日本は特殊な国で、国債の殆ど(2010年12月の経済レビュー資料では93.6%)を
国内からの投資で賄っており、また海外で発行された外債のサムライ債などにも
一般的に適用される現地法よりも日本の法律が適用されたりもしていましたが、
むしろ海外ではギリシャ国債のように外国の発行体が投資家層の多様化を期待して
外国法の元で発行することや、外国人による外債の保有も珍しくはありません。
実際、ギリシャ国債保有率はフランスやドイツ等のEU内も多いのですが、
この周辺で一番EU外からも多様な投資を集められるのは国際的な金融機関があり
EU最大の金融街もあって英語圏で世界中からの投資を扱う英国や、
プライベートバンクなどに世界中から巨額の投資があるスイスなどで、
内外の投資家からの大きな投資の動く可能性が高いので、
そういう国々での発行数や保有数が多くても不思議ではないのです。
また、日本とは違って、ギリシャは国家が最大の産業で国家公務員の数が多く、
その国の負債額が巨額にふくらんで国の格付けが今最低で自国内の資金繰りにも
困窮して内部で暴動騒ぎなども起きていましたから、つい最近EUやIMFから
救済案が出されるまでは、国内でさえ国そのものへの信用不安もありました。
そのために日本とは違って自国内向けの国債よりも、海外の投資家などからの
幅広い資金の方が必要な背景もあり、そのためにそれに有利な国の
外国法の元でも多くの国債が高利回りで発行されていました。
文化的な違いもあって、日本人だとほぼ0%に近い万年低利息でも
国民は自国で貯金しますし、海外ではちょっと信じ難いくらい低利回りの
日本の国債でも自国内では人気があり、しかもそれを自国内で買ってもらえる
資金も日本にはありましたが、海外では単に貯金するよりも、そこらへんの
おじいちゃんおばあちゃんでも小口からでもより有利に国際的に投資したり、
スイス銀行とか一時はプライベートバンク経由の投資型預金でも
10%リターンとかを平気で提示してくれていましたし、
海外では高利息の外貨預金やオフショア貯金等も人気があります。
あえて自分でリスクを負ってデフォルトの可能性もあるような危なそうな国の
国債を買わなくても、英国の銀行で1年元本保証Bond投資預金をするだけでも
銀行の方が投資してくれたりして、3?4%以上くらいは平気でもらえます。
毎月利息がもらえて?1からの小口でいつでも出し入れできるe-Savingなどの
自由解約型元本保証の定期預金でも3%以上くらいのボーナス利息は普通につくので、
それで集めた資金を、銀行も国際投資や国債商品等で運用していたりもします。
海外では国債に関しては、例えデフォルトなどのリスクがあるとしても
高リスク高リターン型のものでも人気があり、ギリシャも超高リターンでした。
そのために低リターンの日本国債は、単に海外では人気がないのが現状です。
需要がないと当然、発行の機会数や発行される機会は減りますが、
日本でも歴史上、外債は発行して来ましたし、最初の日本の外債は、
英国で発行された1870年4月23日の新橋駅?横浜駅間の鉄道建設費用を
捻出する為の9分付英貨国債100万ポンドだそうです。:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E5%82%B5
余談ですが、下記に詳細PDFダウンロードのリンクを貼りますが、
日本も将来的に外債や外国法の元で発行される国債の数を
増やさなくてはならない可能性はあります。
「東日本大震災で懸念される国債の国内消化構造の綻び:経済レビュー」:
http://www3.keizaireport.com/report.php/RID/133613/