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【人力検索かきつばた杯】
テーマは「ハッピーバースディ」

毎日だれかのお誕生日。もちろん今日もです。
あなたのお誕生日、いいことありましたか? あなたの好きな人の誕生日は?
現実はどうでしたか? では、妄想の中だったら?
ケーキ? 花束? プレゼント?

…そんなお話を作品にして、いろいろ書いてください。
私が楽しく拝読します。
読んでおもしろかった作品にポイントたくさん進呈します!

10行ぐらいでもいいですよ。

かきつばた杯についてはこちらを参考に。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CD%CE%CF%B8%A1%BA%F7%A4%AB%A4%AD%A4%C4%A4%D0%A4%BF%C7%D5

締め切りは6月の前半。早く書かないと締め切っちゃうからね!

初めての人も気軽に来てね。おしゃべりでいいんだ。でもカッコつけてみて!

では楽しみにしてます。

●質問者: sokyo
●カテゴリ:芸術・文化・歴史 ネタ・ジョーク
○ 状態 :終了
└ 回答数 : 30/30件

▽最新の回答へ

1 ● GM91
●20ポイント

『ENTERのゲーム』

「十九時に、薙島駅前のルブランで」
俺の誕生日祝い、それでいいよね? と、美和子に一方的に宣告されたのは先週のことだった。
そんなもんが通用する相手ではないことは承知しているが、俺は精一杯反抗を試みた。
「フラ飯なんてガラじゃねえよ」
「もう予約したから」
たしかに、ルブランが2/14しかも金曜に取れるなんて奇跡だ。違う、そういう問題じゃない。
「知ってるだろ? 昭和100年問題がまだ収束し……」
「知らないわ、一日くらいなんとかなるでしょ?」
「調整はするさ、でも、行けなかったら……」
「たら、じゃねえ! 死ぬ気でがんばってこい! 今から『ダメだったら』とか、言うな!」
「あてッ」
向こう脛を文字通り一蹴された俺は、悶絶しながら美和子の背中を見送ったのだった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

会社を飛び出し猛ダッシュしたはいいものの直ぐに息切れ。げえげえ言わせながらも薙島駅が見えた、のと同時に、Mailの着信。美和子からだ。

《先に帰るね。 明日も仕事なんでしょ? 気にしないでいいから。 じゃあまた》

いまどこ? もうすぐ薙島に着く、と返信したものの、美和子からの返事は無かった。
俺は、未練がましくルブランの「本日終了」の札と、中で楽しそうに皿をつついてる連中の中に美和子がいないことを確認してから、とぼとぼと家路に着いた。

去年めでたくも三十になり、会社の独身寮を追い出された。
寝るとこなんてどうでもいいと思っているが、通勤が不便だと寝る時間が削られると考え会社の近くの安アパートを借りたのだった。薙島駅からまた会社の方向へととぼとぼと歩きながら、何やってんだろう俺と自嘲した。

部屋に戻っても、もちろん誰もいない。俺は一人寂しく冷蔵庫をあけ、腹の足しになりそうなものがないか物色したあとで、田舎から送ってきた餅が残っていたことを思い出し、いくつかレンジへ放り込んだ。
焼けた餅を頬張りながら、PCでいつものサイトを開く。

《はてな軍人将棋3D》と題されたそのサイトは、最近流行のネットワーク対戦ゲームの場だ。
平たく言えば、単に3D軍人将棋の相手をネットの向こうに求めてるってだけだが、好きなときに好きな相手を選べるし、素性がわからない分、つまらないしがらみを気にせず勝負に集中できるのがいい。

《ENTERさん への対戦エントリは13件 です》
「ENTER」は、俺のハンドルだ。対戦エントリというのは対局の申し込みのこと。もちろん相手がログインしてるかやる気があるかわからないから、こうやって希望者は予約しておくことができる。エントリされた側ももちろん相手と時間を選ぶことができる、お互いの都合が合えば対局開始って寸法だ。
俺はエントリリストをざっと眺め、いつもの名前を見つけたら、なんだかちょっとだけほっとした気分になれた。

