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【人力検索かきつばた杯】「さらば愛しき※※」

お待たせしました。かきつばた杯を開催します。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CD%CE%CF%B8%A1%BA%F7%A4%AB%A4%AD%A4%C4%A4%D0%A4%BF%C7%D5

お題:さらば愛しき※※
「※※」の箇所は特に拘りはないので、別の何かに置き換えOKです。
いちおう前回と探偵つながりってことですが、探偵物にする必要はありません。

補足事項:
※予告編への投稿はポイント対象外です。ポイントはこの質問への回答のみを対象とします。(自作品に限りコピペも可)
※キーワードをタイトルや本文に使う縛りはありませんが、関連性がどうしてもわからない作品は都度確認するようにします。
※締め切りは 2012/3/31(土)23時?翌日10時 (質問者の都合により変動)
※ポイントは均等配分……にはしません。加点/減点要素両方の積算で+が出れば基本点に乗せます。
※何度編集してもOK。編集履歴は一切気にしません。締め切り時点の内容で評価します。
※講評/コメントは、希望者のみにします。ご希望の方は投稿後にご希望の辛さ(辛口/中辛/甘口)をコメント欄にお願いします。


●質問者: GM91
●カテゴリ:芸術・文化・歴史 ネタ・ジョーク
○ 状態 :終了
└ 回答数 : 12/12件

▽最新の回答へ

1 ● グラ娘。
●30ポイント

むげん探偵シリーズとは……
名探偵・無籐限(むとう げん)が登場する推理小説である。
メソィスト賞受賞作である『1万と1番目の真実』では、探偵である無籐が、助手の更場井に対して、思いつく限りの仮説を述べる場面が作品中の大半以上を占める独特の作風と、実際に1000を超える犯行手段の実行の可否を作中で論じたことで話題となった。
同様の構成は後のシリーズでも踏襲され、数十作にも及ぶ続編が刊行されている。
39作目となる最新巻『1万と39の可能性の向こうに』でその長いシリーズの歴史に幕を閉じた
なお、『1万と39の可能性の向こうに』の解決編は2とおり用意されており、文庫版に収録されたものが、正典であるとの意見が多い。


「先生どうします? 更場井俊樹シリーズ。やります?」
「いや、やらない。浮かんだ。アイデアが。推理やめるわ。
美少女たちの格闘小説、次作はこれで行く」
『さらば愛しき推理小説よ』
「いや、待て、文庫版の原稿の改定まだ間に合うな……。それなら……」


「さらば、愛しき我が助手よ」
助手と言われたのか、名前を呼ばれたのかは、私にとってはどうでもいいことだった。これで、長い長い探偵助手生活も終わりを告げる。
探偵自身のその才覚、悪意によって。

「ま、まさか……探偵助手が犯人なんて……」
声を漏らしたのは、若い刑事だった。
探偵は言う。
「すべての可能性を消去して、残るのが真実なのです」
探偵の推理発表が行われようとしていたその時……
「ちょっと失礼」
懐から携帯を取り出し話始める歳かさの刑事。
「鑑識の結果が出た? なに? そうか……わかった……」

電話を終えた警部に探偵が聞く。
「今のは……?」
「DNA鑑定の結果です。被害者の爪から採取された皮膚の鑑定が終わりました。それによると……」
探偵が割って入る。
「聞くまでもないことですね。容疑者の誰とも一致しない。そして、血液型A型の女性なんでしょう」
刑事の顔に驚きが浮かんだ。
「ど、どうしてそれを……」
「簡単なことです。助手の……性別、血液型を言ったまで。そう、犯人は決まっているのですから」
「し、しかし女性というのは……」
探偵助手が言う。
「ええ、皆さんには黙っていましたが、私は遺伝子上は女性なのです。さすがですね。無籐さんにも隠していたつもりだったのに」
「推理だよ」
「その、名推理がこれで聞き納めになると考えると寂しいですね」
「ほう、では犯行を認める気かい? そもそもDNA鑑定をすればいずれ事実は明らかになると思うが」
探偵の余裕はなくならない。

探偵助手は言う。
「いいえ、ここで言わせて貰いましょう。あなたの台詞を」
探偵助手は、静かにあたりを見回す。そして、言う。
「私は数多の仮説を乗り越え見ました。この中に存在するたった一人の犯人を」
周囲がざわめく。何を今更……。何が始まるのか……。
探偵助手は続ける。
「1万と39とおりの可能性、そのもうひとつ向こう側に真実はある。わたしと同じく犯行機会を得られた人物が……たった一人だけ……」
にわかに探偵の表情が曇る。探偵助手は続ける。
「それは……あなたです。
無籐限!!」
刑事の誰かの声だろう。
「し、しかし……。犯人は女性だと……」
探偵助手は補足する。
「おそらく、DNA鑑定をすれば、私のものと一致するでしょう。しかしそれは当然のこと。ですよね? 無籐さん。いや、あえて姉さんと呼んだほうがよいのかな? あなたの言うことなら誰もが信用するでしょう。この私の言う事などたわごととして、処理される。それを目論んでいることもわかっています。しかし思い通りにはならない。あなたの双子の片割れである私にも、あなたと同等の推理能力がある。そして、ついに真実に辿り着いたのです」
探偵は狼狽する。
「何を……馬鹿なことを。刑事さん、とりあえずこいつを、こいつを黙らして、連行してください。謎解きはそれからゆっくりと……」
「私には動機がない。だけどあなたにはそれがある。どうです、刑事さん、今ここではっきりさせませんか?」
探偵助手は、年かさの刑事を見つめて言った。
「聞こうじゃないか、その動機とやらを。判断するのはそれからだ……」
探偵助手は語る。二人が生き別れとなった顛末を。そして再びめぐり合った偶然を。
そして……探偵に存在する確固たる動機を……。

「さらば愛しき名探偵か」
誰とも無く、そう呟いた声が静寂をほんの一瞬だけ引き裂いた。


たけじんさんのコメント
げ、もう完成ですか。すごいなぁ

グラ娘。さんのコメント
いや、今から書くんですけどね。執筆スタイルの違いですね。 漠然とストーリを考えて、一気に一時間くらいで書き上げるのが私流なんで。 そのあと推敲もしない。なので、ストーリが1分とかで固まれば一時間弱なんです。 所要時間。だから、クオリティも低い。

たけじんさんのコメント
いやいや、クオリティの問題なら、全然低くないですよ。 とても短時間では、私にはできないな。初稿なんて、目も当てられない。 どうしても、ここを直そうか、こっちのほうがいいか。できたかな、と思ってほおっておくと、あそこだめじゃないとか、ををこうしたほうがよくない?的なことが浮かんでは消え浮かんでは消えという、優柔不断な私で。 ダメですねぇ。そのまま消えていくものも多くて。いつでも未完成品を提出してるようなもので、未熟なんですよ、ええ。

minoru-0413さんのコメント
お題の使い方、内容、発想、クオリティ、早さ、とにかく挙げきれない程見習わなければならないことが…!! 私もこういう大人な文章書きたいなぁ…。 完成楽しみです!

