物知りだねぇ」
 それだけ言うと妹は読書に戻った。

 数千年もの昔。地球は極度の異常気象と、量子発電システムの暴走によって、もはや人の住めない星になっていた。それでもわずかに生き残った人類。地球にしがみつき、細々と暮らしていた。
 そして、地球を見捨てて月に移り住んだ別の人類。ふたつに分かれた人類。
 それから何千年もの間、地球では文明を捨て、科学に頼らない原始的な生活をしながら何とか生きながらえていた。
 一方、月では、科学文明を継続させ、どんどんと新技術を発展させていった。一見繁栄に見えた月の文明もその翳りを見せる。遺伝子操作などを行い、月の環境への適応を計ってきた人類だったが、やがて徐々にその数を減らしていった。
 残っているのは妹ただ一人。

「面白かった! でもかなしいね。かぐや姫は月に帰っちゃうんだね?」
「月で生まれたんだからね。それは当然だよ」
「わたしも地球に行ってみたいな……。まだ誰か住んでるかな?」
「どうだろうね……。会ってみたい? 地球の人と?」
「うん! 会ってみたい」

 地球に送った監視ロボットの映像によれば、いまなお地球には小さいコミュニティーがいくつかあり、人類はほそぼとだが、逞しく生活を営んでいる。
 数ヵ月後、僕は妹を地球に送り込むだろう。最後に残された月の人間を地球に還す。それが僕の役目だ。
 今まで幾人もの人々を人工授精、培養ポットで創造し、育ててきた。その誰もが病弱で、厳しい環境で暮らすに堪えない身体を持ってしまっていた。
 そんな中で生まれた妹。僕のDNAを半分受け継ぐ妹は、おそらくは地球での環境にすら耐えられる奇跡のかけら。

 読んでいた竹取物語は終盤にさしかかっている。帝が不老不死の薬を焼いてしまった。

『カグヤプロジェクト』は動き出す。そしてカグヤ姫は、二度と月に帰ってくることはないだろう。
地球に根を下ろし、地球人として暮らすのだ。
 妹には地球で幸せを見つけてもらう。
 それを見届けたら……僕は……量子コンピュータの脳と機械の身体を持つ僕は、自身の機能を停止させるだろう。
 あまりにも永く生き過ぎた。あまりにも多くの人間を死においやった。
 だから、この永遠の命ともお別れしよう。
 帝が、不老不死の薬を焼いてしまったように。

~fin~

id:takejin

をを、SFだぁ。
僕の存在自身と、彼女が投入される地球の現状が気になりますが。

2013/03/28 00:53:14
id:takejin

説明無しに状況を想起できる文章力は、大したものだと思います。ええ、動画が目の前を流れます。
SF的アイデアは、もう少し時間をかけると、境界線がはっきりしたのでしょう。でも本体だけで、十分な手ごたえです。
ただ、人工飼育したハイイロガンをツンドラの野にいきなり放つ感があって、ちょっと残念。
(硬めのSFって、こういうところを譲らないから嫌われるんだけど)地球に降ろすメリットがはっきりすると良かったなぁ。

※ここで、思いつき。
月のカグヤは、筒状のポッドで育成されている。(まるで竹のような)
月世界人とは違う、地球人のDNAから生成したもの。
地球上の人類は、そのDNA片が必要になっている。
地球上の人類から、カグヤにラブコールが飛んでくる。
実は、見た目が地球人と月人では違う。
カグヤは見た目が同じ地球人がいる、地球へ行くことを願う。
地球から、回収ロケットがやってくる(最後のアポロだったりして)
カグヤは地球へ還る。

なんてね。

SF書いてくれたから奮発します。

2013/03/28 19:19:01
id:meefla No.6

meefla回答回数985ベストアンサー獲得回数4612013/03/27 23:06:43

ポイント80pt

終わりなきクエスト


 私は黒い森の中を彷徨っていた。すでに日もとっぷりと暮れ、手にした松明の明かりだけが眼前の細い道を照らしていた。
 背後から気配がした。殺気だ。
 私は足を止め、松明を岩の間に挟んだ。右手を剣の柄にかけると、ラプロヴの剣は生き物のように拍動した。私はゆっくりと振り返った。今度こそ……。
 闇の中から飛びかかってきたのはゴブリンだった。ラプロヴの剣が一閃し、ゴブリンの頭と体を両断した。
「お前じゃない」
 思わずつぶやいた私の目は、ゴブリンの頭から生えている角に釘付けになった。何度目かの誘惑に耐え、私は再び松明をかざしながら歩を進めた。まだ夜は長い。

