「山岳映画の巨匠」と言われたアーノルド・ファンク監督と、彼の作品の常連で、後にナチスの映画の監督をするレニ・リーフェンシュタール主演のコンビによる、冬山を舞台にしたサイレント映画2本。
「聖山」Der Heilige Berg(1926年、ドイツ)
「死の銀嶺」Die weiße Hölle vom Piz Palü(1929年、ドイツ)
https://www.youtube.com/watch?v=RrubRtAdp1Q
2作品とも、冬山に登山をした登山家が遭難し、それに男女の恋愛が絡むストーリー
のドラマチックな映画。
本当に登山しながら雪崩や氷壁などを撮影しているので、映像的にはきれいで迫力満点。
特に「死の銀嶺」では、捜索隊が夜間に雪山に登り、たいまつの灯りに映し出される氷壁が見たこともないような美しさだったり、捜索の飛行機が切り立った山の斜面ギリギリを飛んだりして、見た目的にも見どころ満載です。
おまけ。
超有名作品だけどこのテーマでは思い浮かばなさそうなやつ。
「チャップリンの黄金狂時代」The Gold Rush(1925年、アメリカ)
https://www.youtube.com/watch?v=nt-_DXC-aik
チャップリンが一獲千金目指して、アラスカに金を探しに行く。
あまりの寒さと空腹で、靴を食べたり人間がニワトリに見えたりします。
アメリカ、ロシア(当時ソ連)、イギリス、フランス、日本、中国から集められた6人が犬ぞりを使って南極大陸を横断するお話。極夜の南極、吹き荒れるブリザード、クレバスに落ちる犬、宿営地でブリザードのさなか行方不明になる日本人...。
それこそが南極的なところではありますが、国籍を越えて協力するチームの姿が素敵です。みなさんその後の冒険人生を生き抜いて同窓会をやったりしているところがまた素敵です。南極は今では犬の持ち込みは禁止されています。古き好き時代の南極探検と言えるかも知れません。
どなたかが挙げるだろうと静観してましたが期限が迫ってきたので遅ればせながら。
ジャック・ロンドンの短篇集『極北の地にて』より「焚き火」(もしくは『火を熾す』の表題作。同一作品)。
火を熾せなければ... というシンプルな1アイディアで、ここまで緊迫した濃密な短篇を書ける作家はそういないでしょう。「冒険」というにはあまりにもミクロな物語なのですが、「極寒」のもたらす驚きの恐怖って点で最高級。
冒険らしい(?)冒険では、アーシュラ・K・ル・グィンの『闇の左手』。
実にル・グィンらしい、大人ごころにこそ訴えるクライマックスでの地味な冒険:極寒の氷原の踏破行が、政治ドラマとSFアイディア種明かしの両方の頂点にもなっていて、再読してこそ味わい深くなる傑作。