グラ娘。さんのコメント
いや?お二方からそういっていただけるとちょっとどころか嬉しいですね。 どうせなら、お二人がかきつばた主催者のときにもごもご……。 基本的には、書いてて楽しいから書いているのであって、時に読んで貰うのを想像するのが楽しくなって、ちょっと凝ってみたり。 でも勢い重視なんですよね?。 凝って書くためのモチベーションが中々上がらない。 その辺が今後の課題。あと結構ハテンコウを目指してたり。 でもって、本人的には若ぶって、年代関係なく読める作品を目指してたり……。 趣味に走るのも悪いくせですが、何がいい結果に繋がるかわかんないのがかきつばたの良いところでもありますから。

GM91さんのコメント
激辛…言うと思いました。 では遠慮なく。 1)自分でもやっといて何ですが、連呼すりゃいいってもんでもないですね。 『さらば愛しき前作でトリック? 『さらば愛しき読者層の? ここらへんちょっと無理があるように思いますのでもう少し練られてみては。 2)『』は「」の入れ子で使ってるので別の表記にした方が方が読みやすいのでは 3)誤字1点見つけちゃいました 4)「九州方面っぽい方言」シャレなのは重々わかるとですが、元長崎県民からすっとバリ違和感のあるとです。 + + + + + + 1)?3)は改善されると加点対象です。 4)は放置されると減点対象です。郷土愛を振りかざしたいのではなくて 「できるのなら手を抜かずに書く」 「できないのなら無理して書かない」 どちらかにしないと作品が安くなるだけかな、と思うのです。 ぐらむす。さんクラスの相手には敢えて言いますが 「っぽい方言」とか「駄文」というようなexcuseは無用。 「どやこれ面白いやろ!」という渾身の一作を期待しますぜ。

グラ娘。さんのコメント
1)ですが、あえて連呼かつ無理があるところにおもしろさを感じてるのでそのまま。 2)タシカニ。入れ子を止めてみました。 3)多→大の誤字なら直しました。 4)これも、あえて……なのですが、本場の人にはちょっと通じにくいかも知れないですね。 そこで、アルよとか?デースとか外国人風にしようと思いましたが、パターンが思い浮かばず断念。マイナーチェンジに留めました。 で、本題。ごめんなさい。大幅に書き直しました。まさか、あのタイミングで講評入ると思ってなかったんです。。。。頂いた講評は無駄にはしません。私の中で生き続けます。 だから許してください。

GM91さんのコメント
1)連呼は別に良いのです。ただ文脈やリズムに無理が在ると醒めるので、という話。 2)3)了解です 4)通じにくい、というよりも「不自然に感じるので興ざめ」と言いたかったのです。私が別の地方の出身なら気にならないのかもしれませんが、どうしても引っかかってしまうので、何を狙っているのかわからず混乱してしまうのです。

GM91さんのコメント
で、本題。 また差し替えて来るとは…… さては貴方が無籐限ですね? 差し替えはルール通りなので何度でもやっちゃって下さい。 でも、こっちの方が断然良いですよ。

GM91さんのコメント
お疲れ様でした。 今回はぐらむす。さんが貢献度1位なのですが、勝負は勝負ということでご了承ください。 さて講評です。 アイデアは面白いですし、文章もこなれていて読みやすいです。 ただ、ちょっと気になるのは、所々の文章がちょっと笑ってるんですよね。 確か本多勝一だったと思いますが、「人を笑わすのに自分が先に笑っちゃってる」ような感じです。 うまく表現できなくて申し訳ないです。 あと、動機について具体的に書いてくれてたらなお良し、というところでしょうか。 今後ともよろしくお願いします。

2 ● あるぴにっくす
●25ポイント

hommage to "Farewell, My Lovely" of hommage

「いつ来ても工事中じゃのう、新宿の南口は」
そろそろ春物の服装に装いもあらためようかという3月のある日の昼下がり、時代遅れを感じさせる膝丈のトレンチコートをはおった男が、人通りも激しい駅の出口で呟いた。
トレンチコートと同色のソフト帽の下からは、昭和の匂いを感じさせる男臭い人相が覗いている。甲州街道が目の前を走る南口の改札前は、常に人通りが激しく、待ち合わせに使われることも多いため、そんな風貌の男が一人、用も無さそうななのに立ちつくしていても、繁々と目に留めるものもおらず、注意を集めることもない。

予告タイトル(リンク先音声注意)



「この格好は暑くて、かなわんな。さっさと、不心得者にお灸を据えにいくとするかな」
春の陽気に悪態をつきながら、それでもトレンチコートを羽織り、男は駅前の交差点を渡ろうと踵を返した。
不意に、膝から下にクッションが押し当てられたような軽い衝撃があたる。とっさに視線を泳がせた先に、地面に転がりそうになる小さな人影を認めた。
慌ててトレンチコートのポケットから両手を抜いて、人影をすくい上げる。
年のころなら、10歳くらいだろうか。差し出した右手に抱かれているのは、地味な服装をした華奢な体格の女の子だ。
「すまん、すまん・・・?」
怪我はなさそうだ、だが、女の子は視線が定まらない様子できょろきょろとしている。そもそもトレンチの男に抱かれている状態だというのに彼が視界に入っていない様子だ。
それもすぐに合点がついた。彼女の右手には、視覚障害者が使う白杖が握られている。
慌ててトレンチコートは彼女を細心の注意をもって地面に降り立たせた。
「大丈夫かな? えーと、のぞみちゃん?」
彼女の白杖には名前と思しき"のぞみ"という記述と、所属する施設とおぼしき団体名が記載されていた。名称からして新宿からは相当な距離がある場所の施設だ。
「あ、ありがとうございます。おじさま? でいいのかしら。道が分からなくて迷っていたの」
見かけの年齢よりも随分と大人びた話しぶりにトレンチコートは文字通り襟を正した。
「おじさま、でオーケーじゃよ。ところでワシは刑事でもあるからして、道案内なら喜んでやらせてもらうがの」
「え、ほんとう? じゃあ私の行きたいところはね・・・」
彼女が口にした名称に、トレンチはわずかに頬をひくつかせた。自分がこれから向かおうとしていた場所と同じ、ということもあるが、その場所が"のぞみ"ちゃんのような子供と接点が無い場所でもあったからだ。
いつの間にか甲州街道から自動車の音が消えていた。信号機が青に変わり、信号灯の脇のスピーカから流れるカゴメカゴメの音楽が、昨日まで意識していた以上の音量で聞こえた。

【JAR東方日本 本社ビル】
それだけで小さな家の玄関サイズはありそうなビルの礎石の横を、トレンチはのぞみちゃんの手を引きながら通り過ぎる。
全面ガラス張りの入口を通り、受付に向かう。
・・・彼女、のぞみちゃんの話はこうだった。
発端は彼女の施設の若い女先生が3日前から帰ってこなくなったことだった。女先生は電車が好きでのぞみちゃんにも色々とその方面のことを教えてくれた一番懐いていた先生だった。施設にはお金があまりなく、古い鉄道雑誌などを使って教えてくれていたが、今月中旬、彼女の名前と同じ" 新幹線のぞみ"が退役したというニュースを知った。そこで彼女に一目、動いている新幹線のぞみを見せてやろうと、先生は「大丈夫お姉ちゃんに任せて!」と新宿南口に行くと言い残したまま、行方がわからなくなってしまった。そもそもどうやって、誰に頼んで「退役した新幹線のぞみ」を見せてもらうのか、も分からず、悪い人に捕まったのではないかと、心配になったのぞみちゃんは施設から一人抜け出し、"新宿南口にある鉄道会社"のキーワードを便りにここまで来たのだという。

警察手帳を持った自分ならともかく、彼女のような女の子が一人で訪れても門前払いがいいところだったろうに、と、トレンチコートは思わず洟を啜った。

のぞみちゃんの手を引きながら、横十mはある受付カウンターのど真ん中に取り付く。
「電話いただいたICPOの者だが、社長に取り次いでいただけますかな」
胸の内ポケットからさり気なく見せた身分証明書は予想以上に効果的だった。受付嬢はのぞみちゃんには目もくれず、水飲み鳥のように首を上下させ、内線電話の受話器を持ち上げた。


