病院の世紀の理論
明治維新以降の医学史も分析しつつ書いた良書。
http://www.amazon.co.jp/%E7%97%85%E9%99%A2%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%81%AE%E7%90%86%E8%AB%96-%E7%8C%AA%E9%A3%BC-%E5%91%A8%E5%B9%B3/dp/4641173591
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meefla ●50ポイント ベストアンサー |
まず、回答 #1 で紹介されている『病院の世紀の理論』ですが、Amazon の「なか見!検索」よりも詳しい内容を Google books で読む事ができます。
病院の世紀の理論
ななめ読みした限りでは、少なくとも「英国系とドイツ系」については詳細には論じていないように思われますので、そのあたりを中心にして回答させていただきます。
成書としては次のようなものがあるようです。
なお、医史学はマイナーな分野ですので実物を持っているわけではありません。
記述がありそうなもの、というレベルです。
1. 現代日本医療史:川上武 著。勁草書房
1965年と古い本で、版元でも品切れです。
「ドイツ医学採用の背景」という章があります。
2. 日本近代医学史:小高健 著。考古堂書店出版部
2011年7月出版。
目次に「第2章 ドイツ医学の採用」とあります。
3. 日本近代医学史―幕末からドイツ医学導入までの秘話:金津赫生 著。悠飛社
2009年12月出版。
2. と書名は似てますが、別の著者の別の本です。
版元の 悠飛社 のサイトもチェックしましたが、目次などの詳細はわかりませんでした。
これだけでは回答になりませんので、ネットで読める文献からいくつか。
京都府立医科大学客員講師の藤田俊夫先生による『日本と欧米の医療文化史』、特に
No1 日本の近代医学の夜明け
No2 西洋医学への目覚め 東京大学におけるドイツ医学教育の始まり
No3 日本におけるドイツ医学の萌芽期 各地方への波及と日本人学者の活躍
の3つは、総説として参考になるかと思います。
もう少し詳しいものとして、第57回日本東洋医学会学術総会の教育講演
明治維新の際,日本の医療体制に何がおこったか : 西洋医学選択の道のり
がありました。
これらを元にして、「英国系とドイツ系」「海軍系と陸軍系」について、ざっくりまとめてみます。
イギリス公使館の官医ウィリアム・ウィリスの活躍でイギリス医学に傾きそうだった日本医学の主流をドイツ医学にしたのは、相良知安 と岩佐純であると言われています。
これによって 大学東校(後の東大医学部)はドイツ医学となり、大学東校で教鞭を取っていたウィリスは鹿児島の西洋医学所に赴任して 高木兼寛 らにイギリス医学を教えます。
海軍の医学がイギリス医学となったのには、海軍に入った後にイギリスの聖トーマス病院医学校に留学した高木兼寛の関与が大きいでしょう。
高木は後に東京慈恵会医科大学となる成医会講習所を設立しました。
福沢諭吉もイギリス派でしたが、イギリス医学の 慶應義塾医学所 は、7年で閉鎖されます。
慶應義塾大學醫學部六十周年記念誌 によれば、「イギリス医学を学んだ者が国家試験を通るのは容易ではなかった」そうです。(8ページ目)
以上、お役に立てることを祈りつつ。