一対の染色体上において、同じ座位にある一つの遺伝子の塩基配列の長さは、(例えば優勢遺伝子と劣勢遺伝子とで)異なるのが普通ですか?それとも同じなのが普通ですか?
〔追記:id:meeflaさんの指摘を受けて、誤字と用語の訂正をします〕
一対の染色体上において、同一の遺伝子座にある対立遺伝子の塩基配列の長さは、(例えば優性遺伝子と劣性遺伝子とで)異なるのが普通ですか?それとも同じなのが普通ですか?
または、この事をネタにしたショートストーリーを書いて下さい。
まず、
☓優勢遺伝子と劣勢遺伝子
◯優性遺伝子と劣性遺伝子
さらに、私の理解が正しければ、遺伝子の場合の座位=遺伝子座 であり、
遺伝子に該当しないような塩基配列・遺伝マーカーの位置は座位(ざい)という。
遺伝子座 - Wikipedia
従って、ご質問は、
対立遺伝子 の塩基数は異なるのが普通ですか?それとも同じなのが普通ですか?
となると思います。
(「二倍体における対立遺伝子どうしの遺伝子座は同一である」という前提で)
さて、これに対するお答えですが、同じなのが普通です。
対立遺伝子の塩基レベルでの違いの多くは、一塩基多型 (Single nucleotide polymorphism : SNP) だからです。
例をあげます。
アルデヒドデヒドロゲナーゼ の ALDH2 遺伝子に、ALDH2-1 と ALDH2-2 があります。
ALDH2-1 が優性で ALDH2-2 が劣性です。
この2つの違いは、
ALDH2-1 AGTACGGGCT GCAGGCATAC ACTGAAGTGA
ALDH2-2 AGTACGGGCT GCAGGCATAC ACTAAAGTGA
(PCR法による遺伝子型の解析 より)
と、塩基1個の違い(G と A)だけで、塩基数としては同じになります。
で、この一塩基多型 (SNP) の頻度ですが、
SNPはヒトゲノム上で最も数多く存在する多型で、平均約1000塩基ごとに一ヶ所みられ、おそらくゲノム全体では200万以上はあるとみられている。
遺伝子多型とは?
だそうです。
ご参考になれば幸いです。
(ショートストーリー構想中)
追記です。(2016年1月18日 午後11時15分)
博士が助手に言った。
「新しい薬だ。試してみんかね」
三角フラスコに入った緑色の液体を見せられた助手は、疑わしそうな目で博士の顔を見た。
「またおかしな薬じゃないでしょうね。こないだの変身薬でどんだけ苦労したか」
「ま、科学の進歩には犠牲がつきものじゃ。今度のはちょっと違うぞ。下戸の君のために、特別に作った薬だ」
助手は目を見はった。
「酒を飲んでも酔わない薬ですか?」
「原理を説明しよう。この薬を服用すると、全身の細胞にある ALDH2-2 遺伝子の A を G に変えて ALDH2-1 にする」
「アルコールをもりもり分解するんですね」
「その通り。ボトル1本あけるくらい楽勝だ」
「美人だけど底なしのクロヨさんを酔い潰す事も……」
「赤子の手をひねるようなもんじゃろう」
博士の言葉に助手は笑みを浮かべた。
「素晴らしい発明です。初めて役に立つ物を作りましたね」
「私の知識と遺伝子薬学の粋を集めた結晶……今、何か言わなかったか?」
「あ、気にしないでください。では早速」
「ただし、注意点がある」
「そらきた。何です?」
「些細な副作用じゃよ。同量のアルコールを薬なしで飲んだ場合に比べて、肝硬変になるリスクが569倍増えるだけだ」
「……」
「昔から言うじゃろう。クスリはリスク、とな」
「失礼します」
(了)