傷のあるところへ尿素入りのクリームなんかを塗ると痛みを感じますが、なぜ尿素を傷口に塗ると痛むのでしょうか?尿素の作用について詳しく教えてください。

回答の条件
  • 1人5回まで
  • 登録:
  • 終了:2013/06/11 08:52:45
※ 有料アンケート・ポイント付き質問機能は2023年2月28日に終了しました。

ベストアンサー

id:holoholobird No.2

回答回数574ベストアンサー獲得回数104

ポイント100pt

まず,尿素クリームはクリーム基剤であり,それ自体が細胞破壊性を持ちます。もしも皮膚の角化層が正常なら問題ありませんが,尿素クリームの場合,尿素が角化層自体を破壊するのですから救いようがありません。生物学的に考えればインチキ薬剤ではないかと思います。

 尿素がいかに人体に危険かは,基礎実験で尿素を使う場面を思い起こすとわかります。DNA抽出の前に20%尿素を作用させて細胞膜を破壊する実験は医者なら大抵やった事があると思います。要するに20%尿素とは細胞膜破壊薬です。基礎系の研究をしている知人は「20%尿素を人体に直接つけるなんて,なんて恐ろしいことをするんだ。医者のやることってわけがわかんないね」と言っていました。

 尿素 H2NCONH2は1分子あたり6箇所の水素結合部位を持ち,ここで水分子(1分子あたり4つの水素結合部位を持つ)と結合します。このため,尿素は水分子と混ざり合い,水を保持します。「尿素が水分を保持する」というのはこのことを指しています。
 しかし,化学的に考えれば,水分子と結合するからといって,それを理由「尿素は保湿剤である」とは言えません。なぜかというと,尿素は水とだけ結合するわけでないからです。

 「尿素には角質層を溶かす作用がある」とよく言われ,余分な角質を落とすためによく使われます。これは角質を構成するタンパク質(ケラチン)のペプチド結合と尿素が水素結合します。
 ケラチンは外側に親水基,内側に疎水基を畳み込んでいる立体構造で安定しているタンパク質ですが,尿素はこの「内側の疎水基」を外側に引きずり出します。その結果,ケラチンの立体構造は変化し,角質は正常構造を失います。実際,14C‐尿素を含む10%尿素軟膏をラット背部の皮膚に塗布し,密封したところ,血中放射能濃度は投与後3時間で最大値を示し,以後速やかに消失しています。なお,このデータはウレパールの商品説明サイトに明記されているものです。

 ここで,「そうか,尿素を皮膚に塗ると浸透して体に吸収されるのか。保湿効果がありそうだな」と思ってはいけません。なぜかというと,上記の説明で明白なように「皮膚の角化層を破壊」しているからです。皮膚に塗った尿素が血液中に移行するためには,角化層全層を破壊し,角化層を失った表皮に直接尿素が接触し,細胞内,あるいは血管内に移行するという現象が不可欠と思われます。そうでなければ,血中に移行するはずがありません。「3時間で血中で最大値になる」ということはつまり,「角化層を破壊するのに3時間もかからない」ということではないかと思います。

 となると,尿素にいくら水分子と結合する能力があろうと,角化層を破壊しているのであれば保湿効果もクソもありません。花畑をブルドーザーで根こそぎ壊しておいて緑のペンキを塗っても「緑が増えた」ことにはならないのです。あっ,これはお隣の超大国がしていたっけ・・・。

 尿素クリームの説明には必ず,「余分な角化層を取って皮膚をスベスベにする」と書かれていますが,これも眉唾です。尿素と角化層のペプチド結合との結合は純粋に化学的なものですから,「余分な角化層」と「皮膚の生存に必要な角化層」の区別を尿素がつけているわけではないからです。結合するペプチド結合がある限り,尿素は際限なく角化層の正常構造を破壊するはずです。適当なところで歯止めが効いているはず,というのはあまりにご都合主義的解釈でしょう。

id:koko24

お返事が遅くなりすいません。
ご丁寧なこれ以上ない解説あるがとうございました。
おかげで合点致しました。

2013/06/11 08:52:10

その他の回答1件)

