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私はこの街で郵便を配ってもう半世紀近くになる。夜間高校を卒業して、当時は難しかった試験に合格して、晴れて「郵政外務員」となった。以来、ずっと配達一筋だ。内勤の話も、昇進の話ももちろんあったが、わがままを通してもらった。私は、どうしても、このバイクで郵便を配るのが好きなのだ。それは自転車のころから、変わらない。もう数年前に、定年になったが、今は、「ゆうメイト」という名前の嘱託社員として雨の日も、雪の日も、郵便を届けている。この街もずいぶん変わった。昔はたんぼばかりだったのに、いまではずいぶんにぎやかになった。最近はメール便とやらが増えたらしいが、この仕事は自分たちの誇りだ。わたしはこの手でたくさんの「人生」を配ったんだ。もちろん私には守秘義務がある。しかしどうしても書き残しておきたいことがあるのだ。日曜の夜の「創作はてな」です。よろしければ続きを書いてください。

●質問者: aoi_ringo
●カテゴリ:生活 人生相談
✍キーワード:「人生」 はてな ももち ゆうメイト わがまま
○ 状態 :終了
└ 回答数 : 10/10件

▽最新の回答へ

1 ● ksfsa5
●15ポイント

配るのは郵便だけではない。

この街には老人も沢山いる。

一人で暮らしている老人の家も数々ある。

そんな人たちは、郵便よりも、私がくるのを楽しみにしてくれているのだ。

隣の家の郵便だとガッカリした顔をする。

私の笑顔に会いたいと、自分で自分に郵便を書いていた老人も居た。

そんな希望を与えていたことに、私は、あとから気づいた。

仕事の時間を忘れて、立ち話になったこともあった。

しかし、その時間こそ、沢山の住民に、配達するべきものだったのだ

◎質問者からの返答

わかります。

郵便屋さん大好きでした。

ありがとうございました。


2 ● kurupira
●15ポイント

私はある日思い立って自分で何か書きたいと思った。

でも何を書きたいかが決まらない。

今までの郵便配達のことにしようか、それともこの街への感謝の気持ちを書こうか。

今夜酒を飲みながら考えるとしよう。

◎質問者からの返答

ありがとうございました。


3 ● ttz
●15ポイント

あれは配達を始めて三年目の事、配達先の女性に惚れてしまってね、まあ一目惚れってやつだ。私はなんとか彼女に近づこうとしていた。いい手はないかあれこれ考えたよ。

でも、彼女は私のことなんてただの郵便配達人としてしか見ていなかった。そりゃそうだ、私だって誰かが郵便を届けに来たらそうだろう。顔すら見ないかもしれない。服を見ただけでそれと分かるからな。

私はなんとかそれを打ち破りたかった。純情真っ只中、青春まっしぐらのあの頃、しかし今思えば微笑ましいぐらい奥手だった。

結局私は何も出来なかった。話しかける事も出来なかった。「郵便です」すら、言葉にならなかったよ。

それでも私の気持ちの中で彼女が消えることは無かった。

声をかけることは諦めた。

次の手だ。

・・・私は郵便屋だ。他人の家の郵便受けにモノを投げ込んでも怪しまれない数少ない人間だ。

文通。今ではもう死語だろうか。

いきなり「好きです」では相手も引いてしまうだろうから、天気の話などから入ったよ。文通したいんです、友達になってくださいという表現でね。そして、彼女の郵便受けにそっと忍び込ませた。彼女は気付いたかどうか、切手は貼らずに・・・。私の住所と名前を書いて。

二週間ほどして、返事が届いた。

「会った事もない人から突然手紙を頂いてびっくりしました。それとも、どこかでお会いした事があるのでしょうか?あなたの事をもっと教えてください。それとも、私、からかわれているの?」

