原子核物理学関連の質問です。
(この分野に大変暗く、言葉の使い方などが適切ではないかもしれませんが、ご勘弁ください)
手元に“La vallee du fer(vallee de la stabilite)”(鉄の谷)という仏語のタイトルのついた曲線グラフがあります(画像データがなくてすみません)。
縦軸は「核子あたりの結合エネルギー」で、上に行くほど数値が低くなっていきます。
横軸は「原子量」で、右に行くほど数値が高くなっています(「質量数」ではなく「原子量」となっています)。
グラフの曲線は放物線を逆さにしたような谷のようなかたちを描いています。
谷の一番底にあたる部分には「鉄」と記されています。
この“La vallee du fer”を「原子核の安定性曲線」あるいは「ハイゼンベルグの谷」と訳してもよいものでしょうか。それとも「ハイゼンベルグの谷」とは3次元のグラフの場合に使われる言葉なのでしょうか。
原子量と結合エネルギーを2次元的に表したグラフであれば、単に「結合エネルギー曲線」と呼ぶべきかと思いますが。少なくとも、そのグラフは原子核の安定性について示しているものではありません。「原子核の安定性曲線」や「ハイゼンベルグの谷」では意味が違います。
原子核の安定性は、核を構成する陽子・中性子の内訳によって決まります。同じ原子量でも陽子・中性子の構成が異なれば安定性は全く変わり、結合エネルギーも変化しますので、そもそも原子量を横軸にして2次元の図に表すことは出来ません。
そのグラフは、あくまで「安定な同位体」を前提として、各原子の原子量と結合エネルギーをプロットしたものでしょう。