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ヒトの聴覚において、話し声とその他の音とは、いったいどの時点から別々に処理されるのですか。

内耳で聴神経が音声や音の刺激を受けるときには、同じ神経が処理して、脳の中で別系統の処理になるのでしょうか。

それとも、内耳で音声とその他の音と別々の聴神経がはたらくのですか。

耳をすませていると、ヒトの話し声とその他の音は、まるで別の存在のように聞こえます。それがどうしてであるのかが知りたいのです。


●質問者: ShinRai
●カテゴリ:医療・健康 科学・統計資料
✍キーワード:内耳 存在 系統 聴覚
○ 状態 :終了
└ 回答数 : 2/2件

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1 ● JULY
●35ポイント

カクテルパーティー効果 - Wikipedia

カクテルパーティー効果と呼ばれていて、いくつか説はあるようです。

◎質問者からの返答

ありがとうございます。まだ定説はないのですね。

>この機能は音源の位置、音源毎に異なる声の基本周波数の差があることによって達成されると考えられる。

必ずしもそればかりではないと思います。

たとえば自分のふるさとの地名とか、どこから発せられた言葉であっても、「あれっ」と思いますものね。

で、それが起きるのは、聴覚神経が音データを脳内の聴覚野に送り込んだときに音声だけが切り分けられて起きるのか、それとも内耳から音声専用の神経が直接専用線として脳につながっているのか。

そこに興味があります。

脳の損傷などの症例報告ないでしょうか。


2 ● shinok30
●35ポイント

fut573さんがコメント欄で紹介している

>《口笛言語》シルボに対する脳の反応

http://ling.exblog.jp/1519112/

>口笛も言語にしている民族がカナリア諸島にいた(脳の可塑性)

http://blog.livedoor.jp/sabatasamezo/archives/14613460.html

の例を見ると,どういう音を言語音として認識するかは習得している言語によって異なるようですね

それぞれの言語音には音韻的な特徴があるので,

ヒトは乳児期に母親との社会関係の中でそれを習得していくことが多いのだと思いますよ

例えば,

>鳥のさえずりとヒトの言語--共通性の生物学的基盤 (特集 鳥のさえずり)

>高橋 美樹 西川 淳 岡ノ谷 一夫

>生物科学 Biological science 59(2) pp.77〜84 2007/12 日本生物科学者協会

http://www.ruralnet.or.jp/seibutsu/059_02.htm

でも紹介されている研究ですが,

英語を母語とする生後9ヶ月の乳児に,中国語を話す人と過ごす経験を与えた場合と

テレビから中国語を聞かせる経験をさせる場合では,

中国語を母語とする人と過ごした経験のある乳児の方が中国語の音韻の聞き分けがよくできたそうですね

>Human speech and birdsong: Communication and the social brain

>Patricia K. Kuhl*

>PNAS August 19, 2003 vol. 100 no. 17 9645-9646

http://www.pnas.org/content/100/17/9645.full

これは鳴禽が母親や他の個体との社会関係の中でさえずりを学習するのに似ています

ヒトの言語学習とトリのさえずり学習の間には共通点が多いんですが,

これは収斂進化による成因的相同(ホモプラシー)なのでしょうね

中国語や英語や日本語には,その言語を習得していない人でも区別できる程度に音韻的な特徴がありますよね

>月刊言語2007年11月号

>動物の文法 (特集 文法はどのように育つか--習得メカニズム探究の最前線)

>渡辺 茂

http://thistle.est.co.jp/tsk/detail.asp?sku=50711

で紹介されている研究によると,この違いはヒト以外の動物でも弁別可能なようです

例えば,タマリンというサルにはオランダ語と日本語の弁別を訓練することができましたが,

しかし,オランダ語と英語の弁別には失敗したそうです

>Language Discrimination by Human Newborns and by Cotton-Top Tamarin Monkeys

>Franck Ramus, 1* Marc D. Hauser, 2 Cory Miller, 2 Dylan Morris, 2 Jacques Mehler 1

>Science 14 April 2000:

>Vol. 288. no. 5464, pp. 349 - 351

http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/288/5464/349

これはタマリンにとって,日本語の方が特徴的で,

英語とオランダ語が同じリズムに聞こえてしまうからかもしれません

さらに香港育ちで英語と中国語のバイリンガルである話者に

「源氏物語」の英語訳と中国語訳を朗読させ,

これをブンチョウに聞かせて,

一方の言語を聞かされた時に止まり木に移れば餌がもらえるように訓練したところ,

ブンチョウは英語と中国語の弁別ができるようになりました

初めて聞く源氏物語の巻でも弁別は可能でしたし,

「我が輩は猫である」の英語訳と中国語訳でもこの弁別は維持されていました

話者を変えてもこの弁別は維持されていましたから,

ブンチョウは明らかに2つの言語を音韻的特徴によって弁別することができたということでしょう

>Language discrimination by Java sparrows

>Shigeru Watanabe, a, , Erico Yamamotoa and Midori Uozumia

>Behavioural Processes

>Volume 73, Issue 1, July 2006, Pages 114-116

http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B6T2J-4...

HCF仮説によれば,ヒトの言語能力の中には

ヒト固有の狭義言語機構(FLN)と他の動物と部分的に共有している広義言語機構(FLB)があるそうです

>Hauser, M. D. et al.(2002)

http://www.chomsky.info/articles/20021122.pdf

上記の論文によれば,感覚?運動系と概念?意図系はFLBに属し,

FLNに属するのは「回帰」のみだということなので,

言語音の認識もFLBということになりますね

ヒト以外の動物でもヒト言語の音韻的特徴を弁別できたという結果はHCF仮説を支持しているように思えます

>かつて言語学者のC. ホケットは,人間言語の設計特性のほとんどが,他の動物

>言語のいずれかにも選択的にみられること,人間言語のユニークさはそれらの

>特性のすべてを同時に有している点にあること,を指摘した(Hockett 1960).