とにかく嬉しかった。返事が来たことが嬉しかった。内容はどうでもよかった。大きな一歩ではないか。

すぐに返事を書きたいのをじっと我慢して、一週間後の休みの日の夜、頭の中でずっと考えていた内容を書き綴った。

「実はこっそりあなたを見かけたことがあるのです。ちょうどあなたの家のそばを通ったときに、家の中に入っていくあなたを見掛けたのです。とても美しい人だなと・・・。一目惚れでした。心臓が痛くなるような、それでいてとても心地よい感覚を覚えました。好きです。」自己紹介を書きながら、いきなり愛の告白。早まってしまった。

当然か、その後、彼女からの返信は途絶えた。

一ヶ月ほどは待っていた。帰宅して郵便受けを開けるまでは、毎日「今日こそは」と期待を持っていた。

諦めにはキッカケがあってな。

・・・私は郵便屋だ。他人の書き綴った郵便物をこの目で見ることが出来る数少ない人間だ。

偶然にも、彼女が書いた郵便を目にしてしまったのだ。それも、相手の男に配達する、配達員の立場で。

いつものように郵便受けに郵便を投げ入れていた時、何かの拍子に差出人の名前が目に入った。いつもは何も目には入ってこないのだが、無意識に脳が反応してしまったのだろうか、彼女が恋人へ宛てた手紙だった。

結局その手紙が配達される事は無かった。

私の人生で唯一の、そう、「汚点」だ。

今となっては許してもらえるのだろうか。それとも、永遠に許しは得られないのだろうか。

その手紙を見て以来、彼女に対する気持ちは少しずつ薄まっていった。

私が死んだら、この手紙をその男性に届けてください。私の謝罪文を添えて・・・。

今その男性は、○○に住んでいます。

・・・私は郵便屋だ。他人の転居先ぐらいすぐに調べられる、数少ない人間なのだ。

男はそう書き綴ると、再び病室で目を閉じた。

まるで、もう二度と目を開く事は無いと悟ったかのように。

◎質問者からの返答

すてきないいお話しですね。

決して許されないことですが、あっても不思議でないですね。ありがとうございました。


4 ● ElekiBrain
●100ポイント ベストアンサー

「康作は長いことなるのう」

源は言った。源は同じ仲間の郵便局員だったが、私と同じく、今はアルバイトの身だ。源はまるで熊のような髭を蓄え、愛くるしい表情から、康作は源のことを“熊さん”と呼ぶことにしていた。白髪交じりの毛についた雪を手で払いながら、熊さんは局内に残る郵便物を鞄に詰め込んだ。以前は田んぼだらけだったこの土地にも、今は住宅街が立ち並び、昔の風景を残すところはずいぶんと減った。だから、郵便の量も年寄りである康作と熊さんには結構な負担になった。

ただ、村が町に変わったからと言って、全ての田舎の情景が消え失せたわけではなく、所々に田んぼや古民家が残されていた。それらはまるで現実と対立するかのように、今でもひっそりと佇んでいるのだ。

「おう、長いの、わしも。これしかやることがないけえね」

広島の雪はジメジメとしていて、降り積もるとずっしりと重く沈殿する。山陰の独特の暗さ。外の景色を長めながら、康作は円柱形のストーブに当たり、窓の外から景色を眺めた。

やがて熊さんが、

「ほいじゃあお先に行くわ」

というと、今日最初の配達へと向かった。

ストーブの上でヤカンの水分が沸騰して、窓の外の景色をぼんやりとぼかしてゆく。

康作はしばらくして重い腰を上げると、局内の郵便物の束を手にとって、かばんに詰め込んだ。局内はまだ朝早く、他の局員は出勤していない。この町の郵便物の全ては、康作と熊さんだけが配達していた。

康作は郵便局のガラス戸を開け、後ろの白い荷物箱を積んだカブ(※バイク)に郵便物を詰め込むと、上がらない足を無理矢理上げてまたがり、エンジンを始動した。

この冬の寒さは、康作の着る紺色のジャンバーでも完全には防ぐことが出来ない。

公道に出ると、康作耳は赤く、切れそうになったが、このくらいじゃないと、いけんわい。と康作は思った。田舎の寒さは嫌いではなかった。一度、若かりし頃に都会に短期間住んだことがあったが、そこでの寒さは、たいした温度でもないにもかかわらず、心底冷え込んだ。