《スズキミキ さんはまだエントリ受付中 です。 スズキミキ さんの挑戦を受けますか?》
《はい》
《スズキミキ さんの挑戦を受け付けました。スズキミキ さんの応答確認中です。しばらくお待ちください。》

しばらく待たされるかな、と、茶でも入れようと腰を上げかけたところで、スズキミキの応答を告げるチャイムがなった。

《おまたせ!》
《早かったな、待ってた?》
《いや、別に、たまたま》
《そうか、じゃ、やるか?》
《うん、お願いします》
《お願いします》

俺はいつもの癖で、モニタに向けて律儀に一礼すると、対局を開始した。今回は俺の先手。
9マス×9マス×3段の盤面に広げた駒を一瞥して、指し手に思いを馳せる。
……たまには、違う手も試してみるか。

《えっ? なんか今日、打ち方ちがくない?》
《そうか?》
《いつもガッチリ守るくせに》
《別にいいだろ》
《せっかく、矢倉おぼえたのになあ》
《それはお気の毒》
《その言葉、後悔させてやるぞ》

俺はスズキミキのコメントを鼻で笑いながら、一斉に攻めかかる。
俺のいつもの戦法は、まずひたすら守りを固め、相手が攻め疲れたところで逆襲するってパターンだ。てかスズキミキは、攻撃型と言えば聞こえはいいが、要するに攻め一辺倒で守りに気がいってない。足元が隙だらけってやつ。
正直、スズキミキは対局相手としてはちょっと物足りない。自称十五歳ってのは確認する術も予定もないが、まだ初心者に毛の生えた程度ってのは間違いない。父親に負けてくやしいからネットで修行しているそうだが、まだまだ先は長そうだ。

《いつもの勢いはどうした? ちょっとは攻めてこいよ》

俺は長考モードに突入したスズキミキに焦れ、ちょっと大人気ないとは思いつつも挑発した。
しかし、本当に打つ手なしのようだ。

《もしかして、ヨッパライ?》
《将棋はシラフ。それが私の主義だ》
《あっそ、ちょっとくらい手加減してよ》
《さっきと言ってる事ちがくね?》
《大人のくせに大人気ないぞ》
《そりゃ、ごもっとも、ほれ王手》
《えっ、ちょ、待って》
《待ったなし》
《オニ?》
俺はスズキミキにトドメを指すと、もう一局やるのか促した。
スズキミキは返答保留のまま、黙り込んだ。
もしかして怒らせたか? いや、勝負につまらぬ情けは無用ぞ。

《何かあったの?》
《何もねえよ》
《何かあったんでしょ、彼女にフラれたとか》
《フラれてねえし》
《あっ図星?》
《ちげーよ、今日は俺の誕生日祝いでフラ飯》
《えっ! いいなー》
《の予定だったんだけど》
《は?》
《遅れた》
《彼女は?》
《先に帰った》
《それで?》
《そんだけ》
《ええ?? 電話とかメールとか》
《電話してない、メールは返事が来ない》
《やばくね?》
《やばくねえよ》
《絶対やばいよ 電話したら?》
そうは言っても、返信が来ないのに電話するのもちょっと気が引ける。
《怒ってる、だろうな》
《あたりまえじゃん》
《どうしたらいい?》
俺は藁にもすがる思いで、自称十五歳に泣き言をこぼす。
ちなみに、スズキミキは2049年に住んでいるらしい。最近の子供の考えてることはよくわからんが、もしそうなら何か未来人のお知恵を拝借したいのであります。だめだしっかりしろ俺。
しばしの沈黙。
えっ、もしかして何か名案でも? とちょっと期待する俺が我ながら情けない。

《自分で考えろよ》
うん、そりゃそうだ。そして世界は再び沈黙に支配される……。

《探しに行ったら?》
《え?》
もうとっくに帰宅してる頃だ。

《たぶん、どっかで時間潰してるんじゃない?》
その発想はなかった。

《なんでわかる?》
《なんとなく、だけど……心当たり、ない?》
《もしかすると、加賀咲駅の五十鈴とか……》
《あっ、あそこのクリームぜんざい美味しいよね!》
《そうか?》
女の好みと言うのはまったくようわからん。
《なんか絶対いるような気がする、ダメもとで行ってみりゃいいじゃん》
日本語がおかしいぞ、と思いつつも、確かにその通りだと思った。

