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わたしは、この小さな町で写真館をほぼ半世紀営んできた。開業したばかりは「写真」そのものが珍しく、いつも、予約でいっぱいだった。あのころのネガは全部きれいに保存してある。親子二代、なんてのもあったな。あんなに小さかったお嬢さんが、新しい家族を連れて来てくれた日は本当にうれしかった。わたしも、もう、体力の限界にきてしまった。これから残された時間は相棒のカメラを持って旅に出ようと思う。「あのう、すみません」おや、店先に誰かが来たようだ。わたしは、資料保管室から玄関に向けて歩き出した。「創作はてな」です。よろしければ、続きをお願いします。

●質問者: aoi_ringo
●カテゴリ:生活 人生相談
✍キーワード:あのころ お嬢さん すみません はてな カメラ
○ 状態 :終了
└ 回答数 : 10/10件

▽最新の回答へ

1 ● kennzi9
●15ポイント

店主・なんでしょうか

客・写真をとってほしいんですけど

店主・そうですか。ならこちらへどうぞ。

客・でも本当に昔ながらの写真館っていいですね。

店主・そうですか。ありがとうございます。でも珍しいですねいまどき。

客・自分は今次々と出てきているデジタルなんてものは嫌いなんですよ。私の家は田舎とはいえ昔はこういう写真館が自分の家の近くにもいっぱいあった。でも今は一軒もないんです。1時間もかけて

こちらへきたんです。こういう写真館が本当にあってよかった。

店主・本当にありがとうございます(涙)私はこの店をたたもうかと思っていました。相棒のカメラで最後に旅をして終わろうかと思っていたんです。けどあなたの話を聞いて終わりの旅ではなく自分をもう一回見つめなおす旅にしたいと思います。