「社長、これは脅迫状ではないですか」
JAR東方日本、社長の中山田から渡された紙は、電子メールをプリントアウトしたものだったが、内容は明白な「企業強請り」だった。署名には世間を騒がしている有名な窃盗グループ名が記載されている。
「今どき、脅迫状はEメールか。それにしてもこれは偽物ですな」
「偽物? メールが?ということですか」と、社長。
「いやいやそうではなくて、あの窃盗グループがこんなチンケな企業強請りをするわけがない、という意味の偽物です」
Eメールの内容は≪今月退役した300系新幹線の運転席の部品がオークションに流れているぞ、黙ってて欲しければ・・・≫という脅しだった。どうせ、横流ししたのもこの一味で、JAR東方日本が騒いでくれれば、出品した商品の信憑性が上がり、更に値が吊りあがるということを期待してのことだろう。そもそも300系のぞみは東方日本の車両ではなく、主にJAR東海林の車両である。こいつらは強請る相手を間違えている。
「放っておいてよいでしょうな。有名な窃盗グループの名前を騙っているだけの小物でしょうし。そもそもやつらなら強請り先を間違えるなんていうミスはしませんよ」
社長から随分泥棒の肩を持つのだな、と突っ込まれたが、そこは無視した。
話が一段落したのを察したのか、一緒についてきた のぞみちゃんが、トレンチの袖を引っ張った。邪魔にはならんだろうし誰も突っ込まないので、そのまま社長室まで連れてきたのだが、流石に居心地が悪くなったのだろうか。と思いきや、のぞみちゃんはしっかりした声で社長に自分の話をぶつけた。
「社長さん。社長さんの名前、私の先生と同じ名前なんです。実は3日前に先生が、動いている『新幹線のぞみ』を見させて欲しいってお願いしにきたはずなんです。もしかしてお願いしにきたのって、社長さんじゃありませんか? だとしたら私の先生の行方をご存じありませんか?」
社長の両目が僅かに見開いた。
「そ、その、先生って名前は?」
「中山田悠里先生(CV島本須美)です」
「し、知らんぞ悠里(CV島本須美)なんていう名前は」
括弧書きの中まで即答で鸚鵡返しする、不自然な返答をトレンチは聞き逃さなかった。
さっそく頭の中に叩きこんだ過去十数年分の新聞記事を咄嗟に呼び起こし・・・・思いだせないので昭和風情の慣れない指捌きを駆使してスマートフォンで検索した。
・・・検索中・・・・
5年ほどまえの記事に、
【JAR東方日本社長の一人娘、失踪。父親との確執か】
という見出しを見つけた。
ははーん、そういうことか。

「のぞみちゃん、一旦帰ろう。少なくともこのビルにキミの先生(CV島本須美)はおらんようだ」
括弧書きの注記を知って、トレンチの中身が俄然やる気になったのは内緒だ。
二人は建物を後にした。

「ねえ、おじさん。悠里先生の場所、知ってるんですか?」
その夜、二人は新宿を離れ、豪邸の建ち並ぶ街並みを歩いていた。車の往来も少なく、水銀灯の明かり以外に二人を照らすものもない。
行方知れずだった娘がひょっこり戻ってきて、男親のすることと言えば一つだ。
無理やりにでも家に連れ帰り可能な限り逃げ出さないよう監視することだろう。そしてそんなことができる環境があの社長にはある。社長室から専用のエレベータで自分のハイヤーに乗せれば誰の目にも付くまい。自宅は豪邸で絶対服従の使用人が何十人も詰めている。
「まず間違いなくこの先の豪邸にいるだろうと思う。それにしても、悠里先生だって鉄道に詳しいなら自分の親父の会社に無い車両を動かしてくれって頼んでも駄目なことくらい気づきそうなもんだけどなあ」
素朴な疑問にのぞみちゃんが反論する。
「悠里先生もそんなことは知っていたそうです。でも頼れるツテは新宿にしか無いからって・・・」
会社に直接おもむけば、いくら父親とはいえ、無茶はしないだろうと踏んだのだろう。心根の優しさと甘さ加減はさすが(CV島本須美)なだけのことはある。
何度目かの路地を曲がったところで、ざっと百m以上続く万年塀が二人の先に現れた。その中からはドーベルマンらしき犬種の唸り声がひっきりなしに聞こえ、一般家庭には考えられないほどの堅牢な家屋が塀からかなり離れた場所に聳え立っている。
のぞみちゃんをこんなところに一人残していくのは気が引けるが、仕方がない。
「のぞみちゃん。15分だけでいいから、ここで待っててなさい。大丈夫、すぐ先生を助けてくるからね」
その言葉にコクリ、と頷くと、のぞみちゃんの前にいたトレンチの刑事の気配が不意に消える。
つづいて、塀の向こうに軽い着地音が聞こえ、さらに音はなく気配だけが遠ざかっていくのが感じ取れた。
「ほんとに刑事さんなのかなあ・・・」


トレンチは15分という約束を正確に守ったようだ。暫くして塀の向こう側から軽い飛翔音と、塀のこちら側への着地音が聞こえた。それに続いて、少しもたついたようなそしてどこか懐かしいような気配が・・・、
「悠里先生!」
すぐにおじさんの声で「しーっ!」と窘められる。
でもすぐに「のぞみちゃん!」(CV島本須美)という叫び声が道に響きわたり、おじさんが頭を抱えるのが分かった。
「刑事さんありがとう。でも、刑事さんなのにどうしてこんなに"のぞみ"のこと助けてくれるの?」
のぞみちゃん、その質問は野暮だよ。ヒロインが囚われの身の(CV島本須美)と知って助けにいかない主人公がどこにいるのさ?
それにそろそろ三千字を越えてきたからかきつばた的には展開を急がないと。

「きゃ、きゃあー」(CV島本須美)
ブレーキ音を響かせながら急停車したFIAT 500の助手席にが開き、そこから出た赤ジャケットの男の手に絡め取られるようにして、悠里先生が車内に吸い込まれる。
立ち去る車の運転席から窃盗グループの男の声が響き渡った。
「中山田社長に伝えとけ! お前の娘の命が惜しかったらお宝物の300系の車両をすぐに用意しろってな」

(Aパート終了)

翌日、新聞各社の一面はネタに事欠かなかった
【JAR西方日本に残った300系"のぞみ"車両に爆弾を仕掛けた、との脅迫状届く】
【犯人はJAR東方日本の社長の親族を誘拐中との憶測】
【世界的窃盗グループの犯行声明? ICPOから専属対策班、緊急来日】

小田急ロマンスカーの展望車両に、のぞみと男は並んで二人で腰かけている。のぞみちゃんは持参していたスマートフォンのラジオ放送から事件の情報をしっかり聞き取っていた。
「ねえ刑事さん、たいへんなことになっちゃったね。悠里先生、大丈夫かなあ」
刑事は弁当をかきこみながら、不敵な笑みを浮かべる。
「大丈夫大丈夫、ちゃあんと悠里先生は無事に助け出すし、のぞみちゃんに"のぞみ"も見せてあげるよ。それとさあ、このロマンスカーもこの3月に退役した車両があってね、HiSE(10000形)、RSE(20000形)っていうハイデッカー車両なんだけどさあ」
「ええ、知っています。でもバリアフリー化の波に押されて退役っていう話も聞きました。なんだか私には申し訳ない感じです」
そんな会話を繋ぎながら、男は脳裏で別なことを考えていた。
どこのどいつだかしらないが俺様の目の前で、やってくれたからには必ず落し前つけてやるよ。

窃盗団一味のアジトにて
恐らくは剣道の羽織袴を着衣した男が他の二人に愚痴る。頭はパンチパーマなのが不似合い極まりない。
「なあなあ、車両に爆弾仕掛けた、とか報道されてるたり、俺たちのやってないことまで騒ぎたてられてるんだけど大丈夫なのかなあ」
派手な赤ジャケットの男が言い返す。
「なーに。こっちには人質がいるんだからびびるこたあねえよ。それより、300系のレア部品を大量にいただくチャンスじゃねーか。こっちには裏オークションで好事家が億単位の金を積んでくれるっていってんだ」
長い顎髭のスーツ男も続く。
「こういうことじゃねえか? 300系に爆弾騒ぎとなったら、こっそりと車両工場に移動させるしかねえ。西方日本の車両ってことなら浜松の基地にもってくるしかないだろう。そこで人質と交換しようじゃねえか」
「でもなんで爆弾を仕掛けたなんていうガセ情報が流れたんだ?」
「JARが自分で流したんじゃないのか。この状況なら西方日本から残ってる車両を関東方面に回してもらう大義名分が立つし、部品を分解して俺らと取引しようとしたら、どうしてもどっかの車両基地に入れなきゃなんねえし。よく考えりゃ一石二鳥じゃねえか。」
「どっちにしろ、俺らにも運が回ってきたってことだよな」

