SFオールタイムベストの常連作品なので、たぶんご存知だと思いますが。
書きようによってはエイリアンのようなホラー仕立てにもできたと思うのですが、応酬的ではないラストが素晴らしい。SFではアルジャーノンの次に泣けた話です。
SFラノベの名作。
全ての人間の額に異星生物「星虫」が寄生(?)する話。
この作品の素晴らしいところは、寄生された人間がちょっとでも嫌だと思うと、星虫が死んで落ちてしまうところです。だから、星虫の数がどんどん減っていってしまう。しかも、だんだん星虫が成長するに従って寄生主や周りの人間に迷惑をかけるようになり、その内に星虫を外さなくてはいけない空気に社会がなっていってしまう。そういった中で星虫を守り育てていく、主人公の決意と成長が楽しく美しくて、ほんと王道のジュブナイルです。
なんですかね、尻Pはファーストコンタクト好きなんですかね。
この3つの作品に共通するのは、「異星文明が到来するが、異星人は到来していない」ということなんです。地球文明が他星系に到達するとしたらまずは観測用の無人機からでしょうから、逆もそうだろうと推測できます。だから、現実にファーストコンタクトが起きるとして、宇宙のただなかでバッタリ出会う可能性はゼロに等しいわけですから、観測機が文明圏に到達するという可能性が高いはずです。
そう考えると、さすがは尻Pって感じですね。
導きの星〈1〉目覚めの大地 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)
小川先生なら他の作品あるだろ、と言われそうですが、この作品大好きなんですよね!
「外文明観察官」としてある星系の知的生命の観察をしていた主人公が、その文明の個体と「うっかり」ファーストコンタクトしてしまい、次のスリープから目覚めたときにはその文明の神様になっていた、という話です。
序盤は短編集のようになっていて、話が進むごとに文明が進歩しているのがすごい楽しいです。ラノベですから細かいところは捨象されていますが、科学史好きにはお勧めです。
一番好きなのは、「天動説」を自力で覆して「地動説」を発見する話です。ちょっとゾクゾクしましたよ。
自分はこの作品が好きです。
◆コンタクト (映画) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%83%88_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
カール・セーガンの小説もとにした映画です。
SETIプロジェクトから話が始まり、最初は地味な展開です。ですが、遠い所からのメッセージを受信した後から徐々に物語は急展開し、SF要素が強くなります。
しかし……最後は、現実的な視点で物語は締めくくられます。
でも、主人公の女性研究者が「コンタクト」する相手の姿は……
これはネタバレなのでヒミツ。
そして、「柔軟に考える事」が大事だということもちょっぴり教えてくれます。そして、例え今は分からない事であっても、諦めずに取り組もうという心についても。
「こんな広い宇宙に地球人しかいなかったらもったいない」というようなセリフがあったように思います。自分も同じ気持ちです。
同じ気持ちを持っている宇宙人が、カール・セーガンも関わった、パイオニア10号、11号と、ボイジャー1号、2号がゆっくりと運んでいる「地球からのメッセージ」を見つけてくれれば良いのですが。
夏休みに自然学校に参加した少年少女15人は、海岸沿いの洞窟でココペリと名乗る謎の男に出会う。子供達は「自分の作ったゲームをしないか」とココペリに誘われる。ゲームの内容は、「子供達が無敵の巨大ロボットを操縦し、地球を襲う巨大な敵を倒して地球を守る」というもの。兄のウシロに止められたカナを除く14人は、ただのコンピュータゲームだと思い、ココペリと契約を結ぶ。その晩、黒い巨大なロボットと敵が出現する。ロボットの中のコックピットに転送された子供達15人の前には、ココペリと、コエムシと名乗る口の悪いマスコットが待っていた。これが黒いロボット・ジアースの最初の戦いであった。戦闘を重ねるにつれ、子供達はゲームの真の意味を目の当たりにすることになる。
僕は、作者の鬼頭莫宏の作品がとても好きです。残酷な描写も数多くでてくるのですが、命や人間について率直に描こうとする姿勢がとても好感がもてます。彼らが、コンタクトした敵ロボットの正体が一体何かということが分かった時に、なんともいえない気分になります。作品の終わり方にも賛否が分かれますが、僕は一番納得の行く形で結んでくれたと思うので、とても読後感も良かったです。