康作はガソリンスタンドが正面に見える一番目の信号を左へ曲がり、一つめの配達場所を目指した。この田舎は多く分けて6区間に分かれており、一番近いところから配達して遠くへゆくこともあれば、一番遠くから配達して近くに戻ってくることもあった。今日は遠くからにしよう。

公道を走る中、目の前に小高い山が見え、右手にはまだ古民家が立ち並んでいる。康作の思いは、遙か遠く、彼方へとさかのぼっていった。




「今日は鍋でええかいね」

ハツエは言った。ハツエとは長い間連れ添う中だ。ぐつぐつと鍋の中で煮立つ山菜が鼻孔を刺激し、歳にもかかわらず腹が音を立てて鳴った。

「あんた、いくつになっても食いしん坊じゃね」

康作は顔を雪で焼けた顔をさらに真っ赤にしながら、照れ笑いした。

今は見なくなった自在鉤と囲炉裏の火が、康作を骨の髄まで暖めた。




カブは最初の一軒目に着いた。既に改修を終えたその家は、なんというか、こじゃれた洋風の家へと様変わりしていた。犬小屋から、白い息を吐きながら、犬が威嚇する。郵便受けに手紙を入れようとした瞬間、磨りガラスの向こう側から人影が現れ、砂混じりの音をさせながら扉を開けた。

「これ、太郎、静かにせんかいね」

住人のおばさんは頭にカール(?)を巻き付けたまま、犬を叱責した。

「すみませんねぇ、いつもお疲れ様です」

おばさんは手紙をうやうやしく受け取った。まだ寝間着のまま化粧もしていない。

「いえいえ、これがないとすぐにぽっくり逝きますけえ」

康作は薄くなった頭を叩く。

しばらく四方山話(よもやまばなし)に花が咲き、康作は立ち去りながら一礼した後、再びバイクにまたがるとヘルメットを付けた。深い緑の杉の木が林立し、茶色い落ち葉が未だに雪の片鱗を汚す公道を、再び走り出した。排気ガスで黒くなった雪が、ここがもう田舎ではないことを告げるようだった。




ハツエはもう居なかった。囲炉裏の火はとても心細く燃え尽きようとしていた。囲炉裏にある自在鉤の魚が、炎に照らされて寂しそうに揺れていた。

ハツエは広島市内の病院で、長く細い管を付けて横たわっている。

この広い家は思い出が多すぎるわい。

康作は一人、囲炉裏の炎が燃え尽きる様を、橙に薄暗く染まった部屋で見届けた。




二件目についた。それは、行きしなで見た、古民家群の一つだった。今、この家には吉田さんが暮らしている。かつては、この家の囲炉裏で、暖かい夜をいくらでも過ごすことができた。

カブを止め、エンジンを切ると、中から若い青年が姿を現した。彼が吉田さんだ。

「ああ、いつもありがとうございます」

青年は特に世間話をしようともせず、郵便物を丁重に受け取ると、そのまま姿を消した。康作も、何も言わずに、カブにまたがった。

そう言やあ、なんでわしゃあ、カブのエンジン、切ったんかいの。話すこともないじゃろうに。

そうして、再びエンジンを始動させると、少なめの郵便物を配り終え、局へとカブを走らせた。




熊さんは先にストーブで暖を取っていた。餅がこんがりと焼けており、裂け目からふっくらとしたつやのある餅米がふくれては破れ、蒸気をため息のように吐き出す。

時計は12時を回っていた。

「餅焼けとるど」

熊さんは熱々の餅を素手でハフハフいいながら、頬張っている。

康作は鞄を置くと、熊さんのやや斜め横に座った。

「最近じゃあ、餅にチーズ付けて食うのが流行っとるらしいの」

外では雪が強く降り始めていた。重たい雪は雨のように、横殴りに降り注いだ。

「若もんのやることは、わからんわ」

熊さんが咀嚼する度に、髭が面白いように動く。だが、そんな情景とは別に、康作の心にあの若者のことが思い浮かんだ。よく知っている家だが、全く知らない家。なんと形容していいのか、わからなかった。

