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【人力検索-連作小説杯 】「かきつばたといふ五文字を、回答の上に据ゑて、2011年の夏(=お題)を語り継げ!」
※複雑なのでコメント欄までよく読んでから参加するかどうか決めてください。

◆回答者(今回は5人募集)で連作小説を回答してください。

?参加希望者は7月22日夜21時までに回答欄に「参加します」と回答を埋めてください。
(今回は先着5人までの参加とさせてください)
?エントリー順にお題(2011年の夏)に沿った連作小説を記入し、終わったら次の回答者を「回答リクエスト」で呼び出してください。
一人当たりの持ち時間は最長で24時間とします。24時間経過後も「参加します」以外の書きこみが無い場合、その次の回答者は書き始めて構いません(その時は二人分書いてくれるとありがたい)。
?書き出しはエントリ順に「か」「き」「つ」「ば」「た」の五文字でお願いします。

※No.1にエントリーした方は「か」で始まる小説回答を22日夜21時?23日21時までに記入してNo.2の回答者を「回答リクエスト」で呼び出してNo.2にエントリーした人にバトンをつなぐ、というサイクルになります。
連作小説なので5人目以外はエンディングを書かないでください。

●質問者: あるぴにっくす
●カテゴリ:芸術・文化・歴史 書籍・音楽・映画
✍キーワード:23 24 7月22日 エンディング エントリ
○ 状態 :終了
└ 回答数 : 5/5件