浜名湖インターを降りた一味のFIAT500は、ありえないくらい何か鋭利な刃物で縦横一刀両断にされ、インター脇の路肩に転がっているのが発見された。3人はロープでぐるぐる巻きに縛られた上、ご丁寧に「犯人です」というビラまで額に貼られているという念の入れようだった。

朝靄の残る東海道線、浜名湖大橋の上に、その日、あり得ない光景が現れた。もし事前に告知されていれば、その筋のマニアが垂涎だらだらで眩しいばかりにシャッターを切ったであろう。


退役したはずの300系車両が浜名湖大橋を1両目のみの単量編成で走っている。


「なあ、のぞみちゃん、本当に音だけでいいのか?」
線路を望む土手の一角で、300系のぞみが奏でる走行音にじっと耳を澄ませていたのは、のぞみちゃんだった。
その彼女は男に声を出すなというジェスチャーで手の平を向ける。
煩いぞ、ということなのだろう。
完全に車両が彼らの傍を通りすぎ、さらに数分が経過するまで、のぞみちゃんは直立不動のまま耳を澄ませていた。

「ふうっ! あれが私の名前と同じ300系なんですね。もう動いている音は聞こえないものとばっかり思っていたから。ほんとにありがとうございます!」
車両基地内で実物を触らせてあげようと思っての爆弾騒ぎを起こしたのだが、それを首を振って拒絶したのはのぞみちゃんだった。動いている300系の声を聞かせてください、と逆にせがまれたのだ。

土手の下から上がってくる複数の人気配がある。
「のぞみちゃん、300系”視られて”よかったねえ。まさか私もこんな手段で300系のぞみの実車走行見られるなんて思ってなかった。せいぜいどこかで廃車手続きするときの運行スケジュールでも父に聞ければ、と思ってたの」(CV島本須美)
悠里先生の声に続いて妙に色っぽい女性の脅し文句が続く。
「この貸しは高いわよ。確かにお姫様は届けたからね」
そして2サイクルエンジンのバイク音がけたたましく鳴ったかと思うと、女性の気配も遠のいた。

全てが上手くいったのだ、大変なことになった、と思ってからわずか1500文字ほどでこのハッピーエンド。オマージュ元も真っ青なこの展開は、本来どれだけの長さのプロットを詰め込んだというのだろう!
「ところでおじさん。聞きたかったのだけど、おじさんはホントに刑事さんなの? 社長さんのお屋敷から出てきたシーンからこっち、トレンチコートは脱いだままジャケットか何か着てるでしょう?」
男はやれやれ、見破られてたか、と溜息をついた。確かに読み返して見ると、その場面からトレンチコートの記述が無い。よく”観ていた”もんだと感心した。

どこからか近づくガソリンエンジンの音。
続いた急ブレーキの音はすぐ近くで止まった。
アイドリングしたままのFAIT500は何故かとてもワクワクするエンジン音のフレーズを奏でている。
緑色の派手なジャケットを羽織っている男が、ゆっくりと屋根に手を掛け軽くジャンプすると、ルーフから車内に乗りこんだ。
運転席の鬚の男の声は渋く、煙草を加えたまま器用に喋っているのが、見えていないのぞみにも分かった。
「いい雰囲気のところ悪いんだが、とっつあんの本物がこっちに向かってるんでな、急ぐぜ」
イエローのFAIT500は土手の斜面を張り付くように走り去る。
ルーフから頭を出しているのだろう、偽刑事を名乗っていた男の声がこだまして響いて彼女らに届く。
「またなー、元気でくらせよ?」

数分後、お約束のように反対側の土手下からパトカーのサイレンが近づいてきた。そのうち一台が彼女たちの傍に停車し、トレンチコートに同色のソフト帽の男が立った。
「もう行ってしまいましたわ」(CV島本須美)
トレンチコートは弾む息を押さえながら、のぞみと悠里先生に問いただした。
「あの男たちは有名な泥棒なんですが、貴方たちから何か大事なものを盗んでいきませんでしたか?」
のぞみは悠里の袖を引き、小声で耳打ちをする。悠里は目を見開いて驚いた顔を、そしてにこにこと笑みをこぼした。そしてやわらかな声音で最後の台詞を口にした。
「ええ、とっても特別な、そして今日しか存在しない宝石を盗んでいきました。”ダイヤ”です」

<fin>


講評/コメントはお任せします。お好きなように。


GM91さんのコメント
ありがとうございます。 とりあえずのコメントなのですが、誤字、てにをは、慣用句、重複表現といった細かいミスが目立つので、もうちょっと推敲というか校正をお願い致します。 基本的なプロットは面白いと思いますので。是非。

GM91さんのコメント
あと、フィクションなので別に構わないですが、300系の先頭車にはパンタがないので…、あと1号車(博多側)なんてT車だし……ゲフンゲフン。 個人的には架空の車両にするか、16両で走らせた方が違和感がなくて良いです。

あるぴにっくすさんのコメント
はい、コメントありがとうございます。 誤字、脱字等は気づいたところで金曜くらいまでは修正しますが、それ以外の部分は、一旦投下した以上大きく直すのは主義じゃないので、基本このままの状態で講評下さい。 (作品単体で勝負するのが基本なので講評つくまではセルフライナーノーツとか、解説とか、反論とかも入れることはありません。)

GM91さんのコメント
いやセンセ、そこを何とかお願いしますよ。 構成はこのままでOK。でも見直しは必要です、「作品」なのですから。 セルフライナーノーツとか、解説は別に要りません。 でも、できること(推敲/校正)をやらないのは、私に言わせりゃ手抜きですよ。 せっかくの力作が台無しです。

GM91さんのコメント
講評です。 一言で言えば、「もったいない」でしょうか。 全体的に長いというか、つめこみ過ぎ消化不良の感あり。 もちろん、3000字でも5000字でもOKなのですが、本作はちょっと冗長な印象が拭えないです。 不要な箇所を整理すればざっくり半分くらいにできるのではないかな、と思います。 また、話の繋がりがちょっとぎこちない感じがするんですよね。 具体的な指摘事項を色々書いていたのですが、結構長くなったのと、あるぴにっくすさんの様な大御所に意見するのがちょっと腰が引けたので割愛します。 もし、気になるようでしたら追記しますのでお申し付けください。 基本プロットというか構想はすごく面白いと思いますので、お許しいただければ私がこれを原作にして執筆したいくらいです。

あるぴにっくすさんのコメント
「さらば愛しき・・・」という言い回しを聞くと、僕の世代だとチャンドラーより先に、そのオマージュ元である「さらば愛しきルパンよ」(ルパン三世第二期最終話)が想起されます。たぶん人力でコアな人の年代も似てるんじゃないでしょうか。 ルパン第二期の最終話である「さらば愛しきルパンよ」は作品内容も、製作背景も大変に印象深いアニメです。 それまでのシリーズ全てを根底から覆すかのようなテンポと設定、そしてわずか20数分の尺にこの内容は"詰め込み過ぎじゃないか?"と思わせられる重厚なストーリや仕掛けは、一度これを見た人の心に強烈に焼き付いてることと思います。宮崎駿が"カリオストロの城"の前年に世に送ったこの作品は、只の30分アニメの一話という枠に収まらない、それほどに強烈なインパクトのあるものでした。 タイトルはその、"オマージュのオマージュ"という意味で、ルパンシリーズに氏が求めたというワクワク感や主人公の倫理論も踏襲させました。 >もし、気になるようでしたら追記しますのでお申し付けください。 残念ですが、具体的な指摘事項が無いと、作品への講評というよりは・・・。中途半端なヨイショをされる方が好きではないので書かないなら、書かないでいいです。 ※これは自分が自分に持っている矜持みたいなものなので他人に強制する気はないですが、人力検索で回答欄に一度書いたものを「質問者のこうして欲しい」という要望を受けて書き直すのは性に合いません。誤字脱字などの言い回しは直しますが、質問のためになる回答を作るのと、質問者の好む回答をつくるのって根本的に違うと思っているからです。

