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【人力検索かきつばた杯】♯60かな?

かきつばた杯を開催です。

しばり:物書きがテーマ
※しばりは無視してもOKっす、OKっすよ!

お題:ちょう いぬ
吉田戦車の作品(雰囲気とか)に寄せてきたらプラスポイント
※お題は完全無視さえしなければ、その語を使わなくてもOK。

水曜ぐらいに締め切り予定ですっ。(木曜の晩から上京するのでどうしても延長希望の場合は自動締め切りになります)

かきつばた杯についてはこちら
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CD%CE%CF%B8%A1%BA%F7%A4%AB%A4%AD%A4%C4%A4%D0%A4%BF%C7%D5

では、よろしく!

●質問者: ぐらんこ。
●カテゴリ:芸術・文化・歴史 ネタ・ジョーク
○ 状態 :終了
└ 回答数 : 6/6件

▽最新の回答へ

質問者から

なお、同人誌兼WEBマガジン『ぐらんこ。んちマガジン』に掲載希望の方は以下のアンケートを。
1.WEBマガジンに掲載(希望する・しない)
こちらです
2.同人誌版に掲載(希望する・しない)
秋の文学フリマin大阪で販売予定(予定は未定)
3.誤字脱字のお任せ修正(希望する・指摘してもらって自分でやりたい)
4.作者プロフィールの掲載希望(自分で書く、おまかせ、載せない)
小説とかのカバーのところに書いてあるような奴。
5.掲載時のペンネーム

あと思いついたら、追加します。
1、2を希望しない人は何にも書かないでください。


1 ● たけじん
●33ポイント

『浮かぶ』


フレーズ 「機械化された妄想と、その妄想に翻弄される若者」


凄みってなんだ。


女子高生が走っていく。白いソックスが、軌跡を描く。 スケッチになっているかな。

文字に力はないのか。
物語とフレーズと文体とセリフ

グルグルする思い

浮かんでは消える単語
科学 未来 作家 小説 読者 文体 形容

華麗な形容、意味深な暗喩、含みのあるセリフ、たくさんの伏線、驚愕の結末
簡素な文体、ぶっきらぼうな言葉、脈略の無い場面、唐突な結論、不合理な筋書き

朝起きました。朝食はごはんと海苔と卵でした。学校へ行きました。友達とかくれんぼをして遊びました。夕食はカレーでした。今日は楽しかったです。

日記だって書けないのに。
作文なんて嫌いなのに。立って読まされるから。
読書感想文なんて、嘘ばっかり。


だいたい、国語が嫌いなんだよね。作者の思いとかさ、主人公の少年の考えとかさ、脇役の働きとかさ。
皆と同じじゃなくていいじゃん。評論家先生が、みんな同じこと言ってたら、それ商売にならないじゃん。
作者でさえ、50点取れないテストって、何なのだろう。それで、文章文化が育つってんだから、バカとしか思えない。
そして、文章や小説や説明文や企画書が書けないまま、大人になって。

僕らは、文章に不自由な人だ。文章障害者だよなぁ



その証拠に、短い小説だって、ひねり出せない。


ひねり出しても、面白くない。受けない。広まらない。オカネにだってならない。


メモ。吉田戦車 ちょう いぬ ちょうちょをとる タイヤ


夕日が落ちる。
夕焼けが赤い。
夕陽が雲を染める。
赤い雲がたなびく西の空。
夕陽に向かうオレンジの直線が、紅に染まる雲を縫い付けている。
一番星が輝いている。
窓に振り向く高校生の、まつ毛が黄金色に光る。


コンビニの明かりは、誘蛾灯のように、人々をひきつける。


今日は惑星の輝く星空。月と火星がワルツを踊る。











※これらは、一日でスマホに記録された、音声メモ。創作の前段階を延々と続ける日々。いつ創作が始まるのかは、秘密である。





私は危惧している。これらを勝手に編集して、文章を構成するアプリが作られてしまう事を。
作家とは、物語るということは何なのだろうと、世に問う日が来る気がしてならない。


