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あなたは、すこし、悲しいことがあって、でも、忘れなくて、想い出のあの場所にひとりで行こうと思いました。あのころは助手席だったけど、今は、電車に揺られて、そしてあの場所のある駅に降り立ちました。静かな駅前です。あなたはタクシーを拾いました。黒色の少し古い年式の、でもきれいに磨かれた個人タクシー。車内も清潔な白いシートがかかっています。まるで児玉清みたいな運転手さんはあなたが車窓を見て、なみだをこらえているのをバックミラーで見ながら、でも何もいいません。この物語の続きを「創作はてな」してみてください。

●質問者: aoi_ringo
●カテゴリ:生活 人生相談
✍キーワード:あなた あのころ はてな タクシー バックミラー
○ 状態 :終了
└ 回答数 : 5/5件

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1 ● na-ru
●20ポイント

全てをあの恋に注いでいました。


どんなに忙しくても、

あの店で毎晩あの人を待っていました。

どんなに忙しくても、

あの人は毎晩会いにきてくれました。


全てを注いでいたから、今はこんなに空っぽに感じられます。

目を閉じるとあの頃が鮮明に浮かんで一層

今が空しいのです。


私を気遣ってか

運転手がつけたラジオからノイズ交じりで流れてきたその歌は

いつもあの店に流れていた歌で

涙がこぼれた私は声を殺して

逃げ出すようにタクシーを降りてかけ出しました。

◎質問者からの返答

すてきですね。

ありがとうございました。


2 ● きゃづみぃ
●15ポイント

遠くに汽笛を聞きながら、車にゆられて思い出の場所に着きました。

あのころとちっとも変わっていないその場所は、一人だけの私を

そっと受け止めてくれました。

もう泣くのはやめよう・・・私は、そうかすかに決意して その場を

立ち去りました。

これからの私は、今までの私じゃない。

新しい私なんだ、そう言い聞かせるように 一歩、一歩しっかり踏み出したのです。

つづく・・・。

◎質問者からの返答

ありがとうございました。


3 ● peach-i
●20ポイント

その場所を指名して、運転手さんに告げる。

運転手さんはただ「はい」とだけ告げる。

目的地について運転手さんは一言。

「お代はいりませんよ。私が出来ることはこれだけです。。。」

彼女はこらえる涙を我慢しながら、精一杯の笑顔でそのタクシーを離れた。

座席にはしっかりと1万円札を残して。

◎質問者からの返答

きれいですね。

ありがとうございました。


4 ● threecloudjp
●50ポイント ベストアンサー

窓の外に流れゆくありふれた町並は、ことのほか私に痛みをもたらした。

隆とふたりでよく行ったイタリアンの店。

初めて指輪を買ってもらった小さな雑貨屋。

そのひとつひとつにある小さな幸福の記憶に、じくじくと胸をしめつけられる。

「きれいでしょう」

ふいに、運転手が言った。

一瞬、なんのことかわからなくて返答に詰まってしまった。

「黒髪山の紅葉はね、毎年このへんのテレビで特集を組んでやるんですよ」

あぁ、紅葉のことね、と気づいてタクシーの進行方向に目をやった。

はるか前方に臨む小高い山が、なるほど赤く染まっている。

「そうですね。きれい」

と一応相槌を打ってみた。

私の心情を知ってか知らずか、運転手は話し続ける。

「黒髪山って名前の由来はね、昔このへんに、近所でも評判の美しい黒髪の女がいたそうなんです」

「はぁ」

「それが男に捨てられて、首を吊ったんだね。あの山で。

それで黒髪山って言うらしいんですけどね」

「へぇ…」

わたしはぴんと来た。

「それでね、あの紅葉のあんなにも鮮やかな紅色っていうのは…」

「女の血の色?」

「その通り!」

クイズ番組のように間断ない遣り取りに、ふふっ、と私たちは笑った。

笑った自分にすこし驚いた。

驚いて、うれしかった。

だからわたしは会話を続けることにした。

「怖いですね。女の情念って」

「ははは。いやしかし、おかげで毎年こんなに綺麗な紅葉を拝めるんですからな。怖いばかりでもないでしょう。

女ってのは不思議な生き物ですよ。脆いと思えば頑丈で、しかしやっぱり不安定で、執念深くて。

なにやらうまく言えませんが、混然としていて、何がなんだかわからない。

