私は基礎医学の研究者(心臓の研究はしておりません)であって
心臓の専門医でないことを先ずお断りしておきます。
日本人の下大静脈の直径に関して報告した論文としては、2010年に
東北実験医学雑誌(The Tohoku journal of experimental medicine)に
掲載されたMasugataらのもの(222巻2号141?147頁)が挙げられます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tjem/222/2/222_2_141/_article
これによれば、心エコー(心窩部矢状断面)で計測した
下大静脈の直径(IVC)の最大値(IVCmax)
[※正常な場合、IVCは呼出時に大きくなり吸気時に小さくなります]は
年齢と共に減少する傾向にあり、その論文の中に描かれているグラフから
読み取ると、10歳代におけるIVCmaxの平均的な値
(※正常値と言って良いのかは判りません)はおよそ「約14mm」でした。
これを基にすれば、医者の「2倍太い」という言葉は
「直径28mm前後」を指している可能性があります。
私は心臓の専門医ではないので、IVCが平均値の2倍も太くなることが
先天的にあることなのかどうか判りません。
IVCの高値が、仮に先天的なものでなく疾患によるものであった場合、
例えば右心系の機能低下が疑われます。
心臓は、肺で酸素を取り込んだ血液を全身へと送る「左心系」と
全身から戻って来た血液を肺へ送る「右心系」があり、
右心系の機能が低下すると、IVCが高値になり
また呼吸による変動が小さくなることが知られています。
不安が拭いきれない場合は、その医者に
より詳細な説明を求めた方が良いかと思います。