GM91さんのコメント
やはり講評は具体的でないといけないですね。仰るとおりです。 言いたくて堪らないので、気になった点をズバリ言いますと ・・・その前にもう一度だけ伺います。 あるぴにっくすさん。これ、投稿前に読み直しされました? スタイルとして一発書きするのは作者の自由ですし、見直ししないのも作者の自由。 もちろん、誤字×何ヶ所だから?何点、というような評価はしません。 ただ、その結果、明らかに練れてなくて読み辛い箇所が多いのは減点要素です。

あるぴにっくすさんのコメント
そこまででしたら、別に無理に講評とかいいですよ。 なんとなくこれ以上続けると険悪なスレッドになる様も見えなくもないですし。 >スタイルとして一発書きするのは作者の自由ですし、見直ししないのも作者の自由。 マジレスすると、基本構想はいつも全部頭の中だけでやります。下書きはしません(主義とも書きましたが、そもそもできるような環境にありません)。 電車の中とか歩きながらとかでプロットと登場人物とキーになるエピソードを足したり引いたりします。 導入から展開、結び(オチ)までテニオハ以外はほぼ全部決まってから書き始めます。 なので書き始めると早いです、今回のものも書いてる時間は一時間弱です。 見直しとかは基本的にできません。長文の場合はタグ込みでエディタでさっと書いてコピペなので、後で時間ができた時に直しを入れることはありますが。 そのスタイルがかきつばた主催者の意に沿わないことがある、というのは今回のことでよく分かりました。それはそれで尊重したいと思います。 >もちろん、誤字×何ヶ所だから?何点、というような評価はしません。 いや、別にいいですよ。それこそ質問者の特権でしょうから。 僕が言いたかったのは「質問者が回答内容を気に入らないから、書きなおしを要求する」ことの是非です。面白くないなら面白くないとすっぱり切って捨ててくれた方がいいですし、自分の文章が冗長傾向なのは自覚してます。 言論統制とか、多様性とか、Q&Aサイトの本分とか、小難しいことを言うつもりはないです。 単純に、質問者が期待(予想)できる範囲の回答"だけ"集まっても面白くないでしょ? まあ、リニューアルして”書きなおしが何度でもできる仕様”なんだから、回答欄を直すことになんでそんな拘るんだよ、という指摘ももっともだとは思います。単に頭が古いだけなのかもしれませんね。

GM91さんのコメント
う?んそんな堅苦しい話をするつもりではなかったのですが・・・。 そもそも色々誤解がありはしませんか。 まず、険悪になるかどうかはお互いの心がけ次第だと思いますよ。 少なくとも私は、相互理解の為に議論はあると考えています。 不快であればスルーしてもらって構いませんが、誤解されたままってのはちょっと看過出来ない性分なので。 お目汚しご容赦ください。 >スタイルがかきつばた主催者の意に沿わないことがある これは完全に誤解です。少なくとも私は執筆スタイルの否定はしませんよ。一発書きでも結構です。 ただ、「回答後の修正はしない」と「見直しをせずに回答する」は、別次元の話ですよ。 あと、下書きはしません、環境がありません、とのことですが、そうでしょうか? 私はエディタで一旦書いた後、投稿前に何度か読み直しをしますよ。 気に入らなければそこで推敲もします。 タグが面倒なら推敲の後で付ければ良いだけの話ではないのかな、と思うのですけど。 「やらない」は自由ですけど、「できない」ってのは違う。 そう思いませんか。

GM91さんのコメント
では、前置きが長くなりましたが、僭越ながら講評です。 もう締め切っちゃってるんで遠慮なくいきます。 誤用/誤解: ・合点がついた →合点がいった? ・恐らくは剣道の羽織袴を着衣した男 →剣道着のこと? 和装の男、くらいで良いのでは。 ・FAIT500 →FIAT500? もじったのならFAITで統一した方がいいですね。 ・1両目のみの単量編成 →1両目のみで、で良いのでは。 等 あと、てにおは誤りも結構残ったままだと思います。 ・用も無さそうななのに ・とか報道されてるたり 等 こういうのって、投稿前に何度か読み返せば気づくんじゃないかな? と思ったのです。 また、間違いってわけじゃないですが、重複/冗長/違和感のある表現が目立ちます。 「春物の服装に装いもあらためようかという」 「用も無さそうななのに立ちつくしていても、繁々と目に留めるものもおらず、注意を集めることもない。」 「FAIT500は何故かとてもワクワクするエンジン音のフレーズを奏でている。」 「軽い衝撃があたる」 「人影をすくい上げる。」 「大丈夫お姉ちゃんに任せて!」 →先生なんですよね? 「昭和風情の慣れない指捌きを駆使して」 「2サイクルエンジンのバイク音がけたたましく鳴った」→バイクは2サイクル特有の甲高い爆音を響かせ、とか 等 ストーリー的には: ・少女が盲目である必然性がよく伝わらない。意図的なのはわかるのですが。この設定必要? ・JARはもじって、車名や小田急は実名 →世界観の解釈において混乱。 ・300系を走らせた経緯がわかりにくい。誰が?どうやって? ・300系を1両にした理由は? ・アジトに居るはずの偽3人組が突然車中に居る? ・ラストの台詞がちょっと不自然です。 致命的なのが、人称(視点?)の揺れです。 当初、トレンチ(に化けた緑ジャケの人)視点で進むのかと思いきや ・その言葉にコクリ、と頷くと、のぞみちゃんの前にいたトレンチの刑事の気配が不意に消える。 つづいて、塀の向こうに軽い着地音が聞こえ、さらに音はなく気配だけが遠ざかっていくのが感じ取れた。 →突然第三者視点を経由してのぞみ視点になっています。 ・運転席の鬚の男の声は渋く、煙草を加えたまま器用に喋っているのが、見えていないのぞみにも分かった。 →ここも第三者視点? のぞみ視点だとヒゲは解らないですよね。 というような箇所が気になって、話にのめりこめない。 それに、照れ隠しだと思いますが 「全てが上手くいったのだ、大変なことになった、と思ってからわずか1500文字ほどでこのハッピーエンド。オマージュ元も真っ青なこの展開は、本来どれだけの長さのプロットを詰め込んだというのだろう!」 こういうのを作品中に長々と入れない方が良いのでは。自分のギャグを解説してるみたいで醒めます。 余談ですが、「さらば愛しきルパンよ」は当時(再放送だったかも)、いつもと違う熱い展開に一体どうしたのかと興奮したのを良く覚えています。 大人になってカリ城とかを見直して、確信犯だったと理解しましたが、それにしても、あそこまで詰め込んだ物だと感心します。 でも、あれの良さってのは「成立させた」手腕だと思うのです。 つまり、「詰め込み」が悪いと言いたいのではなくて、詰め込むならちゃんと消化させないと。 で、 「ルパンシリーズに氏が求めたというワクワク感や主人公の倫理論も踏襲」 「一度回答欄に書いた物は直さないという矜持」 という思いがあるのであれば、もっと妥協なき推敲をお願いしたいと思った次第です。

