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蚊の二酸化炭素の感知メカニズムを教えてください
「蚊は二酸化炭素だけでなく熱や水蒸気も感知する」との説明があります。
http://www.fumakilla.co.jp/kids/mushi/hakase/index.php?ans=981
「吸血性の蚊は動物が呼気CO2を感知することで、正の化学走性を示す」との説明があります。
http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/labs/molecule/sensor.html
CO2感知と走性発現のメカニズムの説明があるサイトや書籍の紹介をお願いいたします。

環境中のCO2と蚊の生体内反応で環境中のCO2濃度変化を感知することができても、方向を検知できないと思います。蚊の身体の前方と後方などに感知機関がありその感知感度の差で方向を検知するのでしょうか。
蚊の羽根を動かす機構に影響がでるのでしょうか。 http://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/31_result/data/seibutsu/21_Iba.pdf

●質問者: hathi
●カテゴリ:学習・教育 科学・統計資料
○ 状態 :終了
└ 回答数 : 4/4件

▽最新の回答へ

1 ● MEI-ZA-YU
●60ポイント

「動物の第六感」モーリス・バートン より
http://www.amazon.co.jp/%E5%8B%95%E7%89%A9%E3%81%AE%E7%AC%AC%E5%85%AD%E6%84%9F-%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%B9-%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3/dp/product-description/4588762087

http://blog.goo.ne.jp/augustrait/e/cbb166b25764748943a9b19dc3075562

蚊の頭部には二酸化炭素を感じる「毛状感覚子」という感覚器が備わっている。
数百メートル離れた先から人間や動物の吐き出す炭酸ガス(二酸化炭素)、
そして体温を感知して標的に近づくという、恐るべき性能のセンサーである。
哺乳類の体温から発する熱を感知する能力は、1.2cmの距離で100分の15度の温度差も感じるほど感受性が高い。



触角の毛状感覚子には臭覚受容細胞もあるようです。
http://www.niaes.affrc.go.jp/magazine/103/mgzn10308.html

ネッタイイエカの触角や小顎肢 (しょうがくし) に存在するさまざまな感覚子について徹底した調査を行い、触角の毛状感覚子に、DEET に対して用量-反応関係を示す臭覚受容細胞が存在することを発見した。この細胞はもともとテルペノイド類 (植物の芳香成分の一群) に反応する臭覚受容細胞として知られていた。また、この嗅覚受容細胞がある毛状感覚子には、オクテノールに反応する、前述のものとは別の嗅覚受容細胞が存在している。従来の研究対象は乳酸やオクテノールに反応する嗅覚受容細胞であり、DEET の忌避メカニズムに関する研究は臭気成分と DEET との相互作用を前提としていた。しかし DEET の量に応じて直接反応する新たな嗅覚受容細胞の発見は、DEET の忌避反応において臭気成分との相互作用を考慮する必要がないことを示すものであり、非常に興味深い。


hathiさんのコメント
ありがとうございました。 ともに、探していた種類の記述を含んでいるようです。 しかし、ともに、私の疑問の解消にはつながらないのです。 『動物の第六感』はこれから探して読みますが、もしも「蚊の触角や小顎肢の毛状感覚子の臭覚受容細胞が、二酸化炭素、乳酸、 1-octen-3-ol(オクテノール)に反応する」としても、それは蚊がいる環境中のそのポイントの濃度や濃度変化に対する反応に過ぎません。これでは方向を検知不可能です。蚊が高速で3次元に飛び回り、その3次元空間での濃度分布図から、濃度の濃い方向を見つけるというのは、現実的でないと思えます。数百メートル離れた先の方向に化学物質の流れてくる元があるなどわかるはずがありません。温度の場合ならば熱線の感知を遠方からやって高温部をターゲットできると思いますが、化学物質の発生源や漂ってくる方向を探れるとも思えません。なお、私たちが普通に遭遇するのは「ヒトスジシマカ」と「アカイエカ」でしょう。アカイエカや屋外によくいるヒトスジシマカにも同じものが見つかっているのでしょうか。また雌しか刺さない(人や動物の血を吸わない)のは、雄には感知機能がないのか、感知しても近づくとか刺すとかの行動をしないだけなのか、なにかすっきりしません。 CO2や乳酸、オクテノールに臭気反応細胞があるというだけでは、蚊の行動のメカニズムの説明にはならないと思っています。

