(1)同業他社への就業・転職は、在職中は労働契約それ自体により、退職後は、在職中の労働契約あるいは別途の特約により制約される(競業避止義務)。
(2)競業避止義務は、退職後の業務の内容、元使用者が競業行為を禁止する必要性、労働者の従前の地位・職務内容、競業行為禁止の期間や地理的範囲、金銭の支払いなど代償措置の有無や内容、義務違反に対して元使用者が取る措置の程度、などを判断材料に、合理的な範囲内でのみ認められる。
(3)悪質な競業行為が行われた場合、労働契約上の根拠がなくても義務違反が生じて、元の労働者に損害賠償責任が認められたり、競業行為の差止めが認められる場合がある。
競業制限の期間・地域等の範囲 顧客との関係を重視し、3年の制限期間を有効とする事例(前掲新大阪貿易事件)、仕事上の強いコネの保持を理由に、日本での5年間の競業制限を有効とする事例(前掲フレンチ・エフ・アンド・ビー・ジャパン事件)、元使用者の研究・開発のノウハウの点から地域的に無制限でよいとする事例(モデル裁判例)がある。また、期間は1年だが、対象は同種業者に限られることから、地理的に無制限でよいとする事例(前掲ヤマダ電機(就業避止条項違反)事件)もあるが、疑問である。なお、社内での地位が低く影響力の少ない従業員に対する3年間、地域・職種制限なしの特約を無効とする事例(東京貸物社事件 浦和地決平9.1.27 判時1618-115)がある。
4)元の使用者による代償の提供 代償措置の有無は、競業避止特約の有効性を決する重要な要素である(モデル裁判例)。在職中の株式利益(2億5,000万円余)と高給(年間3,000万円程度)は十分な代償となるが(前掲フレンチ・エフ・アンド・ビー・ジャパン事件)、監査役への1,000万円の退職金では不十分である(前掲東京リーガルマインド事件)。また、本来より少額の退職金では競業行為禁止に見合う補償と認められず(前掲東京貸物社事件)、在職中に支払われた月額4,000円の秘密保持手当ではきわめて不充分(新日本科学事件 大阪地判平15.1.22 労判846-39)とされる。なお、不十分な代償措置は損害賠償額算定に当たり考慮できるとの理由で競業避止条項の有効性を否定しなかった事例(前掲ヤマダ電機(就業避止条項違反)事件)があるが、批判が強い。
http://www.jil.go.jp/hanrei/conts/075.html
競業避止の特約によって、入社を忌避される可能性があると思いますが、、、
就業規則の有無のまえに、社員教育で「不正競争防止法における営業秘密の定義」を学びましょう。指示する上司も部下も新入社員も、全員で、きっちり学んでおけばよいでしょう。
その上で、不正競争防止法にいう「営業秘密」である情報の取扱をきっちり社規でまもれば、転職後の秘密の漏洩については転職制限の社規がなかろうと前職場から不正競争防止法で訴えられるのだ。という意識が生まれるので大丈夫になるとおもわれます。
弁護士・弁理士で探せば気軽に講師にきてくれます。