たけじんさんのコメント
アンケートに答える 1 掲載してもOKと判断された場合は、掲載OKです。(ボツならそれで構いません) 2 1と同じ 3 訂正・改変はこちらでします(が、ここをこうしてって話があれば、対応します) 4 プロフィールってほどの情報は無い気もしますが。(おまかせでもOKです) 5 いまのところ、どこでも「たけじん」ですので、可能ならばそれで。

ぐらんこ。さんのコメント
これって、改行とか余白はどうすりゃいいんでしょう? WEB版はともかく、書籍は縦書きだし、レイアウトは原文尊重? って感じですか? ちなみに、同人誌は文庫本サイズで42字×17行(見開きだとその倍)ぐらいを考えてます。今のところ。

ぐらんこ。さんのコメント
クランチに投稿すると<a href="https://i.crunchers.jp/data/content/3456/9924">こんな感じ</a>です。レイアウトは画面サイズによって変わると思います。 ちなみに上記は下書き状態ですので、URLを直打ちしないと見れないようになってます。 あと、たけじんさんはクランチユーザーでもありますのでユーザーページにリンク張っても大丈夫ですか?

2 ● 琴木
●33ポイント

タイトル『犬もおだてりゃ空を飛ぶ』



アイデア帳。季節の紅茶。そして少しのビターチョコレート。私が文章を書くときに、必ず用意するのがこの三点だ。定期的にやってくる創作意欲に任せれば、物語の軸や肉付けまでできることが多いのだが、どうしてもつまった時、私は、アイデア帳、耐熱水筒に香りのいい紅茶を用意し、更に冷蔵庫に貯蔵しているカカオ多めのビターチョコレートを少し取り出して、近所の公園へ出て気分転換をする。これは気分転換の他にも観察の役目を果たしていて、対象は人間であったり、天気であったり、花であったり、色々だ。
四月のある日、いつものベンチで日光を浴びていると、犬を連れた少女たちを発見した。小学校に入学したてだろう、身長は低く、声は甲高い三人組。少女たちを少し観察させてもらうことにした。私の頭でちょっとした妄想が始まる。
私も犬を飼っていたからよく分かるが、おそらく犬は少女たちを下に見ているのだろう。自らリードを無理に引っ張って、少女を弄んでいる。犬だけではないが、動物はランク付けする生き物だ。野生の動物が血をみて決めるように、愛玩動物は家族に馴染んでいくことで大まかな順位を決める。大抵はその家の父親をトップにおき、次に餌をくれる母親を二番目。子供はその下ないし同等におく。私も随分と悪戯されたなぁ、なんて思い出したところでアイデアが浮かんだ。


“子供の成長を見ている、犬の心境(仮)”

私はモモ。今日も歯切れよくワン!と一括する。うちの子供は昔より少なくなったものの、よくお母さんを困らせる。まったく、私がいないと何もできないのだから。
「手伝ってくれるのはありがたいけど、お皿は上手に運んでね。油ものと一緒にしたら、滑って落ちて、割れてしまうでしょう」
今日は夕飯の片づけをしていて、キッチンに運んでいるお皿をわってしまった。床がべとべと。これじゃあお父さんやお母さんが滑って転んでしまうわ。
「ワン!ワン!」
「ほら、モモも滑っちゃうよって」
「御免なさい……」
甘いわ、お母さん。もっときつく言わないと。
「ワン!ワン!」
「お母さぁん!モモがぁ!」
「モモだって転んじゃうよって言ってるのよ。ほら、はやく布巾を持ってきなさい」
まったく、私がいないと何もできないのだから。
「はは、犬に負けてら」
「あなた」
犬?お父さん、犬って何?私はこの子の姉なのよ。


