「届く」の意味にもよるかも知れません。人体は神経部分だけが電気を通すわけではなく、池の水面を叩くと波が池全体に広がるように、電気的な刺激も身体の成分すべてにじわっと広がります。「この強さ→この波」という一対一の関係になりにくいです。
神経のある深さまで電流が減衰せず伝わるかどうかは、池の向こう岸に波が届くかどうか、という問題に似ていて、電気の強さと、神経のある場所までの距離が大きく影響します。神経までの距離は身体の部位や個人の体格の差でかなり違うので、最低限、体のどの部分でやるのか、と、できれば対象者の年齢・性別・おおよその体格を指定しないと、数字を出すことができません。
またその他に、電流の「波の形」を考える必要があります。ふつう、こういう治療で使う電流は交流なので、「波の強さ」の他に「形」を決めなければいけません。山と谷をどれだけ早く繰り返すか(周波数)や、山谷の頂上が滑らかなのか、カクカクしているのか、など。同じ強さでも形によって伝わりやすさが異なるようです。
また、神経に電気が届くことと、それで痛みを感じるかどうかも別な問題のようです。いま、EMSという電気治療機器の開発では、「なるべく深く届いて、しかも痛くない波形」を目指して研究が進んでいるみたいですね。
http://www.nishinakajimaclinic.com/shinryo/rehabiri/ems/ems.html
メーカーによっては、「強」にするとかなり痛いものもあるようで、安全性についても基準がまちまちです。強ければあぶない、弱ければ安全、という簡単な線引きができないからだと思います。