客・絶対にやめないでください。本当に自分にとってこういう店は思い出の塊ですから。またきます。

そういって客は帰っていった。

◎質問者からの返答

デジタルでないものはいいですね。

ありがとうございました。


2 ● sun5sun
●15ポイント

あのぉ・・・

私の祖父が昔小さいころにここで写真を撮ったことがあると聞いたのですが・・・

祖父は昨日亡くなり、最後までここで撮った大事な人との写真をもう一度見たがっっていたのです。

私は、名前を聞いて、奥に入り、写真を探した。

急いで現像をしてみた。

そこに写った一枚の写真には、綺麗なお嬢さんと、男前の方の写真だった。

その写真を渡すと、その方は、ひとこと

「そっかあ。婆ちゃんだったんだ。」

◎質問者からの返答

いいラストですね。

きれいです。

ありがとうございました。


3 ● aparonecia
●30ポイント

最後の客になるであろう人物はずいぶんと小さかった。

この街には珍しい小学生くらいの女の子が一人玄関先に慎ましやかに立っている。

子供が一人こんな古ぼけた写真館に来てどうするのだろうと疑問に思いながらも私は少女にこう言った。

「何の御用かな。」

少女は私の顔をまっすぐ見つめながら

「写真を撮って欲しいの」

とポツリと答えた。

これでも私はこの町では名が知れた写真家だ。

女の子の小遣いくらいで撮る写真などない。

でももういい。せっかくの最後の客だ。

お代などもらえなくてもかまわない。

「よし。じゃあこっちに来なさい。」

私は相棒を手に取ると少女を撮影室に案内した。

ここからが大変だ。

少女を定位置に立たせたらカメラのレンズ越しに思いっきりにらみつける。

客をにらみつけるのは性に合わないがこればかりは仕方がない。

極限の緊張状態にあって初めて本当のいい写真が取れると私は信じているから。

そんな中少女は無表情に立ち尽くしている。

こんな写真は撮りたくないから

「はい。笑ってぇ」

といつもの決まり文句を放つ。

しかし返ってきたのは

「いいの。このままで。」

というあまりにも素っ気無い返事。

私は不本意ながらも自分と相棒の仕事に没頭させてもらうことにした。


薄暗い部屋の中。私は現像を始めた。

やはり長時間の撮影は体に悪い。

腰も背中も悲鳴をあげているし足はふらついている。

我ながら情けない話である。

現像にはかなりの時間が必要だから女の子には帰るよう言ったのだがまるで聞かない。

きっと今頃は展示してある写真を見て回っているのだろう。

あの写真たちは私の誇りであり築いてきた歴史だ。

そう考えるとこの最後の仕事には非常に感慨深いものがあった。


そしてやっと一連の作業が滞りなく終了し、また一枚写真が増えた。

額縁の中で笑うこともなくまっすぐ前を見つめている少女。

いや、虚空を見つめているのだろう。視線が合わないから。

私は辺りを見回し女の子を探した。

あまり広くない展示室の一角に佇む少女を見つけ歩み寄る。

「お待たせしたね。写真できたよ。」

私は額縁を少女に手渡した。

「どうもありがとう。」

丁寧なお辞儀をする女の子。

私は確かこの姿に見覚えがあった。

忘れるはずもない。

あの時新しい家族を連れてやってきてくれたお嬢さんの小さかった頃の姿だ。

その姿はさっきまで今目の前に居る少女が見つめていた一角に映し出されている。

帰り際にお菓子をあげたらひどく喜んで深々と頭を下げてお礼を言っていたな。

私はいつも持ち歩いている飴玉を思わず差し出していた。

でも少女は首を横に振るだけだった。

私はきっと残念そうな顔をしていたに違いない。

それなのに彼女はそんな私に気を使うことなくある事実を口にした。

「私。死ぬんだって。」

声も出なかった。急に何を言い出すのか。

「私。病気なの。お医者さんももうだめだって言ってた。おそーしきには写真がいるってママとパパが話してたからここにきたの。」

どうやら私の最後の仕事はあまり喜ばしいものではないようだ。

私は無理やり少女に飴玉を渡して家に帰した。

予想はしていたのだがしばらくして見覚えのある女性とその夫が玄関口にやってきた。

「本当にすみません。写真代を支払いに参りました。」

「きれいな写真をどうもありがとうございました。娘も喜びます。」

両親は顔も上げずにただ泣きそうな声で何度も謝罪と感謝の言葉を言い続けている。

私はもう限界だった。

「いい加減にしてくれ。あんな失敗作は知らない。そんなに写真代が払いたいなら今度はあの子が笑うようになってからつれてきてくれ。」

言った後で後悔した。あの子の境遇を今一番悲しんでいるのは目の前の二人のはずだ。それなのに言いたいことを偉そうに言ってしまったのは明らかな失敗だ。

だが初めからあきらめている様子の二人に私は謝る気が起きず3人でただ立ち尽くしていた。

どれくらい経っただろうか。

私は気になることがあったので訊いてみた。

「あの子は今どうしているんだい。」

「ここに来る前に病院に連れて行きました。長時間の外出がたたったのか随分と弱ってしまっていて。」

「それは悪いことをしてしまったな・・・」

「いえ。いいんです。あの子もここが居心地がよかったのでしょう。」

あの時の赤ん坊はとても元気だったのに。

二度目にここを訪れたあの子は笑うことすらやめてしまっていた。

三度目はあるのだろうか。

いや、あってほしい。あれば親子三代の歴史を私が紡ぐきっかけにもなるであろうに・・・


しかし。やはり三度目はなかった。

あの子は私があげた飴玉を握り締めたままその短い一生を終えたらしい。

人間とは儚い生き物だ。

写真の中で何年も生きることはできても現実世界からはすぐに消え去ってしまう。

写真家をやっていたことでそれをより強く実感した。