――そこでペンが止まってしまった。今日は頭の調子がよろしくない。いいネタだと思うしなぁ、と思ったものの、このままベンチでメモを片手に少女たちを食い入るように見ていたらただの不審者だ。カカオが多めのチョコレートを一かけ口に含み、紅茶で流し込む。今日は終了、オンとオフの切り替えの為に、この動作はとても役立ってくれる。

『それはいい対処だよ。そのまま書いていたら今頃、お巡りさんのお世話になってたね』
「やはり、そうですよね」
今日の出来事を、一から十まで担当に話した。執筆においては一番の理解者である彼は、あっさり笑い飛ばしてくれて、こちらまで気分が晴れる気がする。
『高島さんのペース、当る時は当たるんだけど、進まない時は象が押しても進まない』
「マンモスとか解凍して復活できませんかね」
『それは、高島さんが私に“先生”と呼ばれるようになってから』
「あう……どうすればスランプ脱出できるのでしょうか……」
『高島さん、ある意味バタフライ効果でやってきたからね』
「蝶ですか」
『ひらめき型ってことだよ。考えずに思うように書いている時は大抵当り。書き出しの時点でゴールが見えてるんだ。これを使いこなせるようになれば、階段昇れるかな』
「二段くらいですか?」
『一歩一歩確実に。ずるしないの。まだ時間はあるんだから』
「はい……」
ガチャンと切られた電話を見つめても、何も起きない。それは分かっているのだけれど。
「……やるっきゃないか」
呟いてベッドに入る。まぶたを閉じれば何年も前に死んだ愛犬が、昼間の犬と重なって元気に走り回っていた。この映像に蝶のような羽をつけて飛ばせる術を手に入れたい。それこそバタフライ効果だ、と言って担当をうならせることができ……ないだろうけれどな。そこまで考えて、私は眠りについた。


琴木さんのコメント
開催おめでとうございます。 アンケート 1.開催者様のご迷惑でなければ、是非希望です。 2.こちらも、希望です。 3.御面倒をおかけしますが、指摘していただいた箇所を修正します(推敲はしたのですが……) 4.おまかせします。 5.コブマリ で。 よろしくお願いいたします。

ぐらんこ。さんのコメント
<a href="https://i.crunchers.jp/data/content/3456/10030">プレビュー</a>です。 大層読み込みましたが、特に誤字等は発見できませんでした。(他の人のも同じ)

琴木さんのコメント
プレビューOKです。そして嬉しいです。よろしくお願いします。 プロフの件も了解です。ここに書けばいいのでしょうか。 それともコメント?

ぐらんこ。さんのコメント
どっちでもいいですよ。

琴木さんのコメント
プロフはぐらんこ。さんの書いてくださったので十分です。 ありがとうございます^^ 欲を言えば、サイトのURLのっけていただけたら……なんて思っちゃいますが。 あと、この企画をサイトにのっけてOKすか? 勿論ダメならしないし、 できるなら、ぐらんこ。さんのご指示に沿います。

ぐらんこ。さんのコメント
サイトってforyouですか? クランチに載せる? いいですよ。 小説サイト『For you』の管理人。みたいな感じでいいでしょうか? あと、この企画は人の多すぎるところ(一日のPVが10万以上とか)にのっけるのは駄目ですが、人が多過ぎないところに書くのは問題ありませんよ。

琴木さんのコメント
宜しくお願いします^^ 弱小サイトなので大丈夫です。 更新し次第お伝えしますので、お暇なときにでもご確認ください。 わがままをきいてくださり、ありがとうございます。

ぐらんこ。さんのコメント
「一歩一歩確実に。ずるしないの。」という言葉が残りました。 なかなか納得いくものは書けない。でも書きたい。苦悩ですよね。 バタフライ効果というのが、ひらめき型と一瞬では繋がらないのがわたしには難点でした。 あとはすらすら読めたのですが、訴えかける何かがもう少し欲しかったです。