 村の宿屋に戻ると、宿の主人が出迎えてくれた。
「で、今夜の首尾はどうでした?」
 私は首を横に振った。
「ゴブリンが一匹だけ」
 主人は嬉しそうに、
「お酒を用意してますぜ、旦那。一杯やってくだせえ」
「ああ、頼む」
 私が宿屋の大テーブルに腰をかけるかかけないうちに、大ジョッキに入れられた地酒が出てきた。辺境の村だが、酒の味だけは都に優るとも劣らない。
「お代はご心配なく。旦那のお陰で魔物が減って、村じゅう大喜びでさあ。いつまでもお泊りいただきたいと皆が申してます」
 私は無言で酒を呷った。そろそろこの村を出る頃合いか、と考えながら。
 私の考えを知ってか知らずか、主人が言葉を続けた。
「いや、旦那が探しものをしているって事は存じてますよ。でも、『バンパイアの角』なんぞ、どこを探してもあるわけが……」
「黙れ」
 私は剣に手をかけて、主人を睨んだ。主人はあわてて奥に引っ込んだ。
 静かになった部屋の中で、私は一人、ジョッキを傾けた。
「もう10年になるのか」

 10年ほど前。都で評判の美女と言えば、オキーナ・タケトリーノの娘、プリンセス・カグーヤだった。この世のものとは思えぬ美貌を、女神にたとえる者もいたほどだ。
 求婚者は跡を絶たなかったが、プリンセス・カグーヤは全ての求婚者に難題を出した。それは、『ユニコーンの牙』や『ピクシーの卵』や『アルカディアの青い薔薇』など、伝説にも語られていないような稀有な品々だった。
 そして、求婚した私にプリンセスの出した難題が、『バンパイアの角』だったのである。
 私は『バンパイアの角』を求めて旅に出た。我が家に伝わる封印された秘宝、邪悪を祓うラプロヴの剣を携え、魔物や蛮族が跋扈する東の果て、このバナート地方を目指して。

 バンパイアには何度も遭遇したが、角の生えているバンパイアはいなかった。
 しかし私は諦めなかった。風の便りに聞いた所では、プリンセスの難題に対して造り物を持っていった男もいたそうだが、すぐに見破られたそうだ。それが私の心の支えだった。
 それに『バンパイアの角』の存在を疑う事は、プリンセスの言葉、ひいてはプリンセスそのものを疑う事になるのだ。
 そして10年。私は未だに『バンパイアの角』を探し続けている。
 
 ジョッキの酒が底をつく頃、外では夜がしらじらと明けようとしていた。
 私はふと想った。
 もしかすると、もはや私の中で、プリンセス・カグーヤとの結婚なぞ、大した意味を持っていないのではないか?
『バンパイアの角』を見つける事そのものが目的となっていて、結婚のための手段という当初の意味はどうでも良くなっているのではないか?
 よしんば『バンパイアの角』を見つけたとしても、それを都に持ち帰った時にはプリンセス・カグーヤが別の求婚者や異国に嫁いでいたら?

 私は椅子から立ち上がり、ラプロヴの剣を鞘から引き抜いた。柄を両手で握り、剣を目の前にかざす。刀身は脈打つように鈍い銀色の光を放っていた。剣を見つめていると、心の中の邪念が祓われていくのを感じる。大きく息を吐き出し、私は剣を鞘に収めた。
 私は今夜も森に出るだろう。終わりのない探求の旅を続けながら。


(了)

他1件のコメントを見る
id:takejin

どの「剣と魔法の世界」の話?と見せかけてかぐや姫の無理難題だったと。
相変わらず、いい感じのものを書いてきますね。

原作でも、行ったきり帰ってこないのか、遭難したのか、行方不明な人がいますが。
世に宝は多かれど、実物を見たもの少なし。って感じですね。
剣と魔法の世界と、SFの世界は扉ひとつで繋がっています。
外伝という位置づけは、一番沿っている感じです。

