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【人力検索かきつばた杯】♯64
かきつばた夏のバカ騒ぎ

かきつばた杯を開催です。

お題:『桃』『神』『祭』(最低二個チョイス)


七月一杯ぐらいで締め切り。

かきつばた杯についてはこちら
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CD%CE%CF%B8%A1%BA%F7%A4%AB%A4%AD%A4%C4%A4%D0%A4%BF%C7%D5

では、よろしくお願いします!

●質問者: ぐらんこ。
●カテゴリ:芸術・文化・歴史 ネタ・ジョーク
○ 状態 :終了
└ 回答数 : 3/3件

▽最新の回答へ

1 ● たけじん
●25ポイント

昔々、ある山奥に小さな村があった。
その村の若い二人が、夫婦となった。
仲の良い二人は、睦まじく暮らした。
三年たったが、子供はできなかった。
村には年一回、盛大な夏祭りがある。
若い夫婦は、共に祭りが好きだった。
今年の夏祭り、新しい浴衣で行った。
夏祭りの終わり、激しく雨が降った。
若い夫婦は、雨でお互いを見失った。
ずぶ濡れで泥だらけの妻を見つけた。
若妻は三日三晩寝込んだが回復した。
秋になり、妻の夢の中に神が降りた。
お前は、神の子を宿したのだという。
しばらくして、元気な子供を産んだ。
夫は似ても似つかぬ神の子を育てた。