3 ● 銀鱗
●34ポイント ベストアンサー

蛹化

「――さて私は、さなぎが大好きであります。ちょうのさなぎが好きであります。やはり美しくなるからと言えば、凡人と変わらぬように聞こえるかも知れないが、美しくなることが保障されていながら、現段階では大衆的には気にも留められないさなぎを、私は愛しているのであります。さなぎとはたいそう儚くその命果ててしまうこともある繊細さを持っているように思え、しかしそのドロドロと溶解したナカミは熱き溶岩のように魂が息づいているのだと思うと、感激のあまり震えるばかりであります。そしてそこいらの不完全変態な卑しいバッタどもと違い、完全に変態を遂げるのだから、私はその大きな成長を、その瞬間を見守り、その美しさを生涯愛していきたいと思い、ここにただただ拙い文を残すことに致した次第であります。」

部活はテスト期間ということで、大会の近い運動部のいくつかを除き、オフといったところであった。教室に残る者はいないことはない、だが図書室やここから自転車で5分もしない市立図書館に行く方が静かで捗ると、多くの学生達はペダルを踏みつけて既にここにはいない。
とある高校の、とある2年の、とある5組の、とある男子高校生はというと、演劇部であり、本日はオフであった。部室は開ける必要もなく、開けることもなく、教室でノートにシャープペンを走らせていた。西日が差し込むが、少年の席はその窓のかたちの橙のすぐ隣であり、眩しさに目を細めることはなかった。
彼はテスト勉強をしているのだろう、と思ってノートを覗けば、そこには公式や漢文の書き下し文が書いてあったり、年表や原子記号が連なっていたりするわけでもない。シャープペンは長い文を書きとめたあとに、改行して「暗転。」とだけ続けた。

「おや少年、こんなところで呆けていては、テストで赤点取ってしまいますぞ!」

女子高生がいつのまにか、彼の後ろに立って台詞を読み上げた。彼女の声は良く通る。演劇部で活動を共にする彼女の声を、性格を相性を、知り尽くし書いた脚本を、まだ完成をしていないものを読み上げられ、彼は赤くなりつつノートを閉じた。
「それは俺の台詞だよ。高橋は優良遺伝子を持っているように見えて、こっちの方は空っぽじゃないか」
頭を指さし手首をひねると、彼は溜息まじりにからかった。
高橋未来は黙っていれば可愛いものを、ドジばかりを踏み「犬君(いぬき――それは源氏物語に登場するうっかり者らしいのだが)」と呼ばれ、教師の頭痛の種の一つであった。本人は至って真面目で誠実で、風の噂によれば将来は画面の向こうの住人――アイドルになりたいという。最近は溢れるようにいる「おバカアイドル」となってしまうのではないだろうか、と彼は少し気にかけた。というのも彼女、努力を怠らず、ただ夢を見ているだけというわけではなさそうなので、心の奥底では応援しているのを彼は気付いていない。
「空っぽじゃありません。未来、台詞を覚えることに関してはピカイチってもんですよ! だがしかし、アタシは勉強が苦手というわけで…」
高橋の一呼吸が入った。