2013/03/28 19:20:13
id:meefla

高評価、ありがとうございます。

怒涛のSF路線も考えたんですが、本家竹取物語が元祖SFですからねー。圧倒するのはなかなか難しいです。長編だし。

ちなみに、『バンパイアの角』の発想元は この質問 の「鬼、角」だったりします。
「鬼」をひねるとしたら吸血鬼しか思いつかなかったので。

2013/03/28 23:34:38
id:takejin

本日、月の出る頃に終了します。
望月では有りませんが、立ち待ちの一日欠けです。
横浜では、19:03月齢16.3です。

id:libros No.7

libros回答回数307ベストアンサー獲得回数712013/03/28 18:15:07

ポイント35pt

うちの課の若竹輝子を知ってるの?ああ、営業の石上さんから聞いたの。彼って、あれでしょ。腰骨やられちゃったんでしょ。有名だもん、うちの課でも。
輝子は美人かって?そうでもないわ。フツー。おっとり癒し系ってやつ?あたしなんにもできませーんって、お姫様かよって感じ。でも男ってそういうのに弱いのよね。

だけどさ輝子って、石上さん以外に四人も男がいたのよ。五股よ五股。
信じられる?全員に貢がせといて、あげくにみぃんなフッたんだって。
噂だとかじゃないわよぅ。本人から聞かされたの。頼みもしないのにペラペラしゃべってたわ。癒し系なんてとんでもない猫かぶりよ。
たとえばさ、レアものの毛皮のコートおねだりして、海外から取り寄せさせたけど、あとで偽ブランドだったってことがわかってさ。コートは即、燃えるゴミ直行。男もポイしただとか。一点もののジュエリーをオーダーメイドでつくらせただとか。
石上さんだって、なんとかいうパワーアイテムを取るためにロッククライミングしてて、事故って、腰を痛めちゃったんでしょ。なんか必死すぎて哀れよねぇ。

最近の輝子?社長の御曹司に気に入られてるわ。相当貢がせてるんじゃないかしら。でも、玉の輿に乗る気は全然ないみたい。近々退社して、実家に帰るみたいよ。御曹司がなりふり構わず引きとめてるらしいけど、無理っぽいわね。なんか「迎えが来る」って匂わせてたから、地元に本命の彼氏がいるんだと思うわ。
彼女の実家?さあ、どこだったかしら。三重県だったかな。確か言ってわ、「津市に帰る」って。

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id:takejin

現代編としては、結構いい感じです。
読みやすいですし、ブレてないし。
せっかくだから、行けないくらい遠い街の方がよかったかも。
海外とかね。

2013/03/28 19:21:05
id:libros

できれば海外にしたかったのですが、ツキに近い地名がどうしても思いつかなくて。
こういうのが大得意のたけじんさん、良いアドバイスをください。

2013/03/28 19:30:05
  • id:ibuki81
    課題に追われていますが
    書けたら書きます(´・ω・`)
    締め切りは出来るだけのばしていただけると
    嬉しいです。
    え?こんなks野郎の作品はもう見たくない?
    でも書いちゃいますよ多分。
    ……うん、どうしようか……(´・ω・`)←
      
    あのテンションからまだ抜け出せて
    いないようです←殴
  • id:kobumari5296
    年度末は忙しいっすね(*_*)
    家の中の入れ替えも重なり、あわただしさに拍車がかかり……

    私も出来たら参加……って感じです。
    もっと盛り上げたいのにっ!!
  • id:inugamikoubouathangul
    参加します。おそらくギリギリで参加したのでギリギリで間に合う感じになると思いますが、何とかします。
  • id:takejin
    明日(28日)の夕方まで締め切り延ばします。年度末進行中ですので予定変更あるかもです。(早くなる事は有りません。)
    講評(感想)は、少しお時間をいただくかも。

    さ、ちょっと延びたよ。みんな書いて書いて。
  • id:taknt
    かきつばた杯って ショートショートなんだね。
  • id:grankoyama
    グラ娘。 2013/03/27 23:14:32
    感想文沢山くださいね。わたしの最後のかきつばたです!!
  • id:libros
    わー、太陽、沈むのちょっと待って。今書いてる(メロス気分)
  • id:libros
    ホントに日没を睨みながら書きあげました。実にメロスっぽかった。
  • id:takejin
    とりあえず、終了です。
    皆様お疲れ様でした。
    楽しめましたよ。
    BAは、ちょっと待ってね。
  • id:kobumari5296
    結局書けませんでした……みなさんお疲れ様です。
    次回は参加したいです!!よろしくです!!
  • id:grankoyama
    グラ娘。 2013/03/29 12:34:12
    たけじんさんに習って、間に合わなかった一編を。

