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【人力検索かきつばた杯】♯59かな?

かきつばた杯を開催です。

しばり:群像劇(的なモノ)
※しばりは無視してもOKっす、OKっすよ!

お題:グランドorグラウンド (グランパ、グランマとかもありあり)
※お題は完全無視さえしなければ、その語を使わなくてもOK。

木曜ぐらいに締め切り予定ですっ。

かきつばた杯についてはこちら
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CD%CE%CF%B8%A1%BA%F7%A4%AB%A4%AD%A4%C4%A4%D0%A4%BF%C7%D5

では、よろしく!

●質問者: 只野迂舞某
●カテゴリ:芸術・文化・歴史 ネタ・ジョーク
○ 状態 :終了
└ 回答数 : 3/3件

▽最新の回答へ

1 ● コイル
●40ポイント

イロトリドリ
subtitle:?グランドフラワー?(グランドフラワー・グラウンド改題)

* * * 石村隆史
気がつけば、俺は草村だらけの場所に立っていた。
天気は、大雨だった。空は雲だらけだった。
さらに、花は一つも咲いてなかった。木も枯れている。しかも、草に色はない。
おかしいね、さっきまで晴れてたし。急に雨なんて。しかも、こんな草村にはいなかったぞ?優紀の家で、ゲームしてたのに。
しかし、今から帰るとなっても、この出口は目には見えない。随分広い草村だった。
傘がなくて、服がびじょびじょになっていく時、俺はいろんなことを考えていた。

* * * 青木真奈美
「うぅ?ん、止みそうにないね」
私の隣で友花が言った。さっきからずーっと降っている。
「そうだね、これじゃいつまで経っても、帰れないよ」
私と友花は、長い間、この暗い洞窟で2人きりでいた。もう1、2時間になるだろうか。
少し寝ようか。私は横になってみた。すると、
「あ!私、ちょっと行かなきゃいけないんだよね、真奈美、ちょっと待っててくれる!?」と友花が言った。
「ムチャでしょ、こんな土砂降りの中」
と呟いた頃には、友花の姿はなかった。


* * * 大野優紀
僕は、草村の中をさまよっていた。
一向に雨は止まない。雨の中、僕は走ってるだけだった。
さっきまで、隆史とゲームしてたんだが・・・。隆史はどこへ行ったんだろう。
つーか、どこかに避難できるところはないのか?
僕は、また走り出した。と、その時。
「あの、ごめん。ちょっと話を聞いてくれないかな?」


* * * 田中友花
どこに行っただろう。私は雨の中探しまくってた。
さっき洞窟の中で、帽子をかぶった子供を見かけて、その子がどこに行ったか気になった。
私は息絶え絶えにして、走るのを止めた。すると、目の前には、優紀とさっきの帽子をかぶった子を見かけた。
「僕、「ソラ」って言うんだ。ここに住んでいるんだ」
優紀の前で、話を始めた。
「ここでは、空が雲で一杯になって、もう何ヶ月も雨が降ってるんだ。花も枯れちゃって」
ソラは、話しながら、空を指した。
「特殊な絵の具で、雨が降ってしばらくしたら、空を空色に塗り替えなきゃいけない。空が変色しちゃうから。実はその絵の具が、どこかに消えてしまったんだ。さらに、雨は色を侵食しちゃったんだよ。草に色がないのは、それが原因」


* * * 石村隆史
「ヘークショイ!」
くしゃみが出た。うぅ、寒い。
出口は全く見当たらない。さっきから走りっぱなしだ。
どこか雨を避けれるとこないかなぁー。と思ったら、目には小さな洞窟があった。
「あれ、隆史くん」
洞窟の中に真奈美がいた。
「真奈美、いたのか。ちょっとここで休んでいい?」
「いいよ」


* * * 青木真奈美
隆史が、洞窟に入ってきた。
それにしても、友花・・・遅いな。何してるんだろう。勝手に出て行くし。
「ん、なんだこれ」
その時、隆史が呟いた。? 気になったので、隆史の近くに寄ったら、
「ほら、空色の絵の具」
「本当だ。でもなんでこんなところに?」
不思議そうに呟いたあとに、後ろを振り向いたら、赤、青、の絵の具があった。