2 ● ニャンざぶろう
●60ポイント

蚊の二酸化炭素受容体(センサー)は、頭から突き出した小顎鬚にあります。
http://j.nestle.co.jp/science/topics/topics0802_2.htm
http://ghop.exblog.jp/7427035/
下側の口吻の上にあるのが小顎鬚
http://nksci.sakura.ne.jp/wp-content/uploads/2011/08/8a3f45d0235a95c023323f054494b74c.jpg

感知後の走行性についてですが、おそらくガのフェロモンと同様に
C02濃度差を元にした確率論的な方向決めにより目標に到達していると考えます。
(こちらは昆虫学者では自明なのか蚊に限定した論文が引っかかりません)


hathiさんのコメント
サイトや蚊の大きな写真を教えていただき、ありがとうございました。 「マラリア媒介蚊は、宿主の呼吸に含まれる高いCO2濃度(4-5%)を目印に、宿主の位置を特定する。」 人の場合、呼気を直接計測した場合で、呼気中の二酸化炭素濃度は、安静時で 1.32%、極軽作業時で 1.32 ? 2.42%、軽作業時で 2.42 ? 3.52 %、中等作業時で 3.52 ? 5.72%、重作業時で 5.72? 9.02%とされているそうです。直ちに拡散します。50cmも離れればまったく低濃度に下がります。しかも、蚊がとまるのは「口や鼻の側」ではなくて、腕などの肌が露出しているところです。皮膚呼吸?でCO2がでているのかもしれませんが、それこそ拡散してCO2の濃度はさほど高いとは思えません。 1m以上離れたところに動物がいて、その動物が排出する高濃度CO2を探り、動物のいる方位や仰角にネライを定められるメカニズムがわかりません。

3 ● suppadv
●60ポイント

Gr21aとGr63aの蚊の相同体は、CO2を感知する蚊の器官にあるニューロンのサブセットにおいて、ともに発現していた。
http://www.cosmobio.co.jp/aaas_signal/archive/ec_20070109.asp


hathiさんのコメント
ありがとうございます。蚊と蠅で同じではないらしいのですが、ともかくもショウジョウバエで、Gr63aがGr21aが関係して、CO2感知ニューロンが反応することがあるという知見も重要だと思います。ただ、それだけでは、小顎鬚にある毛状感覚子がCO2に反応するというのを、ニューロンにしただけです。なんで、環境中のCO2濃度(あるいは時間的、空間的なCO2濃度の差)で、方位や仰角の見当がつくのかの説明になっていないし、雄雌の行動差をおこすメカニズムの説明につながりません。

4 ● kumonoyouni
●420ポイント ベストアンサー

興味持ったので調べてみました。


[1]生物学・期末レポート いつのまにか血を吸われている 蚊の吸血メカニズム
http://tsussy.info/pub/%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88/%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%AD%A6/biology_repo2.pdf
蚊が検知するのは、二酸化炭素、体温、乳酸という複数の要素があるようです。
参考書籍も書かれてました。

(1) 蚊の不思議 宮城一郎編著 2002 東海大学出版
著者は農学博士で,衛生昆虫学,特に蚊類の分類や生態の研究を専門
とする方である.非常に詳しく書かれた学術的な書籍.

(2) 蚊の科学 荒木修著 2007 日刊工業新聞社
著者は化学専攻の工学博士.本は学術書というよりは一般向けに分かり
やすく書いたもの.次の栗原博士が著者の一人となっている「蚊の科学」
という本を参考として書いている本で,図もいくつか引用されている.

(3) 蚊博物誌 栗原毅著 1995 福音館書店
著者は医学博士で衛生動物学専攻,蚊と蚊媒介病の研究者.本は蚊の
生態や蚊にまつわる文化について詳しく書かれている.

(4) 日本動物大百科9 昆虫II 1997 平凡社
図鑑的な本だが文章が多めの解説書.フリガナが振られていない,一般向けと考えられるもの


[2]5/11 Malaria Mosquitoes Follow Foot Smells May 12 [Thu], 2011, 15:31
http://yaplog.jp/podcast/archive/334

マラリアを媒介する蚊は、足のにおいを追いかけます

アフリカのAnophelesという蚊は、二酸化炭素の豊富な呼気をたよりに私たちを見つけます。 しかし、近くまで来ると、蚊は我々の頭から足をめがけて急降下します―足は明らかに蚊が軽食を取る大好きな場所です。

生物学者Remco SuerはオランダのWageningen大学での博士号論文に蚊の行動を取り上げたのだと思っています。そして、論文の内容はマラリアとの戦いに役立つかも知れません。