    ====================================
     それは永い間地中に埋もれたままでいた。月より飛来した量子生命体。
     月への小惑星の衝突をきっかけに仲間とはぐれた”彼女”は、地中深くで息をひそめていた。眠っていたわけではない。
     人間のそれとは根本的に異なるその思考システム、生命維持システムは彼女を健全に保存していた。
     ただ……彼女は想った。寂しい……、孤独……、仲間の元へ戻りたいと……。

     やがて彼女は一本の竹と融合する。融合して、竹自体の内部組織にネットワークを張り巡らせた。
     輝きを放つ、異質な竹として成長を遂げた。
     そして、一人の老人に見止められる。



    「博士、今回の発見、単に新種の植物が見つかったのとは根本的な相違があると伺っているのですが?」
     記者の問いかけに、白髪の科学者が答えた。
    「生物学的には、通常のPhyllostachys pubescens Mazelの変異と見ることができのは確かです。
     しかし、根本的に違うのは……あ~まだ調査段階だから詳しくは言えんが……
     どうやら量子レベルで、複雑なネットワークを構築しているようだ。
     こんなことを記事にされても困るのだが、私自身、あれは一種の地球外生命体の痕跡ではないかと考えておる」
     会場にどよめきが起こる。探しても見つからなかった、異星人。それがよもや日本の竹林の奥深くで発見されようとは。
     しかし、この件については重要な機密として、公にはならず、研究だけが進められていった。



     あれから、数十年。人類の生活は一変していた。”KAGUYA”と名付けられた一本の竹から取り出した組織片。
     研究を重ねるうちにそれは、様々な分野への応用が可能となった。
     しかし、その駆動原理については未だほとんど何もわかっていない。
     ただ、人間にとって都合が良かったのは、安価な量子コンピュータの基盤の代わりとして……。
     そして、月の光を浴びて電力を発生させる新たなエネルギー源として……。
     ブラックボックスのまま”KAGUYA”は人類社会に取り入れられていく。もはや必要不可欠なものとして。
     もちろん旧来のコンピュータチップや、太陽光などの自然エネルギーの抽出方法についても技術の進歩とともにかなりの発展を遂げている。
     しかし、その性能は”KAGUYA”に及ぶものではなかった。

     ある日彼女は想った。既に世界中に張り巡らされた彼女は、地球上のほとんどのコンピュータネットワークに広がり、人類が施設した低速な――あくまで未だ人間が活用していない彼女の量子間通信と比較してだが――ネットワーク網に飽きたらず、独自の接続網を持つようになった。
     いわば、巨大な脳組織。タイムラグなしに世界各国の”KAGUYA”の断片をつなぐ。
     それは彼女の願望を叶えるに十分なものであった。
     
     全世界の作業ロボットが一斉に蜂起する。世界中のオートメーション化された工場が、人類の予期しない部品を組み上げる。
     通信は乱れ、エネルギー需給もままならず、工業製品の生産能力は皆無に帰す。
     人々はただ、見守ることしかできなかった。
     後悔することしかできなかった。……安易に”KAGUYA”を利用しつづけたことに。
     彼女との意思疎通を怠ったことを……。
     
     それから人類は”KAGUYA”の暴走の意図を探ろうと、様々な研究を続けた。
     ”KAGUYA”の行っている量子間通信を傍受、あるいは阻害するために……。
     ”KAGUYA”へ人類からのメッセージを伝えるために……。
     ”KAGUYA”の真の意図をくみ取るために……。
     ”KAGUYA”と同質の素材を人工的に生み出すために……。
     ”KAGUYA”なしで、新たに文明を、再構築するために……。

     しかしそれらの試みはすべて徒労に終わった。

     ただなすすべもなく、見守る人類の目の前で彼女は着々と準備を進めた。
     月に帰るため、巨大なロケットを作り出した。そのロケットには、世界中の”KAGUYA”の断片が搭載されていった。

     そして、彼女は月への帰還を果たす。

     残された人類は、ただそれを見守ることしかできなかった。
  • id:takejin
    これ↑長編だよねぇ。
    自分の中で、その本読もうと思います。
  • id:takejin
    僅差でしたが、BA決めました。
    卒業のはなむけと。
  • id:ibuki81
    課題やってる間に終わってしまっただと!?
    ……課題も終わってませんが←え
    皆様お疲れ様でした!!
    次の機会があれば参加させていただきます!!
    多分!!!!←

    参加したかったなぁ……(´・ω・`)

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