一般に、「Aとしない」が単なる否定なのに対し、「Aとはしない」は、
「しかし、別のBならする」といった裏の意味が入り込みます。
たとえば「覚えようとはしない」・・・
しかし、「必要に応じて検索するから、わざわざ覚える必要はない」とか、
しかし、「そんな努力なしに、自然に覚えてしまっている」とか。。。
この「は」は強調の「は」ですが、
試しに同じ強調にも使われる「も」にいれかえてみましょう。
「覚えようとしない」覚える意志がない。
「覚えようともしない」覚える意志がないし、他の意志もない。覚えることを期待していた人の意には全く沿わない。
「覚えようとはしない」覚える意志はないが他の方法なら意志がある可能性がある。たとえば頭で覚えずにメモをとったり、他人におぼえてもらっていちいち尋ねるなど。その「他の方法」が覚えさせようとした人の意に沿うかなどはまだ全くわからず、「覚えようとしない」と外見上はほぼ同じ。
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ほぼ同じなので、あまり深い意味でなく、リズムを整える程度の強意である場合もあります。
絵本で物語口調であるときは朗読されることを考えて書きます。
そのときはリズムをつけて、文節の区ぎれかたを
わかりやすくするために「ようと~ない」ではなく、
敢えて「ようと『は』~ない」をつかうことがあります。
たとえていえば、文章にひんぱんに「え~、」とか「あ~、」と
はさみながらしゃべる政治家の演説に近いつかいかたです。
『覚えようとしない』
全然覚える気配がない、覚えようとする姿勢が無い。
「お前なぁ、なんで暗記問題を暗記しないんだよ。この3ページだけだろうが」
「やだ。僕はゲームしたいんだから」
貞志の兄は、宿題を覚えようとしない弟にイライラして叫んだ。
「母さん、こいつ教科書開かない。ダメだよ」
『覚えようとはしない』
覚えるという行為以外で、解決方法はないか模索している。
「お前なぁ、なんで暗記問題を暗記しないんだよ。この3ページだけだろうが」
「だって、面倒じゃない?ちょっと返してそれ。」
「お前何してんの」
「縮小コピーして、消しゴムに貼るの」
「それカンニングだぞ」
「いいじゃん。覚えるの面倒なんだもの」
貞子は、宿題を覚えようとはしないが、余計なことをするタイプであった。
ついでに
『覚えようともしない』
「覚えようとしない」よりも覚えようとしない状態が強調されている。
「お前なぁ、なんで暗記問題を暗記しないんだよ。この3ページだけだろうが」
「やだ。勉強なんてぜったいやらない。サッカーの約束したんだから!」
貞夫は宿題を覚えようともせず、玄関を飛び出して行ってしまった。
『覚えようとすらしない』
「覚えようともしない」よりもさらに否定的な内容が強調されている。
「お前なぁ、なんで暗記問題を暗記しないんだよ。この3ページだけだろうが」
「やだ。勉強なんて人生の役に立たないだろ!父ちゃんを見ればわかるよ!」
貞吉は、宿題を覚えようとすらせず、人生をすでに捨てているニートであった。
コメント(1件)
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/159809/m0u/%E3%81%A8%E3%81%AF/
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[連語]《格助詞「と」+係助詞「は」》
1 「と」の働きを強めた表現。「予想―違う結果が出た」
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なぽりんさんの説明で正しいようです。
つまり、意味は同じだけど、後者は強調表現なので、
若干ニュアンスは違うかもしれない、という程度かと。