自然現象を神に準えて、恐れを持って敬った。
・・と言ってしまえばそれなりに納得できるとは思いますが、実はこれは日本人の常識になります。
周囲にある何にでも神が宿ると考える感覚が根底にあります。
こういう考え方は日本人にとっては当たり前ですが、一神教の教徒からすれば神への冒涜になります。
キリスト教やイスラム教、仏教もそうですが、これらの宗教では「信じる神がたくさんあっても良い」と考えただけで異端になります。
だからこそ同根のユダヤ教キリスト教イスラム教は特に強く互いを敵視する。
何千年もの殺し合いの歴史が、そのことを証明しています。
特に悲惨なのが十字軍による略奪行為でしょう。
あらゆるものを平等に考える精神は日本人の美徳だと思いますが、多くの他国では常識外れに見える。
ただ、そういう考え方の上に立った嵐の神や雷の神の具象化だということを理解するべきだと思います。
両方とも鬼の姿、祟り神ですね。
絵の構図に注目してみましょう。
風神雷神双方とも、屏風の端に居ます。この絵は屏風であり、2曲1双です。絵をよく見てもらえると分かりますが、風神雷神の間に大きな線が、そして、風神と雷神それぞれの側にそれより細い線が見えると思います。
このように、本来なら、上から見ると逆Vの字に設置して鑑賞します。
そうした場合、風神雷神が画面の左右からさあああぁっ! と鑑賞者の前に現れたのような錯覚をうけると感じませんか?
そして、中央の余白は、風神雷神がより鑑賞者の方へ迫ってくる感じを抱かせないでしょうか。
屏風という形ゆえに出来る構図。その楽しみはやはり実際に実物をみないと伝わらない事があると個人的に感じますし、これをきっかけに美術館などの展示会で実物を見て感動して欲しいと思って止みません。