* * * 大野優紀
・・・って、わけで。絵の具を探すことになったのだが。
いや、正直に言わしてください。こんな広いところで、1個1個なんか見つけられるかよん!
って、思った途端に、下を見たら黄色の絵の具発見!え、もう見つけちゃった!早っ!!ウソでしょ?この世界はこんなに上手くできてんですか。
でも、黄色は空の色か?まあ、いいや。ポケットに・・・。
そういや、ソラ曰く、空色を含めて、全部で10色無くしたらしい。これで1個目だな。


* * * 田中友花
「友花、一緒に絵の具探そうぜぃ!」

ってわけで、その特殊な絵の具というのを探すことになった。
雨の中、走りまくっていると、小さな小屋があった。私は、小屋のドアを開けた。暗かったけど、はっきり見えた。
「あ!オレンジの絵の具!」
私はそれを見つけて、すぐ手にとった。オレンジかぁ。
そういえば、小さい頃、夕方に初めて逆上がり出来て、むっちゃ喜んだ時あったっけ。

* * * 石村隆史
「あ!優紀だ!お?い!」
優紀の姿が見えた。やっぱりここにいたんだ。
「あ、蘭丸っ!真奈美」
らんまる!?あの信長の家臣で・・・。
優紀は、最近人の名前をいじくることが趣味だ。前にたかっしーと言われたし。
「あっ、絵の具!3つも!!」
優紀は興奮して言った。そういや、手には黄色の絵の具を持ってた。
「何かに使うの?」真奈美が言った。


* * * 青木真奈美
「じゃあ、3・・・4人で探しに行こうよ!」
優紀から、事情を聞いて、私は言った。
私たちは、一斉に洞窟の外に出た。優紀と隆史は、手分けして、どこかに走っていった。
「うーん、なんかこの辺が気になるな」
ちょっとばかり気配がした。この草の下、土とか・・・。私は穴を掘ってみた。
「あ、緑の絵の具だ!」


* * * 大野優紀
「友花。何個集めた?こっち3人で7個も」
僕は友花に会った。
「あ、3個だよ!って、ことは・・・10個揃ったじゃん!」
「あっ!」
僕は思わず声を上げた。
「これで全部だな。じゃあ、そろそろソラっていう奴のとこに、行こうぜ」
僕が言うと、全員一斉にソラのもとへ走り出した。

僕たちは、ソラのもとへ来た。すると、ソラがこっちを向いて言った。
「あ、みんな!揃ったんだね!」
空色、赤、青、オレンジ、黄、緑、紫、ピンク、茶色、白の10種を持っていた。


* * * 田中友花
「じゃあ、これから色を元に戻すけど、君たちも手伝ってね」
私たちは、頷いた。

「今から、色を塗るから、この空色を塗って」
私は、地上から空に向けて、筆を動かした。
「うわっ、空が!!」
筆一つで、空の色が変わった。黒から、空色に一瞬で戻った。すごい!
「あ、空中のほうがいいから、羽を付けるね」
ソラが私の背中に、ピンクの羽を描いた。って、わっ!飛んでる!


* * * 石村隆史
「真奈美、俺このへんに花を描くから、真奈美そっち頼む」
「OK」
俺と真奈美は、花を描く役割りだった。2人で夢中になって描いていた。
優紀は、空の虹を描き、友花とソラは、空の色を元に戻していた。


「できたーっ!」全員が一斉に叫んだ。
空は青く澄み渡り、でっかい虹ができ、地上には、イロトリドリの花が1、十、百、千、万、億、兆、
京、垓、穣、溝、澗、正、載、極、恒河沙、阿僧祇、那由他、不可思議、無量大数 ・・・?いや、無限に!
色のない時とは大違いで、イロトリドリの世界ができた。
「ありがとう!みんなのおかげで、復活したよ!バンザーイ!」
ソラがお礼を言って、俺たちは最高に盛り上がった。


「って、世界を想像しながら、描いてみたんだけど・・・どう?善」
「ハハ、空想風景画か。イロトリドリでいいじゃん!隆史」
善は、俺の絵を見て、笑って褒めていた。善の言うとおり、ただの空想で夢中になって、描いた。
イロトリドリ・・・。多分、クラスメイトはびっくりするかな・・・。
「隆史、空想で描くって、お前も面白いやつだな。ハハハハハ!」
俺は照れくさくなった。