「今回のテスト範囲のキーワードばかり出てくる脚本を、お願いしたいわけですよ! 未来の脚本家に!」
マイクも割れんばかりの大音量が男子高校生を襲う。

「だが断る」
しかし予測しきっていた彼は冷たく返すのだった。そして未来のは余計だ、と心の内に呟くのだった。

「そうはいきませんよ未来の脚本家さん…こっちにはとっておきのカード(切り札)があるんですからね!」
何故か興奮して上気した顔の彼女が突き出したものは、真っ白な封筒であった。ご丁寧に真っ赤なハートのシールが張られており、手首を返せば彼の名が大きく書かれている。どうやら、どころかどう見ても、これはラブレターであった。多感な男子高校生は先程とは比べ物にならない程赤面し、硬直している。何も返せずどうやら頭の中が真っ白になったとでもいうようだ。
差出人は……『高橋未来』と書かれていた。
「これから家でお勉強デートっていう選択肢を、加えてもらえないですかねぇ…」
双方赤面した顔を伏せ、高橋の絞り出したような提案から沈黙が続く。影が伸びるのを待つように、校庭から響く掛け声がやむのを待つつもりかというほどに。
彼は耐え切れず手を伸ばし、震える手が彼女の手と触れぬよう、慎重に封筒を受け取った。さらりと紙の乾いた感触を指先で確かめる。自分の名前をなぞると、彼女はその名を呼んだ。

「蝶野蛹」

羽ばたくのは君の方なのに、と彼は小さく笑ったのだった。


銀鱗さんのコメント
1.載せたいものがおありでしたら 2.同上 3.御指摘願います 4.おまかせでお願いします。 5.弥演琉でも京でも銀鱗でもどれでも良いんですけど銀鱗が良いんでしょうか?

ぐらんこ。さんのコメント
冒頭の”「――”の一字下げは要らない? 「蝶野蛹」のとこも。 頭を指さし手首をひねる…… 高橋の一呼吸が入った。 マイクも割れんばかり…… しかし予測しきっていた 何故か興奮して 双方赤面した顔を伏せ それぞれ、意図したことでないなら一字下げが必要?(なんかどっちの流派もありそうなので、このままが良いなら原文尊重します) 早くも挫折しました。編集長であって編集者でも校正者でもないですから……。 感想は後程。

ぐらんこ。さんのコメント
若干体裁を整えてみたのが<a href="https://i.crunchers.jp/data/content/3456/10031">こちら</a>

a-kuma3さんのコメント
二行目の「美しくなることが保障されて」は、保証だと思います。

銀鱗さんのコメント
編集と御指摘感謝します。プレビュー拝見しましたがオールオッケーだと思います。 a-kuma3さん誤字訂正有難う御座います。

ぐらんこ。さんのコメント
冒頭から惹きつけられるのはやはり、波長が合っているんでしょうね。読者としてのわたしと。 構成も見事です。キャラクターも活き活きとしてます。ライトノベルの一ページを切り取ったような、それでいてちゃんと完結している。地の文と会話が酷くアンバランスでありながらそれが作品の良さに繋がっている。 これは見事でした。わたしには到底書けない。

4 ● a-kuma3
●34ポイント

「April 23, 2014. Weather: Fine ...」


鍵がかけられてることがほとんどない扉を開けて、ちょっとした教室くらいの大きさの研究室にはいると、使い方が分からない道具やチカチカ光っている謎の機械が所狭しと置かれたテーブル以外には、誰の姿も見えない。

「あれ、留守なんて珍しいな。こんにちは」
「お、ケンタくんか。その辺に適当に座っててくれ」

一番ごちゃごちゃしたテーブルの向こうの方から博士の声が聞こえてきた。どうやら、しゃがんでいたらしい。立ち上がった無精髭のおじさんの名前は小橋博士という。ちょっと変わってる人だけど、昔はロボット技術者としてとても有名な人だったらしい。真面目が服を着て歩いているような、ぼくのお母さんは、博士のことがあまり得意ではないみたいだけど、ここに来るなと言われているわけじゃない。

またしゃがみこんで、机の向こうに隠れてしまった博士は、いったい何をやっているのだろう。机に近づいてのぞいてみると、まず目に入ったのはがっしりとした白衣の背中で、その脇から見えているスペースにいたのは、メカニカルな研究室に似つかわしいとは言えないものだった。

「犬?」
「そうだ」

茶色い柴犬は、不機嫌そうな低い唸り声をたて、鼻の辺りにシワを寄せている。どうやら愛想が良い方ではないらしい。でも、お世辞にも人付き合いが良いとは言えない ――― というよりは偏屈と言った方が人柄を正確に表している ――― 博士に犬を預ける酔狂な人がいるとも思えないし、ましてや博士がひと恋しくなってペットを飼い始めたなんて、もっと信じられない。