《そうする》
《そうしろ》
《ありがとう》
《恩に着ろよ》

……俺は、モニタ越しにスズキミキへ一礼すると、いつものカバンを掴んで玄関を飛び出した。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

電車に飛び乗ってから、ようやく俺の思考がぐるぐる回りだす。
加賀咲は薙島から二駅、五分とかからずに着く距離だ。
なんて言えばいいだろう?
「遅れてごめん」で許してくれるか?
もうちょっと気の利いた謝り方ないか?
いや、そもそも五十鈴に居るかわからんし?

「加賀咲、加賀咲です」

解けない詰め将棋に逡巡する俺にはまったくお構いなしに、電車がドアを開く。俺は渋々ドアをくぐるしかない。
考えても仕方ねえ、とりあえず五十鈴にいなけりゃ帰ろう。
俺はそう決めて改札を出た。

五十鈴は、加賀咲駅の西口にある小さな喫茶店だ。流行のチェーン店とは違ってちゃんと陶器のカップでコーヒーが飲める有難い店だが、女共ときたらここをスイーツの店だと思ってるから日中はちょっと入り辛いが、さすがにこんな時間は客もまばら、だ。

外からは中がよく見えないから、俺は意を決して五十鈴のがっしりとした扉を開けた。
カラコロ、と鈴の音が響くが、店内に美和子の姿はなさそうだ。
ほっとしたような、がっかりしたような気持ちで踵を返すと、いた。美和子だ。

「え?」

美和子は、クリームぜんざいの残骸らしき皿の前で状況がわからずきょとんとした顔をしている。

「英和、どうしてここに?」
「だって、俺の誕生日だろ」
「もうこんな時間」
「あと30分ある」
「明日も仕事じゃ……」
「明日は休む」
「いいの?」
「いいさ、元々休日なんだから。それより美和子と話したいことがたくさんある」
「あたしも」

俺は美和子の手を取ると、空いた手で勘定を済ませて、五十鈴の扉を押した。

(了)


GM91さんのコメント
まかしとけ!

GM91さんのコメント
まにあった!

GM91さんのコメント
1文字だけ誤字修正しました すんません

sokyoさんのコメント
ENTERさんお誕生日おめでとうございます! ごあいさつ遅くなってしまってごめんなさい…。

sokyoさんのコメント
[読む人へ]次はこちら。 http://q.hatena.ne.jp/1432996574#a1248696

2 ● サディア・ラボン
●10ポイント

ぼくは5月24日産まれです。

2月頃に、親戚の人に、
プレゼントは百式が良いと言いました。
当時は、単に、5月発売でした。


発売日が、5月30日になったので、
代わりにガンダムMk-IIが良いと言いました。
ガンダムMk-IIは、旧キットを買ってないので、
初体験になります。

その後、百式の発売日は5月28日になりましたけど、
誕生日より後だという事に、変わりは無いです。

f:id:taddy_frog:20150524134930p:image
貰ったプレゼントは、
ザク・マインレイヤー、
ガルマ専用ザク、
ガンダムMk-II、
ガンダムナドレ、
ガンダムヴァーチェ、
ラファエルガンダムの
六つです。


毎月の、第一日曜日にも、
プレゼントを貰いますので、
6月の第一日曜日に百式を買うつもりです。


sokyoさんのコメント
サディア・ラボンさん! 過日はお誕生日おめでとうございました♪ プレゼントたくさん! いいな!!

サディア・ラボンさんのコメント
ありがとうございます。

3 ● 只野迂舞某
●10ポイント

題「たぶん、おそらくしっかりしろ」

登場人物:
影沼 ちとせ (小学4年生女子)
ベルナルド・ドナルド・ベロナルド(暗黒司祭)
ちとせのお父さん
ちとせのお母さん
セキセイ2号 ちとせの飼っているインコ