これだけは挙げさせて。
アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)
戦闘妖精雪風。人工知能ものって感じで読んでるんだけど、戦闘の対象は「ジャム」異世界の物体。コンタクト時の記述がほとんどないので、ファーストコンタクトというよりは、すでに戦闘が進行してしまっていましたが。
なんだかわからないけど戦わないといけないという状況と、得体のしれない敵。相手を絶対理解できないはずという前提で延々続いているのは、コンタクトものとしても秀逸です。
ファーストコンタクトなのかワーストコンタクトなのか。
最後の一行がすべてを物語る。
ファーストコンタクトって、ヨーロッパ人にとっては各地の原住民は「異世界人」。つまり、大航海時代には「ファーストコンタクト」がたくさんあったことになる。
有名ですから、ご存知の方も多いでしょう。キャプテンクックの航海。
太平洋の島々を発見(原住民がいるのだから、発見ではないのですが)し、名前を付け、原住民たちと取引をした。
ハワイ周辺の島々では、その土地の宗教での神に近い扱いを受け、歓待された。
しかし、後には島民との衝突を経て、殺されてしまう。
そのうえ、宗教上のしきたりで、島民たちはクックの遺体を食べたという。
その後、島の原住民との接触のパターンである、
見知らぬ島へ到着。
原住民に捕まる。
長老たちから、神とあがめられる。
→ 食べられそうになるが、何とか逃げる。
これは、このクック船長の事実があったればこそ。
ファーストコンタクトは、ここから始まったと言っても過言ではないでしょう
異世界の住人と、地球人との接触を描いた作品は数々ある。しかし、それらを全部「ファーストコンタクト」ものとしてしまうのには抵抗がある。その境界線を探る。
ファースト・コンタクトを、次のように定義しよう。
1 相互の知識が全くない状況が前提
2 接触時に、相互のコミュニケーションにおける共通項がほとんどない状態。
3 一方だけが、他方に対する知識を取得している状態ではない。
4 お互いにコミュニケーションを取ろうとする努力を行う。
5 生物同士の接触に限らない。
6 あらかじめ自動的な動作を設定されたもの(探査体等)による接触は含まない。
7 なんらかの知性による判断を伴う接触は含む。
さて、一方が他方に対する調査を行っていて、その調査の結果来訪する場合は、この定義のファーストコンタクトではないことになる。
・ウルトラセブンに登場する”宇宙からの侵略者”は、たいてい地球人を調査しているので、ファーストコンタクトではない。
・スーパーマンは、地球人側がスーパーマンの正体がわからないだけで、スーパーマン側がほぼ理解している状態である。これも、ファーストコンタクトとは言い難い。
・宇宙のランデヴーは、ラーマが作動しているだけであるから、ファーストコンタクトから外す。
・ETは、ET側に情報優位ではあるが、相互の心のコンタクトが存在する。そこで「”ET”はファーストコンタクトのボーダーライン」と位置付けられる。
・エイリアンはファーストコンタクトと言えるかもしれない。しかし、あの惑星で調査することが設定されているのであるから、人類の一部はエイリアンに対する情報をあらかじめ得ている。そこで、「”エイリアン”は、ファーストコンタクトに含まない境界線の作品」と言える。
・しかし、”プロメテウス”は予想外の接触があるので、ファーストコンタクトと言えそう。ファーストコンタクトで「病気になる」のはいやだなぁ。
・相互のコミュニケーションとは、意思の疎通だけではなく、捕食対象と認識することも含まれる。”アヴァロンの闇”はファーストコンタクトと言える。
・ほぼ自動的な破壊行為は含まない。”天空の劫火”は、ワーストコンタクトだが、ファーストコンタクトに含むのは抵抗がある。
・2001年は、向こうからの一方的な干渉なので、含まない。
・”前哨”は含まない。(これでもネタバレといえばネタバレ)
・へびつかい座の方から通信が来たら、ファーストコンタクトなんだろうなぁ。
・クリンゴン人とはどんなファーストコンタクトだったんでしょうか。
こんなことを踏まえて、ファーストコンタクトにコンタクト。
王道として挙げられるのは、これ
”竜の卵”
ハードさ、チーラの設定、チーラ側の歴史の壮大さ、結末。傑作です。
”惑星ソラリス”
原作より映画の方が「わけわからな度」が高い。(完成度はこのさい割愛)
”神の目の小さな塵”