▽最新の回答へ

1 ● たけじん
●102ポイント

No2. 7/23 21時? 7/24 21時

「き」

きらきらした目を向けて、カスミちゃんは僕に告げた。

「だめよ。私には、ナオトくんが居るんだから。」

「ナオトくん?」初めて聞く名前に、僕はとまどった。

「そう、ナオトくん。かっこいいんだからね。」

「へええ、かっこいいんだ」

「冬のときは、ダテナオトがはやってて、もっと良かったんだけどなぁ。」カスミちゃんは、肩を落としてしまった。

「どうしたの?最近はかっこ悪いの?」何聞いてんだろと思いながら、僕は尋ねた。

「だって、ナオトよ。夏休みの宿題は一定のメドがたったらやる、とか言ってるんだから。あーあ」

ますます残念そうなカスミちゃんだった。僕は、いまどきの小学生ってこうなのかあ、と感慨にふけってしまったのだった。

開け放した窓から風が入ってきた。できるだけエアコンは入れないようにしてるから、窓を開けることが多い。今朝も全部閉めたと思ったけど、開いていたみたいだ。

「ねえそのネコって、男の子なの?女の子?」カスミちゃんが首をかしげながら言った。

「ウランちゃんだから、女の子。メスだよ。」

僕は両手ちょっと広げて、

「これくらいかな。最近急に太ったから、重いんだけどね。」とカスミちゃんにウランの大きさを説明した。

「探してみようよ」カスミちゃんは庭に出て行った。「ウーラーンー」と、大声で呼びながら。

そうだ、ボケッとしてる場合じゃない。探さなくちゃ。僕も庭に出た。

「ウランー」

「コウイチくん。なんでウランだと女の子なの?」庭の隅の生垣に声を掛けながら、カスミちゃんが僕に聞いた。

僕はふと立ち止まった。そうか、知らないんだね。

「アトムって知ってる?」

「うーんと、ロボットだったっけ?」

「その妹のロボットがウランちゃんなんだよ」

アナログ放送といっしょにアトムも消えてしまうのかも、と僕は思った。名前もまずい兄弟だし。

「あ、ナオトくんだ。ナオトくーん」カスミちゃんが、通りの向こうを歩いている男の子に手を振っていた。

「あれが、イケメンのナオトくん?」僕は、目を凝らす。ナオトくんと呼ばれた少年は、こっちに走ってきた。

「やあ、カスミちゃん。ここで何してるの?」僕をチラチラみながら、ナオトくんはカスミちゃんに聞いた。

「ネコ探してるのよ」

「あ、ネコっていえば、さっき変な人見たよ。ネコ追っかけてるの。」ナオトくんは、僕らを見比べながら言った。

「え、保健所の人かな。」僕はあせって聞いた。

ナオト君は顔をブンブン横に振っていた。

「ううん。そんな感じじゃない。ナデシコジャパンみたいな青い服着て追っかけてたけど、へたくそで逃げられてた。」

「どんなネコだったの。」カスミちゃんが聞いた。

「他にたくさんノラネコいたんだけど、その人は、背中にへんな模様のあるネコだけ追っかけてたよ。」

「それ、どんな模様だった?」僕は、思わず大声を出してしまった。

ビビリながらナオトくんは答えた。

「扇風機みたいなの」

僕はケイタイの待ちうけ画面を見せて、ナオトくんに聞いた。

「このネコ?」

ナオトくん、今度は縦に顔をブンブン振った。僕は、カスミちゃんと顔を見合わせた。

「ナオトくん案内して。行こう、コウイチくん。」

カスミちゃんは、僕とナオトくんの手を取って、走り出した。

◎質問者からの返答

ご参加ありがとうございます。

takejinさんさえ良ければ、sokyoさんと順番入れ替えでお願いできますでしょうか?

No2. 7/23 21時? 7/24 21時 「き」で始まる

※質問投稿30秒後に、ウォッチリストに入れられていたのに気付いてびびってたのは内緒。


2 ● sokyo
●101ポイント ベストアンサー

No1. 7/22 21時? 7/23 21時

『か』


飼っていたネコがいなくなった。僕はカスミちゃんのことも一瞬すっかり忘れて、ぽかんとしてしまった。

朝、僕が家を出たときには確かにいたのだ。餌をやったんだから間違いない。食ってたし。

でもそのあと僕は家にカギをかけて、先生のところへ行っていた。あとのことはわからないのだ。

僕が先生の家に着いたとき、先生は野菜の静物画に取り組んでいるところだった。

「おう、しばらくだったな」

先生は僕を見つけて振り返った。

「ごぶさたしております。やっとテストもレポートも終わって。これぜんぶ先生の畑で収穫されたんですか?」

「そうとも。トウモロコシとトマトを始めてからはずいぶんバリエーションが増した」

先生はそうおっしゃって、イーゼルに向き直した。確かに黄色と赤が華やかな印象の絵になっている。僕はしばらく、先生の手つきを見ていた。

「ただいまー!」

12時を少し回って、勝手口から声がした。先生のお孫さんだ。

「あ、コウイチくんだ。いらっしゃい!」

髪の先から水滴をたくさんぶらさげて、カスミちゃんは言った。

「あー、久しぶり。カスミちゃんずいぶん日に焼けたね。海に行ってたの?」

「そうだよ。今年は浜辺が空いてていい感じ。ところでコウイチくん彼女できた?」

「いや、まあそれは、いろいろと…」

そのとき、いつの間にか台所にいた先生が大きなざるを持ってこられた。

「わぁ!」

カスミちゃんは目を丸くした。僕の目もかなり丸くなってたと思う。

ゆでたてのトウモロコシ。そして氷で締めた冷や麦とミニトマト。それを先生は、アトリエの外のオープンテラスに次々と並べた。

「たまにはうまいモノでも食えよ」

「ありがとうございます! いただきます!」

事実、その昼食は僕のこの夏でベストだった。ゆでただけのトウモロコシと冷や麦。そして冷やしただけのミニトマト。それだけでどうして。わけがわからないほどうまい。冷や麦にもミニトマトにも、光の粒がきらきらと輝いた。夏だ。

「じいちゃんの野菜はおいしい上に安全だからね」

カスミちゃんはそう言って、ない胸を張った。

「安全と言えば、お前にやった放射能印のネコはどうした?」

「ああ、ウランですか? いますよ。でもいまどきあんな柄、よそじゃいじめられそうですよね」

「コウイチくんネコ飼ってるの?」

「うん。カスミちゃん放射能のマーク見たことない?」

「わかるよ。あの、丸くて、三角のやつでしょ?」

「それそれ。背中のところにあのマークがついてるネコがいるの。だから名前はウラン。中身はただのネコだけど」

「えーネコすきー見てみたーい! ねえおじいちゃん、行ってもいい?」

「そういうのはコウイチに断れ」

「僕は別にいいですけど」

「やったぁ!」

「じゃあ、日暮れまでには帰ってこいよ。あとコウイチ、彼女つくれよ」

というわけでカスミちゃんを連れて、徒歩10分のデートコースも抜けて、僕の家に着いたとき、ウランはもういなくなっていた。トイレにも本棚の上にもいなかった。ただ、リビングの掃き出し窓が開いて、カーテンが風になびいていた。しまった。逃げられてしまった。

放心状態の僕に、カスミちゃんはしっとりと、

「ふたりきりになっちゃったね…」

って言った。

…いやいやいやさすがに小学生は圏外ですから! でもそんなことをもし言ったら、カスミちゃんはぜったい僕を指差して笑うだろう。それはもう、火を見るよりも明らかだ。

◎質問者からの返答

ありがとうございます。

たけじんさんの返答次第ですが、

No1. 7/22 21時? 7/23 21時 「か」で始まる

でお願いできますでしょうか?