以前の研究で、人間の足に生息する10種類の細菌が作り出す臭いとその組み合わせのうち、近くにいる蚊が好むものを突き止められていました。Suerの研究はこれらの10の匂いのうち9つが蚊の口吻の毛髪のような構造の下にある嗅覚神経細胞で感知されることを示しています。 もっと距離のある場所で私たちが発生するCO2を感じ取る他の神経細胞のすぐ近くにあります。

Suerは、臭いの混合物から分離したバクテリアが作り出す5つの異なる臭いが、実際CO2を感じ取る神経細胞の働きを妨げることを見つけました。ですから、細菌の出す匂いの分子があれば、CO2を嗅ぎまわる蚊を方向転換させ、おそらく近くにある足(の臭い)めがけて殺到させることでしょう。

Suerは、足に生息する細菌を囮にして蚊を惹きつけ、血を吸う前に捕まえてしまう罠のようなものを考えています。それは、足で蚊を踏みつける次に良い方策です。


[3]蚊を狂わせる
http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/11186/12988/68684403

Nature 誌に掲載された Stephanie Lynn Turner さんらによる "Ultra-prolonged activation of CO2-sensing neurons disorients mosquitoes" というのがその論文。まず、ハエは二酸化炭素を嫌うのに、二酸化炭素を発する熟した果物にはどうして寄ってくるのかという疑問から、熟した果物の香りにはハエの神経の二酸化炭素受容体を混乱させる成分が含まれていることが突き止められました。そして、二酸化炭素を入れた容器と、二酸化炭素とその問題の撹乱成分を混ぜて入れた容器を用意して、蚊がどちらに行くかを見たら、二酸化炭素だけのほうに2倍多く蚊が集まっていたとのこと。蚊除け薬の成分などに比べて安価に生産でき、成分も天然由来のものなので、マラリアやデング熱などの予防に期待ができそうだとのことです。


[4]CiNii論文?ドライアイスと蚊帳を用いた蚊の捕集方法
http://ci.nii.ac.jp/naid/110003824439

1961年7月より10月までの間, 横浜市鶴見区師岡町付近で未吸血の蚊が炭酸ガスに多数集まつて来ることを利用してドライアイスと蚊張を用いたトラップを作り, 捕集される蚊について検討した.7月28日にはドライアイスの消費量が100g?550gである蚊張に午後6時から9時までの3時間のあいだ3, 000?8, 000の雌成虫を捕集することが出来た.侵入口の方向が発生源の反対側の方向および風下であると, より効果的に捕集することが出来, 多少の風力および蚊張の配置場所には著明な差が認められなかつた.ドライアイスとヤギおよびニワトリを入れた蚊張に集まる蚊の数はドライアイス>ヤギ>ニワトリとなり, 動物誘引法およびライトトラップ法に比べてドライアイストラップ法ははるかに効果的であつた.ドライアイスに集まる蚊の日週活動を8月4日から9月6日に至る間, 午後6時から翌朝午前6時まで一時間毎に採集し観察した結果, 午後7時から8時までに侵入数が最高となり以後漸次減少するが午前4時?5時まで侵入は続いた.蚊の種類別による日週活動の差はあまり著明ではなかつた.


[5]蚊の概日リズム
http://www.c-able.ne.jp/~y-chiba/japanese/treatise.html

一般に生物には1日の生活リズムがあり、1日の環境サイクルに合わせて活動している。この日周変動は本質的には内因性の約24時間周期のリズム(概日リズムcircadian rhythm)に支配されている。このことは、生物を、照度と温度を一定に保った実験的な恒常環境に置いてみればわかる。環境の周期変化のない状態でも、約24時間のリズム(自由継続リズムfreerunning rhythm)が維持される。概日リズムには光および温度の24時間サイクルに同調する(synchronizeあるいは引き込まれるentrain)性質がある。自然界での1日の生活リズムは、概日リズムが1日の環境サイクルに同調している(引き込まれている)姿である。この同調が、適した環境の到来を予知して、その時間に活動することを可能にしている。概日リズムは、生理学的あるいは発生学的過程などを広く支配しているが、加えて、季節的環境変化に対する適応である光周性(photoperiodism)にも関与していると考えられる。この論文の目的は、蚊における概日リズムならびにその関連現象に関する研究を総説することにある。

蚊の行動リズム研究に便利な本に2種類ある。ひとつは、概日リズムおよびそれに関連した分野に関心のある蚊生物学者が書いたもので、かなりのページ数がそれに割かれている1,2。もうひとつは、昆虫のリズムあるいは光周性を扱った本で、蚊が頻繁にでてくるものである3,4,5,6,7 。


[6]最近読んだ論文 11. 蚊のCO2センサーを長時間活性化する分子
http://www.molecularscience.jp/read/001.html

"Ultra-prolonged activation of CO2-sensing neurons disorients mosquites"
S.L. Turner et al., Nature, 474, 87-91 (2011).