起:ちとせとベルによる状況説明。

「おじょうちゃん? ちょっといいかい?」

帰宅途中のちとせに声を掛けたのは、真っ黒なローブに身を包み、これまた黒いトンガリ帽子をかぶった年齢、性別不明の人物だ。

これだけで事案発生である。

「なに? わたし、忙しいのよ。だってこれから帰ってインコのセキセイ2号に餌をあげないといけないし……」

「ああ、それなんですがね。ちとせちゃん」

「どうしてわたしの名前を知ってるの?」

「大丈夫、怖がらなくていいから。ちとせちゃんのお父さんとお母さんに頼まれたんだ。
インコのセキセイ2号もうちで預かっているよ。
今日はおうちじゃなくって、おじさんの家に帰ろう。お父さんもお母さんも夕方くらいにはやってくるから」

完全に事案から犯罪の序章へと発展する瞬間であった。通報が求められる。即時に。

が、ちとせは動じない。

「最近そういって声を掛けてくる人が多いのよね?。
だから、お父さんとお母さんと合言葉を決めてるんだけど、おばちゃんは知ってる?」

そこで、ベルは首を傾げた。はて、合言葉なぞ聞いていたのだろうか?

「ちとせちゃん? ヒントはないかい? おじいちゃんね、沢山合言葉を覚えすぎてどれがどれだかわからなくなってるんだ。ボケているわけじゃあないんだけどね。
ちょっとした物忘れだよ。
確かにちとせちゃんのお父さんから合言葉を聞いていたのは本当なんだけれど、他の合言葉とごっちゃになってしまっていてね」

「ヒントはね?、歴代のプリキュアの名前を全部登場順に言うことだよ?」

登場順とはこれまた。ちとせによると、オープニングや次回予告は含めずにあくまで本編のみ、本編でも後ろ姿などは含めずに、それとわかる姿で描かれた順ということらしい。
難度は高い。

だが、暗黒司祭であるベルナルド・ベロナルド・ベリネルドにとってはそのような質問など容易すぎてへそ的に茶が沸く。

ところ変わってどこかの警察署のなんかの部屋。会議中。

「最近発生している幼女の連続誘拐事件だがな……」

「はい、犯人のプロファイルは終わっています。
年齢は15?85歳。男、もしくは女性で身長はおそらく160センチ以上。3メートルは超えないでしょう。
趣味はインドアかアウトドアで、学歴は中卒から、大学へと進学していたのであれば文系か理系を修めていて、甘党、もしくは辛党。お酒は一滴も飲めないか、大酒のみです。
特筆すべきは犯人の性癖です。
極端な幼女趣味であるか、ショタコン、あるいは熟女、もしくはロマンスグレーのおじさまが好みであり、場合によっては20?30代のごく普通の男女への興味も持っているでしょう」

「それだけ絞れればもう、犯人の目星はついたも同然だな」

「はい。該当する人物がこの街に一人だけいました。
すでに捜査員が張り込んだり張り込みをさぼったりしています」

「わかった。だが、ことをおおっぴらにすると犯人から警戒される可能性も禁じ得ない。 あんぱんと牛乳を差し入れることにしよう。
ということは、突入部隊を組織して電撃作戦を決行する。
手の空いている奴は、それぞれ甲冑を装備の上、騎乗して待機すること!!
銃の携帯も許可するが、それはあくまで犯人への威嚇に使用すること。
みせびらかしたり、自慢げにくるくる回したり、そこらの看板とかを撃たないようにな」

将軍の号令で、室内に居た兵士たちがどよめいた。

これほど大きな作戦は、150年前のあの時以来である。
150年前に何が行われていたのか知る者はいないが、

「おお! 150年ぶりだ! わくわくするぜ!」
「ふん、お前にとっては150年ぶりかもしれないが、俺にとっては148年ぶりだ」
「俺は、143年と15か月と3日の最短ぶり記録保持者だからな」

と口々にどよめき立つ。

「皆のもの、剣を取れ! 軍神カゲーヌマの加護により、我らの勝利は約束されたもの!!」

王の号令で、騎乗した騎士たちは馬を走らせた。
馬にはパトランプが搭載されており、馬にはバッテリーが搭載されていないので、回転もしないし、ウーウーとかサイレンがなったりもしないが、そこはそれぞれが創意工夫でそれっぽい雰囲気を醸し出しているのだった。

