人力検索はてな
モバイル版を表示しています。PC版はこちら
i-mobile

就業規則上、自律神経失調症やうつ病になった社員についても、出勤停止や短時間勤務命令等の就業制限を行う対象としたいと考えています。こうした規定を設ける事は法的に可能でしょうか?また、設けるとしたら、どのように規定すればよいでしょうか?

●質問者: murayama
●カテゴリ:ビジネス・経営 医療・健康
✍キーワード:うつ病 就業規則 社員 自律神経失調症
○ 状態 :終了
└ 回答数 : 1/1件

▽最新の回答へ

1 ● opponent
●40ポイント

http://www.ea.ejnet.ne.jp/s-roumu/nakayamy3.html

「こうした規定を設ける事は法的に可能でしょうか?」とのご質問に丁寧にお答えするには、恐らくブックレット数冊分の論証が必要だろう、ということを前提にして、以下の回答を読んで下さい。労働基準法(労基法)だけでも、判例は膨大に蓄積されていますので的確にお答えするには、まず法律と判例について当たってみる必要があるうえ、具体的な労働実態と摺り合せて考える必要があるからです。

端的に申し上げますと、こうした規定を設けることは、法的に全く問題はありません。就業規則を企業側が一方的に作成するという慣習は、上の判例(秋北バス事件-最大判昭43・12・25民集22巻13号3459頁)にも示されていますね。ただし、それが法的に効力を持ち、労基法上何ら問題がないかというと、これは別の問題になります。

このような規定を不服として、たとえば従業員がその規定に対し「無効確認」の訴えを起こした場合には、きわめて厳しい立場に追い込まれるのではないかとの懸念を強く感じます(これは私見です)。

上に挙げた判例は、労基法89条に関する最高裁判決でして、一般によく引用される部分は冒頭の、

「就業規則は、一種の社会的規範としての性質を有するだけではなく、……(略)……また、これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず、当然にその適用を受けるものというべきである」

の部分ですが、ご質問に関しては、むしろ、

「就業規則は、経営主体が一方的に作成し、かつ、これを変更することができることになつているが、既存の労働契約との関係について、新たに労働者に不利益な労働条件を一方的に課するような就業規則の作成又は変更が許されるであろうか、が次の問題である」

「おもうに、新たな就業規則の作成又は変更によつて、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されないと解すべきであるが、労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいつて、当該規則条項が合理的なものであるかぎり、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されないと解すべきであり、これに対する不服は、団体交渉等の正当な手続による改善にまつほかはない」

という記述部分が該当するのではないかと思います。

「自律神経失調症」や「うつ病」の社員に対し、出勤停止、短時間勤務を命じる「合理的理由」があればよろしい、という判示です(わかりやすい例で申しますと、安全上問題が生じるなど-これは一例にすぎません)。もし、当該規則条項が合理的であれば、経営者側による就業規則適用を「拒否できない」と最高裁は判示しているわけです。逆に何ら合理的理由がなければ、「新たな就業規則の作成又は変更によつて、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されないと解すべきである」と一定の枠を嵌める判示となっています(これが上で申し上げた「懸念」の理由です)。

けれども、これは職種や労働の内容など、個別事件の態様によっても左右されますので、一概にこうだ、という結論を出すわけにはいかないでしょう。個々の具体的な労働事件の内容を精査しないで一般論で語るわけにはいきません。

おもな判例(就業規則に関するもの):

http://www.ne.jp/asahi/morioka/masato/roudou.htm

労働判例集

「個別的労働関係」の7つ目に「就業規則」の判例が19件あります。

http://www.campus.ne.jp/~labor/hanrei/28upper.html

ここには「就業規則」に関する最高裁判例が27件、

また、模範六法(三省堂)に掲載されている判例は、労基法89条〜93条(就業規則)の部分だけでも60件以上あります。

これまでに裁判所に蓄積された判例は、非常に膨大なものになるでしょう。したがって、ご質問にお答えするには、それらの判例について判断できる能力が必要になります。

こういった事情を考え併せますと、経営に関する相談に乗ってくれ、かつ、労働法に通じた弁護士に、詳しい事情を説明してアドバイスを受けるのが最善の道だと思うのですが……。

◎質問者からの返答

opponentさん、ご丁寧にご回答いただき、ありがとうございました。

ご指摘のように、この問題は、就業規則の不利益変更の要件に該当するかどうかが論点です。

しかし、たとえば、自律神経失調症等を理由とする短時間勤務は、その時間を利用して、労働者は自らの体調を整えることもでき、個別の事案に即して考えると、「不利益変更」に該当するかどうか、相当に微妙な判断になると思います。

おっしゃるとおり、「不利益変更」については膨大な判例・学説が積み重ねられているのは存じておりますが、その中でも、特に、心身症に対する「就業制限」の事例があれば、と思ったのですが・・・

関連質問


●質問をもっと探す●



0.人力検索はてなトップ
8.このページを友達に紹介
9.このページの先頭へ
対応機種一覧
お問い合わせ
ヘルプ/お知らせ
ログイン
無料ユーザー登録
はてなトップ