蚊は様々な伝染病を媒介し,また単純にうっとうしくもあることから,何とか奴らが寄ってこないようにしよう,という試みはそれこそ有史以前から行われてきたし,今でも多くの研究が行われている.
よく知られるように,蚊はCO2を探知して動物や人に接近するので,この感覚器を何とか誤魔化せばよい.例えばこの感覚器を麻痺させる薬剤であれば人間を探し出せなくなるし,逆に強く刺激する薬剤なら蚊を引きつけるトラップに使える.実際,ドライアイスやCO2のボンベ,ガスの燃焼などを使った蚊の捕獲機が利用されている.しかしCO2は毒性が高い上に取り扱いも面倒であることから,もっと手軽な手法の開発は常に望まれ続けている.
今回,電気生理学的手法を用いたスクリーニングで興味深い反応をもたらす化合物の発見が報告された.

蚊に作用する化合物を発見する場合,一番単純な手法は蚊を(沢山)持ってきて各種物質の気体を吸わせて影響を見る,というものである(実際昔はそうやって研究が行われていた).しかしながら,何せ蚊の行動はふらふらしているので影響がわかりにくいし,沢山の蚊を毎回準備して実験をするのも大変である.そこで最近は,電気生理学的手法が用いられる.これは近年の生理的な研究では欠かせない手法で,反応を調べたいレセプター(今回の場合なら蚊のCO2感覚器)を取り出し電極を繋ぎ,様々な物質に曝すことで起きる電位変化を見てやる,というものである.感覚器が反応すればパルスが生じるので,生じる電位の回数や強度から反応が電気的に読み取れる.

さて,著者らがそのような手法で様々な有機分子の影響を調べていたところ,2,3-butandioneがこの感覚器に過剰かつ長時間の興奮を引き起こすことを発見した.通常の刺激なら,その刺激を取り除くと秒の単位で感覚器の興奮は納まるのだが,2,3-butandioneに関しては数分間も過剰興奮が続くのである.しかもこの間はいわば感覚器が励起しっぱなしでほとんど飽和してしまうため,通常のCO2に対する応答はマスクされてしまってほとんど起こらない.

この結果,2,3-butandioneに曝された蚊は人間や動物を感知することが出来ず,特に当てもなくふらふらと飛び回るだけとなる.また彼らは,2,3-butandioneと1-hexanol,1-butanal,1-pentanal(これらはいずれも感覚器をマスクする効果がある)のカクテルを作用させると効果が10倍程度になることも見つけ出した.3種類のマスク剤でCO2への感度を落としておいて,さらに2,3-butandioneで反応を飽和させることで何も感知できなくなるらしい.

またこれとは別に,2-butanonがかなり強く蚊を引きつける事も見出している.これらを元に,著者らは
・2,3-butandioneカクテルを人のそばやドア・窓の近くで用い,蚊の感覚を麻痺させることで家の中や人の近くに寄ってこないようにする
・さらに近傍に2-butanonを噴霧するトラップを設置し,そこに蚊を集中させ捉える
という利用を提案している.なお,今回用いられている物質はそのままでは人体にも有害であるため,これらの構造を元に無害な化合物を開発する必要がある点には注意が必要である.

今でもアフリカや赤道に近いアジア各国では蚊の媒介する伝染病は猛威をふるっており,蚊に対する対策の重要性は高い.今回の研究が何とか新たな薬剤開発に繋がってくれれば良いものだが.
どうでも良いことだが,著者にケニアの人ってのは初めて見たかも知れない.やはりアフリカだけあって蚊への対策は重要なのであろう.(2011.6.2)