「可愛いですね」
「そうか?」
「名前は何です?」
「調整に手間取ってな。名前はまだない」

周りを見回した感じだと新しいものは増えてないような気もするけれど、大物をガレージの方で作っているのかもしれない。まだ名前をつけてないという柴犬は、まだ、ぼくを警戒している様子だ。

「あまり、ぼくのことが好きじゃないみたいですね。犬は得意な方なんだけどなあ」
「仕方あるまい。初対面だからな」

博士は白衣のポケットからはみ出しているでっかいリモコンを取り出すと、犬の方へ向けて黄色いボタンを押した。犬はすっと立ち上がるとスタスタとぼくのところに近寄ってくるとクンクンと臭いをかぎはじめた。博士がまたリモコンのボタンを押すと、柴犬は尻尾を振りながらぼくの方を見上げてきた。

「登録完了」
「なんですって?」
「きみのデータを、こいつに登録した」

じゃれついてきた柴犬の頭をなでていた手を止め、顔をじっくり見てみるがよく分からない。嬉しそうに尻尾を振りながら、はあはあ言っている口をこじ開けてみる。小さくてかわいい歯がきれいに並んでいるが、口の中は濡れていない。

「まさか、これロボットなんですか!?」
「ああ。さっき言わなかったか?」

あらためて、あちこちをなでまわしてみるが、しなやかな筋肉をつやつやした短毛の毛皮がおおっているとしか思えない。柔らかいお腹をなでてみると、奥に多少固いものが手に触れる気がする。ぶんぶん振っている尻尾をぎゅっと引っ張ってみるが、柴犬はうれしそうなままだ。

「まあ、細かい反応まではこれから改良、ってところだな」

本物と寸分たがわぬロボット犬。博士ならこれぐらい作りかねない。それにしても、本物そっくりだ。

「博士、正にスーパーロボット犬だね! スーパードッグだ!」
「ふん。褒めてくれるのはうれしいが、横文字は止めてくれないか。
触ってみて分かっただろう。
しなやかさと強度を併せ持った特殊ファイバーをより合わせた外殻。
外殻を覆う人工毛皮は、ミクロなレベルで自然毛を模擬している。
内部のモーターはこの大きさに必要な個数を集めると、どうしても小さくしなくちゃいかん。
精密な加工は、技術大国日本の得意とするところ。
精密さに加えて、軽量化、低コスト化を実現するために、私が持てる技術をすべて注ぎこんだ。
もちろん、材料はすべて純国産を使っている。
簡単に横文字などで呼んで欲しくないな」
「はあ……」
「ただ、語感は良いなあ。そうだ、ちょういぬだ」
「え、チョー、何です?」
「こいつの名前さ。犬を超えると書いて、『超犬』だ」

博士はリモコンを再び手に取ると、ボタンをいくつか押した後に、ちょういぬ、と言った。

「さあ、今日からお前は超犬だ」
「ワンッ」

こんなものを作っちゃうくらいだから、技術者としてはものすごい人なんだとは思うけど、なに、この命名のセンス。

「調子が狂うなあ」
「そりゃあ、いかんな」
「いや、そういうことじゃなくてですね」

小一時間ほどのつもりだったのだけれど、スーパーロボット犬の話を延々と聞かされているうちに、すっかり長居をしてしまった。その代わり、家ではあまり飲ませてもらえないコーヒーを二杯と、博士がとっておきのチョコレートをちゃっかりといただいた。ぼくは、転んでもただでは起きないタイプの男なのだ。

もう外は薄暗くなりかけている。宿題も予習もやらなきゃいけないことは、たっぷりとある。急いで帰ろうとカバンを担ぎなおして駆け出したところで、曲がり角から出てきた人にぶつかってしまった。