あるぴにっくすさんのコメント
講評コメントありがとうございます。 >う?んそんな堅苦しい話をするつもりではなかったのですが・・・。 >そもそも色々誤解がありはしませんか。 時間差やいろんな温度差がある状態で議論するとどうしても、行き違いや誤解といったものがでてくるのはしょうがないことです。でもそういうのも含めて議論するのは嫌いじゃないですよ。 でも今回は議論は並行線状態が続くだけだと思います。 かきつばた主催者お疲れ様でした。こんな面倒な回答者のコメント欄に長々とお付き合いいただいて恐縮です。 正直、開催もとびとびになってきている状況で、新しい主催者の登場は喜ばしいことですし、主催者が変わればやり方も変わると思います。そこは尊重したいと思います。

GM91さんのコメント
色々、生意気を申しましてすみませんでした。 今後ともよろしくお願い致します。

3 ● sasuke8
●50ポイント ベストアンサー

さらば愛しき鳩サブレ―


鎌倉生まれ鎌倉育ちのおじいちゃんは、後から身につけた関西弁でその話をする。
弱気を助け、弱気をくじく、鳩サブレーの騎士の話を。


おじいちゃんがまだ20になる前、菓子職人を目指して修行していた頃に、おじいちゃんは恋をした。相手はお金持ちのお嬢様。おじいちゃんにとっては高嶺すぎる花。

「その夜、雨の中、おれは傘もささずに歩いとった。芙沙子が許婚と結婚すると聞いた夜や。芙沙子の親父さんはおれに言った。『お前に芙沙子を幸せにできるのか?』ありふれた言葉や。でも、おれは何も言えんかったよ」

「目の前が真っ暗になるってのはほんまにあることなんや。どこまで行っても何も見えへん真っ黒な泥の中。そして、目の見えへんおれは何かにぶちあたって、鼻先をしたたかにぶつけた。そこでやっと前を見た。そこに鳩サブレーの騎士が居った」

おじいちゃんがぶつかったのは、鳩サブレーの騎士が乗っていたサ?ブレッド(おじいちゃんは、?のところを「ラ」と「ア」の中間くらいで発音した)の側面だった。サ?ブレッドは、小さい子供が遊ぶ木馬を大きくしたようなもので、ただし形は馬ではなくデフォルメした鳥、鳩サブレーの形をしている。それに跨っているのは、ガチガチの西洋甲冑を着たいわゆる騎士の男。

「理由を聞こう!」
よく通る声で鳩サブレーの騎士は言った。
おじいちゃんは虚無感で感情が冷えていたからすぐに問い返した。
「何の話だ?」
「お前が下を向く理由だ! 若者よ!」
鳩サブレーの騎士の声は良く響き、張りがあった。
おじいちゃんはそれに反射的に怒りを覚えた。おじいちゃんの心の奥底に溜め込まれていた何かが出口を見つけて解き放たれて、おじいちゃんの枯れていた感情を燃え上がらせた。おれが人生で一番へこんでいるときに、なんでこんな変態がおれに話しかけてくるのか。変態のくせに、えらそうに!
目の前真っ暗状態の副作用だ。おじいちゃんは人を殺しそうな声音で言った。

「何でお前に……って問答するのも面倒だな。おれが下を向くのは、好きな女ひとりを幸せにできないからだ。おれは金も実力もない職人見習い。おれの幸せにあいつは必要だが、あいつの幸せにおれは邪魔なだけ。ほんと嫌になるほど、よくある話だな。これでいいか? なら失せろ!」
「うむ。了解した! 乗れ!」
そして騎士が伸ばした腕は若きおじいちゃんをかっさらうとサ?ブレッドの後ろに乗せた。
「な、何を」
「花嫁を迎えに行く!」

そして、サ?ブレッドは飛び上がった。鎌倉の街が一瞬で小さくなった。
おじいちゃんの勤めているお菓子屋が豆粒みたいに小さく見えた。その小さな厨房で自分があくせく働いていて叱られてへこんだり、喜んだりしていることを思うと、おじいちゃんは状況を忘れて、何だか愉快な気持ちになった。

サ?ブレッドは空中を旋回しながら方向を決めると、一気に空を駆け下りた。その先には大きな屋敷。おじいちゃんは叫んだ。
「やめろ!」
「何故だ!」
「あいつはそこで幸せになるんだ。それを邪魔する必要はない」
「何故だ!」
「何故? だから、おれはあいつを幸せになって欲しいんだ!」
「なら、お前が幸せにしろ! 大馬鹿者め!」
サ?ブレッドが加速した。空気の壁のようなものに一瞬おじいちゃんは弾かれそうになったが何とか鳩サブレーの騎士にしがみついた。
「若者よ、勇気を!」
鳩サブレーの騎士は高らかに叫んだ。


「そんで?」
「サ?ブレッドは屋敷の中庭に下りた。おれはそのまま芙沙子の部屋に行って、芙沙子を連れて逃げた。あそこには住み込みの人間もたくさんおったから、そいつらがみんな追いかけてくるのをかわしながらな」
「鳩サブレーの騎士は?」
「さあ……たぶん追っ手を止めてくれてたんちゃうかな」
「かっこええな」
「サムライよ。あいつは」

そうして、鎌倉を出たおじいちゃんは芙沙子さん(おばあちゃん)と一緒に大阪に出て、そこでもう一度菓子職人の修行をして一人前になり自分の店を持って子供が生まれ、その子が成長して電気メーカーに就職して結婚して、その長女として私が生まれたころにおじいちゃんは自分の店を閉めた。
「人生は単純やない。でも、おれは、悔いのない人生やったわ。鳩サブレーの騎士のおかげよ」
「何で、鳩サブレーやったんやろね」

その疑問には、おじいちゃんが亡くなってから、おばあちゃんが答えてくれた。
「おじいちゃんは鎌倉の豊島堂、鳩サブレーのお店で修行してたんよ。おじいちゃんもわたしもあのお菓子が大好きで、それが縁で知り合ったんやもの」
そこで、おばあちゃんはくすくすひとり笑い出して、
「鎌倉を出るときに、あの人が汽車の窓を見ながら泣いてたんよ。住んでいた街を突然離れるんよ。寂しいし怖い。だから、わたしも一緒に泣いた。そしたら、あの人、汽車が出るときにまじめな顔で『さらば、愛しき鳩サブレー』って言ったの。え、そこ? そこなん? って。もう可笑しくって。わたしその場で笑ってしもうたわ」
それを聞いてわたしも笑う。おじいちゃんおもろいな。
「そんで、それからもずっと、笑いっぱなしの人生やったよ」
そういっておばあちゃんは微笑んだ。おじいちゃん、おばあちゃんも悔いはなさそうよ。


と、そんなことを久しぶりに思い出していた。
実家に続く道、わたしの前には幼馴染の崇がいる。腐れ縁の京子に詩織、高峯先輩に、井野倉さんもいる。先生、料理長、師匠、そしてやっぱり家族。お父さんお母さん、美雪に聡史。なんとおばあちゃんとおじいちゃんもいる。シロまでそろってる。さらに、その後ろにも人がずらーっと並んでいる。
彼らは皆西洋甲冑を着て、サ?ブレッドに乗っている。
わたしにとっての鳩サブレ―の騎士。考えたこともなくはなかったが、すぐにやめたんだった。心当たりが多すぎるから。
この人たちがわたしの大事なもの。そして、これから……今更だけど、おじいちゃん、鳩サブレ―だけなんて、面白すぎる。

「薫! 答えい!」
おじいちゃんの声。じじい、ちょっと調子に乗ってるな。
わたしはおおきく息を吸ってから吐き、彼らにこたえる。
「わたし、フランス行きます! 料理が好きだから! ほんとに一人前になったら帰ってくるよ! だから、それまで」
『応!』
騎士たちのユニゾン。わたしの身体が本当にびりびりと揺れる。そして、その力がわたしの中からも湧いていることを知る。


sasuke8さんのコメント
少し長くなってしまいました。 講評は中辛でお願いします。

GM91さんのコメント
とりあえず……これ、面白いです。 何だろう。何かよくわからんのですが面白い。 上手く説明できなくて悔しいのでちゃんとしたコメントは暫くご猶予ください。