ご参考になれば幸いです。


hathiさんのコメント
とても参考になりました。ありがとうございます。虫が良い希望なのですが、<<蚊の種類、雌雄によって、吸血行動につながるような行動傾向が生じる原因理由>>に関するものがありましたら、お教えください。特にこれ(http://ci.nii.ac.jp/naid/110003824439)は秀逸な資料でした。(蚊の発生源である田圃とテントとの距離)がわからないのですか、どうも10m未満のようです。風速に関係なく、蚊はドライアイスに、(田んぼと反対方向から)または(風下方向から)接近したようです。ドライアイスの蚊の誘引力は動物や灯火より明らかに高く、ドライアイスはほとんど雄を誘引しないことが確かなようです。また、雌が交尾したあとで吸血のための餌を探す行動を開始する(http://www.c-able.ne.jp/~y-chiba/japanese/treatise.html)こと、温度よりも時刻に強く相関があるようです。また蚊の行動には概日リズムが明確で、昼夜の境に行動が活発化するそうです。そうであれば、(蚊の触角の毛状感覚子がもつ一般特性が二酸化炭素に反応する)という単純なものではなくて、(蚊の触角の毛状感覚子がもつ特性が、雌雄や交尾での変化、概日リズムでどう変わるのか)を検討する必要があると思います。また、蚊は高速でも飛ぶが、方向を定めて飛ぶのではなくて、基本はふらふら飛びで、おおむね(風下⇔風上)の往復を繰り返し、その中で(風下⇒風上)にふらふら飛行する際に二酸化炭素濃度の変化を感じとった場合に、濃度の濃いところを離れないようにするだけなのかもしれません。言い方を(CO2の跡を辿る)というのは、目的論的表現に過ぎるのではないですかね。蚊の触角の毛状感覚子がもつ特性は二酸化炭素に特化したものではなくて、テルペノイド類全般にも反応するし、マスク効果する物質もあったりするようです。他に蚊の忌避行動を惹起する機構もあるのかもしれませんね。少なくとも、二酸化炭素を呼気している生物を、蚊が離れた位置から感知しているのではなさそうです。蚊は複眼です。複眼は波長の長い方向は感度が悪いことになっていますが、1?2mの近くに生物がいた場合には目視でターゲットを確認しているような気がします。

hathiさんのコメント
とても参考になりました。ありがとうございます。虫が良い希望なのですが、<<蚊の種類、雌雄によって、吸血行動につながるような行動傾向が生じる原因理由>>に関するものがありましたら、お教えください。これ(http://ci.nii.ac.jp/naid/110003824439)は秀逸な資料でした。(蚊の発生源である田圃とテントとの距離)がわからないのですか、どうも10m未満のようです。風速に関係なく、蚊はドライアイスに、(田んぼと反対方向から)または(風下方向から)接近したようです。ドライアイスの蚊の誘引力は動物や灯火より明らかに高く、ドライアイスはほとんど雄を誘引しないことが確かなようです。また、雌が交尾したあとで吸血のための餌を探す行動を開始する(http://www.c-able.ne.jp/~y-chiba/japanese/treatise.html)こと、温度よりも時刻に強く相関があるようです。また蚊の行動には概日リズムが明確で、昼夜の境に行動が活発化するそうです。そうであれば、(蚊の触角の毛状感覚子がもつ一般特性が二酸化炭素に反応する)という単純なものではなくて、(蚊の触角の毛状感覚子がもつ特性が、雌雄や交尾、概日リズムでどう変わるのか)を検討する必要があると思います。また、蚊は高速でも飛ぶが、方向を定めて飛ぶのではなくて、基本はふらふら飛びで、おおむね(風下⇔風上)の往復を繰り返し、その中で(風下⇒風上)にふらふら飛行する際に二酸化炭素濃度の変化を感じとった場合に、濃度の濃いところを離れないようにするだけなのかもしれません。言い方を(CO2の跡を辿る)というのは、目的論的表現に過ぎるのではないですかね。蚊の触角の毛状感覚子がもつ特性は二酸化炭素に特化したものではなくて、テルペノイド類全般にも反応するし、マスク効果する物質もあったりするようです。他に蚊の忌避行動を惹起する機構もあるのかもしれませんね。少なくとも、二酸化炭素を呼気している生物を、蚊が離れた位置から感知しているのではなさそうです。蚊は複眼です。複眼は波長の長い方向は感度が悪いことになっていますが、1?2mの近くに生物がいた場合には目視でターゲットを確認しているような気がします。