でも逆に言えば写真にさえ写ってしまえばその中で何年も生きられる。

そう思った。

だから私は自分の写真を撮った。

相棒とこの距離で向かい合うことなどほとんどなかったからなかなか新鮮だった。

そして一枚の老人の写真が出来上がる。

随分とシワが目立ってきたな。

そんなのもっと前からかもしれないな。

そう思いながら私はその額縁を無表情な少女の写真の右に飾る。

さて。

そろそろ旅に出ようか。

私はおぼつかない足取りで家を出た。

そしてタクシーを走らせ海に来た。

相棒を片手に大きな夕日の見える断崖絶壁に立つ。

フィルムは抜いてある。

きっとあの輝く夕日は私と相棒の旅への出発を祝福している。

ゆっくりと歩みを進め先端へとやってきた。

私は勢いをつけて相棒を投げた。

大きな弧を描いたカメラは数秒後水しぶきをあげて沈んだ。

そして私も旅に出る。



今日もどこかの町の広場では何人かの子供たちが遊んでいる。

そんなところにひょっこり現れては紙芝居をはじめる老人がいる。

その老人は子供の笑顔が好きだ。

写真とは違う今確かに存在する笑顔を見るために今日もその老人は旅を続ける。

ある小さな町の写真館にはその老人にそっくりな顔写真と無表情な少女の顔写真が飾られている。

今ではもうすっかりホコリをかぶってしまった二枚の写真は展示室ではなく現像室の「未完成」の棚に飾られていた。



*半分寝ぼけてて意味不明なとこあると思いますがご了承ください

◎質問者からの返答

いえいえとても素敵でした。

ほんとうにありがとうございました。


4 ● きりな
●15ポイント

店先にわたしが出てみると、20台半ばのお嬢さん……いや、若奥さんか? が立っていた。

なんとなく、懐かしい気がした。

「こちらに、この写真の、ネガがあるんじゃないかと……思ってきてみたんですけど……あのう、無理ですよ、ね?」

見ると、小学校の参観授業の風景のような写真であった。

店を開いたころの写真か? わたしは思いをめぐらせたが、どうにも思い出せない。見覚えのある写真ではあったの……だが。

「この、後ろに写っているのが祖父なんですが……ここを大きくしてほしいんです。でも、この写真では、あんまり大きくはできないと、他の店で言われて……母に聞いてもネガはうちにはないって言うし、そうしたら多分こちらの写真屋さんが撮った写真だって言われて……」

言われて、写真に写った教室の後ろの辺りを見る。

思い出した、写真館を始めて3年目くらいのことか。

当時、昭和30年代には、参観日に父親が来るなんて、まず滅多に無かった。 だから、印象に残って居たんだ。

「穂高……泉さん?」

ふと、そんな名前が浮かんだ。

「あ……母です。それ、母の旧姓です」

なるほど、どうやらわたしはその『祖父』殿と話しているようだ。

「お爺様は、絵描きさんでは無かったですかな?」

「そうです!! じゃぁ、あるんですか?」

ある……筈だ。

わたしは、店の奥に引き返した。

昭和……34年……小学校……参観日……っと、これだ。


その翌日が、その「祖父」の通夜となった。

わたしの探し出したネガから引き伸ばされた『遺影』は、にこやかな笑顔だった。

◎質問者からの返答

きれいな作品ですね。

ありがとうございました。


5 ● palmstar
●15ポイント

「あのう、すみません」

「おや?お客さんかな、いらっしゃいませ」

店先に立っていたのは、カバンを手にした五十年配の男。白いYシャツに地味なネクタイを締めている。実直な公務員というところか。

「山口さんですか」

「はい、山口です」

「山口写真館の山口さんですね」

「ええ、そうです山口写真館です。五十年前から、ここは山口写真館です」

「ははぁ」

「どうしました?」

「まだお元気そうなのに、すみませんね」

「元気かどうか、この年ですからね。この写真館も間もなく卒業ですよ。でも古女房を連れて、カメラを片手に旅に出るぐらいの体力は残っているかな」

「残りの人生をお楽しみになさっているのに、本当にすみません」

「いったいどうしたんですか、初めて会ったあなたがすみませんなんて」

「いや、私、、、」

「どうぞわけを話してください」

「ニライカナイから来ました」

「ニライカナイ?」

「ええ、簡単に言うと、あの世」

「あの世って、、、」

「あなたをあの世にご案内するためにね。仕事とはいえ、少々辛いですね」

「悪い冗談を。年寄りをからかうのはいい趣味とは言えない」

「皆さんそうおっしゃいます、本当にすみません」

男は頭を下げた。その目を見たとき、私は心の底からぞっとした。決して恐ろしい目をしていたわけではない。その逆だ。嘘をついていない人の目。五十年間、ファインダーを通して人の表情と対峙して来た私には、目の奥にひそむ嘘の有無ぐらいは分かる。

「ど、どうぞ今日はお帰りください」

「そういうわけにもいかないんですよ、これが仕事なんで。あなたを連れて行かなかったら、他の誰かを連れて行かないといけない」

「私も他の誰かも、あの世には行きたく無いですよ」

「困ったなあ、銀杏通り3丁目では、あなたしかリストアップされていないし」

「銀杏通り3丁目?」

「ええ、他の誰かを連れて行く場合は、なるべく近くに住んでいる人が良いと、ニライカナイのルールみたいなものがあって」

私は言葉を失ってしまった。私のこの写真館は桜通り3丁目であり、彼の目指している銀杏通りは隣町なのである。そして、そこには、同名の「山口写真館」がある。私の、実の弟が半世紀近く営んできた「山口写真館」が。

◎質問者からの返答

不思議な展開でした。

ありがとうございました。


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