というかトップバッターはもう書き始めてもいいので2番目の方に配慮すれば締切前に書きあげてコールしてもらってもOKです。

でも回答となる文章ってもしかして

この質問の回答を修正するカタチで投稿するのでしょうか?

その場合って、順番の交換とかできるのかな…??汗

一応、一行目にNo1. 7/22 21時? 7/23 21時と記載して本文はその下から書き出してください。

あっ! 考えてみればsokyoさんがベストアンサーを取れば、最終的な順番通りに上から並ぶので問題ないじゃないですか。

というわけでベストアンサーが取れる内容をお願いします(笑)


3 ● garyo
●103ポイント

No3. 7/24 21時? 7/25 21時 「つ」で始まる

「つ」

「っ、おっと」

カスミちゃんに手を取られて前かがみになり、小さな歩幅に合わせられずこけそうになった。

「だいじょぶ?」心配そうに振り向くカスミちゃん。

「気をつけろよ、おっさん」

おっさんって……おっさんて呼ばれる歳じゃないぞ。

「ナオトくん、コウイチくんはおっさんじゃないよ、お兄さん」

いいぞ。カスミちゃん。

「どうみてもおっさん。誰?」

「お・に・い・さん。おじいちゃんの学生よ。オウヨウ…ブツリ勉強してるの。カスミ、将来コウイチくんのお嫁さんになるの」

初耳ですが……

「一緒に寝たこともあるもん」

先生の家に泊まった時「雷が怖くて眠れない」って泣きながら布団に潜り込んできたっけ。

「いっしょに寝たことあるぞ、臨海学校のキャンプで」

「う?ん。まあそうだけど」

「僕だと歳が離れすぎてる」

「そんなことない」カスミちゃんは振り返って僕を見上げた。

「パパとママは高校の先生と生徒だったの。いっしょ」

カスミちゃんは悔しそうにうつむいたナオト君を横目に微笑んだ。

「『私には、ナオトくんが居るから』って言ってなかったけ?」

カスミちゃんは耳まで真っ赤に染めて「そんなこと言ってないもん!」と蹴った。

「痛い!何すんだよ」

「二度とそんなこと言ったら絶交よ」カスミちゃんは両手を離し振り返ってあっかんべーをした。

「早くウラン探がさなきゃ。ナオト君どこで見たの?」

「あっちの小屋の近くだよ」

「ありがとう。ナオト君」カスミちゃんはそう言って走り出した。

「カスミちゃんが好きなの?」残念そうに手を見ているナオトに聞いた。

「・・・」

「嫌いなの?」

下を向いたまま首を振り、顔をあげて必死な表情で睨んだ。

「おっさん、どっちが早く猫を見つけるか競争だ!」

「競争?」

「負けた方がカスミを諦める。いいな!」

待って。さすがに小学生は圏外ですから!

「勝負だ!」走り出すナオト。

その時、

「キャ????ァ」

前の小屋からカスミちゃんの悲鳴が聞こえてきた。

◎質問者からの返答

ご参加ありがとうございます。

SS系の質問といえばgaryoさんですね。

No3. 7/24 21時? 7/25 21時 「つ」で始まる

でお願いします。


4 ● グラ娘。
●104ポイント

No4. 7/25 21時? 7/26 21時

『ば』


場所が場所だけに小屋へと急ぐ僕の不安は小さくは無かった。その小屋は人通りの少ない所にある。

たちの悪い輩とかが溜まり場にしているというような悪い噂は聞かないけど、ウランを追いかけていたという人のことも気になる。

そんなことを考えながら走っていた僕より一瞬早くナオトが小屋の中に飛び込んだ。

「カスミ! 大丈夫か?」凄いね、小学生の行動力は。それとも愛の力の為せる業?

「なろおーん」間の抜けたネコの鳴き声が聞こえた。

「あっ! ネコいるじゃん。こいつだよ。追いかけられたの」

「このコがウランちゃん? いきなり飛びついて来たからびっくりしちゃった」

そういうカスミちゃんの胸には一匹のネコが抱かれている。


「似てるけど……ウランじゃないね」

「そうなの? 模様とか一緒なのに。さっきの写真ともそっくり」

「嘘じゃないだろうな! ズルは無しだぞ、ズルは」ナオトが僕に食って掛かる。

「ズル?」

「さっきの勝負だよ。ほんとはコイツがウランで、後で自分が見つけたとか言うの無しってこと!」

だ?か?ら?、小学生は圏外ですってば!