それから、俺はイロトリドリの絵を、ずーっと眺めていた。空想世界に入れるかなと思って。
f:id:shogo2469:20140226195132j:image


コイルさんのコメント
できたー! 疲れたわー。もう、1時間もPCを睨んでたからなー。疲れた。 グランド&グラウンドってことで・・・。 やった、一番乗りだ♪ 講評は、そうですね、甘口!(ビビリ) ちなみに、元ネタ曲は、 ゆず イロトリドリ(http://www.youtube.com/watch?v=6GOLuJjV2kU)

只野迂舞某さんのコメント
★ちょっと…… 草村←誤字 大雨、雲だらけ ←表現か、順序を変えたらいいと思うの いなかったぞ?優紀の家←『?』の後は一文字開けると読みやすい? ってな感じ ・・・ ←三点リーダで検索だ! (WEBにおいてはその限りでもないかも……) 1、十、百 ← 一、十、百(原曲だと123456789なのね。微妙) ★いいね! 草に色はない ←雰囲気出てる! びじょびじょ ←ナイスオノマトペ? るかよん! 夕方に初めて逆上がり出来て、むっちゃ喜んだ ★感想 まずもって、構成力とストーリーの流れには脱帽!! あたしなんかのずっと上を行ってる!! (甘口終了) 10色というのがきりがわるいかな。 苦労して三原色とか12色とか共感持てるカラーとか、元曲での登場アイテムに合わせるとかその辺の小道具にどこまでこだわれるかってのが、今後の課題でしょうか。 例えば7色にして虹を取り戻すとか。 あと、『黒』とか『灰』とかを物語のアクセント(対立要素)に使ったり。 でも、各キャラも活き活きとしていて、心地よかったです。 作中作というのは、ある意味逃げともとられかねないので使用するときは慎重に。 あるいは、それを最大限に生かすサゲ(オチ)を用意すべしっ! って、偉そうにすんません。 たぶん、あたしがこれくらいのレヴェルのお話書けるようになったのってコイルさんの倍以上の年齢になってからだと思うおっ! そういう意味では、うらやまし。 各キャラの初登場シーンでそれぞれの個性(そのキャラの持つ背景)を少し掘り下げて紹介してみたり、それぞれの役割とか分担とか繋がり、必要性とか適性とかそんなふうに話を広げて……。 ちょっと欲を言えばきりがないですが、多分かきつばたでは字数が溢れるとも思ったりおもわなんだり。

只野迂舞某さんのコメント
すっごく将来性を感じちゃう書き手さんだけに、甘口無理でしたっ! 愛ある中辛だとおもっておくんなましっ!

コイルさんのコメント
おおお!早速の講評ありがとうございますっ!! ・一、十というのはあれで・・・。「123456789なのね。微妙」←うん…やっぱり、一、十って飛ばさない方がいいかなぁ。 ・雰囲気出てる!←ありがとございます☆ ・まずもって、構成力とストーリーの流れには脱帽!! ←まちか!ありかとうこさいます!(濁点が…)まあ、群像劇てか、交換ノートっていう… まあ、全体的に、「色」の方に向いてんだけどね。 ・10色というのがきりがわるいかな。←あ?なるほど。 10色だと、限られるというか?12色とかもいいですね。 ・でも、各キャラも活き活きとしていて、心地よかったです。 ←ありがとうです☆活き活きしてると言われると、ホッとしまふ。 ・愛ある中辛だとおもっておくんなましっ! ←へい!精進しますっ! って、わけで…講評ありがとうございます。 いやあ、結構疲れたもんです。時間かなり潰れちゃいました。これのせいでw さあ、後から来る作品が楽しみだぁ!