「すみませんっ! 大丈夫ですか?」
「イテテ。ああ、大丈夫さ。」
「ほんとに済みません」
「ああ、君は他人のことよりも、自分の無事のことを考えた方が良い」

土ぼこりを払いながらゆっくりと立ち上がった手には鈍色に光る金属が握られていた。

「おとなしくしてくれれば、手荒なことはしないよ。私が言っていることは分かるな?」

無言で何度も頷くぼくが覚えてるのは、いかにも悪そうに口を歪ませている男の顔だった。何が手荒なことはしない、だ。後ろからガツンとやられたぼくは、あっという間に意識を失っていた。


ひんやりとしたコンクリートの床の感覚で、ぼくは目を覚ました。どれくらい気を失っていたのだろう。破れかけたガラス窓からは、満月の光が差し込んできている。後ろ手にしばられ、無造作に床に転がされたぼくは辺りの様子をうかがってみる。
どうやら倉庫のようなところらしい。向うの壁から漏れている光の向うから、話し声が聞こえてくる。どうやら博士の発明を狙っているらしい。ぼくは交換のための人質というわけだ。
大事な人質を簡単に殺すことはないだろうと楽観的に考えながらも、このやばい状況を抜け出そうと身をよじってみるが、しばられた手首は痛くないものの、がっちりと結ばれているようで簡単にはほどけそうもない。

誰か、助けに来てくれないかなあ。

思わずつぶやいた言葉が聞こえていたかのように、窓の外を黒い影がよぎる。小さな黒い影は、積み上げられた荷物の上を軽々と飛び移りながら、ぼくの横に来た。あ、博士が作ったロボット犬じゃないか。

「スーパードッグ! ぼくを助けに来てくれたのかい? 手をしばってる縄をかみちぎってくれると助かるんだけど……」

ロボット犬は尻尾を振ってうれしそうにしているだけで、ぼくの言葉を理解している様子はない。ロボットのくせに、人間がしゃべることも分からないのか。まさか……

「超犬?」
「ワンッ!」

やっぱり、そうだ。
登録した言葉にしか反応しないんだ。

「超犬。ぼくを縛っている縄をかみちぎって」
「ワン、ワンッ」

駄目だ。ワンワン言うだけで、言葉を理解しているふうではない。何が超犬だ。そのとき、向うのドアが開いて、ぼくをさらったやつらが顔を出した。

「何だ、うるさいな」

しまった、気付かれた。近づいてくる男たちは、ぼくのそばにいる超犬に気が付いた。

「なんだ、野良犬か。どこから迷い込んだんだ、まったく……」
「ヴーッ」

悪いやつらだと分かるのか不快感をあらわにうなっていた超犬は、男たちに吠えかかっていく。

「駄目だ、超犬!」
「うるせえっ!」

ひとりの男が無造作に蹴りだした足で、超犬は五メートルほど吹っ飛ばされて壁に当たったまま動かなくなってしまった。

「超犬!」
「なんだ、おまえの犬か。残念だったな。ヒーロー犬が主人公を助ける、ってわけにはいかなくて」
「超犬! 超犬っ!」

動かない超犬を目の前にして、ぼくの視界は真っ白になっていく。

ブチブチッ。

手首と足を縛っていた縄を、力任せに引きちぎったぼくは、あいつらに飛びかかる。十メートルの距離をあっという間に詰めて、横殴りの一閃で片方の男を昏倒させた後、もうひとりのやつのパンチをかいくぐり、腹にストレートを一撃。悶絶しながら、もうひとりも動かなくなる。

「ああ、またやってしまった……」


ぼくの体は、七割がたが機械に置き換えられた、いわゆるサイボーグだ。普段の生活ではリミッターがかかってるので、普通の大人程度の力しか出せないけど、感情が高ぶったときとかに、たまにこうなってしまう。ぼくは悪者の骨を折らないように気を付けながら、近くに転がっていた鉄パイプで両足を固定する。