ところ変わって、ベルナルド・ベルナーゼの自宅である。

「ねえ、おばあちゃん? 部屋が真っ暗だよ」

ちとせが心底心細そうな声で呟いた。

「ちょいとお待ち。準備は整っている」

「準備? 何の?」

「それはセキセイ2号を生贄としたちょっとした儀式さ」

「セキセイ2号は生贄にされちゃうの?」

「ああ、鳥の半分は食べられるために生まれ、もう半分は自由に空を羽ばたくために生まれているのさ。
そして残りの半分は、生贄になるか、もしくは焼き鳥になるために生まれて来たのさ」
「そっか……。寂しいけど、これが現実なのよね」とちとせは達観した。

「ではこれより、儀式を始める。
暗黒神である【オータンジョービ】様へ。
捧げるはひとつの歌。ちとせ、歌えるかい?
メロディも歌詞もちとせは知らないだろう。わたしも知らんし、誰も知らん。
だが、目を閉じてそっと思い返してごらん。
頭の中をからっぽにするんだ。
浮かび上がるメロディ。それは、オータンジョービ神からの贈り物」

「おじちゃん! わたし……、歌えるよ!
メロディなんて、全然わからないけど、歌詞だって曖昧だけど。
歌える気がする」

「聞こえるよ……。ちとせの歌声が……」


法被バスで、梅雨?
もっちがーすげー ぬーむー
どっちがーらー ディア いっつすもーるわーるどー!!
はーっぴばーすでー つーゆー

それは実際にはちとせの歌った歌ではない。

九官鳥のセキセイ2号がその薄れゆく意識の中で紡ぎだした歌声だった。

「おや、屋敷が囲まれたようだね。
だが、もう遅い。
儀は成立した」

「そうだな。我はちとせ。セキセイインコの魂を得て、新たな力に目覚めし小学四年生」

「ちとせ、やれるかい?
敵の数は数十万。あるいは数万だろう」

「ちとせにそんなことをさせるわけにはいかない。
ちとせの力はまだ完全に目覚めているわけではないのだから。
だから、僕があなたの剣となる」

「坊主。軽口を叩くのもいい加減にしろ。
なんのためにこれだけの軍勢を集めたと思っている。
なにしろ150年ぶりぐらいの決戦だ。
相手は、暗黒神はーぴバースデーの力を得た魔物にも等しき悪しき存在。
一人の力でどうこうできる輩ではない」

「俺には……、ちとせとの約束があるんだ!
奇しくも今日はちとせの誕生日。
彼女のために用意したこのプレゼントを渡すまでは」

それを聞いた将軍は目をつぶり、ゆっくりと目を開き、そして再び目を開いた。
そして目を閉じて、目を開いて、目を開くのを2?3回繰り返す。

「わかった。全てお前に託そう。
ちなみに、そのプレゼントの中身。聞いてみてもよいかの?」

「ああ、それは開けてのお楽しみ。
無事に俺がちとせを倒せたときに、開けてくれ」

「楽しみじゃのう。わくわくするの?」

「将軍のために選んだプレゼントなんだ。
明日、将軍の誕生日だろ?
俺は、この戦いが終わったら、将軍のプレゼントを買いに行こうと思っている。
だから、それまで絶対に死ぬことはできない」

屋敷が崩れ、暗黒神となり、バリーナルドなんとかとも融合を果たした巨大なちとせが姿を現した。

「これが……、ちとせ……」

「そう……、わたしはちとせ、全治全農の力を得て、闇を育む光の天使。
わたしの歌声は……」

「そうか……、ちとせは……、自分の身を犠牲にして……。
この世界を救うための柱となったんだ……」

すべてが終わった。

食卓にはちとせ父、ちとせ母。そしてちとせがついている。
もちろん、暗黒九官鳥のセキセイ2号も健在である。
彼女(鳥)は、狭い籠の中で文句も言わずに、和やかな食卓風景を眺めていた。