「ねえ、勝負ってなに?」

カスミちゃんにそう聞かれても、僕らには答えようがない。


「いや、ほんとに違うんだ。ほら」

話をそらしつつ、僕はケイタイで撮った最近のウランを見せた。

「まんまるで可愛い!」画像をのぞき込んだカスミちゃんに笑顔が浮かぶ。

「ナオトくん、キミが見たのはこのネコ? それともウランかな?」

「うーん、わかんねえ。ほんとに別のネコなんだな、シージーとか使ってないんだな」

「ほんとだってば。……どういうことだろう。カスミちゃんはウランのこと何も聞いてないんだよね?」

「うん、今日始めて知った」

「一度先生に聞いてみようか? このネコの飼い主のことも知ってるかもしれないし」

「これだけ似てるんだから、兄弟とかかもしれないね。このコは男の子? 女の子?」

「う?ん、女の子だね」

ナオトにのどをなでられて、目を細めてグルグル鳴いているウランもどきを見て言った。

「じゃあ、ウランのお母さんかも!」

「そうかもね」僕はあいまいに答えた。こんな特殊な模様が遺伝するなんて聞いたことがないような。

そういえば、ウランのお母さんって誰だっけ? お父さんなら、お茶の水博士? いやなんかロボットの両親もいたような……。そんなことはどうでもいい。


「なあ、さっさとこんなとこ出ようぜ」

そう言うとナオトは半開きのままになっている小屋のドアのほうへ歩きだして、

「あっ! 誰か来る」

僕も、慌ててドアの陰から外の様子を見た。

そこにいたのは、なでしこジャパン……ではなく漆黒の衣を纏った一人の老人だった。

両手で大きな金属製の箱を抱えながらまっすぐに向かってきている。

「海辺? 何を馬鹿なことを。こっちじゃ、こっち。そうじゃ、さっきの……すぐに戻って来い!」

独り言ではなくどうやら、ハンズフリーか何かで誰かと連絡を取っているようだ。

「あれがさっきネコを追いかけてた人? じゃないよね……」声をひそめてナオトにたずねた。

「違うよ。おっさん、日本代表のユニフォーム知らないの? 青いんだぜ」

知ってるって。キミらとは違って徹夜で試合見たんだから。と突っ込んでいる場合でもない。

◎質問者からの返答

No4. 7/25 21時? 7/26 21時 「ば」で始まる

あれ? 既に書かれてる・・・・

リクエストしといてなんですが参加ありがとうございます。引用スターが目についていたので5番目狙いかな?と推測していました。

既に回答してる回答者への、回答リクエストは有効なのかとふと疑問

そうでした。仕込みを考え中に思い至っていて、「どっかでテストしないと」とは思っていたのですが、そういえばすっかり抜けていました。

(2回回答するパターンもあるのだから、既に回答しているかどうかは関係なくコールがとぶのではないか? と勝手な推測をしていたこともあり)


5 ● meefla
●105ポイント

No5. 7/26 21時? 7/27 21時

『た』


台風6号の進路図のように、僕の思考は迷走した。

敵は老人、それも一人だけ。だが得体が知れない。そして時間を無駄に使えば、なでしこジャパンの援軍も来るだろう。

味方は小学生が二人とネコ一匹。ナオトくんは戦力になるのだろうか。カスミちゃんは無理かな。ネコは論外。

僕は小屋の中を見回した。裏口はおろか、隠れられそうな箱の類もない。

正攻法で対決するのはリスクが大きいし、かと言って老人に見つからずに逃げ隠れするのもできそうになかった。

「カスミちゃん、走るのは得意?」

「運動会でリレーの選手」

「ナオトくんは?」

「サッカー部のフォワードだよ」

カスミちゃんの腕からウランもどきを抱え上げて、僕は二人に言った。

「僕が合図したら、一斉にドアから出て、全速力で走るんだ。別々の方向に行くように。先生の家で集合。わかった?」

二人は、顔を縦にブンブン振った。

僕はもう一度、ドアの陰から外を見た。黒衣の老人は、ドアから50メートルくらい離れた場所で、箱を地面に置いたままヘッドセットのマイクに向かって何かしゃべっている。

「今だ!」

僕の声でドアから飛び出した二人は、右と左に別れて走りだした。二人を交互に見た老人は、顔を左右にブンブン振った。と、その視線が正面の僕に釘付けになった。正確には、僕の抱えているウランもどきに。

