自分の存在感が揺らぐというか不安定になる感じが怖い。
最初に読んだのは改訂版じゃない方だったはずですが、主人公に感情移入しながら読んだので、電車の中で読んでいても言いようのない不安感を感じながら読んでました。
これに収録されている「醉歩する男」の方。
こちらも不安定感というか、ちょっと酔うような感じになる。
日時を整理しようなんて考えだしちゃうと、ちょっと酔いが醒めちゃいますが。
頭のネジが二、三本ぶっ飛んでて、価値観や道徳観はめちゃめちゃなんだけど、傍から見るとそれが分からない。
女は怖いな、と。
# 結末は、イマイチでしたけれども。
こちらもネジが飛んでる系の怖さ。
細部は忘れましたが、箱に詰めて持ち歩いている描写が、ビジュアルが想像できてしまい、とても怖かった覚えがあります。
狂い壁 狂い窓 綾辻・有栖川復刊セレクション (講談社ノベルス)
復刻されていた。
ミステリーとしては、ぼちぼちな感じですけど、ホラーな怖さは満喫できると思います。
これは、グロだから駄目かな。
怖いという意味では、別格だと思います。
内田百?の短編集『冥途』をお薦めします。
見たくないのに目覚められない嫌な夢を見ているような気持ち悪さと、薄気味悪いながらもどこかユーモラスなところが好きです。
(私のお気に入りは、表題作の「冥途」、暗い峠を歩いているといつのまにか道連れになっていた男が不意に自分の兄だと名乗りだす「道連」、女を待っているうちに口の中一杯に毛が生えてくる「流渦」、などです。)
もし機会があれば、金井田 英津子(画)の絵本のほうもご覧ください。
『冥途』(パロル舎) - メランコリア - Gooブログ
No.4のataokoroinonaさんが小松左京を挙げておられますが、彼の怖い話を読むなら、
断然これがお買い得です。(この項はぶっちゃけ、質問者のたけじんさんじゃない方を向いて書いてます。未読のかたは、この夏ぜひ読むべしですよ!)
『小松左京自選恐怖小説集 霧が晴れた時』
収録作品は「すぐそこ」「まめつま」「くだんのはは」「秘密(タプ)」「影が重なる時」「召集令状」「悪霊」「消された女」「黄色い泉」「逃(ふ)ける」「蟻の園」「骨」「保護鳥」「霧が晴れた時」「さとるの化物」。…なんと豪華な(うっとり)
「猿の手」並みに有名な短編で、サキの「開いた窓」もいい感じです。
開いた窓 : 11005m
夫人が「窓を開けたままですが、気にしないでくださいね」と《陽気に》言うのが、
なんとも不気味でぞくぞくします。
もうひとつ。小説ではないのですが、どうしても言いたくて口がむずむずするので紹介します。落語の「もう半分」が、私はとても怖いです。
居酒屋に老人が大金を置き忘れ、店を営む夫婦がそれを着服してしまう。老人は絶望し川へ身を投げて夫婦に祟る、という噺です。
老人の恨みが形になって現れるくだりはもちろん怖いのですが、その前段、大金を老人に届けようとする亭主に対し、女房がねこばばをそそのかすセリフが怖ろしい。
《世の中ってのはさ、誰かが可哀相になるものなんだよ、この金届けてやればあのじいさんは喜ぶだろうけどさ、あたしたち夫婦は一生涯可哀相なんだよ。どうせ可哀相にするんだったらさ、他人の方を可哀相にしてしまいなさいよ》
こちらがもう少し詳しいあらすじ。落ちまでネタバレしてるので要注意です。
第57話「もう半分」
こちらは、ほぼ全文が語り口調でテキストにおこされています。
東西落語特選 もう半分
今晩終わりにします。まだ書いてない人は、急いで。
古き神々のあたりは、怖い本には入らないのかなぁ。