彼女(鳥)の目の前で、ちとせのおかあちゃんが冷蔵庫からケーキを持ってくる。
彼女(鳥)の目の前で、ちとせが蝋燭の火を消す。

お誕生日おめでとう。
生まれてきた意味の何分の一かを理解できた記念日。
生まれてきた意味のほんの何分の一ずつを新たに理解していく出発点。

ちとせの父と母、そして彼らの命を繋いだ数多くの先祖たちに見守られながら。

ちとせは自分に対して歌われるその歌の意味を噛みしめた。

ハッピーとは、人生の階段。
バースデイとはそれを昇るということだ。
ツーユーには、小走りでとかゆっくりととかの意味があてはめられる。
ディアの意味はよくわからないが、たぶん、しっかりしろ的な意味が込められているのだろう。

そして『ちとせ』とは『千歳』。連綿たる歴史を紡ぐという確固たる決意が込められている。

人生の階段を昇れ、小走りで
人生の階段を昇れ、勇み足で
人生の階段を昇れ、 良くわからないけどおそらくはしっかりしろ
永遠に紡がれる時の中で
人生の階段を昇れ……

そして最後の一節。『ツーユー』
その意味を知る者はまだ誰も居ない。

それはこれから千年の時をかけて、小学四年生のちとせが探し出さないといけないのだから。

? fin ?


sokyoさんのコメント
ちとせさん、お誕生日おめでとうございます! 良くわからないけど、人生の階段、しっかり昇ってね。

4 ● たけじん
●20ポイント ベストアンサー

第一話

「ちょっと待って」
私は、タブレットのデータを指している山田君に、振動するウォッチを示した。画面には、里山さん、と表示されている。
「はい」
イヤホンから、今一番聞きたかった声が流れ出てくる。
「調子はどう?準備は進んでる?」
「ええ、怖いくらい順調。珍しいわね声だけなの?」
「ああ、移動中だから、隣の人が写ると面倒だから」
「いろいろ気を使ってるのね」
「あたりまえだろ。で、えへん。今度の木曜日だけど、あるレストランを予約したんだ。」
「木曜日?え、その日は」
「わかってるって、だから、そこに君が行って、出てくる料理を食べていてくれればいい」
「え、なんで?あなたは遠い場所に」
幸いなことに、私の目が泳いでいるのは、スマートグラス越しになっていて、山田君には見られなかった。
「だから、一緒にいられないんだから、せめて同じ料理を同じ時刻に食べないかって」
「そうなの。わかったわ」
スマートグラスの画面にメッセージが浮かぶ。
「そこのレストランに、9:00だから。」


8:59に入口に向かうと、制服の係の人が近づいてきた。
「ミスワトソンですね。お待ちしておりました。こちらへ」
係の人に導かれて、私は窓の見える席に着いた。目の前にはテーブルと、二人分の食器が並んでいる。
「あの、一人なんですけど」
「ご予約の方のご希望で、このようにさせていただきました」
ウォッチが振動した。
「やあ、君らしく、時間ぴったりだな」
「ええ。良くわかったわね」
「僕の情報網をバカにするなよ」
「そうね、いつもの事ね」
私は少し微笑む。そう、いつものこと。
「そのスマートグラスに、新しいアプリがインストールされてる」
私はウォッチを見た。新しいアイコンが踊っている。
「あら、踊っているわ。これ?狸かしら」
「そう、里山のタヌキ。そいつをタップして」
画面が広がる。
「スマートグラスでそのテーブルを見てみて」
私は、テーブルの方に向かって座りなおす。スマートグラス越しに私の側のお皿とカトラリー、反対側のお皿とカトラリーが見え、そこから顔を上の方へ振ると、
「おーい、見えるかーい」
手を振る彼が写っている。一度グラスを外す。実際の椅子には誰も座っていない。
再びグラスを掛けて、出現した画面の彼に言う。
「ARね」
「そうそう。君ならすぐにわかると思ったよ。」
「わかっているけどすごいわ。何キロ離れているのかしら、まるで目の前にいるみたい」
「そう、今の技術はすごいんだよ。じゃあ、始めようか」
さっきの係の人が、すぐ脇に立っている。半球形のカバーのかかった料理をテーブルに置く。
「なにかしら、これ」
答は実は知っているような、そうじゃないような。
思わず、私が見入る目の前で、係の人がカバーを外す。
「おめでとう、ハッピーバースデー!」
目の前には、丸い白いケーキが置いてあり、そこにはHAPPYBIRTHDAY!!とチョコレートで書かれている。所々にローソクが立っていて。
「あら、3本なの」
「正確に33本立てたいの?ひょっとして23なのかな?とその辺の人に思わせた方がいいだろ?」
「ま、いいわ」
「ほら、火を点けないと」
グラス越しの彼は、変わった形のライターを取りだし、ローソクに近づける。
「点火」
と言いながらライターを操作する。ローソクに火がともる。
「すごいわ、遠隔操作で点火するのねこのローソク」
「そうなんだ。今回一番苦労したのが、ここさ」
2本目も点火と着火のタイミングは一致している。
感心しながら3本目のローソクを見ると、倒れてしまっている。
「あ、倒れてる。」
これじゃあ、彼の方のデータと一致しないはず。どうするの?直した方がいいの?
「大丈夫」
彼は、難なく3本目に火を点ける。しかも、倒れたローソクを持ち上げて、ケーキに刺しなおしている。
「え」
私は、グラスを外した。
目の前には、空の椅子があるはずだったのに。
「やあ、瞬間移動してきた」
彼の笑顔がそこにあった。
「すごいだろ、現代の技術は」
そんなことはどうでもよかった。私は、彼の胸に飛び込んだ。
「どうやったかなんて、どうでもいいわ。うれしい」
彼は私に微笑んで言った。