2 ● 銀鱗
●40ポイント

「Dear Grandpa... Yen Sid」

落し物である。

あっちゃー、これ、やばいよね。
まず、そう口に出した途端に、背中に冷や汗がどっと噴き出した。
こんな時に限って、昨日充電を忘れた携帯電話は勿論使用不可、私だけが初めて来たというのに友達が地図を持ってるという事態。
迷子です。
こ、この年でぇぇえっ!?
虚しくなってる場合じゃなかったので、とりあえず店外に出る努力をする。
人の量は半端じゃない、店の大きさは対してないはずなのに、出口がとても遠く感じた。

計画を立て、超、超、超ッ楽しみにしていた今日この日に、いきなりのアクシデント。
そして友達とはぐれる…気分は最悪である。
この夢のような場所で、こんな時間を過ごすなんてとても不本意である…慣れないヒールに爪先も眼も泣きそうである。
そんな中で親切なキャストさんが、唯一の救い。
申し訳なくなってくるのだった。

声をかけて回るが、どうやら持ち主は近くにはいないらしい。
そろそろ時間だし、遺失物として届けることにする。
今日は祝日なのでいつもよりも混雑しているパーク内を、カストーディアルが颯爽と駆け抜けていく。
そのコスチュームの白さが、風のように遠ざかって行くのを眺め、キャスト用のドアを静かに開けた。

日々を思い出していた。
クールだけれど、とても優しいこと。
いつでも一緒で、それはそれは大事にされていたこと。
僕も、彼女を大好きだということ。
きっと寂しがっていることは言わずとも分かる。
けれど、運に任せるしかないのかと思うと、僕を呪いたくもなった。
でも、そんな僕が大好きな彼女のために、僕は待っていようと思うのだった。

もみくちゃにされながらようやく脱出成功、少し視界が開けた。
祝日でいつもより客が多いとはいえ、ここまでとは…田舎者の自分にはこの人の数は酔ってもおかしくないほど。
ようやく呼吸が楽になったようで、疲労に肩が…お、重い。
くらくらするような、あれ、視界もぼやけていくような…。
足に力が入らないようで、後ろの壁に寄り掛かると、そのまま下がっていく。
目の前を通った従業員の衣装の白さが広がって広がって…。
真っ白になって、真っ黒になった。

知っている顔だ。
そうだ、僕の相棒の友達、彼女だ。
僕の相棒が傍に居た。
相棒は僕に気付きもしなかった。
彼女が、倒れていたからだ。

落し物を拾った、アドベンチャーランドにまた戻ることにした。
女性はすぐに意識を取り戻し、支えてさしあげれば何とか歩ける様子。
落し物の持ち主の友人であるということだった。
救護施設に向かうことを最優先とし、その後またメインストリート・ハウスに向かうことにした。
彼女はどうやら軽い疲労だけのようで、少し安静にしていれば良さそうだった。
一緒に来たゲストとはぐれてしまったらしく、伝言サービスも必要だろうと思い、付添うことにする。

グランドエンポーリアムに到着した。
伝言を残し、待ち合わせ場所としてここの名前を書いておいた。
そういえば、あのお気に入りのチップとデールのペアのぬいぐるみストラップを買ったのもここだ。
ディズニーランドには行ったことがないというので、彼女が大好きなデールのストラップを誕生日にプレゼントしたのだ。
チップとはいつも一緒だった…どんな時も一緒だった。
メインストリート・ハウスにも届けられていなかった。
もし、見つからなかったらと思うと…ゾッとした。

親切なキャストさんは、伝言を聞くとそのまま、待ち合わせ場所のグランドエンポーリアムまで付き添ってくれた。
店の前の彼女に大きく手を振る。
友達はいつもの冷静さはどこへやら、私にガバッと抱きついて…目が赤いのが分かった。
そして彼女の大好きなチップのストラップとの再会に、ついに涙が堰を切ったようだった。
「すみません、どうもありがとうございました」
とキャストさんにお礼を言うと、キャストさんは
「まだまだ、サプライズは終わりませんよ」
とにこっと笑った。

「チップとデールが来てくれましたよ! お写真、お撮りしましょうか?」
チップとデールが二人に手を振ると、黄色い悲鳴が。
ストラップから、きっと喜んでくれるだろうと思って呼んでおいたのだった。
写真をお撮りすると、何度もお礼を言ってくれた。
その笑顔が、凄く眩しい。
小さい頃から固いと言われてきた自分でも、つられて自然に笑顔になる。
二人は疲れが吹き飛んだかのように明るく、ファンタジーランドへと、人ごみの中に紛れていった。
その後ろ姿に、嬉しさがこみ上げたのだった。


この場所には、確かに魔法がかかっているのだ。


銀鱗さんのコメント
グランドエンポーリアム↓ http://www.tokyodisneyresort.jp/shop/detail/str_id:wb_emporium/ メインストリート・ハウス↓ http://www.tokyodisneyresort.jp/service/detail/str_id:tdl_main/ 夢の国に行ったことが無い方、詳しくない方御免なさい。 時間無くてばっと書き上げたのでもしかしたら修正します。 週末に夢の国に行ってきまーす。 講評は中辛でお願いします。 こ、これ、ちゃんと群像劇になってますか…??