「どうしたんね。早よう食わんと、わしが全部食うで」

康作はふと我に返ると、餅に手を付けた。暑さで指をがしびれ、思わず顔が引きつった。

「子供じゃないんじゃけえ、よう冷まして食いんさいや」

熊さんがからかうと、康作は、真っ赤な顔で照れ笑いした。




次の朝、局内にいた熊さんから、一通の手紙を渡された。それは、差出人に“吉田”と書かれており、宛先の住所はなく、ただ、“中町康作様”と書かれていた。

「本人に聞いたんじゃけど、わざとそう書いたらしいんよ」

熊さんはそう言った。

康作は局内の受付に無造作に置いてあるはさみを取ると、封を切った。そこには和紙の良い香りと、筆文字でこう書かれていた。

「二枚目以降は家の前に来て読んでください――吉田」

怪訝に思いながらも、康作はそれを四つ折りにして胸ポケットしまうと、いつものかばんを手にとって、郵便物の配達へと向かった。カブにまたがって最初の信号を左に曲がり、あとは道なりに進むと、右手に、いつ見ても懐かしい、あの古民家が見えた。

昨日と違い、雪はすっかり止んでいた。タイヤのチェーンの音が耳に痛い。

康作はカブを田んぼの道沿いに走らせると、舗装されていない古民家の庭先でカブを止めた。

そこは、昨日も訪れた場所。いつまでも去りがたい場所。忘れ去るために捨てた古民家は、今も何も変わっていない。わらぶき屋根は白い衣を羽織って、厳冬の厳しさにその身をひっそりと震わせながら、誰に語りかけるでもなく佇んでいた。

近くで田んぼの用水路のせせらぎが聞こえ、カラスが飛んでは枯れた田んぼでえさをついばみ、飛んではえさをついばみを繰り返す。

康作は至極ゆっくりと歩を進めると、玄関の前で立ち止まり、天を仰いだ。それほど長くないつららと、曇り空。

再び玄関に目を落やると、郵便受けになにやら挟まっている。康作は配達した身の覚えのない郵便物をひょいと抜き取ると、視線を落とした。それは郵便物ではなく、雪で湿った書き置きだった。

「手紙、ここで読んでくださいね」

簡潔な文章がそこにあった。

康作は手紙を胸ポケットから取り出すと、二枚目以降を読み始めた。




「ずいぶん前に郵便局へお伺いしたときに、熊さんという方が、私の住んでいた場所は、あなたが以前住んでいた場所だ、と仰っていました。私は合点がゆきました。あなたは家に来る度に、なにかとても悲痛な顔をしてらっしゃった。私はそれをここ一年間見続けていて、どうしても、ここに住みづらくなってきたのです」




康作の目が文字を追った。手紙を配達している身で、こんなにも手紙を真剣に読んだのは何年ぶりだろうか。回りの情景は消え、手紙と康作だけがそこにあった。




「そんななか、カマドの奥から、ある手紙が見つかりました。これは、きっと前の住んでいた人の手紙だろうと思いました。今、それは暖炉の側に置いてあります。

私は元々都会の人間。ここでなくとも、生きてゆくことができます。ただちょっと、若気の至りで、スローライフなるものを楽しみたかったんですね。今それに気がつきました。ここの冬は寒いです。凍え死んでしまうほどに。街には仲間が沢山いるから、僕はそこでは凍えずに済む。だから、私は街に帰ります。素敵な生活をくれた康作さんと、このひなびた住居に、心より感謝の想いを込めて――吉田」