GM91さんのコメント
読み返してみました。以下、評価ポイントを思うがままに。 ・台詞回しが軽妙 ・場面切り替えわかりやすい ・鳩サブレ―の騎士っていうナンセンスさと、安定感のあるストーリーの共存 ・心情描写が上手です。ぐっとのめりこめます。 ・終わり方がキレイですね。読後感が良いというか。 で、まあ強いてアラ捜しすると以下です。。 ・お題はちょっとだけ消化不良かな。このままで十分傑作なのでどうでもいいことですが。 ・段落字下げした方が読みやすいですよ 大事なことなのでもう一度言います。 傑作です。びびりました。

sasuke8さんのコメント
講評ありがとうございます。 すごくほめていただいて、とても嬉しいです。それだけで参加して良かったです。 お題については、確かにこじつけた感があります……。というか話全体がこじつけっぽいですね。雰囲気重視で乗り切ろうとしてたので、台詞回しとか心情に共感していただけたのが良かったです。 こういうイベントはいいですね。お題があると考えるきっかけになるのと、〆切があるだけではかどるので。 楽しかったです。ありがとうございました。

GM91さんのコメント
BAおめでとうございます。 講評です。 …と言ってもあらかた書いちゃったので補足だけ。 ・短い文章で、奥行きのあるストーリーを感じさせるのが評価大。 説明台詞やモノローグが簡潔で的確だと思います。 ・もう一つのポイントは、「登場人物の視点が定まっている」ところです。 例えば、鳩騎士を「変態」と断じつつも、その行動を「かっこいい」「サムライよ」と素直に評価するあたり。 内容や文体は浅田次郎っぽい感じかなと思いましたが、この作品を読んだ後で思い出したのは「じゃリン子チエ」です。

sasuke8さんのコメント
「じゃりんこチエ」は意外でしたが、狙ってた関西弁による地元リアリティとしては、同じ系譜だったのかもしれません。あくまではるか先の目標ですが……。 丁寧で嬉しい講評に加えて、ベストアンサーまでいただけて、とても楽しく満足できました。 ありがとうございました!

4 ● minoru-0413
●30ポイント

月の船に、少年は乗っていた。
気付いた時にはもう地上から飛び立ったあとで、周りには星の魚たちがさらさらと泳いでいた。
船には彼とダレカが乗っていた。
ダレカは船から手を伸ばし、魚の背を撫でているだけだった。
無音の世界、群青の海の中をただひたすら船は進んでいく。
少年はダレカのように、魚に触れてみようかと手を伸ばす。
魚は少年の手に驚き、遠くへと流れてしまった。
指先がうっすらと光っているのに、少年はようやく気付く。
胸のあたりから青白い光が生まれ、海の中にするりと潜っていった。
指先の光もそれにつられて、後ろへと流れて見えなくなる。
魚たちが、光らなくなった指先に尾ひれを掠めて泳いでいった。
「光は魚になるの。」
ダレカの声に、少年は驚いて目を丸くした。
小川のせせらぎのような、細く綺麗な女の子の声だった。
光は魚になる。
先程海に潜っていったあの光のことだろうか。
「あなたのはどこに行くのかしら。」
ダレカは海の中から一匹の魚をすくいあげた。
少年は差し出された魚を手に取る。
青白い、眩い光を纏った魚。
見覚えがある。
「これはリゲル?」
オリオンの足の、明るい星。
それよりも明るく光っているようにも見える魚は、掌からはねあがり海へとすべっていった。
遠くまで行ってしまっても、明るくてよく見える魚。
「残念、シリウスの魚ね。」
ダレカは銀の髪をなびかせて笑った。
瞳は、少し悲しそうな色をしていた。
見覚えのある顔だったが、少年はダレカが誰かは分からなかった。
月の船は静かに水面をすべる。
星の魚は底の方に沈んでしまって、水面にはクラゲが浮いている。
白い傘は銀河のように渦巻いていて、その下に彗星のような触手を垂らしていた。
「海の中、宇宙みたいだね。」
水をすくってみたが、あの潮の匂いはしなかった。
冷たくやわらかい雫が零れていく。
口に含んでみたが、何の味もせず、ただ冷たさが沁みただけだった。
「ここって、天国なの?」
少年はダレカに訊く。
ダレカの手が少年の頬を撫でた。
冷たい手だった。
淋しさがこみ上げて、涙が溢れてくる。
けれど、それは今までのように温かくはなかった。
少年は静かに泣き続け、ダレカは少年を優しく抱きしめ、頭を撫でてやった。
「あなたは、ずっとずっと遠くまで、船で旅をするの。私も居る。」
ダレカは静かに言うと、少年の手を握りしめる。
少年の手も、また冷たかった。
涙が海に沈み、尾を引いて流れていく。
群青色の世界は、海の底の明りで月の船を照らした。
「怖くない。淋しくない。いなくなったりしないから、大丈夫。」
ダレカの優しい声に、少年は顔をあげ、涙を拭いて頷いた。
二人は顔を見合わせる。
ダレカが笑って見せる。
少年も笑ってみる。
不安は消えていた。

「行こう、ずっと、ずっと一緒に。」





古い、赤レンガの橋。
川には桜の花びらが浮かんでいた。
白いワンピースを着た女性が、赤い髪をなびかせて立っている。
蒼い瞳には何も映っておらず、意識は遠い昔にあった。
初恋、そして悲しい事故。
好きだった男の子。
女性は橋から身を乗り出した。
過去に囚われるのも、今日で終いにしよう。

「さらば愛しき日々。」





水の音がした。


minoru-0413さんのコメント
『3』のかきつばた、覚えているでしょうか。 中辛でお願いします。

GM91さんのコメント
待ってましたよ。 酔った勢いでズバリ言いましょう、私は弥演琉氏の高尚な世界がちょっと苦手です。ただ、作品としての質は高いと思います。 なんというか周波数がちょっと違うんですよね。80.2MHzを待ってるのに88.1MHzが飛んでくる感じ。 しかし、酔っているから言おう、あんたは他の人と違う何か(感性?)があります。 ごめんもう限界なのでまた明日… 不甲斐ないオジサンを許してくれ…

minoru-0413さんのコメント
高尚なんですか私の世界観は…!? ぶっ飛んでるだけだと思いますこれは… すみません、今までの作風で行くとこういう話になることは分かっていたんですが、周波数の問題だったとは…!! 他の人と違う何か…!! 中二病真っ盛りの私にとってそれは褒め言葉でしかありませんよ!? 大丈夫ですよ、御酒も大事ですから。 青臭い餓鬼なんかにコメント有難う御座います。

GM91さんのコメント
まず、作風はあなたの個性ですから、大事にしてください。 高尚って表現はしっくり来ないかも知れませんが、詩的っていうのかな?私には書けない美しい作品だと思います。 で、評価がね、難しいんですよ。う??ん。 ただ、少なくともこれまでの弥演琉氏作品ではピカイチです。 とりあえず、この作品も手直しする箇所なさそうです。 具体的なコメントできなくてゴメンです<(_ _)>

minoru-0413さんのコメント
何だか色々すみません、有難う御座います。 いつか周波数の合う時まで寝かせて頂ければワインみたいに味わえるんじゃないかなと思っている私は酒を飲めない年齢です。 コメント有難う御座います。

