内毒素はどうやって 補体を活性化したり T細胞の分裂を促進したり 血液凝固を促進したり 造骨細胞の分裂を抑制したり 組織修復作用を抑制しているのですか?
内毒素の主な生物学的作用は、致死性ショック、発熱、補体の活性化、白血球の活性化、接着分子発現や血管内皮細胞の障害、汎発性血管内凝固(DIC)、抗体産生促進、食菌の促進などである。発熱作用から「外因性発熱物質(パイロジェン)」とも呼ばれる。補体の活性化を除いて、これらの作用のほとんどはサイトカインが介在している。
図解入門よくわかる微生物学の基本としくみ - 高麗寛紀 - Google ブックス
サイトカインとは
サイトカインは細胞が産生する微量生理活性タンパク質の総称である。そのため、サイトカインという物質そのものは存在しない。サイトカインは細胞同士のコミュニケーションを司り、細胞の増殖・分化・機能発現に関わっている。
細胞からサイトカインが産生され、標的細胞の受容体に結合し、標的細胞の作用を変えるのである。
サイトカインによるヘルパーT細胞、B細胞の分化
ヘルパーT細胞にはTh1細胞とTh2細胞の二種類があり、Th1細胞は細胞性免疫に関わっており、Th2細胞は体液性免疫に関わっている。
Th1細胞、Th2細胞はもともとナイーブTh細胞から分化したものである。ナイーブTh細胞がTh1細胞に分化するかTh2細胞に分化するかは、どの種類のサイトカインが作用するかによって決まる。
ナイーブTh細胞をTh1細胞に分化させるサイトカインはIL-12(インターロイキン-12)であり、Th2細胞に分化させるサイトカインはIL-4(インターロイキン-4)である。IL-12はマクロファージなどから産生され、IL-4は肥満細胞(マスト細胞)や活性化したTh2細胞から産生される。
Th1細胞はIL-2,IFN-γなどのサイトカインを産生し、マクロファージの活性化やキラーT細胞の誘導などを行う。Th2細胞はIL-4,IL-5,IL-10などのサイトカインを産生し、B細胞の分化させ抗体産生細胞への誘導などを行う。
また、Th1細胞から産生されるIFN-γはTh2細胞への分化を抑制し、Th2細胞から産生されるIL-10はTh1細胞への分化を抑制している。
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