接触から破綻、そして謎解き。宇宙戦争へ発展する経緯は、ファーストコンタクトもののお手本。
”夜の大海の中で”
相手の得体のしれない感じは、これを発端として次第に拡大していきます。
”サンダイバー”
太陽表面に観測された生命体の探査から始まる、普通のファーストコンタクトかと思いきや…
そして、もう一つ
”スタータイドライジング”
スタータイド・ライジング (上) (ハヤカワ文庫 SF (636))
ファーストコンタクトの定義からは微妙に外れるんだけど、サンダイバーから始まる”知性化戦争シリーズ”は、異星人たちの生態が様々で楽しいです。そして、この作品は主人公がイルカで、イルカと異星人とのコンタクトというのも、視点が新鮮で面白いところ。
”キャプテン・スカーレット”
キャプテン・スカーレット コレクターズボックス 5.1chデジタル・リマスター版 [DVD]
火星の住民との誤解を生む接触から始まった、地球人対ミステロンとの戦闘。子供向けとは思えない複雑な設定(当時、全部理解していたとは思えない。)、白い輪っか3個が映っているだけのミステロン。(懐中電灯を3こ束ねて、壁に投影して僕たちはこうつぶやいていた。”ワレワレハ、ミステロンダ”)バッドコンタクトと、悪いのはミステロンとは言えないという物語など、結構マニアックだった。
さて、これだけ挙げましたが、一押しはこれです。
いしいひさいちの傑作、「SF巨編 死斗!!地底人対最底人!」に登場する最低人。地上人たちを総攻撃して、地上の征服をたくらむ地底人たち。その地底人たちに悟られることなく、一方的に地底人に勝利する最低人。たぶん彼らは地上人の存在も知らないまま、地上人にも一方的に勝利しているに違いない。もっとも恐ろしい「ファーストコンタクト」と言えるでしょう。
付録
ファーストコンタクトが生み出したもの
1 欲望
2 病気
3 滅亡
アメリカ大陸にコレラを持ち込み、梅毒を持ち帰る。「コロンブスの交換」は、ファーストコンタクトのもたらした物。そのために、インカ帝国は黄金と引き換えに滅ぶ。クラークは言う「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」。故に、発達した側を途上側は神と崇める。その結果、南太平洋にはカーゴ・カルトが残る。
ファインマン曰く、
カーゴ・カルトは、空港やアンテナの偽物を作るけど、飛行機は来ない。科学者も同様、形だけを真似た疑似科学は「カーゴ・カルト・サイエンス」だと。
相互理解というのは、異文化に限らず、困難を伴う。
▽8
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eakum ●12ポイント ベストアンサー |
ファースト・コンタクトものは大好物なので、
必ずしも「ファースト」でもないものも含めて、認識上のショックを突きつけセンス・オヴ・ワンダーやコズミック・ホラーを味わわせる逆照射性たっぷりのものから —
ブルース・スターリング『蝉の女王』より「巣」。
知性/知的生命体の定義を問い直させる鮮やかな短篇。
ウィリアム・ギブスン『クローム襲撃』より「辺境」。
最後までエイリアンは出てこないながら、ギブスンらしいクールでシヴィアなコンタクト観がモダンでかっこよく、しかも意外とヒューマンに泣かす地味めな逸品。
ジェイムズ・ティプトリーJr.『老いたる霊長類の星への賛歌』より「汝が半数染色体の心」。
ヒト型&ヒト型のコンタクトながら、衝撃的な「人類」が登場する、ティプトリー史上でも指折りの「ジェンダーSF」系列の傑作のひとつ。次点で「一瞬(ひととき)のいのちの味わい」も味わい深い。
eakumといえばストルガツキー、ストルガツキーといえば『蟻塚』『波風』。
超知性文明<遍歴者>、犬型異星人のシチェクン、惑星サラクシのシャーマン等々と、ホモ・サピエンスの理解の埒外の異性文明の描写がいちいち楽しくワクワクゾクゾク。
アペリチフに『ストーカー』を先に、のほうがいいかも。
ヘヴィ&シリアスなものに続いて泣かせるものも少し —
ティプトリー『星ぼしの荒野から』より「たおやかな狂える手に」。
イントロでの設定がヘヴィな分なおさら、ラストに向かって泣きパワーが増します。
サーベル・タイガー―星野之宣自選SF傑作集 (Action comics)
星野之宣『サーベル・タイガー』より「冬の惑星」。
SF漫画家:星野之宣のSFセンスの最高の部分が鮮やかに表れた小品にして傑作。
ル・グィンやカードやティプトリー並みにさりげなくも深い泣かせです。