GM91さんのコメント
講評です。 独自の世界を構築しつつある弥演琉ワールドについて、私が口を挟むことはありません。 …というわけにも行かないので、ちょっとだけ。 今回、点数はちょっと渋いですけど、感性というより趣味の差だと思うのであまり気にしなくて良いと思います。重ねて言いますが、作品としての質は高いと思います。この作品について私が具体的な事を言えないのは、作品世界を尊重しているからだとご理解いただければ幸いです。

minoru-0413さんのコメント
『弥演琉ワールド』ってこれから使って大丈夫ですか← というのは冗談で。 世界観がぶっ飛んでるというかぶっ沈んでる感じなので、 よく分からなくなっているのは私の方だったり。 尊重してもらえて嬉しいですが、 読者に合わせたストーリー作りも出来るようになりたいと思いました、まる。

GM91さんのコメント
弥演琉ワールド、使う度に使用料として1ポイント…冗談です。 くどいですが、何度でも言います。 決して読者に媚びるなかれ。お主はお主の道を往け。 です。

5 ● グラ娘。
●25ポイント

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っと新しい出会いが待っている。
私はそれを信じたんだ。
魔法少女試験に合格して、ライセンスは得たものの、魔界への移住を悩み悩んで……。

思い出すなぁ、試験当日。
パートナーの妖精が遅刻して、そこらへんにいる野良猫を無理やりパートナーに仕立て上げたんだっけ。

なんとか試験に合格したものの、ホラーな雰囲気の大っ嫌いな私は、魔法少女の任務である魔界における人間活動領域の拡大という役割を果さないまま、いわば人間界に引きこもり。
いろんな魔法は使えるけど、使う相手に出会わなかった。
だって、悪魔とかモンスターとか怖いじゃない。
見るだけだって、想像しただけで気持ち悪くなっちゃうもん。

でも、私はついに決心した。
行こう! 魔界へ。
長年住んだ人間界。名残惜しいけど、また帰って来れるわ、きっと!


齢80歳、魔法少女ほのかの旅立ちが始まる。


しい姉さん。度重なる死闘で、もはや立ち上がることすら困難になったミツノ。
どうして、私は姉さんの意志を継いだのだろう。
『ファントム』のせいで、姉さんは……。
だけど……。
心のどこかで、理解している。
私も魅せられたのだ。『ファントム』に。

『ファントム』と交えることは、最大級の名誉。
自身がその代わりに君臨することを除いては。
愛する姉。数年前に、たった一度、ほんの数分間、『ファントム』を闘いの舞台に立たせた姉。
姉さんの、あの闘いも、ある意味では伝説。
伝説に第二幕はいらない。

『ファントム』への挑戦者が現れること。
それは、姉さんの闘いの記録の価値を貶めることにほかならない。
だから……。
だから、私は闘う。
すべてを擲って。

一人の少女として青春を謳歌する、その自由を、慶びを、失ったとしても……


バームクーヘンを作ろうと言い出したのは柳田先輩だ。
バーベキューの後の余興にぴったりです。
「棒を用意するんだ!」
生地は、ホットケーキミックスでお手軽に。
「棒に生地を塗り、一層目を焼け!!」
「焼けたら、二層目ですよね?」
「何度も何度も繰り返して、太くなったら完成ですか?」
皆で切り分けて食べよう。
間違っても炭火に落さないこと。
あっ!


イフルの射撃が空を切る。
「コイツ! 量産機のくせにぃっ!」
撃墜スコア40を誇る巡洋艦も落としたベテランパイロットが吼える。
テロまがい、海賊くずれの行為に身を落としているとは言え、先の戦争でも多くの武勲をあげた経験からくる自負がある。
思わぬ敵機の実力に、焦りが募る。

もう一度データを確認する。しかしそこに示されているのはやはり量産機。
おそらく特別なチューニングが為されているのであろうが、これほどの機動力を、彗星のごとく動きを為すような機体ではない。

「くそっ! 墜ちねーか!」
連射も虚しく、全ての射線を読みきったかのごとく動きで、ビームをかわし、敵機は肉薄する。

メインモニターにその姿があらわになる。
(こ、こいつは……)
大写しになった、敵機の頭部を見て、パイロットは観念する。
そこには、二本の金色に輝くブレードアンテナとツインアイが、はっきりと確認された。
(くぅ、識別信号はダミーか……。トンでもないのに当たっちまったみたいだな……)
パイロットの右腕は自然と胸元に――愛する家族の写真へと向かっていた。


あ、龍が出るか、蛇が出るか……」
少年の右手には大剣。傍らに寄り添う白い着物の少女。

物語は、数年前に遡る。
少年を侵した龍の呪い。呪いを解くには、9匹の龍の首を薙ぐこと。
少年は龍を求めた。

「げ、、、やっぱり……蛇か……」
「仕方ありません、龍は希少なのですから」
「あと2匹なのになあ」

病床に伏せる少年。看取る少女。
「ああ、あと一匹。口惜しい……」
「すみませぬ。私を助けたばかりに」
「気にすんな。お前が居なくても俺はあの龍を滅したって」
決意する少女。
「私の首を薙いでくださいまし。私に流るるは龍の血」
「ま、まさか」
「私の命と引き換えに、その龍薙の剣で。
私の首と引き換えに貴方様のお命を……」
戸惑う少年。少年を見つめる少女。少女を見つめ返す少年。
見つめあう……二人…………。
そして流れる……時間…………


――まった……
意味不明の文字の羅列で質問者や読者を困惑させつつ……
しかも、意味不明と見せかけて、漢字を拾うと意味の通じる
文章になっているという、素晴らしい仕掛け
続けざまに複数の物語を極力短く、そして壮大に書き上げる!
その物語にはすべて愛と別れを取り入れる
そして、すべての物語の頭文字を続けると……
さ・ラ・バ・愛・し・き・※※
ここまではよかった……
なのに、『し』で始まるストーリが浮かばないなんて……
しかも投稿順間違えて『し・さ・ラ・バ・愛・き』だし……
これぞ、まさに……
さらば愛しきアイデアよ
言い換えれるなら企画倒れ……
それもまた……
趣があって……
いいんじゃない?
というか、バームクーヘンのは壮大なのか?
愛や別れがあるのか?
あるんです……あってください……あれ……あれ?


GM91さんのコメント
まだ、途中ですよね?

グラ娘。さんのコメント
途中でした。でも終わりました。 こっちの講評は、多少きびしいところもあるけど、全体的に優しい。 スパイシーな甘口で!

GM91さんのコメント
これもお疲れ様です。ええほんとに。(^^; まあズバリ言えば、「策士策に溺れる」ってやつですかね。 ちょっと人を欺くことに夢中になりすぎかな、という感じでしょうか。 しかしながら着眼点と実行力には感服致しております。 各話が内容的にリンクできれば、大きく加点になったと思います。

グラ娘。さんのコメント
し、しまった?。 各話に登場する5?6人の少女達。それぞれが大事な何かを捨てるところでストーリは終わる。 で、最後に少女たちのバトルトーナメント開催って、プロットにしとけば良かった。 暇があれば書いちゃいますので、暇があったら見に来てくださいな。 かきつばた開催してくださって本当に感謝しています。 基本的に、無責任な文章を書くのが好き。そのうっぷんが溜まってたので、 予告から数えて7、8本分の回答に相当する文章をいろいろ書かせてもらいました。 後悔はしていません。やっぱり、わたしの才能って限りある資源のようで。 頑張っても良いのが書けない時はかけない。でも楽しく書いているので満足なのです。 個人的には予告編のが一番良かった気がするし、あれで自分のハードルをあげちゃって 後戻りできなくなった感もあったり。 次は、真剣勝負に挑戦しちゃいましょう。なにかが降りてきたら……。

GM91さんのコメント
じゃあアレですね。もっと降りて来るように今すぐお百度参りとか… 「各話に登場する5?6人の少女達。それぞれが大事な何かを捨てるところでストーリは終わる。で、最後に少女たちのバトルトーナメント開催」 例えばそういうことです。 でもまあ、直接対決じゃなくても、世界観が共通してるとかくらいでもOKかも。

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