kumonoyouniさんのコメント
引き続き調べてみました。 [1]アカイエカ雌の容器内における行動特に呼気に対する反応 http://ci.nii.ac.jp/naid/110003824331 >> 1)未吸血の雌アカイエカを入れたガラス器に呼気を入れると, それまで壁面に静止していた蚊の大部分がとび立ち, さらに, 容器のふたのガーゼ面にとまつて吻を刺しこむ行動をとることを観察した.2)ガーゼ以外の物を供した所, 表面が滑らかな, ガラスや塗装した板には飛来せず, ざらざらした表面をもつものには良く飛来した.サンドペーパーを使用した所, 目の荒い紙の方が, 細かい目の紙よりも多数飛来する.3)呼気に反応する行動は昼間より夜間に高率にみられる.照度を一定にした室内であつても, 反応が午後6時以降の夜間に高く現われた.4)呼気を送りこんだ後に人体にたからせた蚊の吸血率は, 呼気を送りこまずにたからせた蚊の場合より遙かに高率であつた.5)呼気を一旦, NaOHの溶液を通して後に容器中に送りこむと, ガーゼ面への飛来, 刺入行動がみられず, また人工的に発生させた炭酸ガスを1〜3%含ませた空気を送りこむと, 呼気を送りこんだのと同じ反応を示した. << [2]蚊と汗の匂い http://members.jcom.home.ne.jp/kisono/ka/ka.htm >> 昔から蚊は炭酸ガスの濃度勾配を感知して人に近づくと言われてきた。しかしそれだけでは人の鼻や口に集まることになるし、大量の炭酸ガスを排出する車に蚊が集まることになってしまう。人を刺すのは蚊の中でもメスだけで、匂いを頼りに人間に近づいてくる。その感覚は鋭く、数百メートル離れた場所でも人間の匂いを察知できるという。しかし今までのところ、どのようにしてこのような鋭い感覚が発揮できるのかはわからなかった。この程米国のエール大学のHallemさん達はヴァンダービルト大学の研究者と協力して人の汗の成分を感知する蚊の受容体を分子遺伝学的手法でつきとめた。 研究者達は先ずメスの蚊の嗅覚組織に発現されるAgOr1と呼ばれる嗅受容器遺伝子をクローニングした。次に嗅受容器に欠ける突然変異種のショウジョウバエにその遺伝子を発現させた。最後に、これらのショウジョウバエを使ってヒトの汗の中に発見されている24ケの異なった化合物に対する感度を電気生理学的測定によってテストした。その結果、1つの特別な化合物、4-メチルフェノールを発見した。この簡単な化合物は嗅受容器AgOr1を強く活性化するが、面白いことにこの受容体はメスの蚊だけに発現され、ヒトの血を吸った後では作られなくなることも分かった。 この発見はもしかするとより効果的な捕虫器あるいは駆虫剤の開発につながるかもしれない。というのは色々な類似化合物を使ってAgOr1受容体を活性化するもの、あるいは阻止するものを探すことが出来るからである。(Elissa A Hallem et al., Nature, 15 January 2004, Vol. 427, pp.212-3.) << ※関連サイト http://d.hatena.ne.jp/flyer/20040316 [3]デング媒介ヒトスジシマカ(双翅:カ科)雌成虫の吸血行動に雄が与える効果 : 実験室におけるヤブカ媒介蚊の経口摂食促進との関わり http://ci.nii.ac.jp/naid/110006274390 >> デング媒介ヒトスジシマカ雌成虫の吸血行動に対する雄の影響を調べるために,雌の吸血反応に及ぼす雄の密度と羽化後日動について検討した.高密度の1-3日齢雄の不在あるいは少ない場合には,4日齢雌群は吸血源にほとんど反応しなかった.一方,3-6日齢雄の場合には.6-7日齢雌群の吸血行動が促進し,その効果は高密度の雄で最も顕著であった.適度な密度の老齢雄を雌群に加えると,Mather and DeFoliart(1984)が示したように,ヤブカ雌の経口摂食が促進される可能性が示唆された. << [4]羽音, 吸血源等を用いたコガタアカイエカ雌蚊の捕獲実験 http://ci.nii.ac.jp/naid/110003817347 >> ハムスター, ドライアイスの吸血誘引刺激, および異なる振動数の羽音誘引によって, コガタアカイエカ雌蚊を捕獲することに成功した。雌蚊は羽音だけを用いた場合よりも, 動物やドライアイスを併用したほうが多数集まるが, 羽音の発信を加えることによりさらに多く集まり, 捕獲できた。さらに500&acd;800Hzの羽音のなかでも600Hzの振動音により多く集まった。反対に雌蚊の発する300&acd;350Hzの振動音に対しては, 羽音を発信しない場合よりも少なく集まった。結局, 羽音, 動物, ドライアイスの3者併用で, 600Hzを中心にした振動音で最も効率よく捕獲できた。発生源から遠くはなれたところでも本種の雌は捕獲され, 季節的消長, その他生態, 活動習生を知る上に利用されよう。 << [5]コガタアカイエカの生態, とくに吸血と産卵を中心にして http://ci.nii.ac.jp/naid/110001123416 >> 1966年,横浜市保土ケ谷区内の一豚豚舎でライト・トラップにより採集した野生コガタアカイエカを用い,吸血と産卵を中心にした生態観察ならびに実験を行なった。ただし実験の一部には当所で累代飼育中の406系を用いたが,両者を比較するのが主目的でなく,相補わせる形で実験を進めた。1) 7?9月の野外採集個体1卵舟あたり平均卵数は207.2で,マウス給血の対照406系172.3より多い。ふ化率には有意差なく,どちらも94%であった。2) 吸血ごとの産卵を3回までくり返させた場合,各回の平均卵数は174.1, 148.9, 126.7で,約15%ずつ減少した。3) 飼育室(27°C, RH 80%)での栄養生殖サイクルは最高4回まで認められ,この間の生存日数は羽化後約25日であった(406系)。4) 406系の場合,雌成虫のマウス吸血活動は受精と無関係に行なわれ,吸血後も受精(交尾)がとくに促進されなかった。しかし,野外でトラップに捕集される雌成虫は経産・未経産または吸血・未吸血を問わず大部分が受精個体であった。5) 1966年4?10月の自然集団の平均経産率(%)は,4月が16.2, 5月が10.6で4?5月は低く,6?8月はそれぞれ31.0, 35.4, 32.9でやや高く,9月は57.7, 10月は92.8で9月から10月にかけ急上昇し,とくに10月の集団は老化の程度が著しい。また,採集時の吸血個体では6?8月間の経産率に有意差なく,平均32.7%であった。これから推定すると,シーズン中宿主を吸血した蚊の約1/3がウイルス伝播の可能性を持っていた。6) 経産個体の経産回数は3回まで認められた。そのうち1回だけのものがを95%占めていたが,考察の結果,実際には2回(または3回)産卵する個体もかなり多いと推定された。7) 以上の成績を考察した結果,越冬に入る個体は9月以降に生産され,その大部分はもはや畜舎に飛来せず越冬場所へ移動するが,日本の暖地では9?10月の活動蚊(吸血または吸血経産)の一部もまた越冬を完了し,翌春まで生き残ることが推測された。 << [6]ベトナム北部水田地帯における,吸血宿主の分布と日本脳炎媒介蚊Culex vishnui Subgroup 及びCulex gelidus の成虫蚊密度の関係 http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/gakusai/summary/h19/0801_igaku/file/i_kou1267ronbun.pdf >> 日本脳炎媒介蚊として5 種のCulex が報告されている。これらの蚊はヒトも吸 血するが、ブタ・ウシをより好むと考えられている。しかし実現される吸血は、 吸血宿主の得易さといった蚊の嗜好性以外の要因にも影響されるだろう。タイ 北部で3 種(Culex tritaeniorhynchus,Culex vishnui, Culex gelidus)の野生蚊に実験 的に複数の吸血宿主を選択させた結果と、飼育舎周辺におけるライトトラップ による採集結果では、蚊種よって優先される吸血宿主が異なった。(Mwandawiro C, et al,1999 Med Entomol Zool 50: 323-333)これらの結果から、蚊の生理的吸血 嗜好性とそれ以外の環境要因が吸血行動に与える影響のバランスは種により異 なるものと考えられた。そこで、様々な動物が飼育されている標準的なベトナ ム北部の水田農村で、吸血宿主動物と媒介蚊を1 家屋レベルで調べ、複数の生 物種が吸血源として可能な場合に、現実には吸血宿主の存在が吸血行動を支配 している要因としてどのように媒介蚊密度に影響しているか解析した。 << [7]6 雌蚊の吸血行動を活発にする雄生殖器付属腺 (MAG) 由来のタンパク質 : I. SDS-PAGE によるタンパク像の比較 http://ci.nii.ac.jp/naid/110003820473 [8]コガタアカイエカ成虫個体群の生態学的研究 http://ir.library.tohoku.ac.jp/re/bitstream/10097/23648/1/S1S470315.pdf ご参考になれば幸いです。

