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安泰、の「泰」の字は、白川静氏の字統によれば、「水のなかから、おぼれている人を救い出す大きな手」を形にしたものだとのことです。
ところで、「泰」という文字は、泰山という名称にもつながり、三皇五帝のうちの、泰皇の名称にもつながるため、古代中国では、大変に尊敬される漢字であったと思いますが、なぜ、
「水のなかから、おぼれている人を救い出す大きな手」
が、そんなに、崇められていたのでしょうか?

その理由を研究している書籍などはあるのでしょうか?

●質問者: 三条 佳子
●カテゴリ:芸術・文化・歴史
○ 状態 :終了
└ 回答数 : 3/3件

▽最新の回答へ

1 ● 伊達要一
●35ポイント

漢和辞典レベルの話ではありますが、易の六十四卦の一つとして「安泰」の象(かたち)を示していたことも一因なのではないでしょうか。
(漢語林の字義よりようやくしました)


2 ● gtore
●420ポイント ベストアンサー

結論から申し上げますと、「泰」が「太」と同義で、「太」は「尊い者に添える語」であることから、泰山や泰皇など「泰」の字が尊敬すべきものに使われているということしょうね(「泰」と「太」には、「尊いもの」の意のほかに、「非常に大きい」「一番はじめ」の意もあるようです)。

たい 【太】
4 尊い者に添える語。「太公・太后・太閤(たいこう)」

http://kotobank.jp/word/%E5%A4%AA

太という字は、泰の略字で、非常に大きいことや一番はじめとかもっとも尊いものという意味があり、太陽、太郎、太平洋などに使われています。
(中略)
参考文献 感じる漢字 高橋政巳著

http://ameblo.jp/happy2525tkg/entry-10849358947.html

『字統』『字通』に準拠した「成り立ちで知る漢字のおもしろ世界 人編」や 太 - Wiktionary によると、「泰」の字は、「水に落ちた人を両手でかかえて助け上げる」ではありますが、これとは別に、「太」の漢字は「泰」の簡略体で、つまり「泰」は「太」の意味も持つことになります。

「泰山」は五岳のなかで最も尊い山であり、人皇が「泰皇」と呼ばれたのも、天皇・地皇・人皇の三皇のうち人皇が最も尊かったからですね。いずれも「泰」が「尊いもの」という意味で使われていることがわかります

道教の聖地である五つの山(=五岳)のひとつ。五岳独尊とも言われ、五岳でもっとも尊いとされる

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%B0%E5%B1%B1

天皇、地皇、泰皇の三者が地上に君臨し、そのなかでも泰皇がもっとも尊い存在であった

http://books.google.co.jp/books?isbn=4569667309

では、「水におぼれた人を救う」といったことはどう関係してくるのか、ですが、
まず、泰 - ウィクショナリー日本語版 にありますように、「泰」の字は、会意文字と呼ばれます。会意文字とは、既成の文字を組み合わせてできた文字のことで、この「泰」は、「大」と「水」と「手」を組み合わせた漢字です。

音符「大」の下に、「水」をはさんで左右に「又(=手)」を添えた形。

これを踏まえた上で、
この漢字の成り立ち、形は、「水から人を救い出す様子」ですが、
この漢字の意味は、おぼれている人を救うことから「やすらか、落ち着いていること」となります。
しかし、これとは別に、「泰」は「太」と同じ「尊い者に添える語」でもあります
ですので、「水のなかから人を救い出す大きな手」が崇められた、ということではなく、「水のなかから人を救い出す大きな手」というのは、あくまでも形であって、「泰」という字の意味ではないのです。

参考:

字源
会意又は会意形声。篆書では、音符「大」の下に、「水」をはさんで左右に「又(=手)」を添えた形。水から人を救い出し安らかであること (白川)、両手でたっぷりと水を流す様(藤堂)。

意義
1.やすい。やすらか。落ち着いていること。
2.おごる。おごり高ぶる。贅沢をする。(以下略)

http://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%B3%B0

「水」のように不安定な物の上で人を持ち上げている様子を表した字。安らかで不安のない状態を意味している。また、「大」は大きいを意味し、そこから水を大きく汲み上げる様子ともいわれ、ゆったりと大きいことも表す字である。

http://kanji-origin.com/list/077.html


【追記】〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
いろいろ調べましたが、どうも、泰山が、?「孔子(紀元前551‐479)の生誕地であり、孔子思想の発信地でもある」?「道教の聖地である」?「始皇帝が封禅の儀を行った(紀元前219)」など、非常に霊験あらたかで崇められるべき山となったことで、「泰」の字が「尊いもの」に冠せられるようになったように思います。
なぜなら、泰安市も泰州市も「泰山」から「泰」の字を取っているからです。
紀元前以降、漢字の意味・用法が新たに生まれたとしてもなんら不自然なことはありません。

「泰安」は、泰山にちなんで付けられた地名

http://www.pref.shizuoka.jp/bunka/bk-320/taian.html

泰州の州名は泰山をもとに名を付けられました。

http://www.tztour.cn/tz/jp/listinfo.jsp?thePage=2&&catid=126

つまり、「水から人を救う」ことが直接は「泰」が「尊い」こととつながってはいないのではと思います。

なお、「尊いもの」という意味というよりは、「尊いもの」に冠せられる「接頭辞」と考えるほうがいいと思います。もし、「泰」の字の意味として「尊い」という意味があれば、現代の国語辞典にストレートに「尊い」と意味として載っているはずだからです。

接頭辞 (身分・世代が)最も上の,更に上の.

http://cjjc.weblio.jp/content/%E5%A4%AA

参考:

世界で最も古い地震の記録は、紀元前1831年に中国であった「泰山鳴動」だとされています。

http://books.google.co.jp/books?isbn=4860640667

泰山の歴史の古さがうかがえます。

帝发元年乙酉即位。……七年陟,泰山震。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1216660767

gtoreさんのコメント
質問者さん、何か疑問点があればおっしゃってください。

三条 佳子さんのコメント
ありがとうございます。とてもハイレベルなご回答だと思います。 ただ、「泰」の字が簡略化されて「太」の字になったということであれば、そもそも「泰」の字が、なぜ尊いのか? という疑問は残りますね。 「水のなかから人を救い出す」ことが、尊いことであるのは、たしかですが、世の中には、尊いことは、さまざまあるはずです。 そのなかで、「泰」は、使われ方をみるかぎり、最高級に尊いあつかいを受けています。 なぜ、「水のなかから人を救い出す」という、ちょっと、具体的すぎる行為だけを取り出して、最高級に尊いものとしているのか、とても不思議に思っているので。 なぜ、こんなにこだわるのかというと、私の名前に「泰」の字が使われているからなのです。

gtoreさんのコメント
追記しました。

3 ● toshi_nishida
●45ポイント

http://class.htu.cn/hzdam/05bkzl/hzyy/02yinianji_x/yxkw08/yxkw08_tai.htm
泰、太、汰は一つの会意文字で、大という正面人形の上に水滴があって入浴する様子を表していると言っています。ここから、入浴、順調、健康、裕福、豪奢、過分などの意味があると書いてあります。

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