そのわからなさも、女の美しさなんだとぼくは思いますな。

…いや失礼、お客さんの前で」

「いえ、いいんです」

情念が深すぎた女の、血の色の美しさ。

その血の色が、年毎に見る人の心を静かに揺さぶる。

前方に結婚式場が見えてきた。

流行りのプロヴァンス風の建造物が、広い芝生の庭の奥に建っている。

わたしと隆は、ここで式を挙げる予定だった。

「そろそろですね。どのへんで降ろしましょう?」

運転手が、仕事の顔に戻って声をかけてきた。

しばし考えて、わたしは言った。

「ごめんなさい。目的地を変えてもよろしいですか?」

「おや」

運転手はくすっと笑った。

わたしのこれまでの一連の言動から、何かを悟ったようだった。

「ここはやめて、向こうの…」

「黒髪山?」

「その通り!」

わたしたちはしばし笑い合い、タクシーは濡れ落ちそうに鮮やかな紅葉を目指して走り抜けた。

◎質問者からの返答

ラストが少し気になります。

すばらしい作品をありがとうございました。


5 ● TomCat
●45ポイント

「どちらまで?」

「・・・・海、海岸までお願いします」

「はい」

タクシーは静かに走り出しました。優しい運転です。この先のガソリンスタンドのある角を曲がると・・・・。

あ・・・・、スタンドがありません。いつの間にか、流行りのファミレスに変わっています。時の流れを感じます。

ファミレスの角を曲がると、今まで黙っていた運転手さんが、前を向いたまま、そっと語りかけてきました。

「窓、開けていいですか?」

「あ、は、はい」

すーっと窓が開きます。ぱあっと入り込む潮の香り。ああ、これだけはあの日と全く変わりません。

「どうです、いい香りでしょう」

「ええ、とても」

車は急な坂道にさしかかりました。と同時に、左手に海原が広がります。傾斜した車内から見る海は、まるで水面が盛り上がっているように見えます。

うわー。私は、悲しみも忘れて、その雄大な眺めに見入っていました。いつしか車は平坦な道に入り、そして海岸線に横付けされました。

「ここでよろしいですか?」

「あ、はい」

懐かしいこの場所。あの日と変わらない穏やかな海。真っ青な青空の下に、波の背がきらきらと輝いています。

「お帰りはどうなさいます?」

「あ・・・・」

「ここでお待ちしますよ。なあに、個人タクシーですから、メーターは止めておきます」

「い、いいんですか?」

「はい。私もちょうど休憩がほしいと思っていたところでしたから。ごゆっくりどうぞ」

運転手さんの優しい笑顔に送られながら、私は波打ち際へと歩を進めました。靴を脱いで、砂浜を歩いてみます。素足に砂が心地よく感じられます。ちょっと波に足を浸してみます。ひゃっ、冷たい。気になってタクシーの方に目をやってみると、車の外に出ていた運転手さんが大きく手を振ってくれました。もっとゆっくりどうぞ、と言ってくれているようでした。

私は一時間ほどを海岸で過ごし、タクシーに戻りました。

「すいません、遅くなってしまって」

「いいんですよ、もう、お気持ちは落ち着かれましたか?」

「・・・・あ・・・・」

私は気が付きました。あの日、この浜に来て、そして恋人と別れた私を、今日と同じように乗せてくれた運転手さん。泣き顔の私を、何も言わずに駅まで送り届けてくれた運転手さん。それがこの人だったのです。だから、ただ海岸へと言っただけで、ぴったりあの日と同じこの浜へ、車を着けてくれたのでしょう。

再び車が走り出しました。

「実は私も、この浜には思い出がありましてね」

運転手さんは静かに語り始めました。

「私も、ここで最愛の人と別れたんです。この浜で、海を見ながら泣き続けましたよ。でもね、今は優しい妻と可愛い子供たちに恵まれて、とても幸せなんです。あの日の別れがあったから、今の妻と出会ったということですかね」

運転手さんはそれだけ語ると、あとはずっと黙ったままでした。私がちょっと泣いていることに気が付いたのでしょう。

車が駅前に着きました。車を降りると、運転手さんが微笑んで私を見送ってくれました。

「次は新しい恋人と、きっとここにやってきます!!」

私は振り返って、そう言いました。運転手さんはこぶしをぎゅっと握って見せながら、うん、とうなずいてくれました。私の新しい日々が、今、ここから始まります。

◎質問者からの返答

さすがですね。

いつもありがとうございます。

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