hathiさんのコメント
本当にありがとうございました。自力で探すべきところを、完全に負ぶさってしまい、ありがたいと同時に恥ずかしくも思っています。 教えていただいたサイトはほぼどれも興味深いものでした。 蚊の雌の吸血行動は、老齢雄の存在、600Hz前後の羽音、15℃以上の温度、昼夜の境の時間帯、コンタクト面の表面の光学的反射状態、雄との交尾による臭覚関連の受容体の発現?、受容体の二酸化炭素などいくつかの化学物質に対する特異反応、吸血による嗅受容器の感知抑制などが、強く絡んでいそうですね。 また、教えていただいた http://ci.nii.ac.jp/naid/110003820473 の中にあった次の記載はとても興味深かったです。『 ヒトスジシマカでは通常吸血しなければ成熟卵が形成されないが、台湾産の一系統で無吸血産卵を盛んに行っているのが認められた。 この蚊が無吸血産卵を行うか否かは遺伝的な要因が最も大きいが、今回羽化後の環境要因についてその影響を調べた。台湾系のヒトスジシマカの場合、通常無吸血産卵を行っているチカイエカやトウゴウヤブカと違い羽化後に成虫に与えた砂糖水の濃度が高いと無吸血産卵を行う雌の割合が高くなることが判った。 またこの系統のヒトスジシマカに吸血源としてマウスを与えたところ、無吸血状態で成熟卵を形成していているにもかかわらず吸血する個体が多かった。これらの事は、高緯度地帯の蚊にみられる無吸血産卵の現象に似ておりたいへん興味深い。』繰り返しますが、本当にありがとうございました。