「大丈夫か!」

遅いよ、博士。倉庫に飛び込んできた博士の心配そうな顔を見て、安心したぼくは気を失ってしまった。

――――――――――――――

「どこも壊れてはいなかったよ。あいつらも、命に別状はないらしい」

去年の夏、世間を騒がせた電車の衝突事故に巻き込まれ、瀕死の重症を負ったぼくを助けてくれたのが、小橋博士だ。それときから、不完全なリミッターのモニタリングと、当時のサイバネティクスの粋を結集したぼくの手足などのメンテナンスをしてくれている。

「あいつも誉めてやってくれ」
「超犬!」
「ワンッ」

博士がしゃくった顎の先には、ちぎれんばかりに尾を振っている超犬がいた。

「ねえ、博士。あいつが精巧なロボットなのはわかるけど、はっきり言って、ただの犬じゃん」
「何を言う。あれだけ説明したのに、まだ分かってないのか。超犬は、普通の犬とは比べ物にならないぞ。例えば、あいつの嗅覚センサーは、犬の1.2倍の性能を持っている。きみの後を追うことなど、造作もない」
「いや、普通の犬並みってことですよね」
「あいつには GPS を搭載してある。だから、あいつがどこにいるかすぐに分かるんだ。私がケンタを助けに行けたのも、そのおかげだ」
「……」

携帯電話でもできることを自慢げに話されてもなあ……

「まだあるぞ」

博士は、また白衣のポケットからリモコンを取り出すと、ボタンをいくつか押した。
超犬はしばらく動かなくなると、おもむろにプリンターの方に向かって、チャッチャッと爪を鳴らして歩いて行った。




「どうだ、こいつが作成した今日のレポートは? 小説モードも組み込んである」
「はあ……」

超犬がくわえて持ってきた、プリンターが吐き出した紙に書かれている内容を読んだぼくは、なんて答えて良いか分からない。確かに、今日、起きたことが小説風に書かれてはいるのだが。

「いや、すごいとは思いますけど、まず、そのリモコンをどうにかしましょうよ。今どき携帯電話だって音声認識してくれますよ」
「そうなんだ。語彙のデータが意外に大きくてな。メモリを増やすと柴犬のフォルムが保てない。泣く泣く音声認識の処理を簡素化してだな……」

バランスが悪いのは、名づけのセンスだけじゃないんだ。
まあ、良いや。
小説モードのテストという名目で、今年の夏休みの宿題は少しだけ楽ができそうだ。



(おしまい)


a-kuma3さんのコメント
+お気に召したのなら、煮るなり、焼くなり、何とでも(外れても、恨み言は言いません)。 +同上。 +指摘があれば(できる範囲で)直します +書いた方が良いなら、書きます。 +a-kuma3 で。 誤字脱字はチェックしたつもりだけど、アルコール注入モードだったからなあ。 ちょっと長い?

ぐらんこ。さんのコメント
体裁が編集人泣かせ! なんとかやってみたのが <a href="https://i.crunchers.jp/data/content/3456/10032">こちら</a>になります。

a-kuma3さんのコメント
字が大きくて、見やすくなってる <tt>:-)</tt> アルコールを注入してから、あらためて読みます。

a-kuma3さんのコメント
投稿後に、自分が書いたのをじっくり読んだのは、初めてかも。 いじりだすとキリがないので、あのままでプリーズ。

ぐらんこ。さんのコメント
細かいところを突っ込んだら負けのなんちゃってSFですね。好きです。 作中作とかいろいろ工夫もされてます。惜しむらくは、ちと盛り上がりに欠ける点と着地でしょうか。 どちらも悪くはないんですが、もう一声! とお尻を叩きたい感じ。 とはいえ、軽いノリで楽しめました。

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