只野迂舞某さんのコメント
コイルさんのと一転。 固有名詞(特に人名)を抑えたという戦略に大いなる野心を感じます。 ただ、そのせいか、視点人物が誰なのかがちょっと読み取りづらい。 読んでいて、これってどこの人なのか……と混乱しました。 二回読んだらなんとか把握していけました。 その辺が課題といえば課題。でも雰囲気を壊さずに短時間でそこまで配慮するのはめっちゃ難しいと思う。 関西弁とか突っ込んだりして博打的キャラ立てをしないかぎり。 でも、そんなことはどうでもいいんです。 最後の一文を読んで、すべてがふっとびました。 某〇ィ〇ニーランドのステマですね。最近行ってないなあ。 来場者の喜びを自分の幸せに変える。すばらしいキャストさんに拍手です。

銀鱗さんのコメント
講評有難う御座います。 >特に人名 後半にてやっぱりあった方が楽だなあとは思いましたが… や、野心…?! >混乱 博打的キャラ立て 噛めば噛むほど味が出る、するめのようなにんg… 色々勉強してみます。 今度はキャストさんの衣装もじっくり見て、もっと遊んでみたいなあ… ビッグサンダーマウンテンのコスチュームとかで良い味出してみたいです。 素敵な夢と魔法をお届けできていたら幸いです。 夢と魔法の王国、いつもありがとう。

3 ● miharaseihyou
●40ポイント ベストアンサー

天正八年の春未だ浅い時節、薬売りのン吉は山陽道の裏街道を下っていた。
尾道で仕入れた薬種を近在の百姓家に売りさばく、行商の途上であった。
背中には行李が重い。
街道は木立を縫って山の中腹を横切り、河原へと続くその途中、ン吉は谷を下って脇道に入る。
間もなく、小さな社の境内にたどり着いた。


f:id:miharaseihyou:20140228225654j:image


笹が生い茂り、そこだけ広場になっていて見晴らしが利く。
築城が始まってからは何度も通った、慣れた道であった。


f:id:miharaseihyou:20140228115731j:image


行李を下ろして広場の先に足を踏み入れたところで、道の先に見覚えのある武将が槍を持って座っていた。
椋梨さま!
ン吉は息を呑んだ。
お屋敷では遠目にお見かけしたこともある。

武将はかまわず、立ち上がって近づいてくる。
「薬売りのン吉じゃな。」
そして、ひれ伏すン吉に言った。
「そちが織田殿の命を受けておるのは分かっておる。」
ン吉は震え上がった。
その場からは城が見えたのである。
後から思い出して絵図を書くのがン吉の得意である。
既に調べはついているのであろう。

武将はたたみかけるように言った。
「・・が、命は取らぬ。」
「掘り割りのな、形を変えてお知らせせよ。」
「四重の掘り割りを三重に変えて絵図を書け。」

ン吉は納得した。
いずれは分かることを少しでも遅らせる算段であった。
「ただとは言わぬ。」
武将は銀を一枚投げてよこした。
鈍い音が目の前の笹に聞こえる。
「さっさといねい。」

ン吉はあわてて銀を拾うと這うようにして逃げ出した。
途中で行李を拾い上げるのもそこそこに、一目散に谷を登った。

ン吉は咎められなかった。
既に何人もの草が入り込んでいる。
ン吉の件は苦肉の策でもあった。

椋梨の一族はその後、毛利に仕えて長州に移り、幕末まで続くが、桂小五郎によって排斥され斬首される。
社は今でも山中にある。
織田は滅んだが毛利は生き延びた。
小早川が命懸けで守ろうとした城は、今ではビルの谷間に埋まって見る影もない。
城には遂に天守が築かれなかった。
往時の石垣だけが今も街の中に残されている。


f:id:miharaseihyou:20140228114840j:image

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