康作は古民家、いや、懐かしい我が家の扉を開けると、入り口から見える囲炉裏を見た。そこには何も変わらない自在鉤と、ぽつんと置かれた手紙。

康作は靴を抜いで、囲炉裏の傍へと座ると、折りたたんである手紙を丁寧に開いていった。

そこには、見慣れた文字があった。




「康作さん。この家は私とあなたのおうち。ですから、ずっと大事にしていて欲しいのです。年を取って薪を割るのも大変でしょうけど、この家が無くなったら、私まで消えてしまいそう。だから康作さん。この家と共に、この町と共に、生きてください。あなたには、熊さんや、町の人がいるのですから――ハツエ」




近くにあったマッチで囲炉裏に火を灯すと、冷え切った身体が骨の髄まで暖まるのを感じた。公平の心に残っていた仕事は、今ようやく終わりを告げた。

外では粉雪が舞い降り始めていた。








◎質問者からの返答

いつもこんなすてきな話を書いて頂いて申し訳ないです。感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。


5 ● karasimiso
●15ポイント

あれは、私が手紙の配達業務をまかされて間もないころのことだ。私が1丁目に配達していると、いつも、とある家の前で奥さんが掃除をしているのを見かけたものだ。白地の手ぬぐいをかぶって、竹ぼうきで道に飛び散っている落葉をかき集めていた。当時としてはハイカラな、赤いセーターやロングスカートを着こなしていた彼女は、意気揚々とほうきを振り続けている。家の垣根から飛び出した3本の柿の木は赤々とその実をたたえ、道ゆく人に食べてくださいと言わんばかりであった。おもむき深い、とでも言うのか。まだ昼すぎだというのにもう陽が沈みかけているかのような世界だった。私はうっとりとしながらも、彼女とは通り一辺倒なあいさつだけですませて、配達業務に専念していた。実は彼女にちょっとした憧れを抱いていたのかもしれない。自分がいずれ行き着きたいと思う先がそこにあったような気がしたからだ。


そんなある日、一丁目に配達に行くとその奥さんがいない。どうしたんだろうと思いながらも他の家に手紙を配っていた。最後の一通をバイクのかごから取り出したとき、はっとした。細く、女性が書いたようなすらっとした文字で、彼女の家の宛名が書かれている。何か、重大な知らせなんだろうか。あの彼女に何かあったのだろうか、、。息が荒くなった。唾も何回も飲み込んだ。そして、いけない事だと分かっているのに、そっと太陽に透かして見た。薄いかみ切れが一枚、「離婚届」と書いてあった。


その日、私はその手紙を届ける事ができなかった。いや、届けたくなかった。せっかくみつけた理想郷を、自分の手で壊してしまうような気がしたからだ。そっとその手紙をふところにしまいこむと、そこから逃げるように郵便局へとエンジンをふかし続けた。


しかし、その日以来、一丁目に来ても彼女を見かけることはできなかった。


その後、何度も「離婚届」が送られてくるたびに、私は悩んだ。この手紙を届けてしまったら、本当に彼女はここには戻ってこない。しかし、いつまでも届けないわけにはいかず、とうとう、玄関のポストに手紙を入れた。もちろん、彼女があの家の玄関前でほうきを振るう姿を見ることは二度となかった。いや、手紙を届けなかったとしても、同じことだっただろう。


しばらくしてその家には別の住人が入り、柿の木もいつのまにか無くなってしまった。もう、そこにかつての夕陽を見出すことはできなかった。





筆を降ろすと立ちあがり、部屋をでる。あれからもう何年たったろう。憧れのマイホームを手に入れ、庭にいちょうの木を一本植えて、一面に緑色の芝を生やした。妻には青いセーターを贈った。娘には灰色のフェルト帽を贈った。すると、秋にある私の誕生日に家族が用意してくれたのは赤いジャンパーといちごたっぷりのショートケーキだった。思わず涙が流れそうになりながらも、それを隠すようにワインを買いに走った。もちろん、白くないワインを。

◎質問者からの返答

きれいですね。

ありがとうございました。


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