祭りと神のお告げは、便利であるな。


2 ● 琴木
●35ポイント

中学校から大学まで、ずっと同じレール上にいた崇が結婚した。小学校時代は名前くらい知っていても話すことはなかったが、中学校で同じクラスになってから、じわりじわりと仲が良くなったものの、流石に就職先で道が分かれた。それでもメールのやり取りはしていた。お互いの恋愛遍歴まで知り尽くしている、同性ならば親友と呼べる位置にいたのだ。なのに。
異性の友達は、時として裏切る。それは友人たちが口を酸っぱくして忠告していたし、私もうすうす分かっていたのに、崇から結婚式の招待状が届いた時にはおいて行かれた気分になって、驚きより先にため息が出た。崇に婚約者がいたなんて、知らなかった。
「あの嫁さん、綺麗だよなぁ」
「そこそこじゃない」
「崇の職業ってなんなの?」
「銀行の事務」
「手堅いね。プラスして崇は政治家の息子だ。くいっぱぐれないよな。馴れ初めとか知ってる?」
「職場の後輩」
「本当、何でも知ってるなぁ、しおりは」
式は都内の有名な式場で行われ、二次会はホテル別棟の会場で新郎新婦の友人たちで行われた。新婦さんは綺麗で、とても綺麗に笑って崇の傍を離れない。それが私の胸をチクチクと攻撃してくる。別に崇と結婚したいわけではない。隠されていたのに腹が立つだけだ。一度イライラすると、何もかもが敵に見えてくる。例えば、大騒ぎの中に入らず、酒を浴びるように呑む私の横にいる、元彼。
「ダイは、知っていたの」
「知るかよ。しおりが知らないことを、たかだか高校の時、仲良し二人組だっただけの俺が」
「気持ち悪っ」
「酒?」
「馬鹿、あんただよ」
少しだけ嘘をついた。私は酒に強くないのに、何かがあるたびに呑んだくれる癖がある。呑んで寝て現実逃避する、それは私の得意技だ。大学に入って付き合いだしたダイは、それを熟知している。勿論、崇も。だから時々目線をこちらへ向けてくる崇の視線を感じると、イライラレベルが上がってくるのだ。心配していると分かっているのに、崇はそういう男だと誰よりも知っているのは、私なのに素直に祝ってあげられない。
「セントウって、覚えてるか」
「仙桃?あの、漫画に出てくるやつでしょう。懐かしいね。原作終わったの、十年以上前でしょ」
「ああ。仙桃は水を酒に変える仙人界の桃。今で言うとノンアルだよな。ああいうの、本当にあればいいのに」
「何が言いたいの。すいません、とりビー」
「すみません、いまのなしで」
「何すんのよ、ダイの分際で」
「酒もそこそこにしとけってこと。それより、桃って不思議だと思わないか」
「全然。大学卒業の時、山梨の実家の農園が危ないから一緒に山梨に行かないかと彼女に言ったらフラれたダイの考えなんて分かりませんよー。しかも経理だし」
「それしかできる仕事がなかったんだよ。すいません、俺はとりビーで」
「あ、ひど」
なんと酷い男なのだろう。自分は良くて連れはダメだなんて、なんという俺様気取り。知っていたけれど、やっぱり別れて正解だったと思う。男は女を守るもの、そう教えられてきた私は、最初こそ新鮮な“俺様”に惹かれたものの、自分通りに行かずにペースを動かされるのは耐え難かった。例の山梨に来てくれ、という時に東京で暮らしたいからと別れを告げたのは口実で、本当の理由はそこにある。
「で、桃がどうしたのよ」
「桃ってさ、逆さにすればハートになるし、色にすればピンク色。どっちも恋愛が絡んでて、不思議だなぁと」
「職業病ね。あんたが言いたいこと、分かった気がする」
「さすが、しおり。じゃあ言うけど……俺たち、やり直せないかな」
「言うと思った」
ダイに向かって大袈裟にため息を吐き、目の前のジョッキに入ったチューハイをがぶ飲みしようと取っ手を持つ。しかし、ジョッキが私の口に届く前に、ダイに腕を掴まれた。睨みつけると、ダイは本気の目をしていた。大学時代に恋した目。優しいながらも奥に炎がある。私は顔が熱くなる。それは、酒に酔っているだけではなくて。
先ほどの会話の言葉を借りると、桃色。ピンク色。恋の色。
「……やりなおせないから、別れたんでしょ。不躾ね、今日は崇の大きな祝祭の日なのよ。私たちはそこで始まってはいけないの。崇の友人としてね」
「祝祭ねぇ。たかだか結婚じゃないか」
「されど結婚よ。女性にとってはこのために生きている人種もいるわけ。大祝賀祭よ。だから祝う側の私たちは、黒子に徹しなきゃならないの」
少なくとも、私は母にそう教えられてきた。結婚は女の祭りだ、と。母の故郷では結婚式は一族の大きなイベントで、ド派手に執り行われるらしい。来る側も大金をポンと出すし、招いた側も誠心誠意もてなす。女の一大イベントらしい。
「じゃあ、この後は?ダメ?」
「あんた、本当に口説く気があるの?」
「少なくてもさっきまではね。崇としおりが結婚するものだと思ってたから。お前、彼氏いないだろ」
「なんで断定的なのよ」
「超能力」
「寒いんだけど。私、隠し事が許せないけど、結婚は祝福することにした。やっぱりビールくださぁい」
「どういう心境の変化?この数十分で」
「あんたが馬鹿な発言するからよ。しょうがないわね、友達には昇格させてあげるわ。呑むわよダイ」
「はいはい、分かりましたよ」

ダイは、朝一番の新幹線で山梨に帰って行ったらしい。あてがわれたホテルのシングル部屋。入口のドアを開けると、朝刊と共にビニール袋がぶら下がっていた。中を見ると、桃が二個と、もう携帯から消したダイのアドレス。桃と恋を結びつけるなんて、なんてロマンティックな男なんだろう。私はそういうのは好きじゃない。だけど、嫌いでもない。入っていた桃を向いて、食べてみる。甘くて瑞々しい。少しだけ、ダイの匂いがしたような気がした。


琴木さんのコメント
よろしくお願いします。

3 ● sokyo
●40ポイント ベストアンサー

『デクノブ』

学がその村に引っ越して来たのは、七月半ばの事だった。町から来た学にとって、そこは桃の木ばかりの退屈な村に思われた。
「では、夏休み明けも七人全員が元気に揃いますよう。さようなら」
ミドリ先生が挨拶すると、長い夏休みになった。
校門の処で、学は級長のイサオに呼び止められた。イサオは言った。
「七月の晦日、夜の八時に、神社の前に来い。場所は、判るか?」
学は首を横に振った。
「お前の家から学校に来る丁度真中の辺りに、山へ入る石段がある。それを登って、鳥居の手前だ。良いな」
訳も判らぬまま、学は頷いた。
イサオはアッという間に走り去った。