id:Lhankor_Mhy No.1

回答回数813ベストアンサー獲得回数232

刺激感は、「尿素が水分を引きつける圧力によるもの」だといわれています。

尿素の保湿クリームは、湿疹に塗ってもいいの?|子肌育Blog アトピーに負けない生活。
id:koko24

ありがとうございました

2013/06/11 08:52:25
id:holoholobird No.2

回答回数574ベストアンサー獲得回数104ここでベストアンサー

ポイント100pt

まず,尿素クリームはクリーム基剤であり,それ自体が細胞破壊性を持ちます。もしも皮膚の角化層が正常なら問題ありませんが,尿素クリームの場合,尿素が角化層自体を破壊するのですから救いようがありません。生物学的に考えればインチキ薬剤ではないかと思います。

 尿素がいかに人体に危険かは,基礎実験で尿素を使う場面を思い起こすとわかります。DNA抽出の前に20%尿素を作用させて細胞膜を破壊する実験は医者なら大抵やった事があると思います。要するに20%尿素とは細胞膜破壊薬です。基礎系の研究をしている知人は「20%尿素を人体に直接つけるなんて,なんて恐ろしいことをするんだ。医者のやることってわけがわかんないね」と言っていました。

 尿素 H2NCONH2は1分子あたり6箇所の水素結合部位を持ち,ここで水分子(1分子あたり4つの水素結合部位を持つ)と結合します。このため,尿素は水分子と混ざり合い,水を保持します。「尿素が水分を保持する」というのはこのことを指しています。
 しかし,化学的に考えれば,水分子と結合するからといって,それを理由「尿素は保湿剤である」とは言えません。なぜかというと,尿素は水とだけ結合するわけでないからです。

 「尿素には角質層を溶かす作用がある」とよく言われ,余分な角質を落とすためによく使われます。これは角質を構成するタンパク質(ケラチン)のペプチド結合と尿素が水素結合します。
 ケラチンは外側に親水基,内側に疎水基を畳み込んでいる立体構造で安定しているタンパク質ですが,尿素はこの「内側の疎水基」を外側に引きずり出します。その結果,ケラチンの立体構造は変化し,角質は正常構造を失います。実際,14C‐尿素を含む10%尿素軟膏をラット背部の皮膚に塗布し,密封したところ,血中放射能濃度は投与後3時間で最大値を示し,以後速やかに消失しています。なお,このデータはウレパールの商品説明サイトに明記されているものです。

 ここで,「そうか,尿素を皮膚に塗ると浸透して体に吸収されるのか。保湿効果がありそうだな」と思ってはいけません。なぜかというと,上記の説明で明白なように「皮膚の角化層を破壊」しているからです。皮膚に塗った尿素が血液中に移行するためには,角化層全層を破壊し,角化層を失った表皮に直接尿素が接触し,細胞内,あるいは血管内に移行するという現象が不可欠と思われます。そうでなければ,血中に移行するはずがありません。「3時間で血中で最大値になる」ということはつまり,「角化層を破壊するのに3時間もかからない」ということではないかと思います。

 となると,尿素にいくら水分子と結合する能力があろうと,角化層を破壊しているのであれば保湿効果もクソもありません。花畑をブルドーザーで根こそぎ壊しておいて緑のペンキを塗っても「緑が増えた」ことにはならないのです。あっ,これはお隣の超大国がしていたっけ・・・。

 尿素クリームの説明には必ず,「余分な角化層を取って皮膚をスベスベにする」と書かれていますが,これも眉唾です。尿素と角化層のペプチド結合との結合は純粋に化学的なものですから,「余分な角化層」と「皮膚の生存に必要な角化層」の区別を尿素がつけているわけではないからです。結合するペプチド結合がある限り,尿素は際限なく角化層の正常構造を破壊するはずです。適当なところで歯止めが効いているはず,というのはあまりにご都合主義的解釈でしょう。

id:koko24

お返事が遅くなりすいません。
ご丁寧なこれ以上ない解説あるがとうございました。
おかげで合点致しました。

2013/06/11 08:52:10

コメントはまだありません

この質問への反応(ブックマークコメント)

「あの人に答えてほしい」「この質問はあの人が答えられそう」というときに、回答リクエストを送ってみてましょう。

これ以上回答リクエストを送信することはできません。制限について

回答リクエストを送信したユーザーはいません