「そいつを、その猫をよこせ」

老人が駆け寄ってくるのを充分ひき付けてから、僕はウランもどきを抱えながらダッシュした。フェイントを入れて老人をかわし、先生の家と反対方向に向かって走った。

後ろから老人の声が追いかけてきた。

「お前、それが何かを知っているのか?」

振り返ろうとした僕の視界の端に、小さく青い人影が映った。僕は走る速度を上げた。


尾行をまくために町中をランダムにうろついた後、僕は先生の家に向かった。玄関には見知らぬ靴がいくつかあった。イヤな予感がした。

リビングに入ると、先生が言った。

「お帰り、待ってたよ」

昼にトウモロコシと冷や麦を食べたテーブルに、二人の人物がいた。黒衣の老人と、なでしこジャパン。ベリーショートなので男と見間違えるほどだが、よく見ると若い女性だった。着ているのは、なでしこジャパンのユニフォームそのものだ。

「コウイチくん、こちらはムトー博士。ウランの持ち主だ。となりは助手のフアさん」

老人、いやムトー博士は、トウモロコシにかぶりつきながら言った。

「実にうまいモロコシじゃな。あんたに農業の才能があるとは知らなんだ。……それはそうと、猫を返していだだこうかの」

「ウランはあなたのネコだったんですか?それにこのネコはウランじゃありませんけど」

「知っとるよ。それはセシュームじゃ」

ムトー博士は助手の女性に声をかけた。

「フア、箱の中身を見せてあげなさい」

女性は小さな声で「ったく、人使いが荒いったら」とつぶやきながら、床に置かれていた金属の箱を持ち上げ、蓋を開けた。中から「なろおーん」という鳴き声が聞こえた。

「ウラン?」

箱の中に入っていたのは、間違いなくウランだった。僕は、抱いていたウランもどき(セシュームだったっけ?)を、ウランの隣に置いた。パッと見には見分けが付かないくらいそっくりだった。

「実に残念じゃの。どちらかが死なねばならないとは」

「どういう事です?」

「こいつらは猫に見えるかもしれんが、ネコ目ネコ科ネコ属のフェリス・シルベストリス・カートゥスではない。いや、脊椎動物ですらないかもしれん。何と言っても分裂するのじゃから」

「分裂ですって?」

「そう。最近ウランが重くなったのに気づかなんだか?それが分裂の前兆じゃ」

ムトー博士はトウモロコシをかじると、言葉を続けた。

「セシュームはウランが分裂した片割れ。そして片割れのどちらかが5日以内に死ぬ。どちらが死ぬかは50%の確率じゃ」

僕は箱の中に入っているウランとセシュームを見つめた。

「……シュレーディンガーのネコ」

「ほう。伊達に応用物理は専攻してないようじゃな。生きている猫と死んでいる猫が重なり合っているわけじゃ」

「ウランはどこから?」

ムトー博士の顔が曇った。

「わからん。宇宙かもしれんし、見つかったのが福島じゃから、例のメルトダウンと関係しているという説もある。背中の文様がハザードマークになっているのは出来すぎじゃがな。それを詳しく調べようとした矢先に、国家機密を盗み出した不逞の輩がおったわけじゃ」

ムトー博士は、先生の顔を見つめた。

「悪いようにはせん。現場に戻らんか?」

先生は重い口を開いた。

「あのメルトダウン以来、我々は思い上がっていたと考えるようになった。このウランも、人間がもて遊んではいけない領域だと思うのだよ。私はここで晴耕雨読に余生を費やしたいね」

「そうか。残念じゃが仕方ない。……フア、帰るぞ」

ムトー博士は、足早に玄関に向かった。フアは二匹の猫が入った金属製の箱をかかえ上げるのに難儀していた。僕は思わず彼女を手伝っていた。彼女の顔に、一瞬だけ笑顔が浮かんだ。


こうして僕は飼いネコを失った。9月になって、東京のサッカー場で意外な人と再会するのだが、それはまた別のお話になる。

記録には残らないが記憶には残る、2011年の夏。


(了)

◎質問者からの返答

No5. 7/26 21時? 7/27 21時 「ば」「た」で始まるです「た」ですよ!

というわけでオオトリをお願いします。

四番目が四番目だけにどんな振りでラストにバトンがわたるのか、それをどう料理されるのかにも期待が高まります。

無事、5人のエントリーが決まりましたので、参加者の受付はここまでとさせていただきます。

6番目以降に参加されましてもポイントは差し上げられないのでご容赦ください。

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