七月晦日の夜、学が家を抜け出して学校の方へ進むと、果たして石段はあった。慣れた道を外れて石段を登った。忽ち暗闇に包まれた。
暫く進むと、開けた場所に出た。級友たちの声がした。学が到着すると、松明に火が灯された。イサオ、ススム、ジン、ショウゾウ、マサル、そしてタダノブ。自分以外の全員が既に来て居た。
級長のイサオが前に出ると、辺りは静まり返った。
「学は初めてだろうから、説明してやる。この村の産業は何だ」
イサオは学の顔をぐいと睨んだ。そして、学の答えを待たずに続けた。
「そうだ、桃だ。学は熟れた桃と青い桃と、どちらが旨いと思う」
イサオはまた少し間を取って、勝手に続けた。
「良く熟れた桃だな。桃が良く熟れるには、外からの刺激が肝要。今から行うのは、今年の桃が良く熟れるよう桃の神に捧げる祭りだ。準備は良いか」
気付くと、広場の中央に人の背丈程の柱が立っていた。柱には大小の桃が山程括り付けられ、網が巻かれていた。
「始め!」
イサオは号令を出した。すると級友たちは一斉に中央の柱を殴り始めた。乾いた音は、次第に濁った音へ変った。
級友たちはその柱を「デクノブ」と呼んだ。学はそれを、木偶の棒の事だと独り合点した。
「学もやれ」
イサオは言った。学は、只輪から外れて見て居ただけだったのだ。
「下がれ」
イサオの掛け声で、級友たちが殴打を止めて一歩下がった。
「やれ」
イサオは再度言った。学は、躊躇いながらそれを打った。小さく音がした。
「もっとだ。本気でやれよ」
イサオは声を上げた。
「学は一番上を思い切り狙え。いいな」
学は“デクノブ”と対峙した。デクノブは、只立っているだけに見えた。

学が、
目を、
瞑って、
思い切り、
拳を振るうと、
柔らかい様な、
固い様な、
へんな感覚があって、
デクノブが倒れ、
それを号砲に、
皆がわあと歓声を上げ、
一斉にデクノブに群がり、
甘い匂いが広がり、
饐えた、
鉄の、
匂いが、
広がり。

デクノブはもう、柱の形ではない。ごろんとした、鹿の屍骸の様な塊だ。級友たちは棒を持ち出して、それを繰り返し繰り返し突いた。桃の皮が土で擦れて、脚に貼り付いた。桃の果肉が飛び散った拳には、小蝿が纏わり付いた。折れる筈のない柱が折れて、デクノブは成る筈のない形を成した。最早鹿の屍骸ですら無い。デクノブは何度も再起の兆しを見せた。誰もがその予感に怯えた。突いた。打った。蹴った。再起不能になるまで苛み倒した。

その時だ。頂の方から大人が降りて来る音がした。
イサオは
「解散!」
と叫んだ。直ぐに松明が消された。
級友たちは棒を放り、石段を駆け下りた。学も慌てて追いかけた。直ぐ後ろから、人の気配がした。イサオだった。
「お前、級友は何人だと思う」
走りながらイサオは聞いた。学は手で六を作った。
「違う。この学年はお前を入れて六人だ。お前は何か勘違いをしている。良いか」
そうだろうか、と学は思った。走って、息が上がって、そのまま忘れて了った。

夏休みが明けた。イサオ、ススム、ジン、ショウゾウ、マサル。全員揃って、教室で下らぬ話に興じる。
ミドリ先生が入って来た。
「大変急でしたが、実は休み中に、タダノブ君が転校になりました」
先生は言った。学は、そんな筈が無いと思った。級友は、自分を含めて六人だった筈だ。ちゃんと、六人揃って居るではないか。
先生は、タダノブの家からだと云う贈答用の桃を剥いてくれた。級友たちが色めき立った。普段は規格外しか食べられないのだ。先生が刃を入れると、鮮やかな色の切り口から果汁が溢れ出た。
これを、見た事がある。072
やっと気が付いた。学はそっと輪から外れた。

あの時自分が殴打したのは、柱なんかではなかった。

学は嘔吐した。繰り返して吐き続けた。

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