>言語能力を因子化してその起源・進化研究を推進するにあたって,チョムスキー

>がハウザーらと共同執筆したHauser, M. D. et al.(2002)では,言語能力をヒト

>固有・言語固有の領域である狭義言語機構(Faculty of Language in the narrow

> sense, FLN)と,そうではなく他の生物種にもある程度は共有される広義言語

>機構(FLB)に分けるべきであるという提案がなされた.その上で同論文は,

>前出の感覚運動系と概念,意図系がFLBに属する一方,FLNに属するのは回帰のみ

>であると主張している(HCF仮説と呼んでおく).

>HCF仮説の妥当性をめぐっては,その後,Cognition誌上で激しい論戦が繰り広げ

>らたことは記憶に新しい(Pinker & Jackendoff 2005, Fitch et al. 2005,

> Jackendoff & Pinker 2005).ピンカーやジャンケドルフが,(i)言語には回帰

>以外の固有の領域が存在し,(ii)回帰は言語固有ではない,と主張する一方,

>チョムスキーらは,ビンカーらがFLN・FLBの区別自体も,またこの区別が言語の

>起源・進化の学際的研究のための発見法的な提案であることも,正しく理解して

>いないとして,これを斥けている.また,Fitch et al.は,回帰さえもFLNでは

>なく,実質上,FLNは空集合であるという可能性への含みも残しているが,これは

>ミニマリスト・プログラムが最終的に導き出そうとしている結論と符号するもの

>である.

>筆者の見解とOkanoya説は,FLNをFLBとまったく独立に進化したものではないと

>する点で共通している.この立場の利点は,FLN-FLB間インターフェイスの成立

>の問題を,軽減ないし回避できるということである.

>この点はPinker & Jackendoffらが回帰以外に言語固有のものとして重視する

>「語」を考える際に,特に重要となる.人間言語のレキシコンは,その潤沢性

>や生産性・生成能力,またそれが表す概念構造の複雑さにおいて,確かに他に

>類を見ないものであり,HCF仮説への反証となり得る.しかし,筆者はその

>レキシコンもまた,シンタックスと同じ回帰的組み合わせ能力によって

>もたらされるものであると考えている.

>Hockett, C. (1960).The origin of speech. Scientific American, 203, 88-96

>月刊言語2007年11月号

>回帰性から見える文法の発達と進化

>藤田耕司

http://thistle.est.co.jp/tsk/detail.asp?sku=50711

>言語科学基礎論 I 講義ノート

http://ocw.kyoto-u.ac.jp/graduate-school-of-human-and-environmen...

ちなみに,唯一のFLNとされている回帰性はヒト言語シンタクスの根幹であり,

さまざまなレベル(語彙や機能など)のヒト言語の創造性を生み出していると考えられていますね

例えば,藤田らが

>語彙範疇〈1〉動詞

http://www.amazon.co.jp/dp/4327257060

で述べているように,

動詞の語彙概念構造も,動詞がシンタクス(統語計算能力)で構築されるプロセスを

意味構造として読み替えたものと考えられるからです

つまり,「同じものを無限に埋め込んでいくことができる」

回帰性(再帰性Recursion)は節の埋め込みなどだけでなく,

レキシコン(脳内辞書)や統語-概念間のインターフェイスにも

深く関与していることになりますね

こういった研究背景を考えれば,

ホシムクドリSturnus vulgarisが文脈自由文法を回帰性学習する能力を持つという実験結果は注目に値しますね

>Recursive syntactic pattern learning by songbirds

>Timothy Q. Gentner1,3, Kimberly M. Fenn2, Daniel Margoliash1,2 and Howard C. Nusbaum2

>Nature 440, 1204-1207 (27 April 2006)

http://www.nature.com/nature/journal/v440/n7088/abs/nature04675....

>統語論的な興味から、ホシムクドリ(Sturnus vulgaris)の歌声に

>みられる再帰(recursion)が注目されている。ティモシー・Q・

>ゲントナー(Timothy Q. Gentner)らによる研究(Gentner TQ et al (2006)

>Recursive syntactic pattern learning by songbirds. Nature 440:1204-1207 [link])、

>およびそれにたいするゲイリー・F・マーカス(Gary F. Marcus)のまとめ

>(Marcus GF (2006) Startling starlings. Nature, 440:1117-1118 [link])。

http://blog.goo.ne.jp/shax2081/e/9b9172e38a6a3d3021085ce0c8d0133...

現時点ではジャケンドフら言語学者の対応は冷静ですが,

http://linguistlist.org/issues/17/17-1528.html

ホシムクドリに回帰能力があるとすれば,回帰シンタクスの前駆体となり得ますからね

◎質問者からの返答

4ページ目までざっと目を通しましたが、Chomsky(2002)でいうFLNというのは、デジタル符号処理の部分をいうのでしょうか。言語学者は、distinct とか、discreteという言葉は使うのだけど、それがdigital processing / digital communicationであるという風には議論が進まないのですね。

質問の趣旨から少しそれている気もしますが、非常に興味深い論文をたくさん紹介していただきありがとうございます。(まだ読み終えていません)

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