hathiさんのコメント
「蚊の科学 荒木修著 2007 日刊工業新聞社」を見ました。 CO2放出量によって(CO2濃度によって)集まる蚊の種類が違うことから、呼気C02の量(濃度)の異なる動物に対する蚊の好みがあり、CO2放出=50ml/minでは人を刺す蚊が多く捕集できるとの記載がありました。この文章だけだと、濃度のことはわかりません。いい加減すぎる説明のように思えます。また、ヒトスジシマカと3種のイエカでは、蛍光灯よりもブラックライトに誘引されると記載されています。ライトトラップに関連して、蚊の種類によって好みの明るさがあると記載されていますが、光源の記載だけで蚊の環境の光エネルギーの記載はありません。CO2と同様です。(光や臭い、熱の発生源は、直径10cmの筒の先2.5mの距離のところにある。室温26℃、湿度79%rh) なお、吸血行動を起こすアカイエカの雌の活動時間は日没後から夜明けまでズーっととの記載はあります。L乳酸やオクテノールが蚊を誘引するが、蚊の種類によって適当な濃度があり、濃度が高すぎると蚊は近づかないとの記載もあります。濃度のように発生源から遠ざかり、風によって濃度分布が変わる状態の空間では、蚊はどうだという観察がされているのか、わからないです。ネッタイシマカを誘引する温度は34?40℃であるとの記載もあり、それをつなげた理解として、「おそらく蚊は炭酸ガスで寄って来て、次に着地点として熱を認識していると思われます。着地点は、肌の吸血ポイントです」と記載されています。音に関しては、雌が好む音の報告は見つからない、雄はラ(A)440Hzの音階を好み、ラ(A)音の振動板に着地するとのことです。 濃度差を把握して空間内で確率論的な方向決めをして走化性を実現しているという種類のものには現時点では、ぶつかりませんでした。「蚊の科学:図鑑の北隆館」にGillies(1972)で蚊の飛行4種の中で「A草原・畑地帯型:人は村落を形成することが多い。蚊は、風向きに逆らった方角から、部落に侵入していく。マラリアを媒介する多くのハマダラカが、最も典型的なこの例である。発生水域は、部落から1?2km離れていて、kはそこから散る。部落から風に運ばれてきた何かの流れをつかむと、風に逆らって侵入してくる。旅行中の蚊は、死亡率が高い」「C都会型:蚊の発生場所と、人の集団が住む場所があい接している。蚊は、主として体内の生理作用の命令で、特定の時間帯に、人を襲うようになる。ネッタイイエカやネッタイシマカが、この例である」と記載されていました。 蚊の体内の生理、日の活動、交尾、さらに、好みの臭気を感じた場合は風に逆行するということが、なにか強く関係していそうに思いました。 「動物の第六感」は日を改めて読みます。 たくさんの方にご協力をいただき、ありがとうございました。 kumonoyouniさんには、特にお世話になりました。ありがとうございました。

kumonoyouniさんのコメント
いえいえ、どういたしまして。こちらこそ、これまで愛想なしの回答ですみませんでした。それと過分なポイントありがとうございました。 調べてみると、いろいろ疑問に思っていたことが分かってきたので私自身も参考になり楽しめました(^-^) では、また、どこかでお会いしませう。
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