「誕生日おめでとう。」

私は、彼の体温を確かめながら、こう思っていた。

この感覚もARだとしたら、本当にすごい技術ね。


sokyoさんのコメント
ワトソンさん、お誕生日おめでとうございます! いいなぁこんなお誕生日いいなぁいいなぁ…。

sokyoさんのコメント
[読む人へ]次はこちら。 http://q.hatena.ne.jp/1432996574#a1248265

5 ● 妖精『へんてこ凛』
●20ポイント

『授かりし資格』

私には誕生日がない。
もちろん未だ生まれてきていないなどといった安っぽいSF小説のような寝言ではない。誕生を認められるのには条件がありそれは泣くこと。多くが誕生した直後に産声をあげたことだろう。だがどうしたわけか私は泣かなかった。生まれながらの非行少女だったわけではない。泣く理由が欠片もなかったからだ。私からすれば理由もなく泣き喚いたキミたちの神経がわからない。この世に産み落とされたことを嘆いているとでも言うつもりか?

眩暈がするほどの陽光のなか、私は今カップ麺の汁を啜っている。残しなどしない。それは物の有難味などといった高尚なものではない。単にお金がないのだ。毒々しい色に染まった汁を一心不乱に胃へ流し込む。近所の電柱の傍らに咲いていた蒲公英を持ち帰り、茹でてカップの中に浮かべたのが唯一の慰めであり本日のダイジェストのすべて。この味気ないカップ麺一杯が今日の食事のすべてなのだった。

私の人生は何の為にあるのだろう。こんな為に私は生まれてきたのか。ならば天は随分罪なことをしたものだ。私には夢を見る権利さえ与えられていないのだから。

琥珀色の瞳から一筋の液体が流れ、頬を伝ったその大きな川は決壊し雫となってこの痩せっぽっちの太腿に零れ落ちた。小指で掬いペロッと舐める。これも私にとって立派な養分…刺激となることだろう。
《涙とはしょっぱいものだったんだな・・・》
そこでようやく気が付いた。私は今生まれて初めて涙を流したのだ。こんな私にも春が来たようだ。

・・・と、そのとき、開け放った窓から蝶が何頭も舞い込んできた。私の唯一のお友達たち。祝福してくれているのだろうか。今日が私の誕生日になったのだ。来年98歳にして初めて迎える誕生パーティー。今使っているパソコンはもう旧い。母に最新パソコンでもせがむことにしよう。

それにしても眩しい。3年前から昼夜問わず眩い光が私を包み込んでいる。
私は今初めて生きる喜びに充たされている。

?了?


sokyoさんのコメント
お誕生日おめでとうございます! どんな風であれ、光に包まれているのはハッピーですねー。 妖精『へんてこ凛』さん初めまして。 これからもよろしくお願いします!

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